10月1日
月をまたぐつもりは無かったのだが仕方ないか。
四本マトリックススピーカーだが結線は正した。
今度は間違いない。
その上で、やはり一部ソフト(ポピュラー物)では
風呂場の音場になる事を再度確認した。
いや、もう差信号の雨の中。霧の彼方で和信号が鳴る
みたいな感じで改めて驚く。
逆に言うとマトリックスが正しく機能している証拠なのだが
これじゃ聴いていられない。
結局
図91の結線で差信号用ユニットに2.2オームの抵抗を入れて事なきを得た。
ちなみに図90の結線だと、まともだが今一つ面白くないので今回はそれは没。
ま、どーでも良いが、改めてステレオって面白い。
和信号と差信号の掛け合いでこれだけの違いが出たり
色々な事が出来たりするとは傑作だ。
ただ、気づけば長いこと他のスピーカー鳴らしていない訳で
ご機嫌斜め間違いなし。
いい加減にします。
10月2日
いや、昨日の日記を書いていた時は
まだ、これを作る事は決まっていなかったのだ。ホントです。
しかし思い立ったが吉日。
やってみた。
種を明かすと、これは元々収納用に作ったボックス。
最近行き場を失っていた。
五面共15ミリ厚の品板で作った頑丈な物。
これに裏板を付けるとさあ不思議。
あっという間にスピーカーが作れる。
作例は長岡先生のMX-7である。
MX-7は当初別冊FMfanに発表された屏風型マトリックススピーカーに
与えられた型番だったが、その後単行本に収録されることなく忘れ去られた?
後年「長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術2」に収められた
マトリックススピーカーに、この型番は再び振られてしまった。
その内容はというと、始祖MX-1の復刻である。
復刻といってもご覧の通り同一バッフルに全てのユニットが取り付けられる形式。
MX-127AV凱旋門やMX-210AV王座Fの成功で、フラットバッフルも又由となって設計された。
本物のMX-7は少々複雑な内部構造となっているが
今回はまだただの箱のまま。
未完成品である。
第一ユニットが10cmではなく8cm。
取りあえずは良い事にした。
そんなわけで蜜柑、ならぬ未完ちゃんなのだが音を出してしまう。
結線は図91の物で、当座は調整用の抵抗なし。
これでどうかというと、やはりアッと驚くサラウンド。
ユニットは幅40センチくらいの所に収まっているのに不思議なものである。
…ということで、この形でもマトリックススピーカーは充分行ける事を
前作段ボール六本ユニット試作品に続き確認出来た。
10月3日
こんな事している場合じゃない、という様な時こそ
この日記を書きたくなるのは何故だ?
いや、道楽の世界というのはそういう物なのだ。
さて、振り返ればマトリックススピーカーとの付き合いも長い。
休み休み、足掛け20年。
やっとここまで来られたか、という心境だ。
正直、過去の作例では”どこが?”という位拡がりを感じなかったこともあって
”長岡先生の嘘つき〜”と思った事もしばしばであった。
MX-1は作ったけど、さっぱりでした、という例は数知れずで、
その気持ち、よっしーにはよくわかる。
何がMXの成否を分けるのか?
