10月12日
10月13日
PC-330。
パイオニアのカートリッジ群の中では
第二世代というか、PC-10とか11とか16とか21とかの
二桁シリーズの後を継いだ物たちの中でも最も数が出たタイプだろう。
…とかなんとか言いながらPC-330単体の資料というのは
案外見当たらない。
上の画像は、実はPL-1400の商品紹介のページにあったもので、
これは330Eだから楕円針タイプ。
330無印は丸針ということで、パイオニアのダイレクトドライブプレーヤーに
付属として出回った。
登場は1973年と踏んで、これは間違いないと思う。
僕のところに来た個体はノブの色や品番から察するに
ナガオカの互換針が付けられたものだろう。
元の針がへたる位使われたのだとしたら果報者である。
カートリッジは使ってナンボ。
交換針はタイヤと一緒。
使って減ったら取り替えれば良いのじゃ。
ただし、交換針が手に入る限りは、だが。
10月14日
付属カートリッジの世界もだいぶ極めてきた気がするが
パイオニアの330様は初だったりするのだから
まだまだ修行が足りない。
その330の音だが、これは中庸と言いたいが、
それよりもやや大人し目。引っ込み思案な感じ。
プレーヤー付属ということを考えると、もう少し派手に振る舞った方が
一般受けは良いのでは?と思うが、そうはしなかったのがパイオニアということか。
330は330で大変良いカートリッジであり、
ごく普通に音楽を聴く分には、なにも気になるところはなく、
幾らでも聞き続けることが出来る性質のものだ。
だが、露骨なアピールが無い分損はしている。
下世話な言い方だが、シンバルが”シャーン”と目立って鳴った方が
人は耳を奪われるものなのだ。
330にはそうした所が無く、集団面接なんかやられると
非常に不利な立場になる子みたいに思えてくる。
でも、多少なりともカートリッジ遍歴を繰り返した身として言うのだが
ではこのカートリッジ一本しか残らなかったら困るのか?
というとそんなことはない。
正確には、そんなことない、と言えるお年頃になってきた。
バイクでも車でもなんでもそうなのだが、
”そういうものだ”と思って対峙すると、それはそれで済むものなのだ。
”シャーン”がもうちょっとだけ欲しいな、と思ったら
トーンコントロールでハイを少し持ち上げてみる。
そんな感じで良いのである。
一番大事なのは、そのカートリッジでたくさんのレコードを聴くことだ。
10月15日
やはり物事焦りは禁物だ。
PC-330だが尻上がりに切れが良くなって来た。
これと思ったカートリッジに夢中になる。
あれやこれや悩みはあれどレコードを精一杯聴く。
それこそ王道…
…とかなんとか言いながら…
10月16日
ちょっと昨日の写真じゃあわかりにくいと思うけど
PC-330A登場。
1976年にシリーズ一斉にモデルチェンジ。
MK2というより別のカートリッジというイメージなので
そう謳った方が良かったのでは?と思うけど。
チタンパイプカンチレバー。
特殊ダイヤ針。
コバルトマグネットと豪華絢爛でいて1万円はハイCP。
これは550とかと共通の部分が多いから出来たことと想像する。
それからサスペンションワイヤーで支持の明確化。
さてさて…
10月17日
さて、330A。
一聴して無印330には差を付ける…
と、言いたいし確かに違うのだが、どうもそこまでの違いと思えない?
もしかして…という事でシェルから外して背面を見る。
ん?
両者同じ銘板?
330Aの場合、ここに330Aと記載されているはず。
ということは、これはボディはともに無印330で針だけが異なる?
実はこうしたことはよくあることなのだ。
ただ、330と330Aみたいに一見しては無印かmk2かが
さっぱりわからないヤツもあるのは手ごわい。
しかも針はスリーブの形状だとか違ってもコンパチで
相互互換なのだ。
実際は330のボディはオール樹脂で330Aの方は金属と言われるが
パッと見てわかるもんじゃない。
以上を踏まえて、というか、それらをさておいて、というかだが、
それでも針の違いが音に出ないという事は無く、
やはりサラサラキラキラとした表現において330Aの方が好きだという人もいるだろうな、
と思わせる。
あるいはその時代、無印330の針が減って交換する時に330Aのが合うよ、
と言われて買って差し替えた人は感動しただろうな、とか想像してしまう。
恐るべし付属カートリッジの世界。
数が出たからこそ信じられないくらいの安値で供給出来たが
その実力は…
素晴らしいものなのでございました。