10月18日
9か月ぶり?
おや?
10月19日
これで何回目?
とっくに数えるのはやめている。GTO邸訪問である。
林立する自作スピーカー群やおびただしい数のソフトの数は変わらず
(本当は少し整理、移動がされていたが)だが、
今回は特にネタが仕込まれていた。
そう、光カートリッジ。DSオーディオである。
怪しく光るグリーンのLED。
今思ったが、この感じって、ゴジラシリーズに出てきたガイガンに通じていない?
それはさておきDS-E1。これはDSオーディオにおいて光の入門機種。
入門機種といっても定価10万円(税別)なので安くない。
そしてこれは光カートリッジ普及のためのバーゲンプライスだろうから
CPは大変高い。
アルミカンチレバーに楕円針。
ボディはアルミ削り出し。
重量8,1gとこれ以上重くなると使いにくくなる限界くらいに納めているのは
見識であろう。
以前にも触れた気がするが光(光電式)カートリッジの歴史は長い。
東芝、シャープ、トリオからリリースされていた。
だから1970年刊行の長岡先生の著書「ステレオの実際知識」などでも
解説を読むことが出来る。
光カートリッジではフォトエレクトリックダイオードを使う。
これは光を受けると電圧を発生する。
そして電圧は光量に比例するのでカンチレバーの先端に光源を置き、
反対側にフォトエレクトリックダイオードを置く。
そしてその間にスクリーンを置く(カンチレバーに接着)。
もうピンと来ると思うが、この方式だと振動系の重量は軽く、
しかもカンチレバーの動きを邪魔する要素は少ないのだから
非常に有利。
そしてそのスクリーンも針先に近いところに設置できるから
これも良い。
なんとなくビクターのダイレクトカップルMCを連想させるが
光の方が理屈の上ではもっと有利だ。
弱点としては専用プリが必要なこと。
他のカートリッジとの互換性も無い。
というか光カートリッジには光源を光らせるための電源が
必要なので下手にMCなんか繋いでしまうとコイル損傷の危険さえある。
10月20日
さて、そんな訳で光カートリッジには専用フォノイコライザーが必要。
こちらもDSオーディオのごっついヤツが出てくるかと思いきや…
小さかった(笑)
本当に小さい。
ブランドは?と見ると合研である。
合研ラボのGK07ED。
EQ for DS-E1となっているかられっきとしたDS-E1用である。
DS Audioさんは光の技術というかスペックみたいな物を
オープンにしているのでこうした物が出てくるのだろう。
素晴らしい考え方である。
これはウチのもの、なんて覆っていたら世界はさっぱり広がらない。
大いにやってくれ、で良いのだ。
そして、小さな筐体であっさりと光対応をリリースしてしまう
合研ラボってのもやっぱりスゴイ。
「いや、ウチの場合これで充分速く走れるんで」みたいな感じか。
さて、理屈は良い。
その音だが…
10月21日
音だが…
これは素晴らしい。
新しい世界が拡がるのがわかる。体感できる。
実にクリアーで歪感ゼロの感覚だ。
あまりにも陳腐な言い方だが
他に良い表現が見つからない。
しかし血が通った音なのも確かで幾ら聴いても飽きることがない。
高解像度だが、情け容赦ない、ストロボ全開みたいな明るさではなく、
やりすぎ禁止、みたいな事をわきまえた上での超高解像度である。
この素晴らしい音は、もちろんDS-E1という光カートリッジがあってこそ、なのだが
合研イコライザーの力も大いに貢献していると思う。
10月22日
今日オーディオ。特にアナログオーディオ関連の機器たちの
価格は高止まりである。
価格はどうして決まるか?を一応教科書通りで考えると
期待値(売上)=単価×売れる数の数式から計算される。
数が出そうに無い、となれば自ずと単価は高くなる、
故に新しく出てくる製品たちが高額商品ばかりになるのは
頷けるところである。
…が、本当にそれで良いのか?と
ドケチ人間のよっしーなどは疑問に思ってしまう。
今時このような趣味をやっているのは高齢者ばかり。
財布の厚みは若者よりもある?