ソース、装置、設計と色々あるだろうが、正直言ってユニットの違いとか
箱の設計とかは決定的要素ではないと思っている。
今回それを確かめたくて色々やったと言うのはある。
取りあえず今喜んで使っているのは東京コーン紙製作所というところの
F77G98-6という物で、大変素晴らしい音質を持っている事は保証する。
実勢一本250円だから驚く。
エンクロージャーの形はどう影響するか?も見極めたくて
今回はフラットバッフルのMX-7(もどき)に挑戦した。
結果、だが全く問題ない。
これから作る人はフラットバッフルの方が六角形より簡単なのだから
そちらで始めれば良い。
ただ、聴取位置を左右にずらして聴いた時の音場に
両者(多角形型と平面型)の違いが出るかもしれない。
しかし、それは本質的な問題とは思わない。
図91の結線で近年のポピュラーを聴くと
本当に風呂場になる物が多いのに驚く。
昔々と比べると左右の音量さだけでステレオに
しているというのは少ないのだろう。
風呂場は風呂場で、しばらく楽しむことにした。
というのは、調整は抵抗で簡単に出来るとわかったし
拡がり過ぎる物を縮める方が、
拡がらない物を広げようとするよりも遥かに簡単なのは自明だからだ。
10月5日
軽くドック入り。
留守番はSY-88。
10月6日
寒いわ雨に打たれるわで頭痛がして来た。
こりゃたまらん。
さて、PRA-2000に詳しい人なら昨日の画像を見てお分かりの通り
二つ入っている電磁リレーを交換した。
なかなか同じ物が見つからないのだが今回はゲット。
密閉型だから劣化は少ないと思うが、30年以上経っている事を考えると
取り換えて罰は当たるまい。
気のせいか、動作音からしてちょっと変わる。
音も良くなった…と思いたい。
趣味というのは、何であれ色々な行き方があるのだが
僕の場合はレストアもオーディオ趣味の中で大きなウエイトを占める。
PRA-2000とも腐れ縁というか、結局チマチマと、
最後には完全レストアまで行きそうな気配だ。
…こんな事を書いていると僕の事を理系出身と
勘違いする人が居るのだが、残念?典型的な文系人間だ。
それなのに…我ながら良くやるわい、という感じ。
そして一気にやらないあたりに性格が出る。
腰は引けているのだが執念深い。性分であろう。
近いうちに又分解する予定。
今度は全半田やり直しである。
今回一気に、と思ったが集中力が足りないと見て先延ばしにした。
抵抗類もボチボチと…と思う。
アンプというのは丈夫と言えば丈夫なのだが
劣化は割と進むみたいだ。
その意味では新品でも二年も経てば疑った方が良い。
ただ、やり過ぎると疑心暗鬼の沼に落ちる。
兼ね合いが難しいがノーメンテは非現実的。
音は手を入れる度に正常化する…
筈だ…
10月7日
何から語るべきか…
といっても別に語ってくれと頼まれた訳でも無いのか。
そう考えると寂しいもんだ。
マトリックススピーカーMX-1が生まれたのが
1979年7月。
同じ年の秋、別冊FMfan23号の国産アンプフルテストで
さっそくテスト用に使われている。
”マトリックススピーカーというのは写真でわかると思うが
極めてコンパクトなもので、幅も43cmしかないがこれ一台でステレオになっており
音質はあまりよくないが、音像、音場の再生能力は抜群で
録音、あるいはミキシングの現場を忠実に再生する。
左右だけでなく、前後上下の位置関係も明確なのである。
拡がりはソース次第でいくらでも広がり、
マトリックス4チャンネルではサラウンド効果さえでる。
ただ、こういった再生能力はアンプに左右される部分は多く、
例えばコーラスだと、拡がりがアンプによって
1メートルになったり、3メートルになったり、5メートルになったり
物差しで測れるくらいに違うのである。
奥行き、上下も差が出る。
このスピーカーで音場が広いアンプの方が、狭いアンプより位相特性が良く、
微小信号の再生能力が優れているではないかと思うのだが、
確証は無いし、メーカーも、こんなスピーカーでテストされてたまるかと
怒るかもしれないので、今回はG9をメインとしてテストした”
後年スワンがアンプのテストに活躍したが
MXはその先駆けであった。
果たして”こんな物”でテストして良いのか?
これについては、どんなスピーカーでも
モニターになるしテストに使えるという事が、まず言える。
ただ、それを言っちゃあおしめえよ、でもある。
テストに好適なのは、わずかな違いを大きく引き伸ばしてくれる装置、
という事は言えるだろう。
その意味でマトリックススピーカーにしてもスワンにしても
長岡先生の目的には適っていたということだ。
それはさておき、よっしーの部屋においてのマトリックススピーカーは
どんなもんか?
特にこれでアンプのテストをするなんて事は無いのだが
アンプのコンディションを映し出す物として期待した。
その意味では、なかなか良い仕事をしそうだ。
そもそもフルレンジのスピーカーというのは
ネットワークその他あいまいな要素が少ないので
その意味では有利だ。
ただ、この一台を以てして最高の音質という物では全くない。
特に現用機は作りかけだし色々問題がある。
逆に言うと、それでもある程度の目的は果たす訳で
そう考えると立派である。
本当はスピーカーの方の完成を急ぎたい気持ちもあるのだが
現状の音。現状の仕事っぷりを見てからと思うから進まない。
道楽とは時間が掛かる物なのである。
過程を楽しむことを趣味という。
10月8日
PRA-2000の様子を見ながら、その間にSY-88の半田でも弄るか…と思って
やめることにした?
