8月2日
やっと半世紀ほど生きた。
折り返し点かな?と思っている。
“まあ、何とかは長生きするっていうから大丈夫よ”
…とオマエにだけは言われたくない…
しかし↑のケーキは美味かった…
8月4日
過去にも同じ事を何度か書いていると思うけど
放送って良いな、と思ってしまう。
チューナーを一ヶ月ぶりに繋いでFMを聞いているのだが
“お任せ”で音楽を聴くのはリラックス出来て良い。
自分でCDを選んで…、というのは暑い夏には重い行為だ。
特に今は昔と違い番組表(死語?)など一切見ないで
聞いているので感動も大きい。
ついでに、これも百回くらい書いているが
FMはスピーカーマトリックスで聴くに限る。
100倍楽しくなる♪
お気に入りはラジオドラマ。
夏はやっぱりこれに限る?
8月9日
よっしーの部屋、移転する?
暑い!本当に暑い!
一旦は納まった暑さがぶり返して来た。
これはもう堪らない。
よっしーの部屋には元からエアコンなんか無い。
ただ、隣室にあって、それで何とかしのいで来たのだが
17年目にして壊れた。
これを機会に買い換えたかったのだが
娘の部屋のエアコンがこれに続いて壊れた。
さて、問題です。どっちのエアコンが先に新しくなるでしょう?
ピンポ〜ン♪
そーです。もちろん娘さんのです。
ということでよっしーの居場所は灼熱地獄。
いや、昔はエアコン無しでも何とかしていたのだが
今年はもういけません。
ということで、エアコン買う代わりに最低限のオーディオ装置を持って
二階の一室に引っ越した。
本格的な引っ越しとは違うので、そうですねー
これも避暑の一種かな??
とにかくアッチー!
8月10日
この部屋はよっしー家の二階にある。
和室6畳で、そこに押入と床の間が付いているので
容積としてはトータル8畳くらいだろう。
よっしー家の二階は、夏猛烈に暑いが、その中でもここは最高かもしれない。
逆に言うと冬は最も暖かい。
45年の間に壁は一度リフレッシュされていると思うが定かではない。
襖と畳は一昨年だったかにやり換えている。天井はたぶん手つかずで
最も痛んでいる。
何しろ基本設計が古いので壁コンセントが一カ所という有様だった。
テレビのアンテナ口も無く、別室から同軸ケーブルで引っ張っていたものだ。
昨年の電線工事で、この部屋にもエアコン専用電源が引かれ、
壁コンセントが一カ所増設されたのは大きな進歩。
そうでなければやっていられない。40数年掛けてやっと人並みの部屋になったということか。
ついでに地デジのアウトも付いている。
特に夏の間は使われる事がない部屋で、日頃は空いている。
…という話しはさておいて、音はどうなのか?
まあだいたいの予想は付いていた。
現状でこの部屋はウルトラ・ライブだ。何しろ物らしい物が何も置いていないので
音を吸う物が皆無。唄でも歌うには良いだろう。
そこでいきなり良い音が出たら、それは奇蹟というものだ。
持ち込んだのがSR-929、CD-10、SA3、HMA-9500、そしてロジャース。
とりあえず運びやすい物を運んだというところで、特にこの部屋の現状のままだったら
スピーカーはロジャースよりDS-301の方がマッチする気がした。
とりあえず音に今ひとつ、二つ、しまりが感じられない。
8月12日
麦藁帽子は冬に買え、という格言がある。
相場の格言で、要するに仕込むなら人気の無い内に、という意味だ。
その言葉に倣って、真夏に新規のストーブを導入させていただくことにした。
8月14日
SONY TA-NR1。
1989年(1990年?)発売。モノラルパワーアンプで、一台50万円。二台で100万円となる。
20石のトランジスターを10パラレルプッシュプルで動作させる。
ピュアA級動作で8Ωで100W。4Ωで200W。2Ωで400W。1Ωで550Wのパワーを確保。
これだけでどんな物か、お分かり頂けよう。
もうひとつ凄いのが重量。47.5s/1台。二台でおよそ100s。
宅配屋さん泣かせのアンプだ。
ハイカーボン・スチールシャーシという土台だけで10.5s。
電源トランスで14s。
パネルも肉厚で凄い。
もうひとつ。各段への電力供給を整流回路から 分離し,大出力時の干渉を絶つ
S.T.D(Spontaneous Twin Drive)方式を採用。
これは同時期の多くのSONYアンプに採用されていたと記憶する。
入力はバランス接続にも力の入ったものだが今回はアンバランスで接続してみる。
しかし、リアパネルを見るともう一度驚くのがスピーカーターミナルのごついこと。
まるで万力で、これならどんな太いスピーカーケーブルも楽々、しかも確実に留めることが出来る。
素晴らしいの一言だ。
電源を入れてみるとしばしのタイムラグの後にリレーが繋がる音がして立ち上がる。
このとき、一瞬だが電灯が暗くなる(!)
