5月1日
「もしもし、よっしー君。わしじゃ。わしじゃよ」
あ、limited師匠。先日はどうも大変…
「ぶわっかもーん!」
ひ、ひえっ…
「カートリッジ試聴記三連発は読んでいるが、あれじゃあワシが持ち込んだ物だということが
ちっとも伝わらんではないか、このたわけが!)
し、失礼いたしました!け、決してそのような事はその…
「どのような事もそうのよう事もも無い!かあ〜つ(喝)!」
…というやり取りはいつの様にフィクションですがカートリッジがlimitedさんの物なのは本当のお話し。
そーなんです。先日何年かぶりで師をお迎えしたのでございました。
ただし!お題はカートリッジではありませんで、”球ころがし”でございました。
球を転がすとなると球アンプです。
よっしーの部屋に真空管パワーアンプが降臨するなど一体いつ以来?
とにかく二台の球アンプが堂々の入場。
どちらもlimited師匠の自作アンプです。
26年も時が流れるときちんと覚えていらっしゃる方も減っていると思うので改めて申しますと
師匠はもともとアンプビルダー。電気には強い(別に1000V喰らっても大丈夫とかそーゆー意味ではない)し
スピーカーの修復もお手の物。針を語れば日本で三本の指に入るという恐ろしい人でございます。
最近また活発に球を弄り始めたのはブログで拝読していましたが、今回は畏れ多くもそちらを持ち込み。
せっかくだから遠慮なくお聞かせ頂こうの巻となりました。
5月2日
まず一号機。
便宜的に2A3と呼ばせてもらいます。
なおオフ会の当日だけでレクチャーを受け切るのはちょっと無理な話しでして、
これから書く物はlimitedさんのブログをトレースしたり自分で検索して調べた事を元にしたものとご理解ください。
まず回路がロフチンホワイトといきなりよっしーには意味不明。
これは1929年にロフチンさんとホワイトさんというお二人によって発表された回路らしい。
電圧増幅段と電力増幅段を直結。
古典的な回路のひとつとされる。
これに宍戸さんいう方が手を加えた物が本日の2A3の基盤になっている。
出力は通常の2A3アンプが3,5Wのところ5Wまで増強。
しかし、たったの5Wであう。数値的には、だが。
この日迎えているスピーカーはいわゆるサンヨー君。
能率は高くない。
2A3シングルアンプはサンヨーをドライブ出来るのか?
早速DCP-5500を外して2A3へ。
プリはSY-88でCDプレーヤーがCDX-2200。アナログプレーヤーはGT-2000+WE-308Nという昭和な組み合わせ。
音出し。
5月6日
音出し。
実は相当温めないと球が本当に性能を発揮しないのではないか、と危うんだのは大きなお世話で、
最初からバランス良く鳴る。
そう、鳴る。鳴るのである。
5Wというのはどうやら嘘だったらしい。…と言いたくなるくらい楽勝でサンヨーを鳴らす。
以降僕の頭から出力の意識は消えた。
ダンピングファクターは2を下回るというがそんなことはどうでもよろしい。
面白いのはこのアンプ達、製作者であるlimited師匠宅で既に良い感じで鳴っているという点だ。
だがしかしこれは本当か?外に出ての確認が必要だ、ということで拙宅に出張して来られたわけだ。
そんな心配はいらないのだが物を作る人の気持ちとしてはよくわかるお話しである。
ヒートアップは3〜5分くらいでOKみたいで以降益々音は良くなる。
印象的なのはボーカルの美しさだ。ぱっと人がそこに立つ。
5月7日
この2A3の試聴はアナログソース主体で行い、その際はお持ち頂いたカートリッジ達も活躍したのだが
各々の良さ。違いもきちんと描き出す。
球アンプということで相当熱くなるんじゃないか?と心配していたのだが拙宅のアンプ達の方が
よっぽど熱を放っていたという落ちが付いている。
ここで軽く?球ころがし。
1945年のRCA2A3から1930年代前半のタングソルへ。
音の変化というのもあるのだが何よりそれらの過ごして来た年数の大きさに驚いてしまう。
もう真空管達も希少性が高まるばかりだろう。
さて、次は6CA7。
こちらはソースをCDに固定して球ころがしを主体にしてもらう。
最初がナショナル。これは色々拝聴して振り返った後にもスタンダード的に感じてとても良かった。
シーメンス。これは高級店に移動したみたいでなんとなく鼻高々的雰囲気。
テスラ。これは良い意味でやんちゃな感じがあり、そこが良かった。
スベトラーナ。ロシアの球だとのこと。なんというか松下とかシーメンスを真似て
真似しきれなかったみたいな感じを受けた。
NEC。これはちょっとところにより分解しきれないで居る感じを受けたが気のせいかもしれない。
GE。元気な物はより元気に。元気でないところはより元気を欠いて見せるような感覚?
