8月1日


HMA‐2000だが持ち上げてみるとずっしりい。
重量23.5s。

面白い物で左右や奥行きの比率は9500にかなりている。
つまり大変扱い易い寸法ということ。




入出力端子はkanjiさんの手によって改善(というか修理)されているが電源ケーブルはオリジナル。
大変い物だがこの時代はこんなものだ。個人的にはこれくらいで充分と思う。




前面に大きいスイッチが二つ。左がパワースイッチで右がスピーカー切り替え。

他機に無いものとしてパワースイッチに前記ASCCポジションがあること。
大音量で鳴らすときはこちらをどうぞ、ということか。




パネル上部は黒いのようになっていて、ここにLEDのパワーインジケーターでも付いていると
ハイパワーアンプを誇示出来ると思うのだが、時代ゆえそれはない。
黒いバックパネルにのインジケーターが光る。
これぞ1970年代中ごろの流行だ。


ゲインは適当と思われ扱い易い。それにリアに入力ボリュームが左右独立でついている親切設計。



発熱もない。この季節に一時間経過でもほどほどにしか熱くならない。これは大変好ましい。


さあ、出し。
HMA-9500MK2を外して2000を置く。プリはPRA-2000。2000同士の組み合わせだ。

スピーカーはロジャースLS5/9



音が出た瞬間ハッとしたのだが、どこか9500と通った音がする。


もちろん回路も素子もまるで違うのだが、どこか空気が同じ。これには驚いた。


常用装置の一部にお借りした機材を割り込ませるというのは違いを見つけるには判り易い方法だが
それで全てがわかる訳ではない。

違いを見つけるのは良いが、今度はそこから新しい機材を活かすにはどうしたら良いのかを探るのがセカンドステップ。


以上を踏まえた上でファーストインプレッションを述べると、とても1970年代中ごろに開発されたとは思えない
ピチピチして生き生きとした音にまず驚かされる。

デザインからしてもっと地味な感じを想像していたら全然違った。
切れが良くてドライブ力充分。

この40年、オーディオ界は何をやっていた?



もし注文を付けるとしたら、もう少し野放図に鳴ってよいのでは?という点。


抑制が効いていて羽目を外さない。
今日は無礼講だと言っているのに畏まったままの社員みたいだ?


あるいはもっとい部屋で大パワーを入れてあげないと本領発揮しないのかもしれない。
もっとパワーを。もっとパワーをとアンプが要求している気がしてならない。

それにしても1973年頃のアンプでこんな音がしてしまうって…

*一部画像はオーナー様撮影の物も使わせて頂いております。


8月2日


さあ、もう少し野放図に…

出来るかどうかわからないがこのまま終わっても面白くもなんともない。

そこでプリ交換。

PRA‐2000を外して、空いた場所にYAMAHA C-2X登板。
深い理由は無く、一種のカンだ。



しかしこれが成功。



いや、野放図に鳴り始めた、というのではない。
逆により引き締まった感がある。
だが中途半端な拡散指向より断然良い。



より精緻繊細で、ややジオラマ風の中にも血が通って生き生きとしている。
力強さも向上。

このあたりが誠にオーディオの面白いところとしか言いようがない。



以上が実はCDでの拝聴だったのでここでアナログへ。



ところがこれがCDとはちょいと違うからこれまた面白い。

一言で言うとパワフル過剰だ。

CD入力の力強さ(C-2Xの場合正しくはDAD入力)は歓迎すべきレベルだがフォノはちょっと力入り過ぎ。


C-2Xのフォノ入力は細かい切り替えも出来るのであれこれ試すし、それなりの落とし所までは行くのだが
後一歩脱力が必要。

ちなみにカートリッジはデンオンDL-103で、これとのマッチングが悪いと言えばそれまで。


最終的には不満無いレベルまで行ったのだが、後一歩好みに合わせたい。


8月3日

最終的には不満無いレベルまで行ったのだが、後一歩好みに合わせたい。

…ということでここで突然MCトランス登場。



え?そんな物あったっけ?と思う人は相当よっしーの部屋をよく読んで下さっている人だ。

このトランスも登場。出所についてはその内。

ハイエンドとかそういうことではないが、これを試すには良いチャンス。

トランスを経由してC-2Xのフォノ2=MM入力へ。



(どーでも良いがこのトランス、カバーがご覧の様に非常に汚かった。
紙ガムテープの跡と思われる。
先の画像はクリーニング済みの物。
除光液を使ったらあっという間に落ちた。
化学の力は恐ろしい)