そしてあっという間に熱くなる。さすがピュアA級だ。冬ならばストーブは要らない。
この種のアンプは温度管理をしたくなるものだが、さすがTA-NR1のフロントパネルには
立派な温度計がついているので安心できる。正直言って、下手にパワーメーターなどつけてくれるより
遥かに有益だと思った。SONY偉い!
さて、音だが…
8月15日
さて、音だが…
まったく新しい環境(部屋)に、新しい機材を持ち込んで、それでいきなり本当のことがわかるなどということは
ありえない。
そんなことを考える方が無茶だ。
だがしかし、この炎暑にエアコンの無い、元々のリスニングルームにこの電熱器(笑)を持ち込むのは
さらに無茶な話だ。
熱中症になって倒れても救急隊員もあきれて搬送してくれないに決まっている。
だから避暑リスニングルームで聴かせてもらうことにする。
詳しいことは後に書くが、このTA-NR1は少なくともこの5年間は冬眠をしていた個体。
きちんとした状態に戻るには相応に時間が掛かると思われる。
あえて寝起きの音について書くと、正に寝起きの音。
そんな感じとしか言いようがない。
だがしかし、しばらく時間が経過すると…
8月16日
エアコンのあるリスニングルームでピュアA級アンプを聴く。
夢のような話しだが、やっぱり貧乏性のよっしーにはそれは出来ない。
考えてみて欲しい。それってエアコン付けてデロンギを炊くようなものではありませんか。
…ということでエアコンはカット(!)
あちこち締め切って、アンプに火を入れる。
これでどてらを着れば本当に我慢大会だ。
アンプが熱中症になるといけないので、扇風機を用意して人間に、ではなくアンプに風を当てる。
脱水症状になるといけないのでポカリだけは用意。
送り出し側だが避暑システム=CD-10、SR-929(カートリッジはAT15Ea)、SA3、そしてロジャースLS5/9。
音はどうだ?
なるほど、なるほど…という感じ。
なるほど、なるほど…とわかってくる。あるいは染みてくる。
あるいはここがこのアンプの特色を最も表しているのかもしれない。
面白いのだが、“いかにも超弩級のパワーアンプです”という感じがしない。
誇張感がなく、ハッタリめいたところがどこにも無い。
見た目が見た目だけにギャップが大きい?
