4月19日
4月20日
若い頃受けた衝撃というのは忘れないものだ。
オーディオに手を染めた本当の初期にFMレコパル誌で見かけた一台のコンポーネント。
それはカセットデッキだったのだが一見カセットデッキに見えなかった。
なぜって、どこからテープを入れるのかわからなかったからだ。
Nakamichi700。
それがそのデッキの型番だった。
700。型番がそれだけというのもスゴイが、とにかくカッコいいというか
そのスタイルに衝撃を受けた。
正に、ガーン、という感じだ。
そして700とか1000とかいうのはカセットデッキにして独立3ヘッドを搭載している
稀有な機械だということも併せて知る。
なんだ?3ヘッドって?そんなに特別なのか?とときめくあたりが可愛い。
しかし高嶺の花である。ナカミチというのはウチには来ないものだと決めてしまった。
それがひょんな事から、とうとう来てしまった。
4月21日
ナカミチがどうこう言う前にカセットデッキの話である。
その昔、オーディオの主役はカセットデッキだった。
違うとは言わせない。当時の学生はカセットテープ無くしては音楽を聴くことが出来なかった。
FMエアチェックだと言ってはカセットに録音。
レンタルレコードを借りてきてはカセットに録音。
屋外での主役はウオークマン族だが、テープを作るのは室内でカセットデッキだ。
CDが出てもDATが出てもカセットの座は揺らがなかった。
MDが出てようやくカセットは定年を迎えた感じだが雇用延長の如く21世紀に入ってもカセットは
簡単には退役しなかった。
と、それにしても昔は録音という行為がこんなにも身近にあったのだと思う。
今、録画をする人はいるかもしれないが録音はどうだろう?
もはや音楽は手元に置かなくても。ダウンロードさえしなくても
聴けるものになってしまった。
40年の昔、あんなにも人々が録音という事をしていた事を
今の人たちは信じられるだろうか?
見方を変えると、現世には録音機は不要だと言える。
だが、愛好家はたくさん居る。
よっしーは”録音機には手を出さない”を信条にやってきたし
今後も変わることは無いと思うが、カセットデッキの愛好家にはほど遠いし
まじめにやっておられる方達の前で何か語れる立場ではなない。
それでもご縁で来てくれたモノ達には真剣に取り組む。
それで、初 ナカミチ(据え置きカセットデッキとしては)だ。
4月22日
さて、ナカミチ。
ナカミチにも色々あるのだが今回降臨は480Zという型番の物。
1981年発売。
99,800円。
先代にZの付かない480があった。
1979年発売で79,800円。
違いはというとDolbyCの搭載であったり、メーターがアナログメーターから
LEDのピークレベルメーターに変わったりだ。
この480というのはナカミチとしてはエントリーモデル。
上位機種の481Zや482Zが3ヘッド構成なのに対して480シリーズは2ヘッド。
しかしダブルキャプスタンにテープパッドリフター搭載とやることに抜かりはない。
よっしーは3ヘッドという言葉に弱いが、これはガキの頃の憧れをそのまま引きずっているからで
本当に3ヘッドの方が2ヘッドより良いのか?と問われると答えに困る。
たぶん、究極を目指すならともかく、一般的にはカセットに3ヘッドは必要無いと想像する。
さらに言うなら3ヘッドの弊害も無いとは言えない。
コストの上昇や安定性を考えると2ヘッド優位説も勿論ある。
こんな話をしていると、かつてホンダが、「400ccは2気筒で十分」と言っていたのを思い出す。
CB400Fを消してHAWKUを発売。3バルブ2気筒のそれは、色々な意味で革新的なモデルでもあった。
しかしやがてカワサキがZ400FXを導入しヤマハがXJを、スズキがGSXを発売するに至り4気筒モデルを発売せざるを得なくなった。
ついに「二巡目のトップバッター」とのお題目と共にCBX400F発売。
ま、それらが魅力的なモデルであったことは間違いないが、実は400には二気筒のスリムで軽いモデルの方が
似合っているというのがよっしーの見解。
これは多分間違っていない。
実際HAWKUは優れたバイクだったし、HAWKVもあればスーパーHAWKなんて究極のモデルもあった。
だがしかし、歴史に名を遺すという意味ではやはり4気筒マルチだろう。
この辺はもうどうにも仕方のないことなのだ。
話はいささか脱線したが、つまり3ヘッドだから良いとか2ヘッドだから駄目だとか、
そんな風には言うことはできないということ。
さて、480Zだが…
4月23日
さて、480Zだが…と言いたいが、この個体なんと動かない。
実に綺麗な個体というか傷一つない。これは凄い。
しかしどんなに美しくても動かないのは困る。
もちろん不動であっても所有しているだけで幸せな物というのもあるだろうが
480Zには動いてほしい。
いきなり開腹というのもいかがなものかと思ったが仕方ない。
開けてみると中ももちろん綺麗だ。
ベルト切れだろうという予想は簡単に裏切られて、キャプスタンベルトもしっかり存在するし
問題になりやすいモードベルトも十分なテンションを持っている。
逆に困る。どうして操作を受け付けないのか?それも一切の、である。
困りながらも指を突っ込んでどこか固着していないか?と探り続けるボク…
しかし動かない物は動かない。
うーん…と段々と手荒になって行くのはよくある話。
するとある時…
ある時突然480Zは動き出した(!)
というか起動した。
テープは回るはメーターは振れるわ。音はでるは…
いや、音が出てよいのである。
しかし一体何事?
どうやらカセットリッドを閉めたときに作動するスイッチが接触不良を起こしていたようなのだ。
この経験、以前SONYのTC-K75でもあったことではないか。
まあ良い。とにかく動いた。喜ばしいではないか。
やっと我が家にナカミチが来たという気がした瞬間であった。
4月25日
回った。音が出た。
第一段階合格。
…なのだが音は変である。
ローブーストハイ落ちとはこのことだ?
どうもいけない。
アジマスが?なんて言ってはいけない。
そんなところに手を出したら大変だ。
どうももっとベーシックなところで信号の通りが悪い予感。
さてさてナカミチ…
4月27日
しかし道は開ける。
pippinさんのお導きでナカミチのコミュニティへ。
症状を書き込んだらあっという間に疑わしき物の指摘を
して頂いた。
それは何か?というと録音モード再生モード切替スイッチである。
これはメイン基板上にあってテープ回転メカから延びるワイヤーで
駆動される比較的大きめなスイッチだ。
録音信号も再生信号も必ずここを通過するとなると、
これは確かに重要なパーツである。
スイッチの処理というのは取り外して分解クリーニングが王道なのだが
今回みたいに多接点で、しかもワイヤー駆動でその位置決めも大切、なんて
物にそんな事をするものではない、と判断。
そのままケイグを点滴する事にした。
セルフクリーニングみたいなものだから注入してはデッキを
録音モード、再生モード、と何度も何度も繰り返して動かす。
それしか思い浮かばなかったのだ。
(あんまり基板に液体があふれ出すのは好ましくないのでティッシュで養生)
しかしこれが正解。
最初の段階で信号の通りは80パーセント回復、みたいになり
再び同じ作業を繰り返したことにより100パーセントOKとなった。
これをもって、ナカミチ480復活と言って良いだろう。
続きはこちらです
一つ前の日記に戻る
日記のMENUへ
表紙へ