これがなかなか正解で、程よい落ち着きを示す。

いやーオーディオって本当に面白いものですねー(上手く行く限りはだが)


しかしC2X様の前にわざわざトランスを挟むのもどうか?ということで今度は
ZYX改を使ってそのままフォノ1のMC入力へ。

するとこれは正解ですんなり決まる。
なんと言うか上手く行くときはそんなもんだ。



8月4日



あんまりかいことばかりやっていると
俺ってなんて小さい人間なんだろー?と落ち込むもんだ。

だがしかしCDプレーヤーのリモコン修理

しつこく退役しないNEC CD-10のリモコン。
これが大分前から使えなくなっていた。
まあよくある話じゃないか。

よくある接点不良ではなくて、入れっぱなしだった電池の腐食で
端子へのリード線が劣化していたというお粗末。

リモコン無いと出来ないことというのもあるわけで
特にこのプレーヤーの場合正相逆相の一発切り替え(アブソリュートフェイズのインバート)が
出来ないのが泣き所。

わーい、ちゃんとリモコンが働く〜♪と喜んでいる私はやっぱり小さい人間です。はい。


8月6日

HMA-2000をラックから引っ張り出した。

単に結線の関係なのだがここでスピーカーをDS-301に交換。

年代的にはマッチするのだが音はどうか??

うーん…

なんというか、何を聴いてもムード歌謡になる感じ?

早い話がマッチしない?
みたなびく…というかなんと言うか。

プリを代えたら変わるかと思いC-2XからPRA-2000に戻してみる。

だが目覚しい変化はい。

DS-301とは合わないのか?

結論を急いではいけない。もうちょっとお付き合い頂こう。



8月7日

やぱりさが悪い影響をして、どうしてもオーディオがスローペースになる感がある今日この頃。

DS-301はHMA-2000と合わない?なんて書いたけど徐々にマッチしてきた。

これはアンプ側の問題ではなくてDS-301が最近ロクに稼動していなかったことによる様だ。

オーディオってこの辺り本当に厄介で楽しい。






8月9日

その昔旅に出てその最後に、もう家に帰りたくて帰りたくてたまらなくて
(北海道に二週間くらいいて、本州にフェリーでたどり着いたらもうたまらなくなった)
それこそ徹夜してでも走り続けて帰ろうとしたけどそれは無理で…
みたいな話
を書いた。


で、つい先日のことなのだが愚息が東北から最後は北海道に渡る一人旅をして帰って来た。
仮にもが旅に出るのだから、心配はしつつも一切連絡は取らなかった。
(かみさんとはスマホでやり取りを多少したようだが僕は無関心を装っていた)

帰って来た姿を見た時は正直嬉しかったしあれこれ話も聞きたかったのだが
そこでもやせ我慢。

その内多少話を聞いたのだが、僕の予想に反して車中泊なんかもして過ごしたらしい。
てっきりほとんどホテルか民宿へでも泊まるのだろうと思っていたからビックリした。

青春18切符で回って、道内はレンタンカーなんかを使ったようだ。

ふーん…とそ知らぬふりをして聞いていたが、途中で"父ちゃんが昔徹夜してでも走って家に帰りたかった気持ちがわかった”
とのたまったから笑ってしまった。
どうも親子で同じみたいだ。

旅だなんだといっても所詮は旅行。帰る場所があって、でもそこをちょっと離れてみる程度のことではある。

ただ、それはそれで良いものだと今でも思う。
家が帰りたくも無い場所では困るしね。

三つ下の曰く"10日間も家にいなかったんでしょ?私だったら一日でホームシックに掛かる”とか。

その割には在宅率は低くないか?と言いたかったが黙っておいた。
友達とディズニーランドに居るとホームシックに掛かるみたいだ。今度は家族で来たいと思うらしい。
まあ大変結構なことだ。

だが、いつまでも同じメンバーで同じようにはしていられないのが人生。

"いつまでもみんな一緒の夏休み”という犬川柳は、だから身にしみるのだ。


さて、おめえの家の事情はわかったからそろそろオーディオの話をしろという声が聞こえそうだ?

