6月19日
6月20日
原体験とか原風景とかと言ったようなものが誰にもあると思う。
それがどうした弾みで生成されるのかは不明なのだが…
さて、僕にとってオーディオ。というかレコードの原風景として
DENONのDP-3000というターンテーブルの存在がある。
正直にいうとその時それがDP-3000という型番だとか、そんなことは知らなかった。
そしてあるいは見ていたものはDP-3700という出来上がったプレーヤーだったのかもしれない。
いや、その可能性の方が高い。
どこで見ていたかというとオーディオショップではなくて、レコード店。
某市の地下街にあった大きなレコード店。
多分新星堂さんだったんじゃないか?と思うのだが正確な記憶が無い。
レジが三つくらいあったと思うのだが、その脇に、そのDENONの目玉焼きプレーヤーは置かれていたのだ。
その頃のレコード屋さんというのは、店員さんが売り物の棚からひょい、とレコードを出して来ては
掛けて店内に流している、みたいな感じだった。
そのレコードの扱いの流麗さにも驚くのだが、何よりびっくりするのが、そのレコードを
プラッターに置いてから後。リフターを使わないでアームを操作してはスッと音を出すその仕草なのだ。
当時中学生だった僕は、生来の不器用さもあって本当に腫れ物に触るようにレコードやプレーヤーに
接していた。
それ故レコード店のお兄さん達のその所業は、もはや神がかってさえ見えたものだった。
そして同時に、そこにあるプレーヤーの自照式のスイッチの美しさも心に刻まれた。
いつかは自分もあのプレーヤーを手に入れてあんな風にアームを扱うんだ。
そう思ってから時は45年くらい経ってしまったが、やっとのことでよっしーの部屋にDENON DP-3000降臨。
6月21日
まあ幾らよっしーが吝嗇でも、21世紀の今DP-3000を買うくらいのことはとっくに出来た。
それをしないで出会いがあるまで待つあたりが流石である。
このGWのツアーでDP-3000単体と遭遇。
しかも憧れのジャンク状態である。
ジャンク扱いの理由は、ストップスイッチが効きません。である。
DP-3000あるあるであり、これはその内夢の高速回転も始まるんじゃないか?
とワクワクするのも変なのだが、どうせ整備するのだからこの際少々のことはどうでもよろしい。
ところが自宅で回してみると、なんとストップスイッチも効くようになってしまい?
現状では安定して回っている。
ならば取りあえず音を聴こうではないか、と相成った。
ここで一般にはキャビネットで躓くのだが、これまた数年前のドフツアーの時にDENON製のDK-100ジャンクを
500円税別で買った寝かせてあるところが我ながら素敵である。
あとはアーム…となるのだが現状で空いている穴に収まる物で済ませたいと甘いことを考える。
すると条件に適うものが一つあった。SOUNDのST-14である。
これをセットして、音はどうよ?
6月22日
音はどうよ?は良いがターンターブルによる音の違いというのはなかなか微妙なものである。
まして音はターンテーブルだけで出るわけでなく、アームも影響大だしキャビネットも然りだ。
以上を踏まえた上で言うわけだが、これはやはり良い音だ。
SP-10よりはTTS-2500寄りの音。音の動きが速いと感じる。
ただし、これがDP-3000の実力の全てとは思わない。
キャビネットDK-100は大変なベストセラーだしハイコストパフォーマンス品である。
しかし、上級のDK-300あたりに換えるとさらに音質向上するのは間違いないようだ。
これは重さ。そして密度の違いが音に出るからと推測される。
DP-3000の旨味のひとつと思ってよいだろうが、まずDENONからそうしたバリエーション豊富なキャビネットが出ていた。
さらにサードパーティからも該当商品が出ていた。
ついでにいうとマニアの自作品なんかも転がり出てくる。
ライバル機のSP-10初代だとそうした物が大変少ない。
SP-10もMK2以降になるとキャビネットの選択肢も随分あるのだがMK1の時はみんなどうしていたんだろう?
