6月29日
なんとなく、昭和列伝。
ではなくて…
左時枝さん、なのだ。
目下売り出し中の女性タレントさんの家に長岡先生降臨。
ひとつには、この左時枝さんがマルチタレントというか
芝居もやれば歌も歌い、文章も書く。
なんと週刊FMでもこの時執筆中だったらしい。
それなのにステレオ装置が無いということで
装置選びの企画発動と、こんな事らしい。
時'72年も暮れの頃ということで
持ち込まれたのはベルトドライブプレーヤーに
レシーバー。そしてスピーカーだ。
それより何より、今回取り上げたのはこの取材対象が左時枝さんだったから、
なのだ。
え?と思うかもしれない。
実はこの左時枝さんのその後のご活躍の一部を
よっしーは知らない内に拝見していたのである。
何かというとテレビの「鬼貫八郎シリーズ」である。
原作は鮎川哲也先生の推理小説なのだが
そこはテレビ用にアレンジが施されている。
そのアレンジ(脚本)はなかなか気の利いた物で
いわゆる原作のファンをガッカリさせて苦情が来るなんて
類のものではない。
ただ、まあ実際のところは鬼貫警部のファーストネーム自体は
一度も明記されたことなどなく、八郎というのはテレビ側が勝手に決めてしまったことだ。
そして本当の鬼貫さんは生涯独身を通した人なのだが
テレビではちゃんと家庭を持ち、なんと糖尿病という設定。
その為奥さんに厳しく栄養管理をされている。
そう、その奥さん役が左時枝さんなのである。
6月30日
その鬼貫警部の奥様役の左時枝さんは
厳しく栄養管理に励むかかあ天下を演じているのだが
時に、夜中に一人事件の事を考えこんでいる鬼貫さんのために
「一杯だけよ」と言って酎ハイみたいな物を差し出すシーンがあるあたり泣ける。
いや、まあ鬼貫刑事シリーズというか鮎川哲也先生の書かれたものは僕の中でとっても大切な物なのだ。
テレビ版とは言え、そこに遠い昔長岡先生がお邪魔した女優さんが出ておられたという事実は大層驚くべきことだった。
この偶然にどこかで触れてみたいと思っていたので6月末のここに挿入。
ちなみにこの時左さんのお宅に収まった(本当に買ったかどうかまでは不明だが)プレーヤー、
ビクターのSRP-B11Mというのは思いっきり時代を反映して、
「針交換によってCD-4再生にも対応」なんて書かれているプレーヤーなのだ。
その為に、低容量のフォノケーブルを装備してますよ、ということ。
交換針が0.5milダイヤ針(DT-33H)となっているから、つまりMD-1060搭載。
で、そこにさらに、(CD-4用交換針:4DT-1X)と書いてあるのだから高域特性を伸ばしたかったら柴田針使えばOkよ、ということだ。
実際長岡先生の訪問記の締めの部分でも将来のグレードアップとして一万円前後のカートリッジを、という注釈がある。
あるいはカートリッジはそのままで4MD-1X用の柴田針を追加しても効果はあるが…、となっている。
なんというか、時代というかオーディオ世相を垣間見ることが出来て嬉しい。
長岡先生も鮎川先生も鬼籍に入られてしまったが左さんはお元気そうで何よりだ。
50年の時の流れは大きい。
ただ、音楽というか音はそんな時の流れを追い越してくれている気がする。
そこに救いを、僕は見る。