5月20日
さて、何を拾って来たのかい?という声が聞こえてきそうだ。
今回は冗談抜きに食事であるとか万博であるとか
あるいは温泉であるとかオーディオ以外の部分に重きを置いたツアーを
心がけた。
いや、心がけた筈だった。
…のだが気づいたらお店はしっかり回っていた。
品揃え?も想定外に充実していた。
ただ、僕が例年に比べると、そんなには買わなかった。
というのも、この10年くらいで定番的な物はしっかり拾った感があったからだ。
何しろ昨年のドフ巡りの釣果でまだ陽の目を見ていない物があるくらいで
これはやり過ぎというものだろう。
…と、前置きした上で、まずは例年と変わらぬジャンルの物からご紹介。

5月21日
またビクターZ1S?
という声が聞こえてきそうだ。
(聴こえて来て構わない)
だがポイントはカートリッジではなくてシェルである。
よっしーはビクターのシェルとは不思議と縁があって
PH-1からPH-L1000までほぼコンプリートである。
意識して集めたわけではなく成り行きだ。
…なのだがなかなか出会わないシェルがあった。
それが画像のものである。
型番不詳。
時にPH-4とされている事もあるがPH-4は
別にある(アルミインパクト)はずで真偽不明。
で、型番はどうでも良い。

溶等鍛造という意味ではPH-6と同じなのだが指掛けが違う。
これはその頃ビクターのレコードプレーヤー達にしきりに使われていたタイプなのだ。
指掛けはシェル側面に小ねじで留められている。
よっしーはこのシェル本体は持っているのだが指掛けが失われていた。
お恥ずかしい話だが若い頃(幼い頃?)、シェルの指掛けは無い方が音は良い、と
読んで取り外してしまったのだ。
それは構わないが取り外した指掛けとねじは紛失してしまって今日に至る。
最初のプレーヤーJL-F35Mは手に入れたもののシェルとカートリッジは失われていた。
こうなるとコンプリートしたい気持ちになるもので、そうした矢先の邂逅だった。
針折れのZ-1Sが付いては居たが主役はシェルだった。
でも、手持ちの針を付ければ音は出る筈ということで音出し。
するとこれが妙に好い音である。
いや、このシェルのお陰、ではない。
ここ二週間くらい、ロジャースで聴けるアナログが妙にイイ感じなのだ。
たまにこうした魔法が効くこともある。
ま、要は結果だ。
シェルとカートリッジの相関関係はさんざんやったので今更だが
このシェルは基本賑やか系の音になる。
金属系のボディより樹脂系のボディのカートリッジの方が相性は良さそう。
賑やか過ぎたらゴムを張るなどしてダンプするのも良い。
更に指掛けは外して…
しまわない方が良い。
もうこのシェルから指掛けは外しません( ̄▽ ̄;)
5月22日
シュアーである。
M91ED。
これまたジャンク扱いで針が無ければシェルも無い状態。
懲りずに拾ってくるね、と言われそうだがこうした物は修学旅行のペナントみたいなものだと思っている。
せっかく来たんだから手ぶらもね。なんて時にこうした物に手を出してしまうしそれが楽しい。
M91EDは過去にlimited師匠のを拝聴しているので一応の事はわかって居るつもり。
シュアーの中核というか44よりは上だが15よりは下。75辺りと比べるとよくわからないという立ち位置だ。
しかし91の針は無いしこれからわざわざ求めるのもどうなの?というところだが裏技がある。
そう、44系の針は91に刺さるのである。
刺さるのである…は良いが実際に挿してみたことは無い。だからちょっとドキドキした。
でも、刺さる。
ただしボディと針ユニットの間に隙間が生じる。これは仕方ない。

で、本当に音は出るのか?
5月23日
44の針は三種用意があるのでまずは白いボディの44-7から。
するとこれは44-7の針の音だ。間違いない。
実に痛快。奇々怪々。
ただ、ちょっと荒れて聴こえるところもあるのは事実。
それが嫌なら44-7には手を出すな?はい、わかりました、ということで44Gの針に交換。
これは明らかに品位向上。大人の44になる。

やっぱりこれくらいの品位というか品格は欲しいよな、と呟きつつ切り札登場。
赤いノブの44-5(だと思う)である。

44Gでも十分なのだが44-5が出てくると敵わない。
44が44でなくなる針ということで91ED本来の音を超えたかどうかはわからないが
並ぶくらいは行けたか?
ということで純正91の音を聴いている訳ではないのだろうが
こうやって禁断の針コンバートが出来るのがMMカートリッジの醍醐味だ?
5月24日
あ、ひとつ忘れていた。
…という事は、これM75の針も刺さるんじゃね?
って事で試してみたら案の定だった。

