6月9日
VMS-20EMK2。
登場するのは何度目だろう?と思うが大して登場していない。
よっしーの部屋とVMSの関係だが歴史だけはそれなりにある。
初代VMS-20Eを手に入れたのが今から四半世紀前。秋葉原の某店で中古3千円だった。
立派なアルミ削り出しシェル付き。当時はそんなもんだったのだ。
そこそこ楽しんだのだがある時リード線を交換しようとしたのが運の尽き。なんと端子板がごっそり取れて
崩壊してしまった。
考えてみるとこれが初めてのカートリッジ破壊経験だった。
この時カートリッジの接着剤が乾くという事実を知ったのだがあとの祭りである。
こうした事があると、その後なかなか同機種を手に入れるのは躊躇われるものだ。
長い事縁なき存在となったが数年前岐阜のドフで入手。
ところがこれまた音を出そうとしたら出ない。
幸いジャンクではなかったので返品返金が出来た。
お店ではシェルに付けて音出しを確認したのだろうが、その後外す時に断線したものと想像する。
(シェル無し単体での販売だった)
かくも長き不在。
しかし昨年いよいよゲット。これはコーラルのシェル付きで無事音が出た。
そんな状況下、Tさんから針無しのVMS-20EMK2があるので進呈します、ということで手持ちの20EMK2が二本になった次第。
さて…
6月10日
さて、まず針の問題だがバラバラに壊れた初代VMS-20Eの針が残っている。
これを使えないか?と改めて検証。
以前は完全に互換性無しという感じだったが、今回は刺さりそうな…
だが結論を言うとアウトである。
さすがオルトフォン。互換性の無い針は刺さらないのである。
ただし、現行JICOさんの物は両方に刺さってしまうとかいう噂もあるがよっしーは保証しない。
そこで手持ちの20EMK2から針を拝借するのだがその前にまずやることをやっておく。
何かというと簡単で、端子板部分の補強である。
?がれないように接着してしまおうホトトギス。
だから紫外線を照射すると固まる例の奴に登場いただいた。
端子版部分とボディ後端を繋ぐようにぬりぬり。
そして紫外線を当てる。
これでしっかり固まる。
もちろん油断大敵だが対策なしとありでは偉い違いだ。
ここまでやって初めてシェルに装着。
なのだがシェルを何にする?
幾つか検討したがとりあえず無印銀のピカピカ。重さ12gくらいか。
仮にも針圧1gでトレースするというVMS-20EMK2様に対してあんまり重いシェルはいかがなものか?と考えた。
以上で準備は出来た。針を下ろそう。
6月11日
…無事、音は出た。左右共、だ。
当たり前と言わないでほしい。常に中古だのジャンクだのと扱っていると、音が出ること自体がありがたい事に思えるのだ。
とりあえずそのまま聴くが、妙にかさつく。
これは針圧不足と判断。やっぱり1gというのは行き過ぎな気がする。あるいはダンパーの変化か。
針圧1,5gまで増量。
これは正解で音は俄然まともになる。
悠然と鳴る感じがVMS20EMK2らしさだったか?もうわからなくなっている。
しかし大切なのはVMSらしいかどうかではなく自分好みになるかどうか、だ。
ちょっと高い方のかさつきが残る。耳に触るのだ。
さて、どうする?
ここでウエイト登場。0,8gか。金属製。
これをシェル上面。指掛け部分に装着。
重さもポイントだが、なにより異物を挟み込むことで振動のモードに変化が起きるのではないか?という目論見。
さて音だが、確かに変わる。ただし微妙な違いだ。
とかなんとか言っている内に針の沈み込みが多めなのが目につく。
やっぱり針圧1,5gはこの個体には過負荷なのだろう。
徐々に下げていって1gでも一応Ok。だが、念のため1,1〜1,2gくらいで最適と感じられるように追い込むことにした。
この段階で、音はかなり良と感じられるところまで来た。
適度な肉付き。遊び心があって繊細さも増している。
試みにもう一本のVMS-20EMK2ボディに挿して(シェルはコーラル)聴いてみると
明らかに今回手を入れている物の方が良い。
ただ、両者は完全同一条件ではないから何とも言えない。
ひとつにはコーラルのシェルは軽量級だというのもある。
重ければよいとも軽い方が良いとも言えないが、それぞれに音傾向があるのは確か。
だから人によってはハイコンプライアンスカートリッジであってもシェルは重量級と決めているケースだってある。
6月12日
と、ここまで書いて来てなんだが、このテーマ。ある日突然一旦休止になる可能背があるから念のため。
一つのカートリッジの使いこなしというのはある適度の期間掛かるものだ。
特に休止していたもの、古い物はそうだ。
もうひとつは、おっ変わった!と喜んでも、果たしてそれが本当に改善の方向なのかどうかは案外わからないということ。
一体何を基準に、何をもって良くなったとするのかは大切なポイントだ。
何をどう聞きたいのか?