しかし全ての高齢者ががっぽがっぽと退職金を貰って
夢の不労所得も持っている…なんてことは無いのである。
その現実に突き当たる時、「なにが単価×販売数だ」と
悪態をつきたくなる。
努力を忘れた者たちが、その帳尻合わせを購入者に押し付けているのではあるまいか?
そこへ今回の合研イコライザーだ。
元来合研のイコライザーはハイCPで知られているが
光カートリッジという最新トレンドに対応した物をあっさりリリースしてきたのには
驚いた。
そしてそのお値段3万円。
それで音が月並みだったら、”それなり”って事で終わるのだが
素晴らしい音だから大拍手を贈りたくなる。
では、なぜそんな値段で出せるのか?だが、
見れば特注パーツみたいなものはさっぱり見当たらず、
ケースも含めて個人で買い集めて組み立てました、みたいな
香りがぷんぷんする。
ここに立派なシャーシやキャビネットを用意するとお値段はすぐに
2〜3倍になろう。
更に、巨大なトランスやらコンデンサーやらを集めてくると
価格はすぐに10倍くらいになってしまう。
これは悪口を言っているのではなく、そうなってしまう、
という事を言っている。
10月23日
オーディオは趣味の世界だから、夢も大事。
その点においてべらぼうな高額商品というのも、もちろん存在して良い。
存在するべきである。
だが、どこか昭和の結婚披露宴の打合せみたいな、
「一生に一度のことですから…」と、梅よりも竹、竹よりも松、と
笑いながら人の財布から金銭を強奪するような事を、
されて喜ぶ人は少ない。
多分、される側だけでなく、している側も嬉しくない。本当は。
300万円出すとかなり良いですよ。600万円出すとお友達に威張りが効きますよ、
なんてのは僕なんか縁なき世界だ。
そこまで出して音が悪かったら犯罪である。
それよりも、新しい技術と考え方で、トータル15万円で
これまで聴いたことが無い音が聴けますよ、というのが
製品を提供する側の目指す世界ではないか。
…と、なんかこれだとDSオーディオさんの悪口でも言っているのか?と
思われそうだがそうではない。
DS-E1なんて立派なものである。
良くぞやった。
しかし欲を言えば更にお求めやすい物も提供可能だ。
そんな事を言うのも、光カートリッジはMMやMCといったカートリッジを
一から作るよりは作りやすく、量産が効くと思うからだ。
今、車の世界で化石燃料使用車から電気自動車へと
大変換が行われようとしている。
電気自動車は従来型の自動車よりも遥かに作りやすいと思う。
販路なんかも家電量販店へと拡がっていくことだろう。
既得権益を守りたい層の抵抗もあるだろうが
情けないことを言っている場合じゃない。
「ライバルは過去の自分たちです」とかなんとか
トヨタあたりは宣言すると男になれる。
もう一度合研の立派さにも言及しておきたいが
これぞガレージメーカーの面目躍如である。
改めて型を起こしたりなんて事をしてはいけない。
普通に、その辺で売っているものを買い集めて製品化する。
そうだ。それでこそ一流のガレージメーカーなのだ。
長々書いたがDS AudioのDS-E1+合研ラボのGK07EDの組み合わせから来る音は
絶品である。
そのことをGTO邸の音は証明している。
10月24日
定番定点観測用?ソフト達。
デジタル対アナログ、という訳ではない。
特に低音楽器のリアリティが聴きどころ。
ファースト、セカンドは大変苦労してレコーディングされたのが
伝わってくる。
これは聴きもの。
絶対聴いた方が良い。
出来たら光で?
定番が続くがどれも聴きごたえが増している。
子音歪の迷盤?
いや、あるいは名盤。
新旧を聴き比べるのも一興。
冒頭の32Hzだけが聴きどころではない。
全編が聴きどころとも言える一枚。
歌謡曲でしょ?なんて侮ってはいけない。
10月25日
あの頃は良かった?