いや、目視の限りにおいて、顕著な劣化というのは見当たらなかったからなのだが
それにしてもこのアンプ、立派過ぎて手を下すのが躊躇われる。
強靭なガラエポ基板。林立する高級パーツ。
よく、コンデンサーが話題になるが、抵抗なんかも立派この上ない物が
使われている。
アナタなんかに私を脱がす事が出来るのかしら?とアンプが挑戦的な
ビームを放ってくる感じ。
下手な事はしない方が良い。
ただ、このままにはし難いのも確か。
というのも、PRA OUT ON/OFFスイッチが不作動だし
ボリュームはやっぱり妙というか最低まで絞り切っても音が漏れる。
いつかやらなければならない。
そんな訳で予定が狂ってしまった。
そしてもう一つ。
マトリックススピーカーの差信号用ユニットに抵抗を挿入した。
ワンポイント録音みたいな物だけ聴いている分には
余計な事はしなくて良いのだが、
いかにせん普通のソフトが全部お風呂場では
使いづらい。
抵抗値は適当に1Ω台だったと思うが
(あれこれやっていたのでわからなくなった。(;^ω^))
これで見事に風呂場解消するから面白い。
実に僅かな抵抗なのだが、効くのだ。
…ということで目出度し目出度しなのだが
前に進むのが躊躇われて小休止してしまったのも確か。
良いのか悪いのか?
10月11日
マトリックススピーカーには色々な勘所がある。
その勘所の一つに、差信号用ユニットと和信号用ユニットを
同一空間に置くか、それとも仕切るか?というのがある。
始祖MX-1以降しばらくは和信号ユニットも差信号用ユニットも
仕切り無しで扱われている。
それがMX-9及びMX-10で初めて和信号ユニットと差信号用ユニットが仕切られた。
MX-9やMX-10ではダブルバスレフが採用されたのだが
それを十分利かすために仕切りが入った。
マトリックススピーカーの泣き所の一つに低音不足がある。
マトリックススピーカーとしてみると10cm、8cmという小口径ユニットの方が有利ということで
まず低音不足になりやすい。
では、バスレフ等で補おうと思っても、差信号ユニットはそもそもが
逆相で働くパッシブラジエター(長岡先生の言)みたいなものだから
低音はどんどん打ち消されてしまう。
そう考えると仕切った方が良いのだが、
差信号用ユニットの自由な動作という点では仕切らない方が良い。
実に矛盾に満ちたスピーカーなのだが
MX-7では解決策として差信号ユニットを小型キャビネットで仕切った上で
その左右を連結するというアイディアが披露された。
左右の差信号用ユニットのエンクロージャーを連結してしまえば
理論上は内容積ゼロでもオーケーなのだ。
果たしてそう上手く行くのか?本当に改良になるのか?
懐疑的でもあったので、今回のMX-7もどきはこれまで仕切りは無い状態で
試聴をして来た。
しかし、ここまでマトリックスに付き合ったのであれば
やらないのは嘘だろう、ということで突貫工事。
正直言って僕も暇でもあるが暇でもない?
とにかく敢行。そしてボンドも乾かぬ内に試聴と相成った。
そんな状態で成功も何も無いのだが、
これは成功。
いや、大成功と言って良いと思う。
一言で言って、より明瞭になる。
故に拡がりなども向上した(様に聴こえる)。
今後バスレフの調整などを改めてすれば
更に良くなるかもしれない。
ただ、現状でも低域に関する不満というのはそんなにないのだが…
10月12日
散々続けてしまったマトリックススピーカーネタ。
そろそろ飽きられる頃。
…いや、そもそも関心のない人にとってはどうでも良い話が延々続いただけかもしれない。
音場や音像といった物に興味がない人も多い。
人はそれぞれなのである。
僕だってそればかり追求しているわけでは無い。
ただ、たまたまMX創世記より縁があり、憧れがあったということだ。
これまでバラックみたいな物を含めるとかなりの数を作った。
しかし、いずれも成功作とは言えなかった。
苦節20年余。やっとうまく行ったのは何故?