実はHMA-2000の検証は続いている。

で、ですね…

(続く)


8月10日

さて、HMA-2000

ロジャースに繋いでよい結果がすぐ出たのだからそれで止めておけば良いのだが
一応DS-301に繋いでみて、予想通りというかこれは上手く鳴らなかった

早々に諦め、ではなく色々やったのだが(証拠は下の画像)
結局退却した。

二種類のプリに加えて自作ボリュームボックスも参入。
対比の対象としてHMA-9500MK2も出てくる。
その意味は無かったとは言わないがロジャースに繋ぎなおして、
HMA-2000は結局その方がう。



で、何日かを置いて聴くHMA-2000+ロジャースLS5/9の音だが
ますますHMA-9500MK2の音にてきた?

これはいかなることか?理由はわからない。
まあプリを使わずボリュームボックスを使うと
メインアンプのキャラクターを聞き分け易いというのはあるので
音調がもろに出てきたのかもしれないが。

とにかく1974年前後にこれだけのアンプが存在していたことに驚嘆せざるを得ない。



8月11日

振り返れば1974年というのは国産ハイパワーアンプ。
本格的セパレートアンプの黎明期であった。
"スピーカーの低能率化、プログラムソースのダイナミックレンジ増大などにより
メインアンプのハイパワー指向が日本にもついにやって来た。

その第一弾として各社からいっせいに発売されたのが今回取材した一連のアンプであるが
これらの製品はハイパワー化だけでなく中級品で世界のアンプ市場を制覇した
日本のメーカーが本格的に高級アンプを造り出したとも言えるだろう”

これはステレオのすべて1974からの引用だが、この時代をよく表していると思う。

ステレオのすべてが刊行されるのは年末だから、1974と書いてあれば
それは1973年の出来事と思って良い。
同誌は1973年12月20日発売。
定価なんと1.200円。
今なら3.800円と消費税というかんじ。高価な雑誌である。
それだけの内容はあるが、あるいは第一次石油ショックの影響もあるのだろう。

そう、1973年はそれまで単純な右肩上がりだけを考えていられた時代が
終わりを告げた年だった。
それにもかかわらず以下にあげるような製品達がリリースされた訳で
当時の日本にいかに勢いがあったか知れよう。



まずはパイオニア。あるいはエクスクルーシブというべきか。
M3C3

M4も出ていたけど仲間外れ?

M3はパワー150W×2。
大型レベルメーターを搭載。この後永い間このデザインは型番を変えても踏襲される。

プリのC3も当時の国産品としてはハイエンド。

どちらもしい木製ケースに収まって315.000円。
洗練されている。



上はトリオ!のFP-1000

100W×2のFETアンプ。

FETはまだ珍しいというか、これから、という時。
このアンプは果たして日の目を見たのか?
いくら検索しても何も出てこないところを見ると試作で終わったか?
その可能性はある。

下はダイヤトーンDA-A100DA-P100

非常に面白いのだがメインアンプは一見真空管風。しかしばっちりトランジスター。

なんとなく、なのだがマランツのプリとマッキンのパワーを手に入れた気にさせるペア?
それでいて両方合わせて40万円はお買い得?



次に控えしはテクニクス
出た、SE-10000SU-10000
一万番ペアである。

もっともこちらは1971年から存在する訳だが、さすが松下、先行していたわけだ。
100W×2。ペアで95万円!

ソニーTAN-8250。TAE-8450。TA-8650。

型番だがファンか電気屋のおやじさん以外絶対暗記出来ないようになっている?

ヴァーティカルFETアンプでパワー、プリ、プリメイン共全部25万円。
価格は非常に覚え易い。

150W×2だがモノラル動作になると300Wを保証。

ヤマハB-1はまだ出ていない時期だった。



ケンソニックP-300C-200
アキュフェーズとしても記念碑的製品。

パワーは195.000円。プリは155.000円とお買い得な気がする。

そして最後に控えしが我らが?日立HMA-2000

デザインはダントツに垢抜けないが日立らしくて好ましいと思うのは僕だけ?

ペアとなるプリアンプが存在しないのも興味深い。
開発が追いつかなかったか?