…と、一応わかったような事を書いたがいわゆる極端な違いではなく、ニュアンスに違いが出ると思われたい。
多分環境が変わると、受け取り方も変わることだろう。
ただ、お気に入りの球を探して彷徨うという面白さは、当然ながら球アンプならではのもの。
やっぱり球アンプを使ってこそオーディオマニアと言えるのかも?と複雑な心境になった。
師匠はアンプは作れるし球は有り余るほどストックされているしで到底追い付けない所にいる。
5月8日
さて、だがしかし、師の手元にはテクニクスはじめ往年の名器が勢ぞろい。
いくら自作できるからと言って、5Wのアンプをわざわざ持ち出す、その意味は?
これ、僕らみんな同じだと思うのだが、そろそろクソ重たいアンプやらスピーカーやらとの縁を、
どこで切るか考えなければならないお年頃だ、というのがある。
僕の場合でいうと、今回たまたまサンヨーが来たからその線は打ち消されたが、
あるいは同じサイズのエンクロージャーに
P-610を納めてしみじみ聴く、なんて事をやり出しかねないところだった。
要修理の機器が列を成しているなんていうのもそろそろ考え時だ。
limitedさんと僕が知り合ってからだってまるまる25年くらい経過している。
必然的に環境も自分も変わるのだ。
捉え方、みたいなものも変わってきているのかもしれない。
僕だって昔だったらサンヨーを受け入れなかったかもしれない。今だから好さを感じるのだ。
あ、サンヨーのインピーダンスが6Ωくらいだったことから今回の二台のアンプは本領を発揮していなかった可能性があると
オフ会が終わってから気が付いた。
…と言ってもお世辞抜きに二台の球アンプは十分過ぎる音がしていたのだが
今度はロジャースあたりでお迎えしてみることになるかも。
それをやるためにも、お互い元気でいないといけない。
歳を取ると、昔は考えなかったそんなことも、しみじみ思えてしまうのでした。
5月9日
ちょっと一休み。
limitedさんではないが今後の方向性みたいなことを
よっしーも考えなくはない。
だから、という訳ではないがロジャースLS5/9登場。
G7があってサンヨーがあって、ロジャースがあって…
ここでG7は大きさその他含め他の二機種とは意義が違うから良いとして
サンヨーとロジャースLS5/9はサイズ感からして丸被りである。
サンヨー大活躍で、さて、ロジャースLS5/9の立場は?
ちょっとドキドキしながら久し振りに繋いでみた。
DCP-5500からのスピーカーケーブルをサンヨーから外して、それをロジャースに繋ぎ変えて聴いてみる。
プリはSY-88でプレーヤーはGT-2000X、GT-2000、CDX-2200だ。
パッと聴いて音は悪くない。
この悪くないという言い方がビミョーなところで、LS5/9は致命的な音はあまり出さない。
ただ、良いのか?と問われると悩んでしまう。
これはどうもサンヨーと同一ラインでの鳴らし比べたみいなのは諦めた方が良いと悟る。
プリはそのままにパワーアンプを907MOS LTDのパワー部に変更。
これでどうか?と思うがさして変わらない。
どこかよそ行き顔な感じがぬぐえない。
となると結論はただ一つで、御大にお出まし頂くしかない。そう、HMA-9500である。
あまりにもワンパターンなので書きたくないのだが仕方ない。
G7に行っていた配線をLS5/9へ挿す。
こうなるとプリもSY-99に変ってしまうのだがご勘弁。
これでどうよ?と、CDはCD-10が担当。
音だが一変する。
複数の要素を変えてしまっているが決め手はこの場合パワーアンプ。
同じMOSアンプでも何故か一味違うHMA-9500。
何故違う。何が違うというのは何となくはわかるのだが
文字にするのはやめておく。
サンヨーはDCP-5500でも鳴るし907MOS LTDでも鳴るのだが
ロジャースLS5/9にはHMA-9500が必要だ。
画像のような置き方でスピーカー背面の壁から1メーター以上離れ、
リスニングポイントからの距離は1,5メーターも無い。
だが音は見事に幽体離脱。
ロジャースが無いかのように鳴る。
なんとも不思議でございます。
5月10日
なるほど、そうなのか…そうだったのか…
の一言になってしまう。
それではいけないのかもしれないが
言葉で表現しようとするのは諦めた方が良いと思えてしまう。
ここまでやりますか…と絶句してしまった。
以上で理解して頂けたらとというか理解して頂きたい。
過去にもnazootokoさん宅にお邪魔した時、やはり書けなかった。
今回とは意味は違うが圧倒されて言葉を失った。
そんな時があるのだ。
ひとつだけ。
体験したかったら来る5/31に損保会館に行こう!