11月11日
ある日仕事で訪れた先にドフがあった。
帰り道、仲間に手を振って別れを告げて店内へ。
ざっと見て今回は出物無しかな、なんて一人ごちて帰ろうかと思った矢先アンテナに何かが…
おお、あるじゃないか、ビニール袋に無造作に入れられたカートリッジが。
音出ました、となっているがどうせ針先をゴシゴシしたらぼっぼっって言ったくらいの意味だろう。
そうじゃなければ袋入りで壁に吊るされるなんて悲劇である。
見かけた時点で買い決定。
なぜってシェルが立派でSTANTONの物で錘をネジ込めるタイプ。
1,650円でシェルを買ったと思えば安いものだ。
可哀そうな君、オヂさんが助けてあげるからね、とよく見ればカートリッジもSTANTONじゃないか。
帰り道スマホでさっそく検索。こんな時間が楽しいのですよ。
型番680.V3。
戦う正義の仮面ライダーV3。(違う?)
どうやらDJ用っぽい。
さて、しかし詳しい型番の話しの前にSTANTONのカートリッジって持っていたっけ?
と考えたら初めてだった様子。
頭の中でSTANTONとPICKERINGがこんがらがっているようだ。
ただ、それも無理はなくて両社は姉妹会社。
スタントンはピカリングの社長の名前で、ピッカリングが主に民生用。
スタントンが主としてスタジオモニター用という棲み分けだったみたい
(別冊FMfan17号 長岡先生のカートリッジフルテストより)
だが、その後もその傾向は続いたのか、スタントンはクラブ等の業務の分野で
名を馳せている。
11月12日
スペックを調べてみると針圧2〜5gと、これはやはりDJ用と、というか業務目的っぽい。
出力も7,0mVと高いのがそれを裏付ける。(3,9mVという説もある)
重さ6,3gは扱い易い。
お値段当時税抜きで5,800円くらい。
…と調べてみても現状音が出るとは思えない。
針は折れて、というより腐食して傾いでいるという方が正しい。
カンチレバーは中空のパイプなのだ。
これを何とかまっすぐの位置で接着出来ないか?と暫く苦闘するが諦めた。
この方針で頑張るよりも適当なカンチレバーをどこからか引っこ抜いて挿した方が良い。
(いうほど簡単じゃない場合もある)
さてしかし、とっとと音は出したい。
となると手持ちのカートリッジ達の中から挿せるものを発掘するしか…と
頑張るものの案外どれもマッチしない。
で、当初の予定通り?ピッカリングのV-15/DJというカートリッジの針を拝借することにした。
遠い昔にレコードクリーニング用に、なんて思って買ったもののほとんど使わず寝かせてあるもの。
これの針を、ひょいと690.V3に挿すと、あっさり刺さってしまう。
もちろん本来の使い方ではないから危なっかしさはある。
だが、とにかく音が出を出すことが先決だ。
さて、果たしてどんな音が?
11月13日
果たしてどんな音が…?
は、良いが、この時点では所謂DJサウンドを想定していた。
太い音。ややローブーストハイ落ち、みたいなイメージだ。
それは針を拝借したV-15/DJ自体がそうした音の持ち主だから、というのもある。
ところが出てきた音はと言えばフラット指向のきっちりとしたサウンドだ?
これはどうしたことか?
いや、どうしたもこうしたもないのだが680.V3純正の針も、どう見てもDJカートリッジ風だから
680本体がハイファイ指向なもので…というのも納得できない説明だ。
謎である。過去の文献によるとスタントンとピッカリングを相互に針が刺さるからと交配してしまうと
詰まらない音になるとなっているのだが少なくとも今回の組み合わせは成功事例としか言いようがない。
まあ、そんなことも起こるということか。
あるいは、よっしーもやっとこの種のカートリッジをうまく鳴らせるようになったと考えても良い?
…だと良いのだがこれといったことはしていない。
装置はJL-B37R→SY88→HMA-9500→G7の流れだ。これがマッチするのか?
物は試しとA級外盤を鳴らしても見事に良さを引き出す。
うむむむむ…
これ、さらに上位のスタントンでもピッカリングでも良いけどの針を挿したらどうなるか?
良くなるとは限らずかえって後退するかもしれない。その辺がオーディオの面白さだ。
11月14日
しばらくこれ(スタントン+ピッカリング)で行こうかな、なんて思わせるほど
音は好ましい。
良い意味でまとまりが良く、ちょっとだけ安産型の居住まいがこれまた良い。
…なんて説明を付ける必要なんて、ほんとは無いのだがついついこんな風に書いてしまうのが
オーマニである。(自己嫌悪)
人生いろいろ、趣味も色々。
ともすると持ち物競争みたいになってしまう所もあるのが
男の子の趣味だ。
威張りの効く物を持つのも良いものだ。
何に乗っていますか?と訊かれて
「CB50です」というよりも「CB750です」という方が世間の通りは良い。多分。
しかし、実際には威張りが効くかどうかなんて事は
これ以上ないくらいにどうでも良い。
これ、歳を重ねたら普通はわかるはずだ。
だが、不思議とそうならない。
まあ、そうならない気持ちもわかるのでこの話しはここで終わり。