8月15日

夏休み特別企画



題して…



馬鹿は死ななきゃ治らない。


8月16日

半分は冗談だが半分は真面目だ。

終戦から69年。日本は豊かになった。

大変結構なことなのだが、いつも疑問も持っている。

その豊かさは本当に身の丈に合っているのか?と。


古い人間に育てられたから未だに外食一つするのにも
タクシーに乗るのにも抵抗がある。

もちろん、だからといって終戦直後みたいな生活をする必要は無いのだが
ひねくれた事をやってみたくなるのだ。

久しぶりに段ボールキャビネットスピーカー。

いや、戦後間もなくでも段ボール箱はキャビネットにしなかった?

まあ良いではないか。

段ボールスピーカーだが、案外音が良い事は過去に確認済み。

馬鹿にしたもんじゃない。

そして廃棄が簡単

これも見逃せないポイント。

そのメリットを活かして、今回は特にW420×H910×D470という巨大キャビネットを作った。
(正しくはそのサイズの箱を手に入れてユニット取り付けの穴を開けただけ)

こんな物木製で作って、その後始末するとなったら大変な事になる。
段ボールならいとも簡単だ。

さて、巨大キャビネットと言ったが、そもそもキャビネットが巨大かどうかは
単純にサイズだけでは判定出来ない。

上記サイズのキャビネットでも、そこに例えば38センチウーファーが二つ付くとなれば
まだまだ容積不足といわれるだろう。

しかし今回登場は、久しぶりのダイヤトーンP-610

16cmフルレンジユニットだ。
これに対してキャビネットは正に巨大。

この種の古典的フルレンジは、そもそもが大きい箱を要求するが
それにしても今回のサイズは大きい。
必要十分を通り越して必要十二分だろう。

以前よりこれをやってみたい気持ちがあった。

このページをご覧になっている好事家の皆さんであれば説明の必要は無いが
スピーカーというのキャビネットの容積に対してユニットの口径が小さいほど
豊かな低音や伸びやかな音が得られる。
(本当はこんな決め付けた言い方は間違っているのだが
話を簡単にするためにそういうことに、ここではしておく)

今回のキャビネットに38センチウーファーを付けるよりも
ある意味有利なのだが市販品ではそうはいかない。

よく知られるように、一般には小さいキャビネットに大きな口径のユニットが
付いている方が売れる。
これは当たり前だ。

普通の人には、ユニットの口径が大きいと良い音がすると思われているのでそうなる。
今回のみたいなサイズで16センチユニットが一つ、なんてのを出したら
売れ残り必至である。

また、実際色々なテクニックを駆使して小さめのキャビネットに
大口径ユニットを収めてもフラットに近い特性を実現することも可能なので
小口径ユニット+大容量キャビネットが常に良いとは限らない


だがしかし、夏休みは工作をすると法律で決められていることでもあるし?
論より証拠でやってみようと思った次第。


8月17日


理屈はよろしい。音はどうだったか?


最初の音はいものだった。


あっという間に廃棄してやろうかとさえ思ったほど。



まず、強度の問題を感じた。

段ボールキャビネットは侮れない。

ただ、これまでこんな大きなサイズの物は作ったことが無かった。

当たり前だが大きくなれば強度は落ちる。
それがどうにもプアな音に繋がっている気がする。



次に、やはりデカイ(笑)

これはもう少し広い部屋で鳴らしたいと思った。
自室でやるならレギュラーの装置を取っ払って然るべき場所に置かないとならない。
そう感じた。



そして注目の?低音

まず実用上は問題無し。



ただ、このサイズのスピーカーから…と考えると物足りない。




だが、これは当たり前というか当初から予想はしていたこと。



巨大密閉箱に入れるということはユニット本来の特性に近づいた音を出せることは出せるが
逆に言うとそれ以上のことは出来ないということ。当然だ。
P-610のfoは80Hz位だったか。元々そういう作りなのだ。



そういったものを克服?するための物として例えばバスレフがあるしバックロードもある。




だがしかし取りあえずはアンプ側で補正してみることにする。

書き忘れたがアンプはビクターJA-S41
ほぼ一年振りの登板だ。
ボリュームにガリはあるが実用としては問題ない。


これのラウドネスやトーンコントロールを活用してみる事にした。




結果を言うと当たり前だがそれでは増える。

ただ、本来の豊かさとはちょっと違ってくる。


あるいはキャビネットが段ボールで強度不足だからそうなるのか。
もっとしっかりした箱であれば電気的なブーストももっとダイレクトに効果を表すのか?


