1月1日
新春のご挨拶を…と用意を始めたら地震である。
震源地近くの方たち。どうかみなさんご無事で…と
書くことしか出来ないが、なにとぞ…。
1月4日
昨年の訪問記からスタートです。
1月5日
昨年のことだが某市にGさんを訪ねた。
Gさんとのお付き合いは長く、気づけば20年超えである。
拙宅には何度かお越しいただいているのに当方がお邪魔するのは
今回が初めてということで大変失礼をして申し訳ない。
さてしかしGさんのオーディオ。
これまで何となくはラインナップなどや活動などもお聞きしていたからまだ
良かったのだが、その扉を開けた途端圧倒というか圧巻というか…
正に装置から後光が差す感じ(実際逆光でそうなっていた)。
という事で今回はラインナップからご紹介。
スピーカーはAvalon AcousticsのAscendant。(アセンダント)
これが広々とした空間に、ぽつんと立っている様が既にハイエンドのかほりである。
(こういう言い方はGさんはお嫌いかもしれないがよっしーの感想ということでご容赦いただきたい)
17.5cmコーン型ウーファーを2個搭載。そして高域には2.5cmチタンドーム型トゥイーターを配備。
外観は最高品質の表面木材を家具職人によって手作業で選別し、プレス接着の後
ハンドワークで整形…なんて書いていてもどこかのページのコピペみたいになってしまうから
これくらいで。
幅254x高さ940x奥行330mmと置きやすいサイズで重量も35kgと過度ではない。
こうしたスピーカーを選択されるあたりにGさんのセンスが光ると思うのだがそれについては
おいおき詳しく説明したい。
1月6日
これを駆動するアンプはJeff Rowland Design GroupのConcerto Preと
同じくJeff Rowland Design Group; Model 501の組み合わせ。
Concerto プリだが、シャシーに航空機グレードの6061ハードアルミ採用。
というかそれの固まりから切り出した?
贅の極みみたいな作りである。
501はICE パワー搭載で高効率のハイパワーアンプ。
入力トランス付きであるところもユニーク。
完全バランスアンプでもありモノラルアンプでもある。
さて、入力ソースだがデジタルのファイル再生ももちろん可能なのだが
主役はアナログ。何しろラックの上には三台のアナログプレーヤーが鎮座ましましている。
それもいずれ劣らぬ名器ぞろいだからたまらない。
まず第一プレーヤーと目されるSpiral GrooveのSG2。
あんまりお値段のことには触れないで帰宅したが、あとから調べたら250万円のプレーヤーである。
駆動はベルト。12Vのシンクロナスモーターである。
パッと見て特徴的なのがプラッターで、硬質アルミニュウムと厚いフェノール樹脂の層と
ビニール樹脂。特殊グラファイトの薄い層で形成と、一種の積層であって、しかも磁気フローティングされている。
重量24kg。
ここに加わるアームがGraham EngineeringのPhantom 2L。
ワンポイントで有効長246,1ミリと標準型。
とはいえ735,000円と家が買えそうな?お値段だ。
それに対しConstellation AudioのPerseusw/D.C. Filteというフォノイコが配されている。
1月7日
続いて第二プレーヤーだがNottingham Analog StudioのSpacedeck HD。
10インチくらいの標準アーム対応グレードで税込みだと80万円台のプレーヤー。
フォノイコはSutherlandの PhD。
ただ、当日こちらのプレーヤーだけは稼働されていなかった。
そして第三の男ならぬ第三のプレーヤー。
それがNottingham Analog Studio; Interspace HD
ノッテンガムはラインナップが豊富なので選別しての説明は難しいが
(よっしーが日頃縁遠い世界なので)
この機種は更に上級の機種と同様の亜鉛合金製プラッターを採用。
一般にはこれ以上の機種は不要とされるモデルだ。
上級機との違いは、プラッターとモーターが同一プレート上にセットされていることだというが
その方が扱いに間違いが無いと思うのは私だけ?
