11月2日



ガラスクリーナーによるレコードクリーニング。

追試というか、しばらく経ったらどうなっているか?を確かめてみている。

液体系を使うクリー二ングで問題は
乾燥だ。

揮発と言い換えても良いかもしれない。

パッと見て濡れいてる濡れていないなどというレベルではない乾燥。

というのもレコードの溝というのは思った以上に
複雑かつ深いものがあるから必要になる。

乾いたと見えて、その実
奥深くには残渣がある。

故に、クリーニング直後は針先にいつまでも
汚れが引っかかる。

オートプレーヤーでも使って
エンドレスで掃除を続けると良いのか?

正気の沙汰ではない。

そこである程度で諦めて
放置したものを再生している次第。

結論をいうと、それでうまく行くみたいだ。

まあこんなことをしていないで
超音波洗浄機でも買えばよいのだろうが
宝くじが当たるのでも待つしかない。


それよりも
FF-15OMK2PC-10

どちらも本当に楽しいものだ。

出力はFF15OMK2の方が高目。

良い意味で線が細くて華奢で明るい感じでPC-10。

FF15OMK2の方は対比でやや太く、大人の魅力。

丸でも楕円でも良いが
無垢のチップの針を宛がえば更に良くなる予感。

ま、そこまではしなくて良いでしょう。



11月4日



オーディオという趣味の
切り口も様々。

定評ある名器を並べたい、という人もいれば
ジャンクを拾って来てはコツコツ直して悦に入るという人もいる。

ただ、まあそこには必ず
がある。

音の無いオーディオという趣味もあって良いが、99.9%音があるだろう。

その音に耳を傾け、常識に
とらわれず行動するマニアを、スーパーアマチュアと呼ぶことがある。

オーディオ評論家の中では、故
江川三郎先生など、プロというよりスーパーアマチュアの嚆矢だったと思う。

今回お邪魔した
milonさんも、正にスーパーアマチュア。

大変永いキャリアの中で、様々な機器に触れて来られたが、市販品に
疑問を感じては
コツコツと自身で
改良を加えている内に凄い音に到達してしまった。

どう凄いのかは実際に音に触れないと理解出来ないだろうし、milonさんご自身が
予てよりご自身のブログで綴られているのでそちらを読まれる方が良い。

僕がこれから書く事は、その内のほんの1%くらいの事と思っていただきたい。

さて、milonさんと言えばこちら。



パイオニア
PL-31Eのアナログプレーヤー。

最初は
PL-25Eでスタートしたのだが、どちらにしてもドフなどで
数百円から数千円で手に入る
古のベルトドライブプレーヤー。

milonさんも昔はMICRO
SX-8000を使ったりしていたし、その後もLP-12などで楽しまれていた。

ところが
偶然出会った、このパイオニアPLシリーズのベルトドライブ機に
手を加えて言ったら、物凄い音が出るプレーヤーに大変身してしまい、市販の
名器達も駆逐して…

…という件もmilonさんのブログに詳しいので、そちらを読んでください、で
終わらせても良いのだが、それじゃあ日記にならない。

蛇足を承知の
訪問記のスタートである。



11月5日



このPL-31E。

まずプラッターの
が違う。

徹底的にフリクションの
軽減が図られている。

軸は太いよりも
細い方が良いのではないか?という事で削って検証。

そして
軸受も改良。

結果、恐ろしいほどに
抵抗なく軸は回り続ける。それも軽々と。

更に、ということで
マグネフロートも採用。
更に抵抗減。

そのままだとプラッターが浮き上がり過ぎるということで
ジェルトーンの
ガラスシートで重量付加してジャストバランス。

これだけで充分凄いのだがドライブモーターは
小型DCモーターに変更。
一見頼りなげにすら見えるのだが音が良い。

所謂重厚長大主義はここでは
されている。

そのモーターは
電池でドライブ。
電力消費は驚くほど少なく、交換は忘れた頃に、というレベル。

それらの結果音はどうか?というと
圧倒的に開放的で
屈託なく、抑えがなく、時に優しく時に炸裂するほどのエネルギー感を持つ
と、あまりに陳腐な表現だが、つまり
呆れかえるほど良い音なのだ。

更に凄いのが
目の前で軸を対策済みの物とそうでない物を差し替えてもらい、
その
いを体感したり、電池を更にコンデンサードライブに換えたりする事による
音の変化を体験出来たりしてしまうところ。

故に
誰でも違いを体感できるというところが
milonさん宅の物凄いところなのだ。


11月6日

さて、では完成された物を
ちょっとだけ崩すとどうなるのか?