そう考えると木製キャビネットも用意しないと実験は続かないのだがそれは不可能。


だが、その後の試聴も含めて思ったのは、この際は電気的補正はあまり得策ではないということ。
理屈ではなく直感めいたものなのだが、"俺のハートがノーと言う”のである。



多分デメリットがメリットを上回ると思う。



やはりこの場合は適切な設計のバスレフで使うのが良いのだ、きっと。



よく言われるようにダイヤトーンP-610を最も活かすのは、標準指定のバスレフ箱を作ること。それに尽きるのだろう。

そう考えると今回のキャビネットよりはもう少し小さい物でよいことになる。
ただ、それでも16センチ一発用としてはかなり大きな物であり、とてもコンパクトとは言えないのだが
今目の前にある物よりはずっと現実的といえるサイズだ。

…という事でつまらない物を作っちゃったな、俺って馬鹿…と打ちひしがれて居たのだが
往生際悪く対峙していたらその内あることに気づき始めた。

それは…


8月18日


それは、この段ボールスピーカー、やはり思わぬポテンシャルを秘めていたということ。



念のため言っておくが、このくそ暑いのに何時間も何日も部屋に篭ってオーディオの音にだけ向き合うということはない。
馬鹿も休み休みやるのだ。

で、この休み休みというのがオーディオには大変大事だということ。これはいつも思っている。



凄く暑いし、こんな時はちょっとでも涼しい気持ちになれるのを聴こうと考えて取り出したのが
月夜琴」。リラコスモスさんによるライアーのアンサンブル。
録音は小川洋さんで演奏者は知り合いという、妙に身近な感じのある?CD。



無指向性ワンポイントマイク使用で、正に生録の世界。エコーの付加など一切無し。



で、別にだから聴きたかったのではなくて、ライアーの調べでもうと思っただけ。
夜だし音量ももちろんほどほど、BGMで。

…なのだがしばらくしてハッとした。


実に、実に生々しいのである。



目の前にでっかくて不細工なキャビネットが鎮座しているのに、どうしてもそこから音が出ている気がしない。
いや、本当に1.5メーター位のところにあるので、スピーカーの存在が全く気にならないというと語弊があろう。
だがやはり95%くらい気にならない。

これはもしかすると大切なところを聞き逃していたのでは…とここで遅まきながら気が付く。

そこで数枚のディスクをとっかえひっかえ掛けてみる。



いや、これが良い。実に良いのだ。

ただ、条件がある。




8月20日

いや、暑さがぶり返して、おまけに月曜日から体調不良になってしまって
お話しが延びた。

延びている間に書いておいたことがまた変わってしまうので
更新遅れは避けたいのだ。

以下はその時点での、であってその後また話は変わるのだが
その時のリアルタイムでの心情を残しておきたいので
そのままアップしておく。





ただ、条件がある。

それはやはりなるべく少ないマイクで現場まるごと収録、みたいな物との相性が抜群に良いということ。

もう少し具体的に言うと、「INVITATION/斉藤徹コントラバスソロ」「トリニティセッション/カーボーイジャンキーズ
などが良く、一般的なマルチモノ的な物はイマイチというか負の部分ばかりが目立ってしまったのだ。


これにはセッティングの問題などもあるから簡単に決め付けてはいけない。
ただ、一般的な録音のものだといかにもスピーカーユニットの辺りに定位する音などが多くて
白けてしまった。

それに対して現場丸ごと収録物だと実に無限に音が広がり、しかも複雑な残響の絡みなども良くわかり、
物によっては、これは補助マイクを立てた音をこんな風にミキシングしているんだなー、などと想像をめぐらせてしまうほどだった。


あるいは、と思って掛けた「鳥の楽園セイシェル」では正に波打ち際の感じが再現され、「森のコンサート」では
複雑なこだまの感じが良くわかり、新たな発見があったほどだ。