カーボンファイバー製アームが装備されているようだがGさん宅ではSAEC WE-407/23が装着され
多種のカートリッジを交換して使うという戯れる要素を残しているのがさすが。
で、ここからClearaudioのBasic Limitedに導かれ、これだけが?唯一親しめる価格帯の製品なのだが
クオリティはとんでもなく高いことがこの後実感されたMM/MC対応フォノイコライザー。
更にまだあとでご紹介する物たちもある訳で、これはもうスゴイ装置である。
数だけならよっしーの部屋も負けないかもしれないが、よっしー手持ちの装置を全部売り払っても
この部屋にあるプレーヤー一台だって買えないだろうと変なところに感動してしまう。
で、さっそく音を聴かせていただくのだが…
1月8日
で、さっそく音を聴かせていただくのだが…
頂くのだが、一発目がジャニスイアン。これを聴いた途端、よっしーは白旗を挙げた。
まずスピーカーが完全に消えている。そして音はとってもチャーミングなのである。
このチャーミングという印象はずっと感じ続けた。
変な例えだが本物の令嬢とでもいうか。
生まれも育ちも一流というか、後からとってつけた様な礼儀正しさや清楚さではなくて
生まれた時から自然に身に着けて来たようなゆるぎなさを感じる。
一代でのし上がった、のではなくて代々資産家、みたいな感じ。
伝わりますか?
ソースはアナログが主体だがファイル再生にも取り組まれているので織り交ぜて聴かせていただくと
こちらも良い。
ハイレゾぞろぞろ、というよりもCD音源を取り込みました、みたいな感じで軽く楽しまれている。
ひとつにはディスクが増えすぎて管理が大変になったから、というのがあるみたいだ。
タブレットでスマートにコントロール。
ファイル再生はこれでないといけない。
1月9日
とはいってもこの日の主役はアナログ。
第一プレーヤーにはZYXの高いヤツが。第三プレーヤーにはシェルターの、これまた高級な感じのが付いているのだ。
ジャンルはオールラウンド。変な障壁は一切ない。
それ故こうなってしまうのか、と思ったがソフトの量が半端ではない。
なにしろ六畳くらいの部屋がひとつ、ソフトのために捧げられている。
ひとつ面白かったのがマスターサウンド盤がやたら多い(笑)こと。
ここだけは拘ったのか。拘ったとして何故なのか不明だが、市内で一番マスターサウンドを持っていると、
それだけは言える、とおっしゃるGさんだが、内心僕は都内で一番ではないかと思ったほどだ。
で、既に何人かの方から、「Gさんって何者ですか?」とお便りをいただいている。
無理もない、このラインナップである。
しかし残念ながらGさんは極めてノーマルで飄々たる人である。
気負ったとか肩をいからせたところはまるで無い。
掛けて頂いたソフトの中には、「これってもしかして一枚〇〇万円…」なんてものも含まれるのだが
特別扱いは全然無い。
すごーく高いお酒もあっさり開けて、「飲みましょ、一緒に」とかいう感じなのである。
ハードにもソフトにも愛情は注いでいる。だがあくまでもそれはいい気持ちとか楽しい気分というもののために有って、
それ以上でもそれ以下でもないというスタンス。
コレハホンモノ、なのである。
さてここからそれこそお楽しみも始まるのだが…
1月11日
その後はお楽しみタイムということでWE-407/23にコレクションのカートリッジを色々装着して
各々の違いを味わうなんて贅沢なこともさせて頂く。
ちなみに保有されているカートリッジの数は、100は無いというが50ではきかない、ということで
推定70〜80くらいか。
経験して手放したという物もあるのだからこれまで100本オーバーの体験があるとみた。
どれを聴くかのチョイスはよっしーに任せて頂いたものだから思いっきり好みが出る?