例えば
を換えてみる。

すると音場は
萎縮し、音像はぼけ
音は艶やかさを
くのである。

…という言い方は多分にオーディオマニア向けの表現であり、
もっとわかり易くいってしまうと
つまらなくなってしまうのだ。
この言い方の方が、多分合っている。

ただ、ここは念のためしっかり伝えたいのだが
比較しなければ、それでも
十分良い音だ。

どれだけ人間の
耳は欲深かよくわかる。

一旦優れた物を耳にしてしまうと、ちょっとでも落ちると
納得できなくなってしまう。
困った事ではある。

さて、このプレーヤーのもう一つのポイント。

それはこの
ストレートアームだ。



これがなんと
自作なのである。

形に目が行くと思うが、ピュアストレートアーム。
オフセットアングルはゼロである。

…と、書くと、すぐに
トラッキングエラーの話しとかが
始まってしまうのだが、それはいささか皮相的なお話しである。

着目すべきは
軸受

支点を高く取った
ワンポイント風アームである。

だから、即ち良い、と短絡的に考えるものではないが
支点の確かさという点で最良と思われる。

トーンアームというのは、感度良く動かなければならないが
同時に動いてはいけないという妙な
宿命を持っている。

この場合の「動いてはいけない」、は、例えばカートリッジの針先から見た時に
その
支点は不動でなければならないという様な意味だ。

そんなのは当たり前で、よっぽどのローコスト機でなければ
そんなアームは搭載されていない、と言うかもしれないが、
どんなに高級なジンバルサポートでも、
可動部に
ベアリング等を使っている限り
必ず遊びはある。無ければ
感度ゼロになってしまう。

では、ナイフエッジなら良いのかというと、市販品の場合
多少であっても
衝撃吸収の要素などが織り込まれていて
それは支点の不明確化に繋がってしまう。

ケチをつけているのではなく、そういう
宿命にある、ということなのだ。

その点でワンポイントは有利。

ただしそのままだと「
倒れる」という弱点がある。

そこでこのアームではSTAX
UA-7などと共通する方法でサポートしている。

振り返れば
SATIN AR-1、同Mなども2ボール三点支持を採用していた。
また、ヤマハ
YSA-21ピボット2ボールという形式を採用していた。

…と、ついアームフェチの本領を発揮して?
脱線気味にしてしまいごめんなさい。

続きは明日以降…



11月7日

とにかくピュアストレートアームに関しては
ともするとアームパイプの
剛性であるとか、
トラッキングエラーの大小だとかばかりに目が(耳が?)行き勝ちだが
やはり
トータルバランスであり、特に軸受関係をそのままに
ピュアストレート化してもあまり上手く行かない様で
milonさんのアームの様に考え抜いたものである必要がある。

さて、もう一つ
シェルだが、ここもしっかり2ピン化されている。

FIDELIX社のMITCHAKUヘッドシェルの理論が織り込まれたもので
単純な2ピン化とは次元が
ことなるものだ。



ここまでやって、本当にピュアストレートアームの良さが発揮されると思う。

ちなみにヤマハ
YSA-2の場合は専用シェルをネジで締め付ける形で
これも良い造りだ。

ただ、アナログマニアというのはどうしても色々なカートリッジを使ってみたいはず。

すると
汎用性も高い、milonさんのアームの利便性の良さが光って来る。


と、プレーヤーについて書いているだけで一か月は行けそうな(笑)感じだが
ここで一旦
システム全体のお話しを…

お邪魔して、最初に聴かせて頂いたのは、実は奥に控えし
A5ではなく
手前に、ちょこねん、とある
AIRTIGHT AL-05だった。

なんと
10cm一発の小型スピーカー。

170W×270H×220Dと本当に小さい。



リアにスリット状のようなバスレフがあり、
これは
スクエアバスレフと呼ばれている。

で、「最初はコンパクトなサブシステムで、次に後ろに控えるメインシステムが…」
なんて流れを考えているととんでもない。

この10cm一発のAL-05で
納得の音が。
というか
驚愕の音が聴けてしまうのである。

当日も90%はこの、一応「サブシステム」と名付けられた装置の音を
僕らは聴いた。

あ、僕ら、と書いたが、この日の
お膳立てをしてくださった立役者は
pippinさんであった。

pippinさんのお陰でmilonさんにも会えたのだった(感謝!)。

さてしかし、この
AL-05の音も、実際に聴かないと絶対信じられないと思う。

10cm一発で
超ワイドレンジ(!)