また、良い意味で音の角が出て、これぞ波の音。これぞ鳥の叫びというのが実感出来る。

恐らくフルレンジ一発の超単純システムのメリットが思いっきり発揮されたのだと思う。



念のためだが僕はフルレンジ派でも無いし、マルチウエイ派でもない。
気に入れば1Wayだろうが8Wayだろうがお構いなしだ。



だがしかし、あるいは今回初めてフルレンジ一発の持つ優秀さを体感出来たのかもしれない。
これは過去の装置が悪かったということではなく、経験値が上がったからだと思った。



もしくはP-610の凄さなのか。これは同じキャビネットに無印16センチでもつけてみないとわからないが。


以上なのだがとりあえずは数多くのソフトにマッチするとは言いがたい。
だが、聞くに堪えない程酷い事になっちゃうというのとは違うから誤解の無き様お願い致します。



その後も試聴は続くのだが、やはり"ナマモノ”との相性が抜群に良くて驚いてしまう。

こういう言い方はどうかと思うが、AA誌やAB誌に付属していた様な、いわゆる高音質ディスクなんかで
最高のパフォーマンスを示す。

AB誌50号付属だったオーディオチェック用ディスクの音なんかも、はじめて。はじめて
あれがホワイトノイズ的ではなく滝らしく鳴らすことが出来たのでたまげたもんんだ。


P-610万歳、なのか、フルレンジ一発万歳なのか。あるいは段ボールキャビネット万歳なのか?(それは無いと思うが)
良くわからないが忘れていた世界が蘇った感じさえある。

ただ、依然としてフツーのディスクとの相性はいま一つだ。

(とりあえずここまでがその時の心情)


8月21日

以上その時の結構熱い思いで書かれているのだが
いや、まあ本当にマイリマシタ

で、その後、なのだがフツーのディスクも真っ当に鳴るようになった。

寝ていたユニットが目覚めたせいもあるが
やはりアンプのJA-S41に問題が残っていた様で
これは最終メンテナンスをその内やらないといけない。



だが、それより今は今出ている音を楽しみたい。


それにしても、この音の正体は?

ユニットが優秀なのはさておいて、
またアンプJA-S41との相性が良いのもさておいて、
やはりポイントの一つはエンクロージャーのサイズか。


スピーカーユニットはエンクロージャーの影響を受ける。

これはユニットの背後にある空気の動きの影響を受ける、と言い換えても良い。



一番受けないのがでの使用。

次に平面バッフル。
そして後面開放箱となる。



それらでは何しろ背面の空気は全部開放状態だから
ユニットは背圧を背負わない。


どうしてもエンクロージャーで文字通り囲う場合はサイズが大きいほど有利となる。


もちろん同じ容積でも幅が広いのか、奥行きが浅いのか深いのかで変わる筈だが
とりあえず大きいほうが良い。

次に構造

最も単純なのが密閉

ではバスレフは?とここで考えてみる。



形としてはポートが一つ付くだけで密閉と大差ない?



しかしそのポートが縛りとなって無責任に大きなエンクロージャーは使えない?
案外この辺が制約となるのでは?



で、とりあえずバスレフは置いておいて、バックロードというのもあるな、と考える。

実際問題今回の段ボールエンクロージャーの大きさは
長岡式でいうとD-55並のサイズがある。



だが、自身の拙い経験に基づいて考える。
音の素直さでは密閉箱に及ばない気がする。



バックロードホーンではユニット背面の空気はかなり複雑な動きを強いられる。
空気室があり、スロートがあり、徐々に広がるホーンがある。
だからこそバックロードなのだが、空気の素直な動きという点では好ましくないかもしれない。


同じバックロードでもいわゆるスワン系の方が伸びやかに鳴るのも経験しているが
これは一くくりにバックロードといっても構造が違えば気流抵抗などが違い
それが音に出るのだと考えていた15年前を思い出す。


ここでもう一発登場するのが共鳴管


実はこれが音の素直さでは今回の巨大密閉箱に匹敵するものがあった。

バックロードと比べると背面の構造はシンプル。
それこそ土管にユニットをつけたようなもんで、簡単明瞭。


別にこれは僕個人の感想に限ったものではない。
例えば何年か前のステレオ誌で、同じユニットを色々な形式の
エンクロージャーに取り付けて鳴らすという実験が行われており
同様の感想が述べられていた。