理由はわかりませんねん。
まあ、しつこくやっていると、いずれ道は開けるということ。
例えば35年前にMX-1を作ってみたがさっぱりでした、なんて人が
今もう一度MX-7なんかに挑戦したら面白いんじゃないかな?なんて思う。
この日記を読んだ人の中から、そんな人がたった一人でも現れたら本当に嬉しいが、いるかな?
35年前だとソースもアナログがメインだった。
位相云々という観点からはどうしてもデジタルの方が有利なので、その意味でも今の方がやり易いはず。
今回一番予想外だったのが、一部のマルチモノのソースが、広がらないどころか風呂場みたいになる事が多かったこと。
既に書いたが、昔と違い左右の定位を音量差だけで作っている方が少ないということか。
ピュアワンポイント専門だったら余計な物は介在させない方が良いのかもしれないが
差信号ユニットには2.1Ωくらいの抵抗を入れて落ち着いている。
本気のお風呂場ソフトには、それでも追い付かないが、それは除外して考えないと変な事になる。
10月13日
幾らなんでもCD一枚10円は無いだろう、と思う。
つい、5枚も求めてしまった。
税込み50円…
罰当たりだな、これは。
さすがに全部はまだ聴けていないが、案の定良い音が出る。
もちろん元々の録音がまともだからなのだが
今回のマトリックススピーカーの万能振りが確認されて嬉しい。
マトリックス云々を抜きにして、良い音だ。
ダクトを真面目に作って、細かいところを詰めれば
更に良くなるだろう。
楽しみはもう少し先にとっておくものさ。
しかし、一般家庭において普通に音楽を鳴らす分において
これ以上って必要なんですかね?
つくづく僕って、安上がりな男…
10月14日
PRA-2000だが先日電磁リレーの交換をした後、電源のパイロットランプが点かなくなってしまった。
音に関係ないが実に気分が悪い。
手持ちのムギ球に交換。
(*作業中の確認用写真なのでムギ球は映っていない)
それにしてもウチにあるのは往時の中級機?ばかりだ。
僕ももう少し熱心だったら高級品を手に入れてみたいと思うのだろうが
そういう情熱は持ち合わせていない?
試してみたら、アッと驚くカルチャーショックもあり得るが、本当の意味で喜んでいるのは一週間くらいな気がする。
ほどほどで良いのではあるまいか?
こんな事をいうなんてマニア失格?あるいは円熟の時期に到達したか?
プリでいえば往年のYAMAHA C-1。AUREX SY-99なんてのは試してみたい物だが当分無理だ。
10月15日
そうそう、マトリックススピーカー(まだやっている。笑)はアンプで効果が違うって本当か?
これまでメインアンプをHMA-9500に固定して、プリをC-2X、PRA-2000、SY-88と取り換えていたが
あっと驚くほどの違いは無かった。
特にSY-88とPRA-2000は肉迫という感じで差が見つけにくかった。
…なんて事を思いながら、ふとプリメインを出してみた。
ヤマハAX-200。
メンテしたきりだった感のある一台。
音を出してみて驚いた。随分違うのだ。
音場は萎縮。
…と言ってもワンポイント的な録音ではちゃんと高さも出るし、その意味ではちゃんと動作しているのだ。
ただ、見通しというかクリアーさというか、その辺が大分後退。
何よりも、お風呂場ソフトが割とフツーに聴ける?
いや、本当に違うのでびっくり。
ただ、聴いている内に、この方が落ち着くという人もいておかしくないと思った。
音場は中心が厚く、周囲は希薄。悪く言うとモノラル的なのだが、こちらの方が安心するという
感想もあり得る。
もうひとつ驚くのは、やはりこの安価なスピーカーがアンプの違いを如実に描き出すということ。
改めてAX-200というのは、良くも悪くも厚手でボッチャリした音を出すアンプだというのが良く分かる。
一聴、低域の押し出しなどはこちらの方がある様にさえ感じてしまう。
ただ、やはりそれは見せかけの部分があって、本物とは違うのだというのもわかってしまう。
悪く言っているのではない。6万円のプリメインと50万円級のセパレートは同じにはならないということだ。
10月16日
少し前に一枚10円で購入したCD。
どれも良い音…なんて書いたけど、その段階では全部なんか聴いていなかった。
最初に「杏 LIGHTS」そして「小柳ゆき アコースティックライブ」
辺りを聴いた段階で、そう書いてしまったが
「鈴木亜美 AROUND THE WORLD」や「Kiroro Daiary」は思わずずっこけた。
ただ、鈴木亜美さんなんかは風呂場音場の代表格として
それはそれで楽しめる。
Kiroro…は残念、今回一番使い道が無かった?