極端に言うとあるアルバム専用のカートリッジみたいなのも出来上がりそうだ。
もっと行くと、あるアルバムのある個所専用カートリッジなんてところまで行くだろう。
それはそれでアリだという説もある。そこまで特化したものが作れたら最高かもしれない。
ただ、個人的には「どうかな?」と思ってしまう。やはりトータルでの判断ってものがある。
と、ここまでは割とまともな範疇でのカートリッジとの付き合い方だがここで一歩前進。
なにかというとカートリッジのエポキシ固めだ。
昔のMJ誌に紹介されていて、いつかは試してみたいと思いながら時は流れた。
とことんやるとMMカートリッジがMCカートリッジみたいな音になるとかならないとか?
いや、別にふざけた話しではない。
カートリッジの音は決める要素はいくつかあるとして、その一つがボディなのは間違いない。
一般にボディは丈夫で鳴きにくい物が良い。
樹脂モールドボディと金属ボディ。テクニカのVMシリーズなんかで容易に試すことが出来る。
簡単にいうと金属ボディの方が好ましい傾向にある。
知る中でMMにおいて強靭なボディというとシュアーのウルトラ500なんかが思い出される。
MCの例ではSONYのXL-MCシリーズに鎧を着せるか着せないかの違いなんてのがある。
ボディの強化にはそんな風にカバーを被せる形の物もある。
ウッドのケースを着せて…なんてのも訊く。
これから行われるエポキシ固めはコスト最小。それで効果が出たら万々歳なのだ。
特にVMSは端子板崩壊の対策必至だから嫌でも部分的には固めないと安心できない存在。
徹底したボディ強化をやるにはちょうど良い素材と判断する。
6月13日
エポキシ固め。
本当は針先だけ残して全面的にエポキシで覆ってしまう物らしいが、そこまで一気に行く勇気無し。
ボディ後端から固めて徐々に針側にと伸ばす。
取り合えず第一弾ということでここでストップ。
音を聴こう。
音だが、これがなかなか良い。
立派なもんである。
少なくとも悪くなったところは一つもない。
ただ、試みに、とノーマルのVMS-20EMK2を聴くとこれも良いのだ。
なんだ、というなかれ。ここから段々また詰めていくのさ。
それに両方とも良いっていう事は素晴らしい結果じゃあないか。
6月14日
その後のVMS20EMK2だが、少しエポキシで固める範囲を広げてみた。
書くと簡単だが間違うとボディが膨らんだのと同じになって盤を擦ったり、
針を刺すことが出来なくなったりするので少々気を遣う。
結果だが、それまでよりも落ち着いた音になったようだ。
ようだ、とは曖昧だがそれだけ微細な変化だ、ということと
急に気温が上がったりして来て、アナログの場合影響を受けていることもあり得るので
そう簡単に断定的なことは書けない。
この後だが交換針まで固めてしまうというのがあるが、ちょっとやり過ぎな気がするので
端の方を微量の瞬間接着剤で固定する、というのを試すくらいにしておこうと思う。
(フィデリックスの中川さんが公表されているやり方の真似だ)
あとはシェルリード線の固定というのがある。
ここもエポキシで固めてしまって構わないのだが、それをやるなら、これぞ!という線に取り換えてからにしたい。
リード線の固定については古来より知られる方法だからくどくどは書かないが
シェルリード線というのは絶対に振動している。
だからここをブチルゴムみたいなのでシェルに固定するのは理にかなっている。
ということなのだが第一幕としてはここで終わっておく。
続きはいつ頃かわからないが必ず続編を書きますのでこうご期待♪
Tさんありがとうございます。
改めて御礼申し上げます。