素直さ、に加えて伸びやかさがあるのが共鳴管と感じる。


なんと言うか、背面の空気を開口に向けて吹き飛ばしているような爽快感がある。
これは未経験者にはぴんと来ないかもしれないが本当だ。

背圧はただ無ければ良いというものではなく
どう活かすかも肝心、ということをここで思い出す。
ARのアコースティックサスペンション方式みたいな発想も
ここから出てくる。
考えてみたらDS-301も同形式だ。

(続く)


8月22日

実際にはこんな単純なものの言い方はよろしくないのだろうが
多少説明をはしょらないと話しがややこしくなるのでお許しを。

巨大なエンクロージャーが許されるなら密閉はなかなか有望だ。
今回やってみてつくづく思った。

しかし、もう少し小さく、となるとバスレフが登場してくる。

これは"豊かな低音”作りのためにも必要なのだろう。



今回の実験機では、もうダクトを設けるつもりはない


ま、一種のカンなのだがこのエンクロージャーに穴を開けても良いことはなさそうだ。


第一現状アンプ側がフラットでも別段低音不足は感じない。


どうせ超低音は不足。ならばそれはスーパーウーファーを追加でもすれば良い。

高域も足りないというのならツイーター一本追加すれば済むことだ。

要するに可聴帯域のほとんどはフルレンジ一発でカバーして
上と下の不足は別途補うという形で、これは一種の王道となる。



8月24日

夏風邪を喰らってしまった。

考えてみると10日くらい前からなんか予兆はあったのだが8度越えの熱が出て
結局撃沈。

以下は倒れる前に書いておいたもの…




それにしても、ツイーターはともかくスーパーウーファーまで足すのなら
メインとなるフルレンジ用のキャビネットはもっと小さくても良いのではあるまいか?という説はある。

その通りで、ミニスピーカー+スーパー。あるいはサブウーファーの3Dシステムも
よっしーな好きな世界の一つだ。

ただ、主体のフルレンジをのびのび鳴らそうと思ったら、どうしてもある程度のサイズの
キャビネットは必要になる。

結局この路線で攻めていくと、そのように馬鹿げた組み合わせになるのだ。


ここでちょっとまとめに段ボールキャビネット。

なるほど圧倒的大音量再生をしたら箱鳴りが聞こえるかもしれないが
拙宅では今のところそんな事をするつもりがそもそも無い。


ゴミにだされて不思議ではない段ボール箱でこれだけの音がするって
一体どーなのよ?って感じ。


まあ色々理屈は付けられるが、一つはスピーカーキャビネットは
どれくらい強度があると良いのかというお話し。

絶対鳴くな、と言われてもそれは出来ない約束です。

となると逆にしなやかに受け流すような発想もあって良い。

とりあえず今のところは柔よく剛を制す、を形で行っているみたいだ。


8月27日

ところでP-610だの段ボールだのは良いが、幻のHMAHMA-2000はどうなった?