この自然さのために、あれだけの物量が投入されたのか、と感動さえ覚えてしまう。
と同時に、インプレッションを書くのが難しいアンプだと思った。
とても自然でスムーズな音です。では、表現としてあまりに稚拙な気がするではないか。
そこで、敢えて言うことになるが、やはり印象的なのが歪み感の無さ。
ウルトラ低歪率。
あまりに美しすぎる音だ。
特にアナログ再生時の美しさが印象的。
ただ、トータルではこの避暑部屋ではTA-NR1の能力を受け止め切れていない感が強い。
あるいはスピーカーも別な物の方が良いかも知れない。
なんとなくなのだがコンデンサースピーカーなんか鳴らしてみたい衝動に駆られる。
そんな気にさせるパワーアンプなのだ。
(続く)
8月20日
ところでエアコン入れないのなら、元々のよっしーの部屋でも同じではないか
と遅まきながら気がついた。
で、息子と二人で“よいしょ、よいしょ”とTA-NR1を二階から一階に移動。
諸々の装置も元に戻して拝聴継続となった。
しかし冗談抜きに記録的暑さの中で純A級アンプを聴くことになって
これは実に楽しかった(笑)
別に被虐的になって言っているのではない。
人間の慣れというのは凄いもので、“この環境はこの環境”と割り切ると
身体も付いていくものらしい。
さて、しかしこれだけの製品となると、ちょっとやそっと付き合って
本当の事がわかるとは思えない。
時間が掛かるということで、これは避けられない。
この点において、超弩級製品は不利とも考えられる。
例えば設置だが、どうしても床置きとなりやすい。
一人で気楽に動かせる重量ではないからだ。
それでベストか?というと疑問だ。
何らかの処置はしてから置くのが礼儀であろう。
今後課題の一つである。
更に温度上昇があるから、それも考慮しなくてはいけない。
…とはいっても、さすが世界のSONY製品だ。
確かにヒートシンク上部はかなり温度が上がるが
美しいアルミパネルやサイドウッド部分までアッチッチになるなんてことはない。
温度計の針もほとんど一定レベルで止まっている。
冷却ファンがあるわけでもないのに凄いと思う。
…だが、では適当なところに押し込めてそれで良い筈もないので
配慮は必要となる。
という、それら諸々を踏まえた上でファーストインプレッションをまとめると
これはやっぱり大変贅沢なアンプなのではと思った。
なんというか、非常に美味しい、一滴二滴の水を得るために
でっかいダムまで造ってしまったような、
そんな感じを受ける。
ダムを造って、もの凄い勢いの水流を流すところを披露する、というのではない。
あるいはそういう事を内部ではやっているのかもしれないが
表面には表す気配すらない。
これは凄いものである。
そう思って改めてTA-NR1を見つめると、
とんでも無いトランスも、立派なヒートシンクも
ほとんど見ることは出来ず(上から覗けば当然見えるが)、
見えるのはエレガントでスムーズな感じのアルミパネルとウッドパネルのみ。
ヒートシンク剥き出しとかとは対極にあるデザインだ。
この辺りに既に、このアンプの姿勢が見え隠れしていると言える。
とにかく高効率とかとは無縁の世界。
贅を尽くした音と、そんな風に思う。
で、いかにもよっしーに不似合いなそのアンプがここにある訳は?
実はこれ、ある方からの預かり物なのである。
よっしーが近年つぶやいている「オーディオ博物館」という
馬鹿げたお話を“面白い”と思ってくださった方が
ご多忙の中一時帰国の際にわざわざお持ち下さった一品。
ご実家に眠らせていても…という事でオファーを頂き
喜びいさんで話しに乗ってしまった私は
やっぱりお調子者です(笑)
しかし我が家にホームステイして頂く以上
以前にも増して健康体になったと
次の帰国時には喜んで頂けるようにしたいと思っております♪
8月21日
ちょっと話しを変えてみよう。
シリーズ、夏の思い出?
「コクリコ坂から」を観た。
凄いな〜、なにしろ映画を観るのなんて数年に一度だから日記に書けてしまう。
突然、30分前に観に行くことが決まり(それまでフツーに夕食を食べていた)
、何もわからずに映画館にドナドナされて行ったので
どんな映画か全然知らないで、あっという間に席に座った次第。
だが、これは良いことだと思う。先入観無し。何の構えも無しに観る方が楽しいものだろう。
結果を言うと非常に面白かった。
何が、どう面白かったのか。何を感じたのか?などということは書かない。
(その種の事を書かれている方はたくさんいらっしゃるし、感じる事は人それぞれだから)