実はよっしーは最初、
サブウーファー(後に詳しくご紹介する)が
一緒に鳴っているものと信じて疑わなかった。

ええ、もちろんそんな物はこの時鳴って
いませんでした(汗)

このスピーカーの存在も、この日の衝撃の一つであった。

小さいけど良い、ではなく、
純粋に凄い、のだ。

音場の再現性には当然強く、ちょっと気障な言い方をしてしまうと
マイクアレンジなんかお見通し、みたいな鳴り方になる。



11月8日

実証の人
という言葉があるが
オーディオの世界で言えば、故
江川三郎先生くらいそれが当てはまる人もいないだろう。

不肖よっしーも影響を受けてきた一人ではある。

とにかく徹底的にやってしまう人だから、
誤解も受ける存在だったかもしれないが
言っていたことは
理屈に適う事ばかりだった。

フルレンジユニット一発の良さにも言及されていて
その良さは
AL-05など聴くと実に良く分かる。

また、昔と比べると10cm一発でここまでの事が出来るという感慨もある。
江川先生が聴いたらなんと仰るかな?
多分絶賛されるだろうが。

支点の明確化などというのも江川先生が大変こだわった世界だった。



この嬉しそうな姿を見よ?

左右のスピーカーの
メカニカルアースの実験である。



左右のスピーカーを連結して、
出来たらそれを柱に固定すると尚良いということだ。

ステレオスピーカーの支点の明確化である。



これは二つのユニットを
背中合わせに設置して
更に連結をしてしまうテクニック。

いや、しかし凄いな、と思う人は多いが、実際やってしまう人は少ない。

世の中そんなものである。

だが、さすがmilonさん、なんとなんと、以上を
本当にやってしまったのである。



ほら、ごらんなさい。
A5は連結され、この写真ではわからないが
ちゃんと背後の
(部屋の)躯体に繋がれているのだ(!)

これがまた恐ろしい事に、その連結を解く事も可能になっていて
ここでも又実証が出来たりする。

やって頂くと、誰でもわかる位音が
わる。

ちょうどアナログプレーヤーの軸受を変えたりするのと同じような変化だ。

比較すると固定を解いた音は
ちょっと詰らなくなるのだ。



もう一つ、こちらヤマハ
NS-100Mを使ったスーパーウーファーなのだが
片チャンネル二本。それを
背中合わせで連結してある。

狙いはもう言うまでもない。
左右別だから同じ仕様の物が二つ置かれている。

この連結を解いて見せてくれとはさすがに言えなかったが
解けばどうなるかはご想像の通りであろう。

何でもそうだが、読むだけ、と、やってみるでは
エライ違いである。

milonさんの凄いところは、現実にやって
成果を出していらっしゃるところだ。


11月9日

AL-05があれだけ鳴ると
A5の立場は?とも思ったが
さすが別途
マルチチャンネル駆動のA5が本気を出すと素晴らしい。

ロックがお好きと以前から存じ上げていたが
ヴァンヘイレンなんか掛けて頂くと
それはもう
血沸き肉躍るの世界になる。

緻密なだけがmilonさんではないのだ。



大きい話が続いたので
再び細かい?方のお話しへ。

徹底したアナログ党のmilonさんなのでカートリッジも
数知れず

そうそう厚かましく写真を撮り捲る訳にも行かず
画像はこれくらいだが話のネタには困らないというか
困らなさすぎるくらいいっぱいあった。

基本的には
空芯コイルのMCを愛好ということで
鉄芯の入った物は音の曇りが気になる様。

たしかに鳴らしてみてもらうと、音の
け、主に低音部分の音の
と言った様なところで違いが出る。

ただし、試みに鳴らしてみて頂いたDL-103なんかでも
「こ、これが103ですか??」
というくらいの音が出ているので
あくまで高次のところでの差異のお話し。



もう一つ凄いのが
カートリッジの修理レベルの高さ。

チップ落ちの修復。カンチレバーのかけつぎ、
場合によっては断線修理と、まあ
果てしない

テクニックも凄いが道具も大事ということで
憧れの
実体顕微鏡を覗かせて頂いて「うほ〜」と大喜びのよっしーの図。

(今回画像の一部はpippinさんにご提供頂いております)



とにかく大きく見えるんです…(当たり前?笑)



いよいよお話しも大詰めだが、アンプ類は
FIDELIXがいっぱい。

それもこの音に
大きく貢献しているのは申すまでも無い。

とにかく器用なお人なので電子系の工作もお手の物。



こちらは最新作の
パッシブアッテネーター

東京光音の2P-2511を使用したもので
サブシステムに導入されたばかり。

抜群の
抜けの良さに貢献している様でもあり、
何しろミニディテント並みの
サイズでもあるので
よっしーもすかさず購入したくなった。
パッシブで使っても良いし、
市販アンプのチューンナップにも好適なタイプとみた。

