11月16日
11月17日
昔僕らはアホでした。
ええ、そして僕は今でもアホでんがな。
オーディオ界の競争ではカンチレバーの実効質量みたいにあ
軽さを競う物もあればやたら重さを争うものもある。
かつて重量について最も熱く語られたのはアナログプレーヤーであろう。
キャビネットは重いほどよい。
…かどうか知らないが若さは重さへ走るのだった。
そう、若さは金が無いが行動力はある。
だからコンクリート流し込んで総重量100kgなんてとてつもない物を
作るのも朝飯前だった。
(どうやって運ぶかまで考えたのだろうか?)
一方でもう少しお金のある人は流麗(かどうかは知らないが)な
メーカー製なんかを買った。
上の画像で右のはSAECのターンテーブルデッキ。
厚さ45ミリ。奥行き410ミリのムクの(!)特殊鋼製でターンテーブルを載せると
総重量40〜50kgになる。
Wアームトリプルアームも可能ということで
俗にいうオーディオ貴族の世界だ。
ちなみに左に写っているのはトリオの原器、ということで
後にL-07Dとして市販されることになる。
で、今回登場は…
11月19日
LEADコンソール。
これはレッドコンソールと読むらしい。
'70年代終わりころからのオーディオ誌では
たびたび広告を見た気がする。
見た…が、到底買えるものじゃなかったし、
そもそも単体ターンテーブルなんてのは夢の又夢だったのだ。
この様に基本構造は積層の合板+鉛。
一般ユーザーでも、やってやれない事は無いが簡単ではない。
なにより美しく作れるか?というのが問題になる。
だからお金のある人はこうしたシリーズをチョイスした(筈)。
そして、シリーズによるがアームボード交換式というのもあり、
複数のアームを持つユーザーにはありがたい事だった労。
全般に長岡先生の積層合板+鉛ベースアーム交換式を
踏襲した形といって良いと思う。
11月20日
合板、鉛、そしてトップにはアルミだろうか、
綺麗に化粧されていて好ましい。
インシュレーターも独特の雰囲気だが上手に高さを稼いでいる。
重さを測るのを忘れたがもちろん重い。ずっしり来る。
ただ、とても持たない、という重量ではない。
これは大事だ。
次いでDP-3000をマウントするのだが
このターンテーブルは上方から三つのネジで固定する形.
だからラックの天板にプレーヤーキャビネットを置いて、
それからDPを載せるので組み立て容易。
次にアームだが、届いたこの個体のアームボード部分には
穴らしい穴が無い?
これは多分ダイナベクターDV-505をマウントしていのだと思う。
そのフォノケーブルを下に逃がすための小穴だけが開いていた。
という事で何かアームを選んで穴を開けて、なのだが
たまたまよっしーはこのキャビネット用のアームボードを
20年以上前から持っていた。
謙一さんから頂戴したのだと思う。
(お元気かしら?)
それにはWE-506/30用の穴を開けて頂いていた。
という事でアームはWE-506/30に決定である。
11月21日
それにしても適合するアームボードがあって、
しかもそれには穴が開いていてアームも取り付けてください
と言わんばかりの状態になっているなんて、お釈迦様でもご存じあるめえ、って
感じだ。
ただ、言っておくと今回のWE-506/30も取り付け位置はギリギリの感じ。
あとちょっとでもずれていたら、アームベースの締め付けナットが
レッドコンソールと干渉していたと思う。
当たり前だけど12インチの本物のロングアームだったら取り付け不可能。
やはりアームは10インチ長くらいまでの物が扱い易い。
WE-506/30もお尻はプレーヤーベースから飛び出してしまっている。
今回はそれで困ることのない環境だから良いが、場合によったら不自由する。
とかなんとか言いながらマッハで組みあがって、さてカートリッジは?
ここはせっかくだからスタントン+ピカリングの物をそのまま使用することにした。
ちなみにスタントンのシェルの上には元から2gの錘がついていて、
その状態で506/30でギリギリバランスしていたが、こんな時のために、と用意してあった
4gの錘を載せる。その方が多少なりとも余裕が生まれる。
プリはSY-88でメインはHMA-9500。スピーカーがG7と思いっきり昭和な組み合わせ。
いつものことではあるが…
さて、針を降ろそう。506/30にはリフターが無いので文字通り降ろす感覚。
11月22日
音だが、これは良い。もう第一音が出た瞬間から良い。
いつもこうだと良いな、と思いながら耳を傾ける。
まず何が良いってスタントンの680.V3+ピカリングV-15/DJの針という組み合わせの
カートリッジが良い。
”良い”を、どう説明したら良いのか悩むが、とにかく音楽を聴くのが楽しくなる。
”謳うカートリッジ”と評論家先生なら命名しそうだ。
その素性はJL-B37Rで聴いた時から明白だったのだが、今度のプレーヤーに差し替えたら
より一層際立ってきたと思う。
念のためだがJL-B37Rで聴いていて不満なんて特に無い。
隠れた実力機とでも言うべきか、中古市場でも大した値段はついていない。
ただ、DP-3000+WE-506/30+レッドコンソールと比べると、ちょっと分が悪い。
同じであってはそもそも困る訳で違って当然である。
同一カートリッジなのだが、その個性、美点が一層際立つ方向での変化。
これぞ正しいグレードアップの姿?