それを忘れるわけが無いのだ。

実は今も電源オンさせて頂いている。

スピーカーはP-610段ボール。


幻の名器で段ボールか、とお叱りを受けそうだが
これがまた違いは違いでちゃんと出すから恐れ入る。


でっかくても吹けば飛ぶような軽量エンクロージャー。
色々な意味でいい加減極まりない。



しかし僕はふざけていない。



最初はPRA-2000+HMA-2000という組み合わせだった。

ロジャースではいま一つだったこの組み合わせ、あるいはP-610段ボールでは
う結果か?と期待も寄せる。


結果。



なるほど爽やかで澄み切った音。
その点において十分一級。

…なのだが、どうも下腹に力が入りきらない感が付いて回る。

贅沢ほざくな、と言われそうだが、誠人の欲にはキリが無い。

一旦気になるとどうにもならない。



そこでやはりプリをC-2Xに交代。



うーん、やっぱり良い。
どうも拙宅ではHMA-2000にはC-2Xが合う様だ。


カチッと力が入って実に好ましい音になる。


もう一つ言うと、やっぱり本当は音量をもっと上げたい。
というかパワーをぶち込ませてくれ、とHMA-2000が口をきく。

別に小音量で鈍い音、などという事は無いのだが
本当の本当に力はこんなもんじゃないのだとアンプがってくる。

これはちょっと誘いに乗ってみるしかないと思っている。


日中時間が取れたら、たまには大音量テストをやってみましょう♪



8月31日




ご覧のとおり、バスレフ化に挑戦。

ここから更にバスレフで色々試して…

…と思ったが、すぐやめた。

というか探求するのはやめた。



バスレフにしたキャビネットサイズというのは特に無い(筈)。



だから巨大エンクロージャーでバスレフを目指してはいけないという決まりは無い。


だが、やっても意味が無い気がしたのでこの計画はこれで終了。



今更。それもやり掛けて言うのもなんだが、大型密閉箱(ユニットに対して箱が大きいという意味)は
存在意義があるが、大型の箱でバスレフは特にメリットを感じない。


故にそんな試みは誰もやらないのだ。



バスレフをやるのだったら。正確に言うとバスレフという形式を活かすなら
ここまで大きいキャビネットでは無い方が良い。無くてよろしい。
バスレフが好きだったらこのキャビネットの60%くらいの大きさで結構だ。


そしてバスレフは難しい。少なくとも密閉よりは遥かに難しい。



めて大型密閉箱の良さ。
ユニットに背圧が掛からず自由な音がする。

ただし、それはユニットがそういう使い方に向く物である必要がある。
小型密閉に合うユニットを巨大密閉箱に入れても旨みは少ない。
スピーカーはユニットだけで音が出る訳ではないし、箱だけで音が出る訳でもない。
両者のマッチングが大切。これは大前提。


言い方を変えると、大型密閉や平面バッフルが好きだったらそれに合うユニットを持って来い、ということだ。


以上を踏まえた上で、大型密閉箱のデメリット。
というか点。

それは恐らく、やはり低音が貧弱になること。

極めて綺麗なカーブで、ある帯域から下は減少していく。


この問題の解決策だが…

1、諦め
あれもこれもと欲張らず、メリットだけを楽しんで、デメリットの部分には目をつぶってしまう。

これは良い方法だ。いわゆる低音感が無いほどの特性だったら別だがそうでもなければ思いつめないのもあり。
今回の巨大密閉箱はそのままでも十分使える。


2、電気的補正
大変有効。
要するにトーンコントロール等で補正してしまおうということ。
これは大変有効。

あえて言うとアンプのトーンコントロールやラウンドネスが
そのスピーカーに合っている必要はある。
ためだとイコライザーの登場なんて事になるが
それもまた一考だ。


3、バスレフ
良いがそれをやるなら一から考えた方が良い。



…と、ここで低音について考える。

低音。この単語、よっしーの部屋だけでも一体何回出てくるんだろう?

それほどオーディオの世界では低音は大事。そして鬼門。なのだ。


まず、(何度も書くが)低音の感じ方というのはかなり個人差があるということ。
"豊かな低音”と一口に言っても十人十音と言いたくなるくらい違いがある。

この問題を追及していくと、それだけで一ヶ月は書けるくらいの大事になるので止めておくが
とりあえず低音は大事、という事。


次に低音の豊かさと全体としての音の良さの問題。


低音だけ聞けばリッチな感じなのだが、全体の音としていま一つというのもある話しだ。

例えばバスレフというのは大変有効な方法なのだが設定が難しい。
一歩間違うと(簡単に言うと)音がる。


以上はフルレンジ一発での物の考え方で、それでは、とウーファーを持ち出しての
2WAY、3WAYの話まで発展していくとこれまた大変な事になるのでそれはやめておく。


ということで夏の終わりに能書きばかり書いてしまった?

ところで今P-610巨大段ボールエンクロージャー
ちょびっとバスレフなのだが、アンプをビクターJA-S41にしてラウドネスを入れて置くと
大変あんばいが良いのです、これが。

バスレフについては果たしてこれが効いているのかどうか
イマイチしい。

ただ、結果オーライで言うとフルレンジの自然さはそのままに
適度に気持ちよい低音が吹いて来る。

"これ、いいんじゃね?”と今風の人なら言うのだろう。

ま、月の終わりに頭を抱えているよりも
ちょっとした達成感に浸る方が、そりゃ良いわ、という事で。

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