…ということで長時間があっという間で
密度は猛烈に高かった。

僕個人もmilonさんの事はネット上で
ずっとウオッチし続けていて
数年前から断続的にではあるがベルトドライブ、糸ドライブなんてのを
やっていたのも、実はその
影響だったのだ。

まさか現実にお目に掛かれるとは思っていなかった訳で
お膳立てをしてくださった
pippinさんにも大感謝である。

帰りの車の中でも、「凄かったですねー」の連発で
すっかりショックを食らった二人なのであった。

書き落とし、というかとてもとても書ききれない部分が残ってしまったが
milonさん宅訪問記は
一応これにて終了。

きっとまたお目に掛かれると勝手に信じているよっしーなのであった。




11月10日




ベルトなんか
何でも良い、という訳には行かない…

輪ゴムじゃあ
ダメだってば…



11月11日



しかし恐ろしいというか、
昨夜遅く注文したベルトが
今朝届いた。

…今や当たり前なのだろうが驚愕であろう。

お陰様でベルト欠品だったプレーヤーがあっという間に正確に回転し始めた。



ところで一体何を始めた?

このプレーヤー、テクニクスの
SL-25という。

ネットで調べてもほとんど情報が出てこないという
太古の化石。

どうやら
1972年頃の製品。
発売当初は26.800円。

ローコスト機と言って良いが
当時の金額なので今の貨幣価値にしたら6〜8万円か。

しかし、どうした?

milonさんのPL-25に敢然と
対向しようとでもいうのか?

…そんな大それたことは思わないし、ベルトドライブプレーヤーだって
既にほかに持っている。

では、
なぜ

実は我が家のベルトドライブ機達に欠けているものがある。

それは
内周ドライブタイプが無いということだ。

ベルトドライブと一口に言っても、ベルトがプラッターの
外周を捉えて回すタイプと
内周に掛かって回すタイプに大別される。

外周を回す方が、モーターから見ると楽である。

内周を回すとなると、同じ回転を得るのに早く回転しないといけない。

これは
五段変速の自転車の後輪のギアを思い浮かべるとよくわかる。

別の言い方をすると、内周ドライブの方がドライブモーターは力強く回っているということになる。
(自転車を漕いでいるご自分の足の負担を想像してみて欲しい)

ここがポイント。

かつて
江川先生が最初にアナログプレーヤーの
回転に関する問題に取り組んだ時、
イナーシャということで
プラッターの重量化。巨大化の方向で挑戦をした。

ただ、やってみると果てが無い事とわかる。

やがて、
巨大イナーシャからハイスピードイナーシャへ、と舵を切る。

一般人はそれとて真似出来るものではない。

だが、それよりポイントはモーターは
高速回転している方が良い
(この言い方は短絡的過ぎるのだが)ということ。

その観点に立ってみると、ベルトも外周ドライブよりも
内周ドライブの方が良いということになる。

もちろん、そう簡単に割り切れるものではないという見方もあって良いが
なにより
試してみるのが一番。

その為には内周ドライブ出来るプラッターが必要。

知らない内に
モーターも手持ちは増えたので
バラックの実験機を作ることは可能。
ただ、内周ドライブ仕様のプラッター
だけ無かった。

実はAIWA PX-E860のプラッターなどは内周ドライブだ。
ただ、取りあえず金属の物が欲しい。

オクで落とすか、なんて考えていたところ、
目の前に汚い(失礼!)ベルトドライブプレーヤーが
現れた。
それが今回のテクニクス
SL-25だ。

何しろお値段がプラッター一枚落札して送ってもらうより安かったので
ゲット。

ところが持ち帰ってみると思ったより全然
綺麗
汚く見えたのはダストカバーが汚れていたからだった。

その、ダストカバーを外してみると、驚くほど
ルックスが良い。

プラッターはいかにもという感じでお金の掛かっていない作りだが
ベルトの無い状態で軽く手で回してみると
実に長々と、
いつまでも回っている。

アームも、ガタはともかく
素材が良く立派なものだ。

で、ベルトの到着を待って鳴らしてみると、これが実に
音が良いので
笑ってしまった。



カートリッジは松下同志ということで
EPC-270をチョイス。
純正は280の筈だが間違いのない組み合わせ。

なにが良いって、とにかく
音が活きている。

これをブラインドで聴いて、1972年のローコストプレーヤーと
見破られる人はどれくらいいるか?

そんな気がした。


11月12日

テクニクス
SL-25

優秀である。

失礼ながら当時本領を発揮することは出来たのだろうか?