11月23日
さて、そんなに良いならスタントンでずっと聴いていれば良いのだが
差し替えてしまうのがオーディオマニア。
ふと、ビクターU-1E登場。
選んだ理由はシェル一体型で重さ22gとWE-506/30向け?だから。
シリーズ、目方のあるカートリッジ達、みたいな感じか。
パッと聴いて、やはり良い。
これを基準にすると、スタントンはやや丸みを帯びた感じにになる。
良い意味で絶対に刺激的な音を出さないのがスタントンだったが
U-1Eはそれよりもとがった所が出てくる。
それでも音の傾向は似るところもあって、もしかするとそれは
DP-3000+WE506/30+LEADコンソールの音なのかもしれない。
メガトンバカにはなるまい、と思うのだが、どうしてもオーディオにはある程度の重量が
欠かせないようだ。
それを否定するのは難しい。
11月24日
11月25日
シリーズ、”重い奴等”。なんてイイ響きだ。
…かどうか知らないがこの際重めの君たちに集合をかけてみたい。
ってことで今度はサンスイのSR-4040に付属のカートリッジ。
付属は付属なのだがこんな付属は珍しい。トランス内蔵カートリッジだ。
一説にはスペックス製だとか?SPUの向こうを張ったのだろうか。
まあこれは重い。シェル込 30gは拙宅にある約80個のカートリッジの中でも
最重量級かもしれない。
ひとつお断りしておくとこの個体はカンチレバー補修品。
我が家にはそうした類の物が結構ある。
無理もないのだ、何しろ生まれてから40年50年みたいな物たちの集まりなのだから。
純然たるオリジナルではないことと、もうひとつ、補修されるに当たって妙に長い物が装着されている?
なんでそうなった?か知らないがこうなると要注意である。
針圧なんかも音を聴いて探らないとならない。
それも言うは易く行うは難しで難儀する。
実測値で1〜1,2gの間くらいに良いポイントがある感じ。
音だが奇をてらったところはない。ただ、U-1Eやスタントンから切り替えると
はっきり違う音だ。
エネルギッシュなのだが大振りしてホームランを、というのではなく、
弾丸ライナーを正確に打って打率4割の世界。
柔道家が手を広げて迫るのではなくボクサーがファイティングポーズで
そこに立っている感じ。
貴重なカートリッジだが願わくばもう少し良い状態に戻して聴いてみたい。
となると専門家に頼るしかないか。
11月26日
三つくらいやったところで早くも飽きてきたがもう少しやろうか、
シリーズ重い物。
サンスイの物があまりに重かったのでさして重くないと感じてしまうが
DL-103SLだ。
別にSLが特に重いという事は無く、103シリーズはおしなべて軽くない。
シェルに15とか18を持ってくると途端にバランスしなくなる。
このSLもうちに来た時は18gシェルに付けられていたのが今は15gを使っている。
過去の記憶によればSLは無印103から最も遠い音がする(103Mを除く)限定版だった。
だが、今はそこまで尖った所は感じない。
それは主に、今のよっしーがそこまで違いを拡大して聴くことに興味を持っていない
ことに由来すると思う。
面白い物で、そうすると装置は大らかになるのだ。
ただ、ちょっと疑問も感じる。
せっかく色々持っているのなら違いは明白になるようにした方がよいのではないか?
そんな気も少ししている。
もうひとつ。愛するカートリッジはせいぜい5本くらいに納めて、それをせっせと聴いた方が
良いのでは?との思いもある。
特定のカートリッジに夢中になる。
あるいは自分が好きなアーティストの音楽をより好みに合わせて鳴らしてくれるカートリッジを
追いかける。
そんなあり方が正しいといつも思っている。
11月27日
そんなあり方が正しいといつも思っている。
ただ、ここは趣味の世界。正しいも間違いも無いのだ。
103SLも限定商品。現存する数は、当然ながらリリースされた数よりも減っているのだから
大切に扱わないといけない。
それにしても、これが当時3万円だったというのだから佳き時代だ。
今だと30万とかで出してくる気がする。
そう考えると勿体なくてあんまり使えない?
いや、限定品は気を付けないと本当に替えが効かないのである。
音だが極めてノーマル。
下の方に厚みを感じるのは103属に共通で、これをバスが効いていて良いと思えないと
103属のファンにはなれない?
正に富士山型のバランスだ。
11月28日
11月29日
出たな、ロンドンデッカ。
シェル込重量26g。重いのと言ったらこれかな?と思って引っ張り出した。
いや、真面目な話これくらいになるとロングアームも張り切ろうというもの。
しかし本当に重い。
重い、のは良いがこのカートリッジをまともに使いこなしたと思えたことは
過去に数えるほどというかほぼ無いという方が正しい。
現代版ではあるがバリレラ方式。それなりの神経質さを持っているのだ。
今日は当たるか当たらぬか?ドキドキしながらセッティング。
で、こういうことを言うといかにもマニアだが、長年やっていると
セッティングをしてアームレストにアームがある位置で、針先をゴシゴシやった時、
”ああ、大体こういう音”というのがわかってしまう。
やはりこのカートリッジの音は独特である。
キリっと引き締まって体脂肪率理想値の世界。
もうちょっとふっくらと…と言ったら、”実家に帰って母ちゃんに甘えて来な”と
言い返されそうな感じだ。
常に筋トレとプロテインを欠かさない奥さんみたいな風情。
それを手なずけるよりも、そのままを味わうのが正しいのだろう。ご機嫌取りも難しい気がする。
しばらく固定して聴き続けるのが一番の使いこなしと思う。
ただ、このカートリッジ、当時でも18万円くらいして
最終価格40万円近かったみたいで(!)、そう考えるとやっぱりあんまり気軽に聴けない。