と言いたくなるくらい該当品が無い。
ま、そうしたことを交え、色々楽しめるのがDP-3000族の旨味のひとつという事か。
6月24日
ところでフォノモーターだけで音が出るわけでない。かといってアームを取り付けてもまだ音は出ない。
カートリッジが必要なのは申すまでもない。
申すまでもないのでここで紹介。
DENONにはDENON製だ、というわけではないのだがDENON GV-1降臨。
あんまり有名なカートリッジではないのだが、これがまたDL-107属とでも言いたいような内容を持っている。
なにが107属かというと交換針がネジ止めなのである。
針の型番がDSN-22。107のが確か同20の筈だからその点でも近い品物なのか?
単売カートリッジではなくDENONの一部商品に付属だったようなのだがとにかくデータが少ないカートリッジだ。
6月25日
そうか、DENON ではなくて COLUMBIA と言うのが正しいのか。
だって、そう書いてある。COLUMBIA GV-1。
交換針のボディおよびそれを固定するネジはDL-107は金属製。
対してGV-1は樹脂製。
だからどっちが完全に良いのだ、と断定は難しい。
ただ、ネジで固定、という方式自体が優れていることに異論無し。
DL-107が103譲りの薄いボディなのに対して
GV-1は割と普通の嵩があるのがわかる。
6月26日
さて、GV-1。
知っている人も少ないから競り合うこともなく…
と言いたいが、蛇の道は蛇というか、知っている人が10人でも居れば
充分奪い合いになるのだ。
で、今回はちょっと高目での落札となった。
なぜ?
原因はシェルにあった。
一見何の変哲もないプレスのシェル。
重量6g。
ポイントはこのカーブである。
シェルの中心線よりも一段下方にカートリッジが付くシェルプ。
そう、これはPCL-1というシェルであり、一説にDL-107専用という説もあるのだが
この辺はlimited師匠のブログに詳しく、そちらを参照して頂くのがよろしいかと。
ま、107と限らず103も背は低いので同様にマッチするのだろう。
さてしかし…
6月27日
PCL-1ゲットだぜ…は良かったのだが、さてこのGV-1。到着したら
片側音が出ない…。
動作未確認品だからやむを得ないのだが悲しい…
だがしかし本当に断線か?
テスター当てたりすると導通はある?
まさか、と思ってシェルを変えてみたら両チャン共音が出る。
あれ?
実はここでかなり時間を食ったのだが結論をいうとPCL-1だと片側出ない。
一体何が起きた?
恐らく、だがPCL-1の端子の片側がビミョーに短くてアームにうまく接触しないのだろう。
まあそれはじっくり解決すれば良い。それよりGV-1の音を出さないといけない。
ということで、ちょっと贅沢かな?と思いつつSONY SH-160降臨。
炭素繊維を使用したカーボンクラッドシェル。
これ、1975年ごろ7,500円した。
普通のシェルの倍〜5倍くらいした訳だからかなりの高級品だ。
重さ12,5gと妥当な線。
安価なカートリッジにも高価なシェルを使った方が良いというのは道理だが、
何事にもつり合いというものがある。
その点でGV-1にSH-160は行きすぎだし、見た目的にもPCL-1の方がマッチすると思うのだが
まあ取りあえず、というところ。
このSH-160もGWのドフ巡りの際の釣果であり、まあ大漁だっただけのことはあり
7月までかからないと紹介は終わらないみたいだ。
手に取ってみると、これは確かに高額なだけのことはあるシェルだ。
手が掛かっている。
唯一引っかかるのは指掛けがシェルとカートリッジの間に挟まる構造という点。
絶対にだめ、とは言わないがシェルとカートリッジの間に何か入れるのは吉凶併せ持つ行為だ。
まあ気になるなら指掛けはユーザーの方で一工夫してほしいと、そんな考え方かもしれないが。