とっても
コンパクトなのにも好感が持てるし
こげ茶の
キャビネットも美しい。

余談だが
当時のステレオ装置は居間とか
応接間に置くものだっただろうから、家具調度に溶け込む必要があったのだろう。

ダストカバーは必然性があっての大きさなのだが
不細工で、このお洒落なプレーヤーの唯一の汚点?かもしれない。
外した姿の方が断然美しい。

主要部品は黒塗りの鉄板の上に鎮座して
この鉄板はバネで
フローティングされている。

故に底板にはインシュレーターは無く、おまけみたいな足が付ているのみ。
それでも外部振動には滅法
い。



フラフラはけしからん、という見方もあるのだが
モーター、ターンテーブル、トーンアームが
同相で一体となって動くのは
理屈上正しいことで、決して悪い事ばかりではない。

底板を外して中を覗くとモーターその他が見えるが
そのモーターは
くまとりモーターでコストの制限を感じさせる。



何より厄介なのが
オート機構が付いていること。

厄介といっても壊れている訳でもなんでもないのだが
アームを少し内周に動かすとプラッターが回り
終わると勝手にアームが上がってアームレストまで戻るということで
アームの下には余計な物が
ぶら下がるし、
弄り捲るには障害になるのだ。



もっとも、こんなのは言いがかりに近く、
このプレーヤーではレコードを置き、アームを動かして降ろせば
後は忘れて音楽に耳を傾けられるという親切設計が
成されているわけで、
お父さん不在でもお母さん、子供で
レコードを楽しめる目論見があったに違いない。



11月13日




部品取り目的で手に入れたのだがキュートな佇まいにやらている。

素の音には期待していなかったのだが見くびってはいけなかった。

ただ、当初安っぽい響きみたいなのがついて回っていたのも確か。

色々やっている内に、案外?MMとの
相性が今一つな気がした。

最初は高出力MCの
DL-80MCへ。

予想
的中という感じだったのでDL-103Dにバトンタッチ。

逆に落ち着き
過ぎの感じが出て来たのでAT-F3へ。

クラシックを聴くには好適な感じ。

もうちょっと
やいで…と思って現在AT-30E

それにしても、カートリッジごとの
特色を良く出してくるのでビックリ。

果たしてこのプレーヤーにMC(すなわち高級という意味では無いが)を
つけて使った人は居たのか?

そう考えると
不憫でもある。



11月14日

部品取り目的で買ったプレーヤーの
塩梅が
良くて困るというのは変な話だ。

まあ急ぐ旅ではない。
しばらくこのままを楽しもうじゃないか。

とにかくカートリッジを取り換えるごとに
成長著しいというか
笑ってしまうくらい個々のカートリッジの違いを出してくる。

AT-30Eではさすがにはしゃぎ過ぎの感じもあったので
その後103族の
異端児、DL-103SLも試す。

目論み通りで良かったが、ここまで来たら、と
ZYX登場。

なんというか、「金ならあるんだ!もっと旨い料理持ってこい!」と
プレーヤーが
催促しているかの如くである。

また、このトーンアームが軽量級から重量級まで実に
幅広く対応
調整もし易いということでバンバンとカートリッジを差し替えようという気になる。

この辺は大切なところで、やりにくいと積極的には、どうしてもなれないものだ。

…と、書いていて、このプレーヤーでそこまで色々やった人が居たのだろうか?と
またしても
寂しい気持ちになったりする。

このプレーヤーについての考察みたいなのを
また明日書いてみたい(予定)。



11月15日

考察、なんて単語が出て来る辺りが既にオーディオ病に
罹患していると思って良い。

良いと思われる音が出ました。まる。終わりである。
普通はそれで良い。

更にいうと、この場合の良かったは、
思いもよらず良かった、であり
それは「こんな安物から予想外の音がして驚きました」ということなのであって
ハッキリ言って
失礼である。

思いもよらなかった、のは自身の
経験不足の現れでしかない。

しかし、やはり見くびっても仕方ないところもある。

まずプラッターだが本当に
安っぽい。そしてい。

裏返すと、これは回す側からすると良い相手だろう。

軸受の
負担という点でも軽いのは良いことだ。
色々考える前にプラッターを軽くしようというのは間違いではないのかも、と考えさせられた。

ただ、極上の
響きのプラッターではない事も確かで、
その辺は
JP-501が上手く相手をしてくれているのかもしれない。

軸受で思い出したが、このプレーヤーの軸受は
実に真面目に作られているのが写真でもわかる。



正確には軸受そのものを見ているのではなく、軸受を納め、支えている物を見ての話しなのだが
実に手の掛かった作りなのが良く分かる。
この辺り、もう少し高価でもミニマムコストで作らている物も少なくないのだが、このプレーヤーは
立派のひとこと。