ただ、一家で楽しく過ごせたのは確かで感謝したい。
音だが、派手さの無いナチュラルサラウンド。
というかサラウンドを感じさせない物で、逆に稀に来る後ろからの音に思わず振り返ってしまった。
(同じ所で息子も振り返り、それをかみさんと娘に何故だかチェックされていた)
それよりも驚くのが音に対して素晴らしく拘ってくれているところ。
山下公園を主人公達が歩くシーンがあるのだが、向こう側の通りを左右に車が走っている。
で、左から右に走り抜ける車がワーゲンビートルだったのだが、その車の音はちゃんと空冷水平対向エンジンの
バタバタ…という音だったのだ。
で、右から左に走る車はフツーの乗用車で、そちらの方は音も普通の車の音。
これには驚いた。
それで当たり前ですよ、というかもしれないが、映っている車は遠くを走るもので大変小さい。
たまたまボクはワーゲンビートルだとわかったが、特に興味がない人にはそもそもそれがわからない位だろう。
なのに、それのサウンドにちゃんとあのエンジン音を当てているところが本当に凄いと思った。
音の拘りも凄いが画の書き込みも凄い。実写とどっちが楽だろう?と、門外漢らしく馬鹿な事を想像してしまう。
まあ、どっちも本気でやれば手間暇費用は掛かる物なのだろう。
そして、やっぱり実写では出来ない動きや描写が出来る所に、アニメーションという手法を選ぶ意義がちゃんと
見えるから素晴らしい。
以上。まあよっしーは映画、映像は詳しくないので、その分素直な一般客的感想ということです。
さて、それより何より家族四人で同じ映画を観たのって、もしかして初めて?と気がついた。
別に仲が悪い訳ではないが、何故だか同一作品を一堂に会してというチャンスが無かった。
夏休みまっただ中のレイトショー。
場内は程よく空いて、冷房の利きも適切。大変結構。
終わって、このままストレートに帰るのも…。でも夕食後に出発したからお腹も空いてはいないし…
ということでカフェで飲み物とケーキタイムとした。
“化け物の出てこないジブリは珍しい”、とか、“ジブリの食事はいつも美味しそう”とか
“あのお弁当は食べてみたい”、とか諸説出た。
“でも、小さい子にはわからないよね”というのはごもっともで、夏休み→ジブリ→子供と一緒に…
と単純に思って赴くと、確かに困ってしまうかも。
逆にいうとウチには小さい子がいなくなってしまったのだな…と、そういうことだ。
映画も面白かったし、良かったね…ということで締めくくりなのだが
こんなありきたりっぽい”日常”を迎えることが出来ないで居る方達が狭い日本の一方に居ることも
忘れない。
夏休み、夜、家族揃って同じ映画に出掛けられる。
“当たり前”と思ってはいけない。
8月22日
いきなり涼しくなっている。
(また暑くなるらしいが)
人間というのは勝手なもので、暑い暑いといいながら夏が遠ざかっていくと
いつだって一抹の淋しさを感じる。
僕だけ…、ではないと思う。
秋が過ぎるのが寂しいとか冬が終わるのが寂しいというのは、あまり聞かない。
去りゆくのが淋しいという言い方は、夏にこそマッチするものだと思う。
夏はやはり祭りの季節だし、青春に通じるものがあるのだろう。
さて、しかし夏は同時に鎮魂の季節でもある。
お盆という風習。そして終戦。平和への祈り。そうした節目もあるのが8月だ。
このお盆、一つの試みをしてみようと思った。
…といっても大したことではない。県の外れまで、CB50でお墓参りに行こうというだけのことだ。
往復110〜120`くらいだし、決して不可能な話しではない。
だが、容易な事かというとそうではない。
実にほどほどの冒険。
そろそろCB50で、それくらいの距離を走ってみたいと思っていたのが一つ。
そしてもう一つ、個人的な想いもある。
我が家からお墓まで下道を走っていくとなると国道16号線から246号線というルートになるのだが
17歳の頃初代CB50で走ったことがあるのだ。
一人で、はなくて10人弱で行った。ゴールデンウイークを利用して友人の家の持つ別荘に一泊ということで
向かった。
何しろその日初めてバイクに乗りました、に近い奴まで交えてのツーリングだから、今考えると大笑いだ。
原付を連ねて、と言っても、その頃僕らの足がそれしかなかったからそうなっただけで、
その後も本当にバイクに狂ったのはよっしー他一人二人というところか。
とにかく青春は凄いパワーを持っている。
よっしーも道なんかよくわからず走っていた。
で、延々走ってあるところでふと気づくと、なんと母の故郷にたどり着いているではないか。
「え!」と驚くあたりが可愛いものだ。
