3月26日
Technics SL5。
いきなり小さい。
DP-3000をレッドコンソールに収めたプレーヤーと比べると
いきなり半分以下になった感じだ。
さすがジャストジャケットサイズである、と改めて関心。
音も半分以下かというとそんな事は無い。
若々しくキビキビした音は魅力的だ。
ただ、重量感だとか実在感だとか言い出すと
さっきまでここにあった重量級プレーヤーには到底及ばない。
それは比べる方がアホなのであって
125ccには125ccの良さが。
750ccには750ccの良さが、それぞれあるってもんである。
レコードプレーヤーのあるお洒落な暮らし。
SL5が目指すのはそちらだと僕は思う。
3月27日
アナログプレーヤーの操作で、不慣れな人が一番緊張するのが
針の上げ下ろしだろう。
盤に傷をつけるのではないか?
よっしーなんかも、気にするのはいつもそれだった。
よしんばリフターがあっても、盤のスタート位置に正確に針を下すのには
難儀なもんだ。
…というような事は有史以前から…は大げさだが大昔から解決すべき課題だったのだろう。
やがてオートプレーヤーという物が生まれる。
世界初のオートプレーヤーが、いつどこで生まれたのかは知らない。
ただ、ダイレクトドライブのフルオートプレーヤーの第一号ならわかる。
そう、テクニクスのSL-1300だ。
3月28日
1974年発売。当時69,800円。
マニュアル機の1200はそれに先立ち1972年に発売されている。
SP-10で始まったダイレクトドライブブームを定着させる役割を果たしたのが
1100。そして1200だったとすると、それにフルオート機構を盛り込んで
いよいよ家庭のリビングにまで浸透させようというのが1300の使命だったのではあるまいか?
淵にストロボパターンが刻まれたプラッターは1200譲り、と言いたいが
実はこのプラッターの裏側にはモーターの回転部が仕込まれている。
そしてボディ側にはモーターの固定部があって一体構造とされている。
実に巧妙なやり方で、製造コストも抑えられるし、製品トータルとしての精度は上がるしと
良い事づくめ。
カチッとした作りのダイキャストボディはオート機構を与えるのにも好適。
狂いがあるとオートプレーヤーとしては困るのだ。
トーンアームはお家芸になって行くジンバルサポート。
基礎体力抜群の上にフルオート機能である。まさに鬼に金棒。
デザインも良い。スイッチ類などに、いかにも時代を感じるが、それでいて現代にも十分通じるところを
持ち合わせているのがテクニクスらしさか。
さて、フルオートと言っても後年の電子仕掛けてんこ盛りとは違うから
レコードのサイズなんかは人間が選んでスイッチを操作しなくてはならない。
この辺りはSL5などの方が便利なのは確かなのだが、経年で部品が劣化すると手に負えなくなるのは
新しい世代の物たちなのだ。
機械的なリンクによって操られるオート機構は、その点有利である。
有利である。
有利である…
はずだったのだが…
3月29日
はずだったのだが…
組み立てて、カートリッジを装着して。
そうそう、テクニクスだから、とEPS-271をチョイス。
で、盤を置いてスタートスイッチを操作すると…
わお、アームが暴れている。あらぬ位置に着地しようとするわ、かと思ったらちゃちゃちゃちゃ、と
盤にタッチしながらスタート位置に戻ろうとする。
前代未聞の暴れん坊である。
言うことを訊かない奴も嫌いじゃないが、オートプレーヤーでこれは困る。
というわけでいきなり開腹の儀となってしまった。
調べてみると、やはり古いグリスの固着が原因になるようだ。
各バーツを取り外してのクリーニング&再グリスアップが推奨らしいが
そこまでやると直すつもりが壊すにもなりかねない。
だからここはよっしー流で、ということでパーツを外したりはしないで
パーツクリーナー噴霧でグリス洗浄。
ここはもう惜しみなくパーツクリーナーを噴く。
そしてティッシュやら綿棒やらを使って流れ出てきたグリスを除去。
仕上げはシリコンスプレーである。
もちろんこのやり方はベストでないだろう。しかし失敗を考えると悪くないやり方だ。
それでもアームから出ている信号線を一度は半田を解いて、また付けるという作業だって入るのだから
全くのビギナー向けの作業ではない。
さて、これで直っていなかったらショックだな、といつもと同じことを思いつつ裏ブタを閉めて元へ戻す。
3月30日
裏ブタを閉めて元へ戻す。
はやる心を抑えたりしないで?音出しへ。
テスト用プリはPRA-2000かSY-88かの二者択一だが取り合えず2000へ。
恐る恐る、スタートスイッチをカチャンと…
するとアームが…
おお、暴れたりしないでLP盤の淵へと向かうではないか。
いや、当たり前と言えば当たり前なのだが…
そしてカートリッジは無事盤面に着陸。
音が出て、これはなかなか良い音だ。
カートリッジはEPC-271のままだが、271の持ち味である低い方の厚みがちゃんと描かれている。
しばらくご満悦で聴いてたのだが気になる挙動がいくつか…
一つはどうしてもリピート再生しようとすること。
盤のお尻まで行ってリフトアップして戻ってきて、もう一度演奏しようとするわけだ。
頼んでいないのに余計なことをするのは困る。
これはもう一度開腹してチェックしてみないとわからないかもしれないし、その内収まるかもしれない?
それは良いのだがもっと問題は音が時々片側出なくなること。
それも右なら右と決まっていれば良いのだがある時は右。ある時は左、みたいな感じだ。
お決まりのシェルコネクターの部分やらなにやら磨く。その内プリをSY-88に換えてみたりもしたがイマイチ。
結局出力ケーブルのピンジャックが問題ではないか?と思い至った。
このピンジャック、取り換えられているのだが、全体に状態がよろしくない。これを端子クリンで磨いて、
多分収まった。
あるいは今度ピンジャックを。あるいはケーブル全部を取り換えてしまうかもしれない。
もうひとつ、これも気になったのがアームのカウンターウエイトがゆるゆるであること。
謎である。あるいは他のアームのウエイトが紛れ込んで届いたのか?
考えていても仕方ないので悩んだ末アームパイプにほんのちょっとだけテープを貼った。
お見事、これでカウンターウエイトはだらしなく無くなった。
以上を施した上でカートリッジをエンパイアの2000Tに交換。
やはりワングレード上がる感じで、とても良い。
それにしてもSLシリーズのプロポーションって、どうしてこんなにも完璧なのだろう。
これを基準にすると他のプレーヤー達がカントリーガールみたいに思えてくると言ったら言い過ぎか。
3月31日
SL-1300。
現時点で、勝手にリピートモードに入ってしまう問題の解決には
至っていない。
これはもう一度開腹をして徹底的に各バーツを洗浄して
グリスもちょっと付けたりしながら点検をしないとならないだろう。
それは良いのだが(良くないが)
もっと困るのが片チャンネル導通が無くなってしまうこと。
アームケーブルをカットして新しいプラグを取り付けたりしても
解決しない。
結局がシェルコネクターのところの根深い接触不良なのだがかなり根深い。
場合によってはアーム先端をいったん分解しないとならないかも…
そうした事を除ければ使いやすく、かっこよく、
そして音も良いプレーヤーだ。
もう一度EPC-271を付けて聴いているが
さすがに相性が良いというか持ち味をきっちり出してくる。
またルックス的にも合う。
心憎いばかりである。
さて期末。
明日から新年度入りである。
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