次にメインのボードというか、黒い鉄板。
これも薄っぺらく頼りない。

更にこれが
フローティングされているのだが、これも(既に書いたが)良いのかもしれない。

例えば軸など大抵の場合だが、意地悪くプラッタの端に力を加えればたわみや揺れを感じるものだ。

ところが、それを取り付けるボード自体が
柔構造よろしくふら付いてしまえば
その辺の問題を躱すことにもなろう。



フローティングには
ハウリング防止の意味合いがあるのも確かで、
特にこのSL-25がリリースされた1972年頃など日本の家庭の床は今よりも弱く、
また
畳の部屋の占める率なども高かったからハウリング対策は特に重要だったというのがある。

しかし、ハウリングを阻止するだけであれば足でインシュレートするという道もある訳で
フローティングが絶対ではない。

フローティングの本当の意義は、やはり
プラッターとアームが常に仲良しこよしで居られる事。
それに尽きると思う。

次にアームだがオーソドックスな
J字でジンバル。

…なのだが、見た途端に良い音がしそうな気がした。

適当な事を言うな?

いや、何十本というアームを手にして来た
アームフェチにはわかるのである。

案の定優秀で、各種カートリッジの違いを
恐ろしいほどに出してくる。

困った事に高価なカートリッジとの相性が良い。
これはローコストプレーヤーとしては
失格であろう。



土台が樹脂であるとか、高さ調整が出来ないとか色々あるが、特に高さ調整なんてのは
半端に仕込むと音を悪くする原因になる。
半端な物を付けるくらいだったら
ない方が良いのだ。

全体に目をやると、やはりコンパクトさに目が行く。
これ以上小さく作るのは難しいところまで追い込んである。

総重量は
7kgでストロー級。

しかし音は良いのだ。音の為なら腰を痛めても良い、という人ばかりではないだろうから
失礼ながらご高齢の方にも特にお奨め出来る一品であろう。

オート機能も付いているが、オートリターンと途中カットのみ可で、
リフターは付いていないのだ。

故に再生の始まりはオーナーが自分の手で針を降ろす形に限定。

その方が
わかり易くて良いと僕は思う。


11月16日




ソースによっては
もう少し賑やかになって欲しいが…と勝手な事を思って
VM-540ML

さすが「
猫脚」の名手という感じでしっかり鳴らすが
ヤバそうなところはしなって躱す?

第一章完結という感じで
これから手入れをしたい。


11月18日

SL-25


色々考えたが取りあえず
長年の汚れを落とすにとどめてみた。

当然それなりの堆積物はあったが、大した問題じゃない。

それよりも考えた。
1972年頃生まれたこのプレーヤーが
どんな物を見てきたのか、と。

札幌五輪…には間に合ったかどうかわからない。

ミュンヘン…には間に合ったかも?



居間に置かれていたとしたら、テレビもそこにあって
家族が集まっていたのではないか。

しかし手元にレコードプレーヤーが来たと思ったらいきなり
オイルショック
盤の値段も上昇。
なんてついて無いんだ!とオーナーが嘆いたかもしれない。

「神田川」とか「あなた」とか「木綿のハンカチーフ」なんかはシングル盤が載ったのだろうか。

それなりの金持ちで無ければレコードがたくさんあって…とはならないので
同居していたチューナーやテープデッキの方が活躍したりして。

その内
貸しレコードなんてのも出てきたから、テープづくりのマスターとして?せっせと回ったか?

でも、大抵の物が、家に
来て10年も経過すると現役引退もやむなし、と思うと
ちょうどCDが登場した
1982年頃にはそろそろ窓際族だったのだろう。

それでなくとも1990年を迎える前に大抵の家庭のレコードプレーヤーは
半ば置物と化して
処分予備軍みたいになっていた。

そこからの20年余は正に
余生。もしかすると、だが、このプレーヤーの購入を決意したその人は
既にこの世を去っている可能性だってある。

そしてこの度、とうとう
家から追い出され…
「達者で暮らせよ」と言われるわけもなく。
身請けするような酔狂な人もいるまいと思われたか、ワンコインにも
満たない値札を貼られることになった。

ただ、
奇跡は起きるというか、馬鹿は居るものなのだ。あっという間に引き取られてしまった。

翌朝には心臓部とも言える
ベルトが届けられ、10本近い愛人といきなり契りを交わし…

人の運命も数奇な物だが、モノのそれも
なかなかの物と痛感する次第である。

で、しつこいようだが音は良い(笑)