杏さんは安定路線…と、好きな事書いているが
あくまでもオーディオソースとしてどうか?というお話しなので
ファンの皆さんにはお叱りなきようお願いしたい。
小柳さんは特にアコースティックライブが予想通り(ジャケット見るとピンと来る)
良好良質。
この人の事も良く知らなかったが、年齢が信じられない歌唱力というか
”なんじゃ、こりゃ?”というお化けみたいな人だ。
知らないから検索すると、その後は…という事でデビュー即絶頂期だった
アーティストの典型的パターンみたいな事になっているが
この辺は周囲に居たはずの男ども、しっかりしろい、と言いたくなる。
活かすも殺すもお前達次第だ。
ま、そんな事はここで言うことではないか。
小柳さんは「EXPANSION」も良い。
冒頭から笑っちゃうようなサラウンドだ。
…なんて観点でこれらの音楽を聴く人も居ないかな?
MX-7改。厳し過ぎず、昼行燈過ぎず、
ソースの差はばっちり出すが、とげとげしく突き放すことはしない。
誠に不思議なスピーカーが出来上がったとしか
言いようがない。
10月18日
深い意味はない。
では、浅い意味はあるのか?と問われるとそれもない。
何となくDENON PM-390RE登板。
初代390はローコストながら良い音作りという事で好評を博した。
ついこの間のことみたいに思っていたが25年くらい経つのか?
時のたつのが早いのもちろんだが、僕の頭のお花畑もひどいものだな。
初代PMA-390はもう一つ。なぜだかマトリックス効果が高いアンプという事で
長岡ファンにもウケが良かったようだ。
初代は無いがREならあるという事で実験。
なるほど、先日のA-200Xよりは拡がり感がある。
では、圧倒的かというとそれは何とも言えない。
これは聴く順番が悪かったかもしれない。
常用がHMA-9500ではマトリックス勝負をするには相手が悪い?
それと、やはり圧倒的マトリックス効果も、
同じPMA-390であっても初代に限るという気はする。
中身は別物ですから〜(進化しているという意味)。
それよりも、先日も書いた、このマトリックススピーカー、
厳し過ぎず、昼行燈過ぎずというのは当たっている様で
セパレートとPMA-390REの差ははっきりわかるものの
それなりに聴いてみようという気にさせる。
正直、この390REというアンプは、どうも僕にとって耳障りな
音を出してくれるのだが今回はそれが気にならない、
…とは言わないが比較的気にならない。
良いスピーカーと自画自賛しておこう。
10月19日
いや、本当に反省している。
一目散に家に帰り、スキを見てはオーディオなんてのは
不健全この上ない。
ほどほどに、ほどほどに…
足が真っ黒。
グリスは乾ききっている。
たまたまデンカシートがあるのでこの際交換。
足の黒いのはコリコリとこそげ落とし
(写真は無いのか?)
再利用再利用。
いや、ほんとほどほどにしようではないか。
10月20日
ちょいとばかりアンプ弄りの真似事をするようになったからと言って
わかったような事を言ってはいけない。
ただ、ホントに妙な事を色々やる前に
リレーの接点くらいは掃除した方が良さそうだ。
ただ、この種の話は雑誌なんかでは書きずらい。
なぜってアンプ(と限らないが)のボンネットを剥ぐのは
危険極まりない行為なので、それを推奨する訳にはいかないからだ。
この辺がバイクや車と違うところで、あっちだとメンテナンスということで
大っぴらな世界なのだが…
取りあえず本来あるべき姿に戻して上げる事は大事な筈だ。
しかしそれは書けない。書けるのはケーブル交換とか
そういう事に、どうしてもなる。
これは悪く言っているのではない。逆に同情すらしたくなるお話しだ。
それでもなんとか、と頑張って、足の交換や
ボンネットのダンプとかに踏み込む。
本当に涙ぐましい努力ではないか。
立派である。
…と言う話はまたいつか近いうちにするとして
MX-7改を鳴らすアンプをDENON PMA-390REから
YAMAHA AX-700Vに差し替えてみた。
予想はしたが、随分立派な音がする。
マトリックスの音場がどうかはさておいて
カチッとして、しかも可愛らしさも忘れない。そんな音だ。
お得意の内蔵DACを使わずアナログ接続で、だから驚く。
良くも悪くも、君はもっとやんちゃな感じだったよね?と
思わず見つめ直す。
考えてみたらこの子は春くらいに終段をLAPTに換えたり
エミッタ抵抗だったかを交換したりしていたのだった。
それで一変、というほどシンプルな話しじゃないと思うが
やっぱり悪くはなっていないと安心した。
10月21日
執事とかが居て、パーツをずらっと揃えてくれて
自分は半田をするだけ、だったらどれほど楽かと思う。
しかし、反面それじゃつまらないとも考える。
このパーツの規格は…
サトー電気で該当はあるか…
いつ買いに行けるか?
