5月11日
そしてOYAG本社?へ。
OYAG SOUNDのナンノさんとのお付き合いは密かに長い。
ただ、その本拠地への訪問となると24年ぶりとなる。
実は前回も奇襲だったのだが今回もそうなってしまった。
直前のアポ取り。だったのだが、「あ、なんと丁度空いているんです」と
言うことで喜び勇んでレッツゴーである。
しかし、やはりスゴイ人である。ナンノさんは。
聞けば、「今から行きたい」という人でお迎え出来なかったというケースは
過去に一回だけあった程度だというのだ。
それ以外は突撃訪問だろうが何だろうが受け入れが出来ているという。
つまり、「持っている」人なのだろう。
運を持っている人。運を味方にする達人。それがOYAG SOUND代表=ナンノさんである。
代表、なんて書いているが、元を正せば(ただし熱心な)オーディオマニアである。
人生の第二ステージとして取り掛かったら、見事に仕事に出来てしまった。超人である。
だが、やはり僕の中では〇〇代表の人、ではなくてナンノさんはナンノさんなのだ。
5月12日
さて、そのナンノさんの装置。
これはもうくどくど説明をするのは止めておきたい。
トーレンスが、マイクロが、SMEが…と揃うものは揃っている。
何よりスピーカーを見よ!
タンノイとアルテックが並んで置けるなんてどういうことだい?
どういう事もそういう事も無い。ここはそういう場所なのである。
広い。十分広い。だが無意味に広いというのではない。ジャストサイズだ。
防音は施されているが、それは爆音が外に漏れないため、というより静けさを確保したいから、という感じ。
なにより素敵なのが、母屋と地続きで、離れ、にはなっていない所。
普通に入れるという点でここはオーディオ応接室だ。
ナンノさん曰く、「良い歳をして子供部屋ならぬ大人部屋を作ってしまった」という事なのだが
これは子供部屋おじさんが引きこもりをする為の部屋ではない。
逆に世界に開かれた部屋なのである。
だから次々と人が訪れてはニコニコして帰っていく。
正に値千金の部屋である。
さて、その音だが…
5月12日
まずはタンノイから。
クラシックはもちろんだがジャズがやはり良い。
希少なオリジナル盤含め聴かせていただいて、こちらは夢見心地である。
モノラルもあればステレオもある。
悠然たる感じで超ワイドレンジでもある。
そういえばこのお部屋の天井裏には長岡式スーパーウーファーDRW-1M2が仕込まれているのを
よっしーは忘れていない。
だが、お尋ねしたら予想通り、今は鳴らされていないそうだ。
わかる。何故ならタンノイ単体で十二分に下の下まで出ているからである。
「無くて良いものは無い方が良いのです」とは長岡先生ご自身のお言葉。
そうそう、今タンノイが居る位置に、昔はバックロードD-55が鎮座していたのだ。
時は流れリファレンススピーカーも入れ替わったのである。
ここでアルテック登場。
タンノイも大きいがアルテックは更に大きいというか、デカい、という感じ。
これが余裕をもって置ける辺りがこの部屋の凄さである。
音だが当然良い。
タンノイとは違う良さだ。
ボーカルが良く、当然のように?管が良い。ホーンはホーンで鳴らすに限る?
音が気持ちよく飛んで来る。
おそらく、なのだがナンノさんもここ最近はアルテックの方をよく鳴らしているのではなかろーか?
ああ、それにしても途中途中でお聞かせいただくお話の面白いこと。
面白いと言ってもウイットに富んでる。
ユーモアがありペーソスがある。
エイプリルフールに「OYAGは上場しました」と書いたら信じた人が居た話しで盛り上がった。
ただ、いつか上場したとしても不思議で無い。それがOYAGだ。
5月13日
レコードクリーニングというのは、なんというか進歩の無い世界だ。
基本は柔らかい布で埃をふき取って…なのだが、そのやり方には限度がある。
いつの頃か水分を使ったクリーニングが市民権を得たのだが問題がその為の液体だった。
水道水で大丈夫という説もあるのだが、実際には時間が経つとまた汚れが現れるという傾向がある。
そこへ忽然と現れたのがOYAGレコードクリーナーだ。
試みに使ってみると大変塩梅が良い。
クリーニング効果もばっちりだが、なにより経年の変化もない。
扱いも容易である。
しかも極少量で済んでしまうからCPも高い。
願ったり叶ったりのレコードクリーナー。それがOYAGだ。
ひとつ難点があるとしたら、これじゃあ儲からん(笑)
あまりにもCPが高すぎる気がする。
間違ってボトルを倒しても、ドバっとこぼれることもない親切設計。
これでは駄目だ、と指摘したらナンノさんは笑っていた。
さてオーディオの話に戻ろう。とどめの第三幕は本格的VAだ。
ナンノ邸のVAは今も昔も変わらず、スピーカーマトリックスによるサラウンドだ。
フロント、ネッシーU。リア(サイド)リアカノンUの組み合わせは元祖方舟を彷彿させる。
5,1だのセンタースピーカーがどうとかは登場しない。
それが最も鮮度の高い。自然な繋がりの音場を生むと信じられている。
実際この日も素晴らしい絵と音だった。
一般人から著名人まで隔たり無く迎え入れるこのお部屋だが、〆は豪華絢爛なVA体験と決まっているご様子。
やるなあーと思う。
あっという間に時間は過ぎて最後は記念撮影(24年前もやった)とノートに足跡を一言の形で残す。
よっしーが書いたのは、「目指せ!上場」である。願えば叶うと信じている。
別れがたいのを無理して腰を上げる。
そうそう、最初にお部屋に入った時、良い感じでクラッシックが流れていたので
「ハイレゾでしたか?」と後からお聞きしたら、「これ」と指さされたのがpioneerのCDチェンジャーだった。
これには驚いた。もっとも一部でこの種のチェンジャーの音の良さは指摘されてはいるが。
デジタルアウトから(型番は訊かなかったが)DACに引っ張られプリに入っているとのこと。
音は人也、であって出す人は何を使っても出すべき音を出す。
逆に言うとトーレンス、マイクロ、上杉、タンノイ、アルテックと並べてみてもナンノさんと同じ音は出ない。
その人の人格以上の音は出ない、のがよっしーの持論である。
ただ、やっぱり音の応接間は良いな、と24年前と同じことを思いながら電車に揺られたのは事実。
さて、しかしそうした事はまた帰宅した後の話である。
旅はまだ続く。
そう、いよいよ恒例?ハードオフ巡り弾丸ツアーの始まりである。