考えてみたら少し前に
三流師匠が同シリーズのプレーヤーを500円でゲットして楽しまれていたっけ。

これで足りるとしてしまったらオーディオ業界も上がったりだが、大丈夫、
とっくに上がってしまっているから
ここで一人二人が同じ様にワンコインプレーヤーを買ったとしても大勢に影響なし。


M44M75と聴いてただ今テクニカAT-150Ea

とにかくカートリッジで音はコロコロ変わる。

SL-25が鳴っているのではない。カートリッジが鳴っているのだと思ってください?(汗)

出力ケーブルも気を使った方が良い。




11月20日









11月21日

例えば10月の終わりに、「よし、11月はこんなことをやろう!」
などと絶対に決めて
いない。考えてもいない

たまに考えても、その通りになった試しがない。

さて、ベルトドライブ。それも内周ドライブということで
SL-25は手に入れたものの、それで終わるわけがない。

更に、と思って検索している内に、ターンテーブル自体がインナープラッターと
アウタープラッターに
分かれているのがあったよな、と改めて思い至る。

内周にベルトを掛けるだけなら、そんな事はしなくて良いのだが
敢てやるには理由があろう。

ひとつには
共振のコントロール。

そもそもプラッターというのは
けば埃が出る身体…

ではない。叩けば良く
るものだ。
形状からしても仕方ない。

しかし二つに分けて合わせる事で響きは激減する。

ただ、単に共振を押さえるだけならテーブルシート一つでもかなり効き目はある。

押さえる、というより響きの
コントロール
そんな風に理解した方が良いだろう。

さてさて、ところがその考えを
採用している物はと見ると
どうも
海外製の立派なプレーヤーに多い。

リンの
LP-12もそうだし、トーレンスなんかもそうだ。

大変結構だが、僕個人は縁遠い。

ああいった物は
オッサレー、な部屋に住む
小粋な達人が使う物であって、よっしーにはマッチしない。

また、例えばLP-12などは特に、やたらと蘊蓄が多く
コンマmm単位の調整やらを迫られそうなのでお断りしておく。

いや、断らなくても金額面で、来る心配は無いのだった(笑)

…すると手に入らない?

が、調べてみると
国産にも該当する物は幾つかある。

目を向けたのがこれ、マイクロ
MB-800なのであった。




11月22日

MB…なんてナカミチみたいだがれっきとしたマイクロの品番だ。

さてしかし
MB-800について調べるが大して資料は出てこない。

ただ、当時の同社フラッグシップモデルなのは確か。

8極ヒステリシスモーター採用。

ユニークなのは
100Vでスタートさせ、その後80Vで駆動する仕掛けを持っている事。

早くから
低電圧駆動のメリットの気づいていたということだろうか。

そして直径32cmのターンテーブルは
二重構造。



インナーが
アルミ合金でアウターが亜鉛合金。

これがマイナーチェンジ後の800
Sでは亜鉛合金のみの一体型になってしまっている。

そこで探すのは800無印だけに絞られたわけ。



と、ここでMB-800についてもっと突っ込みたいところなのだが
今回はおまけ(余禄)があったのでそっちに触れる。

何かというと
アーム(何本目だ?!)である。





*陽だまりで暖を取るお二人
(本文には関係ありません)



11月23日

通算何本目のアーム。それがなんと
SONY。しかもPUA-1500S



SONYのアームといってもあまり有名なのは無い。

初期には
PUA-237であるとか286という物が存在していた。
1500はそれより後だが、更にこの後というのはほぼ見当たらない。

つまり開発を
めてしまったのだろう。無理もない。アームなんか
手間とコストが掛かるばかりで儲からない。カートリッジを売る方が儲かる?

と、ちょっと皮肉ったが、これがまあ
見惚れるようなトーンアームである。



形式としてはオーソドックスな
ジンバルS字なのだが仕上げが見事で
多機能というか、徹底的に調整が出来るように作られている。



インサイドフォースの設定。ラテラルの考え方…

本当に
理解し切るには少々時間が必要な感じだ。



ウエイトだけでも三つ(
つ)装備。

ゼロバランスを決めるメインウエイトに針圧を印可するウエイト。

加えて
補助ウエイトが後端に?