…なんて事を考えるのも楽しみの内か。
全部のパーツを一気に交換!なんて事もしてみたい物だが
それはしない。
プロセスを楽しみましょう。
*KPの会会員名簿更新
tamaさん登録です。
10月22日
ほら。この人こんないい加減な事していて
色々書いているのよ。
信用してはいけません。
その通り。ただ、大筋というのはわかる時にはわかるものでして
そこをすっ飛ばしてディティールに走りますと
何かと無駄な出費も増えるってもんですぜ。
AX-700VからAX-640に換えてみると
やっぱり違うものでして…
やはり640は正統派美人。
そつなく美しい。
カチッとした感じは700Vだが、それではストレート過ぎるという向きには
640だ。
…と言ってもどちらもマニアは見向きもしない?
それらをユニット総額千円のスピーカーに繋いで
どれほど良い音がするんじゃ?と言われると返す言葉が無い。
どっかーん、ばっかーん、しゃーん!という音を想像したら
そんな音は出ない。
いや、出るかもしれないが、出す気もない。
本気でこれで十分と言いたい気分。
オーディオルームでオリンピックみたいな事をしたい場合は
お呼びでないかもしれないが
普通の人が普通に楽しむのに、何か不足があるのだろうか?
…なんて、俺も随分枯れてきた?
10月23日
かなり病んでいる(と思われる)部分。
良く知られることだが、猛烈に熱を持つダイオードが
いっぱい。
それが基板に張り付くように実装されている。
故に基板は焦げる。
更に途中にマイラーコンデンサーがあって放熱にはマイナス。
しかもダイオードの熱で煤けている。
大王ならぬダイオード様の脚を磨いて使っても良いのだが
現実的でない。
新しいダイオードは基板から離して取り付け。
実装が不細工なのは許してください。
ずばりその物の入手がとっても難しい、22μF 160Vの無極性コンデンサー。
(しかもチューブラ型)
これまた被膜の後退の具合からわかるように猛烈に熱に晒される。
フィルムコンデンサーに置き換えても良いが
ずばり高価だ。
そこで47μFの電解コンデンサーを抱き合わせて無極性化。
しかし結果的には多少なりとも熱の抜けが良くなった感じ♪
写真で下方から上方へと熱が抜ける(対流)するので元の造りだと
熱の障害物競争みたいなのだ。
セラミックコンデンサーは半田面に移動。
一長一短だがコンデンサーもダイオードの熱から逃げられるし
部品面の熱の抜けは、もちろん良くなる。
…って事で相変わらず人間のスケールの小ささがわかるような事を
チマチマやっている。
性分で、つい、どんどん進めたくなるが、ほどほどにする。
理由は後日。
*KPの会会員名簿 tamaさんのページ追加。
皆さんでご覧ください。
10月25日
おっと、そのパーツはどうなの?という事で
さっそくご指摘を頂いたりしている。
ありがたい。下手な腕を恥を偲んで晒す甲斐が
あったというものだ。
この種の物を扱う時は二つのやり方がある。
一つは作業完了を以てからアップ。
もう一つは途中途中でアップ。
どちらが良いという事ではなく、それぞれだ、という事。
さて、アンプ修理というと出て来る電解コンデンサー交換。
なんでも取り換えればよいという物ではない、
不良率はトランジスターの方が高いという説もある。
今回の場合でいうとトランジスターの方を後回しにしている。
出来れば抜いて測定して、必要があれば、という思いはあるが
計器も無ければ腕も無い。
コンデンサーも同様に計測すべきだろうが
手間やら費用やら考えると、素直に入れ替えてしまうのが
簡単じゃなかろうかと考えてしまう。