もう四半世紀経つのかのか…
思ったほどの超低音は…?
かつてエンヤも参加していたバンド。
これは僕のリクエストでかけて貰った。
良いバンドだよね、と今更ながら。
「上野発の夜行列車降りた時から。青森駅は駅の中〜?」
最初に間違えて覚えたもんだから一向に本当の歌詞がわからない。
本家と頭の中で聴き比べ。
こればかりはバンバンのバージョンに勝るものは無いという結論?
恥ずかしながら初めてこれのB面を聴いた。
これもB面を聴く。
申し遅れたがこの日はpippinさんもご一緒。
三人の物差し的一枚。
いや、実に見事な再現性。
光カートリッジ恐るべし。
昔から良いのだろうが今になって猶更良い。
この一曲だけで一生食べられた?(印税)
松田さんに締めて頂きました。
…ということでソフトの嵐も素晴らしい。
中には定番的な物も含まれていて、これまでも幾度か拝聴しているのだが
どれもこれも新鮮な輝きを放っているのは光の力。
もちろん、それを輝かせるだけの素地があってこその光なのであって
単に光カートリッジとイコライザーだけの力ではないのである。
いよいよ大団円を迎えるのだが、ここで…
10月26日
ここでSPUについて触れておきたい。
光が活躍する環境ではさすがのSPUも立場が悪い?
その通りとも言えるのだが、時折鳴らされると、
流石SPUと唸らせてくれるからスゴイものだ。
何が違うのか?というと貫禄みたいな物が違う。
光、DS-E1+GK07EDが40代の切れ者課長だとすると
SPUは50代の部長か。
キレッキレの感じは一歩後退。
だが、何とも言われぬ鷹揚さが人生経験を感じさせ
「まあまあ、そこまで追いつめてはね、君…」とか言って
机の向こうで微笑む姿が浮かんでくる。
SPUの音を聴くとそんなことが連想された。
「まあ人生ってそれだけじゃないんだよ」と諭される気がする。
そこに、数多のライバルの挑戦を退けて来たベテランの凄みを感じるのだ。
SPUも恐るべし…
そしてもう一つ…
10月27日
もうひとつ。
あるいはこれを最初に言っておくべきだったかもしれないが
違いや差を良く描く装置であるということ。
それはGTO邸で一貫している事なのだが
その根底にあるものは、それはやはり基本フルレンジ一発
(+ツイーターは有り)のスピーカーへの拘りだろう。
もちろんどんな装置でも、繋がる機器の違いというのは出てくるのだが
その分かり易さに差はある。
短絡的な言い方かもしれないが、複雑なネットワークを挟まない
スピーカーというのは独特の良さをもつものだ、という事だろう。
リファレンスのバックロードはもちろんだが、それを取り囲む
小型スピーカー群も、まあそのサイズを超えたパフォーマンスを示してくれる。
今回はFE-83NV2を使ったスピーカーもお聞かせ頂いた。
お家芸のダブルバスレフ。
エンクロージャーサイズをやや大きめにしてローエンドを伸ばしたとのこと。
そんなものをあっさり作られてはこちらは落ち込むばかりである?
突然ですがGTOさんはこの度250の新車を導入。
なんとも羨ましい限り。スズキV-Strom250見参。
250と思えない車格で、走ったら安定性抜群の予感。
音も実良い。流石オーディオマニアが選ぶバイクだ?
そしてこちら愛車一号のカブである。
つい先日オドメーター一周を果たしたという事だから
走行距離は10万キロを超えた(!)
しかし流石世界の名車。くたびれる様子は全く無く、
次の10万キロを目指して日々快走中らしい。
無駄が無くタフで正確なカブは、
オートバイ界のフルレンジユニットかもしれない。
ということで今回のGTOさん邸訪問記は終わり。
なんとも濃い一日であった。
pippinさんにおかれましてもお疲れ様でした♪