ま、相変わらずボディとの間に隙間は生じるのだが
それは仕方ない。
音だが妙に品が良くなった感じ。
44-7の針が別格の?賑やかさなのを別にすると
44Gも44-5も品位があって、75の針もそちら寄りの音だ。
そしてGより大人し目で44-5の針にある特異性は無い。
と言うことで悪く言うと個性のない音となるのだが
よく言うと一番の常識人なのだ。
息の長い付き合いが出来るのはこのタイプだ。
…と、つらつら書いたが何分にも針を差し替えるだけの簡単なお仕事だから
(あ、針圧は変えましょうね)
持ってさえいれば誰にもできる。
僕の感想は僕の感想なので、我こそはと思う人はやってみたら良い。
…と、ここでちょっと昔を振り返ると、こうした交換針さえ
おいそれと買えない。買う決断を出来ない時期があった。
有体に言ってしまうと入ってくるお金が全部学費に化けてしまう時があって
その頃の事を指す。
それを思うと今は随分楽になった。
あ、でもこの度の針四種も、まともなお金を払って買ったものなんて
一つも…
…( ̄▽ ̄;)
5月25日
さて、拾得物シリーズ第三弾はエラックだ。
シュアーを拾ったからにはエラックを落とす訳にはいかない?
…それは冗談で例によってペナント代わりである。
STS-455E。針無しジャンク。ただしシェルは付いていた。
昨今シェルだけでも安くないので駄目でも元は取れる。
…と思っていたら本当に駄目だった。片側断線である。
これは仕方ない。ただ、カートリッジが可愛そうだ。
深追いしても仕方ないと言いつつゴチョゴチョ弄っているのだが
これを書いている時点で何の結論も出てない。
仕方ないので?手持ちの455Eを引っ張り出す。

実は(前にも書いたが)、この世評ある名器が拙宅では上手く鳴らない。
なんとも眠たくて睡眠導入剤みたいな役割になってしまう。
何か手は無いか、と最後にやったのが樹脂製の軽量級シェルへの換装。
確かこれでかなり良くなったと記憶するのだが本当だったのか?
試す意味でも使ってみよう。
すると…
5月26日
すると、やっぱり最後の記憶が夢では無かったようだ。
少なくとも眠くて仕方ないなんて事は無くなった。
これは聴ける、というかM-91EDボディ+44の針軍団のシュアーよりも堂々と鳴る?
へえ〜と驚いていたのだが、どうも低域ノイズが載る。
ダンパーが限界に近いみたいでボディが盤をする直前である。
どこまでも相性が悪いというべきか。エラックの呪いに掛かったのか。
ただ今針ユニットはラバープロテクションに漬けている。
上手く漬かるか?それはわからない。
願わくば美味しく漬かりますように…

5月27日
ここでAT-UL3だ。

koyamaさん宅のエースカートリッジで、僕も既に一本譲って貰って所有しているのだが
これは又今回新たに譲渡頂いた別モデル。
そしてこの個体は明らかに音が好い。
針の状態の違いと思われる。
実は複数本のUL3を手放されるというので、
”で、あれば”と厚かましくも接眼鏡で針を観察させて頂き、
ベストと思われた一本をさらってしまったのだった。
実は帰宅後すぐ音を出したのがこのUL3だったのだが針を下ろした瞬間、
”koyamaさん、ごめんなさい”と呟いてしまった。
それくらい良い音がすぐにした。
アナログカートリッジというのは手作業目作業?の部分が多くそもそもバラつきが避けられない。
その上僕が好んで相手をさせてもらうカートリッジは生まれてから40年くらい経過した物がほとんどだ。
その生い立ちから使用歴まで全部異なるのである。
これでは個体差が出ても不思議ではない。出ない方が不思議だ。
もっとも、他にもシェルやらリード線やら色々な要素が絡むから一概な事は言えない。
UL3、同UL5は1983年頃のアナログ熟成期の一本だ。
この頃テクニカは比較的廉価版のAT-Eシリーズや、渾身のAT-MLシリーズも投入している。
それぞれに良さがあるがよっしーの好みはULであったり、お安いAT-EであったりMLでも針は低価格帯の物だったりする。
安上がりな耳、という事でも良いのだが、妙な気合が入り過ぎていない良さに惹かれるのかもしれない。
輝かしい一本がまたマイラインアップに加わってくれた。

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