ちょっと話が横っ飛びするが、接着剤の使い方など
大変良い仕事をされている事がわかる。
不必要にベッタリ付けるとか、
接着剤に部品のリードを腐食する要素が無いとか、
立派なものである。
ちなみにこのアンプの発売は1976年。良い時代だ。
なので、この様に綺麗に除去する事も出来る。
10月26日
思ったよりも早く作業が進んでしまったので組み上げた。
そもそもが作業性の大変良いアンプなのだ。
リレーは交換前提だったので手を入れるつもりもなかったのだが
開けてみてビックリ。
予想したより全然綺麗。
そういえば過去何回か手は入れていた。
今回はとどめのクリーンアップとなった。
これなら少々使える。
嬉しい誤算。
まさか音を出せるところまで到達すると思わなかったのだが
こうなったら音出しをしないのは嘘だ。
ご覧の通りの適当な結線、設置で、さて、果たして音は出るのか?
出た。
…出ないと困る、とボケたいところだが音を聴いて絶句した。
あまりに美しい音だ。
久しぶりに本気で驚いた。
寝起きでこれだけの音がするのならば…と期待は高まる。
そうそう、ずっと切れたままだったパイロットランプも
8Vのムギ球ゲットで復活。
これがまた絶品の美しさである。
こんな綺麗なパイロットランプも他に知らない。
10月28日
A級アンプ。
なんだか偉そうだ。なにしろA級だもの。
正しくはA級動作をするアンプなので、即ちA級のアンプではない筈だ。
しかしA級と言われるとB級より良いようなバイアスが掛かる。
それもA級アンプのメリット。いや、あるいはデメリットかもしれない。
A級アンプ。ある意味大変正攻法で攻めているアンプと言えるだろう。
スイッチング歪を追放するためにプラス、マイナスの石両方共入力信号の全てを増幅する。
これだけで実に凄い音がするような気になってしまう。
だがしかし、そのため同じ構成でB級アンプとした場合と比べると出力は四分の一しか取れない。
今回のパイオニアM-22でも120Wは行けるんじゃないかという構成で公証出力30Wだ。
チーズはどこへ消えた?ならぬ90Wはどこへ消えた?
それらはほぼ熱として消費されてしまうのだ。
故にA級アンプは猛烈に熱くなる。いや、空恐ろしいほどの熱がアンプから立ち上がってくる。
夏には絶対使いたくないアンプ。それがA級アンプ。
冬でもちょっと考え物。それがA級アンプ。
リスナーの精神的ハードルが高いアンプ。それがA級アンプ。
どうも気楽に音楽を楽しもうという気にさせない。それがA級アンプ。
それらはリスナーが耐えれば?済むことだが、アンプの構成部品はたまったもんじゃない。
トランジスター、抵抗、ダイオード、コンデンサー、全てが火あぶりの刑に処せられる。
フルに使ったA級アンプは一年でパーツに異常が出る?というのはさすがに嘘だが
大変過酷な環境なのは想像に難くない。
同じトランジスターに生まれて、B級アンプ社に就職した物は楽が出来るのにA級アンプ社に
就業すると、ブラック企業真っ青の雇用環境が待っているとは不公平だ。
散々呆けたが、熱に対してはファンを使って強制換気というのが現実的。
M-22のお姉さん格、M-4辺りはファンを内蔵している。
こういったアンプはたくさんある。
M-22はM-4の姉妹版と言って良いが掛かるコストの違いは各所に出て来る訳で
ファンなんか当然積んでいない。
その分ヒートシンク剥き出しで放熱の効率を上げる形で、これが一種独特のデザインに繋がった。
M-4が美しいウッドケースやメーターに囲まれて、しかしファンで強制空冷する
正に羊の皮を被った…というより貴婦人の側をまとったボディービルダーだとすると
M-22は何だ?