それまで数え切れないくらい、その場所には言っているのだが、いつも電車・バスだった。
我が家には車なんて無かったので、道路のことは良くわかっていなかった、17の春。
その後ももちろん母の実家へは幾度も行っているのだが、18歳以降は400CCを使って高速道路を使ってしまい
下道を延々走るなんてことはしていないのだ。
(続く)
8月23日
17の春の原付ツーリングのことはよく覚えている。
246号から離れた篭坂峠はかなりの登り坂だ。
ここで初めて“オーバーヒート”というものを体験した。
熱ダレして回転が上がらない。当然バイクが前に進まない。
ホンダの4サイクルエンジンは丈夫だ。だからオーバーヒートなんて滅多にしない。
まあ道や走りが過酷だったということ。
ただ、帰路大雨に降られ、僕のCB50だけが不調になりエンコしてしまった。
仲間がバイク屋さんをなんとか見つけてくれて飛び込んだ。
どうも雨でエアクリーナーエレメントが水浸しになったらしい。
おじさんが絞ったら、どばっと水が出た。
そしてプラグを交換。
費用は500円で、それを水浸しでヨレヨレになった500円札で払った事を覚えている。
それが唯一最大のトラブルで、後はおおむね無事でツーリングは幕となった。
それから33年。16号や246や138を断片的に走ったことはあるが全く同じルートをたどった事はない。
ならばこの際にやってみようじゃないか。
それを秘めたるスローガンとしてスタート。
だがしかし結論をいうと今回はあえなく途中で頓挫。
出掛ける前からわかっていたが、CB50はまだ完調ではない。
おおよそ一時間くらい走ると急にストールしてしまうという症状がある。
今回もそれが出て、16号から246号に出るくらいの所で諦めてリターン。
情けないが仕方ない。半分は最初から予想していたことだ。
しかし、この原因は何か?
わからないがこの度プラグを新品に交換して、ただ今CB50はポイント交換の為にドッグ入りしている。
これで解決すると嬉しい。
道半ばでくじけてしまったが、やっぱりバイクで走るのは楽しい。
原付で国道を走るのは相当な緊張を強いられるものだが、それでも独特の楽しさがある。
僕は乗るバイクの排気量にかかわらず時速40〜60`くらいで走るのが最も好きだ。
それくらいの速度で走るとき、景色が最も綺麗に流れると感じる。
路面の反応も、それくらいの時が一番よくわかり心地よい。
ただ、一級国道の流れはそんなもんじゃないので、あまり我を通すわけにはいかないのが悩みの種だ。
原付では一定時間に走破出来る距離には限度がある。
しかし、それさえ欲張らなければ本当に楽しい“旅”が出来る。
夏は特に、それをやるのに適した季節だ。
でも、僕は長い間それをやらなかった。
そろそろ復活か。
出来ればこの夏の内にリターンマッチを…と考えている。
8月25日
オーディオの話、再開。
(続く)
8月28日
SANSUI AU-D707X。
歴代707シリーズの五作目。
何しろサンスイのAU-07シリーズは息が長い。
リストアップしようとしただけで膨大な数になる。
一応707と名が付くものだけに絞って調べてみると…
1976年AU-707
1979年AU-D707
1980年AU-D707F
1981年AU-D707FE
1984年AU-D707X
1985年AU-D707XD
1986年AU-D707CD
1986年AU-α707
1987年AU-α707i
1988年AU-α707EX
1990年AU-α707LEX
1991年AU-α707DR
1992年AU-α707KX
1993年AU-α707XR
1995年AU-α707MR
1997年AU-α707NRA
…ということで16台が上がる。
これに907や607が絡むと、もはや“何が何だかわからない”状態になる。
さて、AU-07シリーズというと907が筆頭。そして607が入門価格帯を担うということで
707は“優秀な兄と人望ある弟に挟まれた次男坊の悲哀がプンプン…”というのは真っ赤な嘘で、
そもそもこのシリーズはAU-607と同707で始まっている。
初代907は1979年にならないと登場しないのだ。
しかもこの時X1シリーズも現れる。
正式に言うと707は次男ではなく三男坊ということになる。
ついでに言うと507や307もあった。実に兄弟が多い。
更に更にリミテッドやプレミアムも登場するとなると、これはもはや多産の家系であり
一歩間違うと横溝正史の小説に出て来る、難解な家系の一族にも例えられそうである?