これはサブウエイトですか?と思うと
サブウエイトは更に後端にねじ込み式で
別途存在する。都合四つのウエイトとなる。

これの使いこなしによっても音は当然変わって来るはず。

ま、そんな事より何より
しい。

メッキが美しい、という単純な見方も出来るが、こういうのは各パーツの寸法比とかが
良くないとそんなに際立たないものだ。

工作精度も見事。SONYがアームを自社で作ったとも思えないのでOEMと思いたいのだが、
すると相当面倒な注文連発で、下請けの
親父は涙を呑んだと想像する。

しかし、世界のSONY。
It's a SONY!がトーンアームを販売していたことがあるなんて、
ウオークマンよりもこっちの方を記念館には展示して頂きたい。

とどめに、SONYらしいというか、独自の
出力端子



ここにコレクトチャックみたいな感じで専用ケーブルを締め込んでいくので
大変優れた方式だ。
だが、当然専用以外のケーブルは使えない。
さすがIt's a SONYなのであった。


さて、そろそろ音の事を聞かせろよ、という声がして来るのは必至。


お待たせしました。




11月24日



音だが、これはい。

最初は様子見の意味で、という事で手に当たったシュアー
M-75BType2を装着。
ここ最近よく掛けていたレコードをそのまま聴いたのだが、思わずひっくり返りそうになった。
というか
力なく笑ってしまった。

これは
リファレンスに成り得る音だ。

特徴的なのは音の
かさと、背景のけさであろう。切れ味抜群。
ただしカッターナイフの切れ味ではない。もう少し厚い刃で、しかしサクサク切って
切り進む感覚。

背景…については、考えてみるとダイレクトドライブプレーヤーや
デジタルオーディオの方が有利な筈なのだが、このプレーヤーで聴く方が
静謐な感じがするのは何故だ?

振り返ると今年は
例年以上に数多くのアナログプレーヤーを拙宅に迎え入れた年だったのだが
MB-800+PUA-1500Sは一段
格が上の感じ。

ひとつには、やはり単売フォノモーターと単売トーンアームをそれなりの
キャビネットに入れるのと市販プレーヤーをそのまま使うのでは
ちょっと
うという事。

これはある意味
当たり前で、そうでなければ流麗な仕上がりの市販完成品を選ばない
だけの理由が無くなってしまう。

しかし同じく今年手に入れた物同志の組み合わせによるTTS-2500+G-940を
MB-800+PUA-1500Sは
軽く上回っているのも確か。

自作なら何でも良いという訳にも行かないのだ。






11月25日




お約束で
贓物拝見。

当たり前なのだが、例えばMU41辺りと構成は似通っている。

ただ、なんというかあらゆるパーツが一回りづつ
きい?

顕著なのが
モーターで、これはなるほどデカい。

ただ、同時に大変静かでもあるから立派。



お歳を召しているから、この辺のパーツなんて突っ込み処満載なのかもしれない。



コンデンサーをよく見ると
44.1.16なんて印字が…

こりゃ素直に昭和44年1月16日製と解釈すべきだろう。

このターンテーブル、やはり
大阪万博より少し前に世に出たと見る。

さて、
M75BType2→VM540MLと試して、今は初MCということで
AT-
F3

MM属二種も良かったし、F3にすると、やはり
MCという鳴り方になる。

可憐、華奢、繊細という風にきちんとなって一安心。

ただ、どのカートリッジに対しても
好意的に接するタイプとみた。



11月27日











11月29日

マグネフロート
をやってみたかった。

…というよりもSL-25の音をあと一歩何とかしたかった。

良いプレーヤーである。それは確か。

ただ、どこかフワフワと。腰の
据わりが悪い感じがあるのも確か。

レントゲンで見ると骨はしっかり映っている。
しかし、なんとなく骨粗鬆症みたいな感がぬぐえない。

それは無理もない話なのだが、多少
挑戦をしてみたい。

軽すぎるプラッターは気がかりな箇所のひとつ。

軽いのが悪いというより、なんとも
響きが安っぽい。

取りあえず昔から拙宅にあるアルミだか亜鉛だかわからない素材の
金属シートを載せてみる。

これは結構重い。それでもちゃんと回るから立派である。

ただ、いかにも
負担増。いきなり増税、の世界だ。

なので
マグネフロート

SL-25にはオート機能が付いているので、それがどこまで邪魔をするか?
という感じだったが、多少除去すれば試せそうだったので開始。
(オート機能は死ぬ)

実験だからいきなりエポキシで貼ったりはしない。

取り合えず磁石同士の
反発は思ったよりも小さい。

磁力が弱いというより磁石間の
距離が広すぎるのだろう。

それでも前記重量級シートを載せて試聴。

取りあえず、ダメではないのだな、というのが感想。

ただ、とにかくマグネフロートが効いている感が
い(笑)

磁石の間隔調整中だが、やはり徹するならオート機能を持たない
プレーヤーで試す方が良いと思った。

そして重量級金属シートは除去。

…ということは浮遊力イマイチのマグネフロート+ノーマルプラッター+
シートはJP-501という状態。


いずれにしても
聴ける音である。

ただ、MB-800+PUA-1500Sと比べた時同じとは言えない。
そこが悔しい?


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