例えばDL-103なんかお聞かせいただく。
それも通常版と初期型(ボディ艶あり)の比較なんて贅沢なことをさせてもらう。
普通の103も素晴らしく良く鳴るが、ハイエンドカートリッジ群の前では分が悪い?
それでも初期型に変えると善戦する。
103好きを自任するのならやはり手元に一本置きたいアイテムだ。
次いでDL-103SA。
2007年に2,000本限定で生産されたモデルで当時73,500円。
6N銅線にグラスファイバーコンポジットボディ。
針圧その他の規格は103踏襲という形でお値段は随分アップ?
だが、音を聴いてみるとその価値がわかる。
103の限定版というのはある意味難しいというかなんというか…
103の面影は残さないとならない上に違いも見せないとならない。
なんだか煩い上司に睨まれながら結果ばかり求められるサラリーマンみたいな感じだ。
しかしこのSAはさすがというか、103族であることを意識しながら見事にリファインを果たしている。
103もここまで来たか…と、ある種の感慨に浸れるカートリッジだ。
実はこのカートリッジ、発売時Gさんはよっしーに貸し出しをしてくださっていた。
だが、その頃ちょうどよっしーの部屋冬の時代というか、子供たちに部屋を明け渡して音出しもできず…
ということで未聴のままお返しするという失礼をしたのだった。今思っても申し訳ない。
続いて…
1月12日
続いてSAEC。
C1である。
これも案外よっしーが聴いたことが無いということでリクエスト。
1984年発売。
考えてみるとSAECはアーム。ターンテーブルシート(マット)、
シェルにターンテーブルデッキと色々出していたがカートリッジは無かった。
この時期の発売という事に改めて驚く。
当時4万円。
設計者はコンダクトでカートリッジを作っていた
サエクの社長さんということだからYC-05Eの遠縁という見方もある。
だから、という訳でも無いだろうが組み立てにも接着剤の使用を排除。
各所ネジ止めでしかも削り出しの高剛性ボディということで重量は9gと軽くない。
これに同社のULS-3Xでも持って来ようものならあっという間に27g級になってしまう。
それにしても1984年の、それも後半になってリリースされているところに時代を感じるというか
まさかCDの普及があれほど速いとはSAECも思わなかったのか。
音だが噂には聞いていたが太い線を描くもので安定感があるしか細いカートリッジばかり多いと
お嘆きの諸兄に…というところ。
これは貴重なカートリッジである。
で、やっと念願のC1を聴けたと喜んでいたら
同じSAECでこれまたとんでもない物が飛び出して来て。
なにかというと…
1月13日
なにかというとこれ↑である。
と言われて、見て一発で分かる人がいたらかなりのSAECマニアである。
これはC11。
レアという意味ではかなりのものだと思う。
なにしろネットで検索してもほとんど情報が出てこない。
もちろんMCだがいつ発売されたんだっけ?
出力0,25mVとC1の0,4mVと比べると大人しい。
適正針圧2gとやや重めを要求。
重さ9,5gとC1より更に重い。
以上からC1の思想を受け継いだものと思われるがさて音は?
C1に続けて聴いたので印象に引っ張られた気もするが
基本的にはどこか似た路線。
ただ、C1の方が個性が強く11の方が万能型的な気がした。
まあそれより何より滅多にお目に掛れないレアカートリッジを経験出来たこと自体に感激。
あるところにはあるもんだ、と感心してしまった。
続いてはMC-30S。
オリジナル30も希少だがSでもそれは変わらない。
というのも価格が高かったからだ。
20は大衆的な値付けであり大量に出回った。
だが30はそうはいかない。
MC-30SについてはGさんご自身のオススメでお聞かせ頂いた。
ちょっと聴いてみてください、という訳だ。
針を落としていただくと…
1月14日
MC-30Sだが実に艶めかしい音がする。
独特の艶が乗るとでもいうのだろうか、弦であるとか女性ボーカルとかで
時によっては捉えられて離れられない魅力というか危険性を持っている。
そうそう、初代30の体験は20数年前にやまもとさんのスタジオでさせて貰ったのだった。
さて、この辺でGさんの装置自体のお話に戻る。
ひとつ(本当はたくさん)紹介していない物があった。
これだ。
これは?大きなパワーアンプ?