8月29日
初代607、707はDCアンプ構成が売り。1976年というのはDCアンプという言葉がキャッチーだったのだ。
(DCアンプブームは1977年だが、607、707共1976年秋発売)
他に左右二電源も謳われている。これも“時代”というか、1976年は左右独立が良いとか、
いや、強力なシングル電源のメリットが…、とか、前後独立電源(VICTOR JA-S41)とか
電源論争も盛んだった時だ。
初代607が69.800円で15.3s。707が93.800円で16.8s。
これがD607とD707にチェンジするのが1979年で、ダイヤモンド差動回路採用。
707のみだがMCヘッドアンプを搭載している。
更に3DCアンプ構成となる。
そしてトランスは一つになるのだが、重量は20.1s。価格が95.000円。
10万円を切るアンプでこの重量というのは異例であり、この記録はバブル期が来るまで破られなかった。
続いて1980年にD707Fが登場。
スーパーフィードフォワード回路搭載。
他にも鉄の追放など色々な試みがなされている。
更に1981年、EXTRAバージョンで707FE登場。
MCカートリッジに対してトランスで受けたのが大きな違いとなる。
…ということなのだが、技術用語含めて到底説明しきれない。
ここで是非お読み頂きたいのが(知っている人はとっくに知っているが)
http://www.ishinolab.com/modules/doc_serial/audio_history_japan/
である。
精読すると、1970年代のオーディオ全盛期の隠れたお話までうかがい知ることが出来て
非常に楽しい。
未読だった方は是非是非お読みください。
8月30日
さて、やっとお話が707Xまで到達する。
1984年、Xシリーズ登場。
ここで07シリーズは大きく生まれ変わる。
…とは言っても外から眺めているだけだと、そうとは気づかないのだが
ここで初めて07系はバランスアンプとなったのだ。
バランスアンプって一体なんだ?
これを一口で説明するのは難しい。
しかし、事細かに説明するのもまた難しい。
だから簡単にまとめてしまうと片チャンネルあたり二つのアンプを用意。
一つは正相で動き、もう一方は逆相で動く。
つまりプッシュプルだ。
このアンプのスピーカー端子のマイナス側はアースではない。
便宜上マイナスと表記されているが、実は逆相のプラスであるということ。
そして、アースラインに信号が流れない。
ということでメリットも多い方式だが、当然コストアップにはなる。
単純計算で普通のステレオアンプの倍のアンプを内蔵する事になるのだからやむを得まい。
それでも607Xで79.800円。707Xで129.000円。907Xで189.000円というのは
かなり抑えた金額設定で、“頑張りましたね”と言いたくなる。
8月31日
さて、707X。8Ω負荷で130W+130W。6Ω負荷で150W+150W。
重量は17.5s。
電源トランスにはトロイダル形式を採用。
サンスイのアンプはトロイダルに行ったりEIコアになったり忙しいがいずれも故あってのことで
単純にそれだけで良い悪いと言ってはいけない。
フォノはMCに対してトランスで対応。
CD時代到来で、インプットセレクターにCDポジションが登場。
707Xと限らないがコントロール系も必要にして充分な物を備える。
ミューティング、ラウドネス、サブソニックフィルターとこれだけでオーケーだが
丁重にターンオーバー切り替え有りのトーンコントロールも装備。
配置も好ましく、デザイン的にも円熟の感じ。
試みにラウドネスなど弄ってみると、かなり景気よく効く。
こういうラウドネスは好きだが、ちょっと効き過ぎ?
逆に言うと当時の小型スピーカーなどから充分な低音を得ようとするには
良い設定だったのかもしれない。
その分トーンコントロールは細かい設定が出来るようになっているという見方もある。
さて、ここらでタネあかしをしておきたいがこのアンプはポチさんからお届け頂いたもの。
ポチさんは若いにもかかわらず凄腕でアンプ、特にサンスイアンプのリペアを熱心になさっている。
この707Xはその一台。
詳しくはこれから…というところだが、過大なレストアは避け、本当に肝心な部分に心血を注ぐという感じで
大変クレバーに感じる。
さあ、その音の方だが…