もろもろ剥き出しなのは見た通りなのだが、どうしても女性的に見える。
この辺がさすがパイオニアというべきだろう。
一見優美。しかし近づくとあっちっち。ある意味性質が悪い?
10月29日
スピーカーリレーは清掃したが電源投入リレーは未だだった。
え〜と、これはスピーカーリレーと同一品番だったっけ?
写真ではわかりにくいが、当然くすんでいる。
ただ、想像したよりは遥かに良い状態だった。
ただ、可動部ではなく、受け側の接点はちょっとまずい感じ。
これらは片方だけ良くてもダメなのは申すまでもない。
作業中に無理やり片手で撮るからしっかりピンボケ。
写真で上側の接点がクリーニング済み。
下が未着手の状態。
これではわかりにくいが磨くと相当違う。
金接点だとここのクリーニングは別の神経を使うのだが
普通の接点の場合はその点は楽。
最近は、以前紹介したシャイネックスという磨きシート?を愛用。
ただ、受動側の接点は、磨いてわかったが、やはり焼損的な物が見られた。
これは交換しかない。
というかリレーは三つとも現代の物に交換した方が良い。
そんな事はわかり切っているのだが、試しに分解クリーニングしてみるのは
大変勉強になるのである。
電源ケーブルを交換して音の違いを楽しむのも一つだが
この手の古いアンプの場合などは先にこのあたりをちゃんとするのが
筋と言えば筋だ。
電源ケーブルと言えばこんな事になっていた。
これはもう一触即発というか首の皮一枚というか…
もちろん、とっくに切り落として接続し直している。
ただ、コードストッパーが固くて固くて難儀した。
サトーさんで新品を求めてきて、なんとかクリアー。
この時代のアンプのケーブルはこんな程度だし
不必要に長いと言えば長い。
ただ、この様に切れかかってしまうのはM-22だからこそ。
底板から引き出されているのだが足が極端に低く構えているので
下とのクリアランスが極小。
故にケーブルが90度に近い角度で曲げられざるを得ない。
仕方ない。M-22の秀逸なスタイルの為にはそれくらい我慢しよう?
10月30日
…と、軽く引っ張ったが音はどうだ?
寝起きに近い。しかも各パーツを交換したばかりのアンプの音を語るのは気が引ける。
でも、やっぱり物事には旬という物がある。お話しでもそれは同じだ。
最初はマトリックススピーカーで試聴。
その限りにおいてはまず綺麗な音に参った。
ピュアなんとか、というセリフがあるが、正にそんな感じ。穢れを知らないとはこのことかと
溜息。
しかし、どこか透明感不足。
綺麗なのだがベールの向こう側でほほ笑むお嬢さんみたいなところがある。
要するに音離れが悪いのだ。
パーツ交換をしたばかりだからとか色々あるが、こちとらは短気である。
あるいはプリを換えたら?ということでPRA-2000からC-2Xに交換。
これで厚みは出るが思ったほどの変化ではない。
この辺で悩み始めるが、思い切ってスピーカーを換えてみる事にした。
数か月ずっと非番だったG7に繋いでみようではないか。
10月31日
あるいは大型スピーカー向きかとの期待はあったのだが果たしてどうにも
眠い音だ。
勘違いしないで頂きたいが、パワー、量感といった要素は悪くない。
だが、どうにも音離れが悪い。
プリをC-2XからPRA-2000に戻してみると少し元気が出るが思ったほど違いが出ない。
なにせ三か月位休ませたG7だからかと疑念が沸いて一度HMA-9500に差し替えてみる事にした。
こちらも寝起き一発だからなーと思いながら音を出すと随分違うのだ。
もっとも、同じ音がしても仕方ない訳で、だったら引っ張り出すなとM-22が語りかけて来る気がした。
なにせ僕の耳はHMA-9500系にすっかり馴染んでしまっている。
無意識にそれと比較してしまう癖が付いているというのは言える。
G7に対してはHMA-9500がベストでもないのは承知しているのだが、何か代替があるかというと
見当たらないのだ。
今回M-22が、あるいは上回るパフォーマンスを示すかと期待したが今のところは叶わぬ夢みたい。
さてしかし、このままにするつもりはない。なにせM-22は度々書いてきた様に
僕にとっては初恋のアンプみたいな物だ。
また開腹というのもあるし、別に使いこなしというのもある。
乞うご期待?