…と、よっしーも思っていたら違った。
なんとバッテリー駆動のクリーン電源なのだ。
品名はSTROMTANK S2500
そのサイズ480 × 450 × 300 mm。重量55kg。
そこからわかるように容量も半端ない。2,500Whである(!)
消費電力500Wで連続使用して単純計算で5時間使用可能。
つまりパワーアンプを含みシステム全部をバッテリードライブ出来るというわけだ。
そのまでやるか、と言いたくなる巨大バッテリー。
どうも商用電源の美しく無さに困り果てた末の導入決断だったご様子。
ただ、実際には今お住いのところの電源はそこまで酷くないらしく、
バッテリードライブ以外でも美音は保証されている。
ではなぜ?というと将来またオーディオをする環境が変わった時に大丈夫なように、
という先まで読んでの投資なのだ。
お値段税抜き330万円らしいが必要と思えば迷わない。
こういうのを英断という。
しかし、こんなもんとても買えませんヨ、とよっしーの顔に出ていたのだろう。
「こういうのもありますよ」と紹介頂いたのがAnker PowerHouse 90というポータブル電源だ。
容量24,000mAhだからパワーアンプまで駆動なんてことは出来ないが、上流機器だけなら
バッテリードライブ可能になる。
現行品で2万円くらいだから、これならよっしーでも120回分割払いでなら購入可能である。
ちなみにこの小さい方のバッテリーはサブシステムの方で活躍するようで、
そちらのラックにはTechnics; SL-10
Nagra; BPS
Tuner Kenwood; L-03T
Cassette Nakamichi; CR-70
DAT Sony; DTC-2000ES
DAC Prism Sound; Orpheus、
と言ったところが納められていて常時音出し可能。
少し気軽に、という時はこちらで音楽を楽しまれるご様子だがクオリティは充分高い。
1月15日
最後にソフトをご紹介。といってもGさんの莫大な所蔵品の中の、これはほんの一部である。
この日は図らずもマスターサウンド盤祭りみたいになって(正しくはよっしーがして)しまったが
特に高音質盤を血眼になって探していますという訳ではない。
Gさんにとって、単なる趣向の一端である。レコードは一部屋を使ってたっぷりと蓄えられているのだから。
とにかく泰然としておられる。
だが秘めた情熱は半端ではない。そうでなければ金銭的にもここまでの投資はしないだろう。
己の気持ちのままに永年付き合って来たらこうなったんです。そんな風にGさんの横顔が語っていた。
よく言われることだが車などを趣味とした場合の生涯のお金の掛かり方と比べると
オーディオだけが突出して浪費趣味という訳ではない。
外へ出て起きることとのリスクなど考えると実にかわいいものである。
もちろん趣味ゼロが人生のコストパフォーマンス的には無敵かもしれないが、このページを読みに来てくれるような人にとっては
それは論外というものだろう。
ひとつの事とじっくりしっかり取り組むことの静かな凄み、みたいなものを、この日は味わった。
Gさんありがとうございました。ぜひまたお邪魔させてください。
日記を読まれた方の中から、次回は私も、というお声が既にあがっていますよ♪
最後にひとつ。
Gさんが今回日記に登場してくださったのはある方に「自分は元気にしていますよ。そちらはどうしていますか?」の
メッセージを発するためだった。
そのある方とは、shuksさんだ。
shuksさん、いかがされていますか?
10年前、20年前のように又一同で集おうではありませんか。
いや、その前にこれをお読みでしたらぜひご一報を。
Gさんがどなたかも、shuksさんはおわかりですよね?
…ということでこのメッセージをもってGさん宅訪問記は終了です。
ありがとうございました。
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