5月30日

今日の日記については書きたく
ない気持ちが強かった。

でも、
けじめとして書いておく。

写真に見えるはテクニカの
AT-ML170

針折れジャンクをこの度買って来て、何故か持っていたML
140の針を刺していた。



その段階で
音は出ていた。

どんな感じだったかは明日にでも書きたい。

ただ、そこまでで
わってしまった。

要するに
断線させてしまったのだ。

己の手落ち。

だからこそ海より
深く落ち込む。

もう、こうした気分は同好の士であればお分かりの通り。


しかし、今日書いておきたいのは以下の
二点だ。


まず、なんとか出来ないか、と超スピードで
診てくださった
オーディオの先輩の存在。

暗闇で、どれほど心強かっただろうか。

しかない。


そしてもう一つ。

例えば今回
震災に遭われた能登の皆さんなんか
そんなもんじゃない
被害に遭われているのだ。

カートリッジが一つ壊れました、なんてのと
桁違いの悲劇である。

こんな事で悲しんでいます、なんて言ったら
それこそ引っ叩かれる。


ということで
短命に終わったこのカートリッジの
インプレは明日(たぶん)。


5月31日

AT-ML170


これは前にもML180を拝聴した時に色々書いているが改めてスペックなど。

発売はなんと
1985年。CDが出て三年も経ってからのリリース。
それも新規リリースなのだ。
これには驚く。

お値段
3万円。今だったら幾らでのリリースになるのか…

VM型であることは説明不要だが
ボディがとにかくATシリーズと違う。

ベースがアルミナ系のファイン
セラミック
これは剛性でアルミの
3,4倍。音速で1,7倍というから期待の新人新土台というべきか。
カンチレバーは金蒸着ボロン。テクニカとして
初ボロンだった。
その根元にマグネットが二つ、なのだがその周辺にポリアミド樹脂にチタン系カリウムの微細な
ウイスカーを混入して
強度アップと徹底。
巻き線は
LC-OFC
これだけのボディを持ちながら重量を
7gに収めたのは立派。

アナログは終焉を迎えると思われていた時代だから、あるいはテクニカVMの
集大成を作ろうとしたのか?

それはわからないが手の込んだカートリッジを作り上げたものだと感心。

ちなみに姉妹機の
150140はいち早く発売されていて、150はベリリウムの。140はアルミのカンチレバーを
ぞれぞれ採用している。

もう一つ付け加えると上級機
180半年ほど後に登場。
マグネット固定部分にファインセラミックス採用。
そして
フラックスコントロールシステム採用で高域で起きる共振現象を抑え込んでいる。
これは発電のコイルの内側に別のコイルを巻いて相互の誘導回路で
高域共振を抑えるという凝ったものだ。

さあ、以上をさておいて問題は今回の個体である。

手に取るとずっしり
い。テクニカのシェル付きで売られていた。AT-LS18
重いはずだ。本体と合わせて25g級。

針はぽっきり折れている。そこで
140の針降臨。
嵌めてみるとちゃんと嵌った。
当たり前かもしれないけどホッとする。

針にはチップもある。後は断線していないことを祈るだけ。

…ゴシゴシしてみるとちゃんとボソボソ言った。良かった!あとはどうとでもなる。

さあさあ、これで
はどうよ??


EPA-100に25gは既にウエイトオーバーなのでいつもの補助ウエイト?を使う。

針を下ろして緊張の瞬間だがさて…


出てきた音だがなかなか
くて唖然とする。

なんとも
れた音である。ほかに言いようも無い。

かつて
ML180を拝借拝聴した際に、完璧過ぎていちゃもんを付けたくなる、
などと申したがそれとも違う。

しかしいつも言うことだがこの程度では驚かない。
寝かされていた時間が長かったろうから
しばらく運動が必要。

レコードを掛けては針先をクリーニング、を繰り返す。

するとどうよ、見事に音は
った。

結論を言うと、これは良い。

なんというか、非常に純粋に、これは良い、と言えるタイプだ。
まともな中での優秀作。

もしかすると、だが針が
140のアルミカンチレバーというのも良い方向に働ているかもしれない。
色々あるけどアルミは一番
無難な音に繋がるものだ。

しかしルックス的にはやはりミスマッチ。170のゴールドボディに140の針ユニットの黒はいかにも
不愛想で合わない。

実は170の針の折れ方まで確認して買って来ている。
根元を残してぽっきり折れているので
修復は可能。
ボロンベリリウムのカンチレバーをかけつぎしてくれる業者さんなり個人さんなども居る気配。
これが治ると二種類の音が楽しめるという夢企画。
いや、しかしこれだけ手の込んだボディのカートリッジもそんなに無いのだから試してみる価値はあるだろう。

テクニカはその後いわゆるAT-1××系は継続発展させたが、このAT-ML系は線材に
PCOCCを使った版を出して終えてしまっている。
まあコスト面で折り合わないだろうと思われる。
それは仕方ないが
交換針も払底してしまっているのが困ると言えば困ることだ。



さてさて、しかし問題は音である。
鳴り物入りで登場した
期待の新人が、鳴り物が多すぎて看板倒れになるなどよくある話し?





…と、以上はそれこそシェイクダウンをしながら書いていたものだ。

どうしようか大いに迷ったが
18gの重量シェルは針圧1,2の170に
どうしても似つかわしくない。
あと一歩の音質向上のためにはもう少し軽いシェルを…と
思ったのが
運の尽きだった。


念のためだがこちとらもど素人ではない。
カートリッジのピン側を
左手側の指でしっかり押さえつつ、
リード線は右手の指の
で少しづつずらすなど
これ以上無い注意を払った。

だが結局端子板の所の接着が完全に
いていたのですね。

ある意味リード線の圧でそこも止まっていた。

それを…

もうこれ以上触れたくない。

運命であろう。

またいつかAT MLに出会うだろうその日まで…

戦士よ静かに
眠れ


続きはこちらです

一つ前の日記に戻る

日記のMENUへ

表紙へ