4月22日
昔は町に音楽が溢れていた。
…なんていうのは話し半分に聞いておいた方が良い。
そんなにどの家の窓からも音楽が聴こえていたら迷惑でしかない。
ただ、今を基準にすると随分にぎやかだった。それは言ってよいと思う。
では音楽は聴かれなくなったのかというとそんなことは無い。
要するにスピーカーではなく、ヘッドフォン。今風にいうとイヤフォンで聴かれているということだ。
いわゆる趣味のオーディオ層は絶滅危惧種並みの数かもしれないが、
ヘッドフォン族、イヤフォン族は、その何万倍も生息していると思う。
だとするとマイノリティに留まっているよりもメジャー側に着いた方が良い、
と思いつつ、よっしーの部屋にはヘッドフォンが登場しない。
STAXのコンデンサーヘッドフォンの話しが時々出るが、肝心な専用アンプの修理が終わらないから
ちっとも進展しない。
仮にもオーディオマニアなのだから、例えばSONYのMDR-CD900STくらい出て来ても良さそうなのだが
どうにもそうならない。
少し前にPioneerのSE11。俗称ELEVENがやって来て、これはなかなか大人なサウンドで良いのだが
これぞよっしー的リファレンス、みたいなトーンではない。
では何だったら打ち込めそうか?
皆目見当もつかなかったのだが一つ思うものはあった。それは…
4月23日
4月24日
HP-1。
ヤマハが1970年代中頃にリリースしたヘッドフォンだ。
特徴は多い。
まず駆動方式。
オルソダイナミック型と言われる全面駆動方式。
何が全面かというとダイヤフラムを同一位相で駆動するということ。
HP-1が11,000円。姉妹機HP-2が7,000円。そしてHP-3が4,500円。
HP-1はお堅い黒一色だったがHP-2はカラーバリエーションも用意され
ちょっとポップなイメージ。
HP-3は普及版だが、そのスタイルは後のHP-50シリーズというエレクトーン用のモデルにも
引き継がれていく。
それより何より1と2についてはそのデザインがイタリアの著名デザイナー、マリオ・ベリーニの
手によるものというのが大きな特徴だ。
4月25日
HP-1。
それは良いが4月23日の写真をよく見ると変だと気づく。
そう、ヘッドフォンなのに、正にそのヘッドに当たる部分。
ヘッドパッドとでも呼ぶべき部分が欠落している。
これはHP-1(と限らずオールドヘッドフォンにはたまに見るが)に
よくある症例なのである。
つまりその部分が破断していしまうのだ。
このままでは使い物にならないので先人たちの知恵を覗いてみると
プラパーツなど使って自身でその部位を作っている人もいる。
だが、ちょっと面倒だな、と思っていたら別の人は
他のヘッドフォンからパーツを移植していた。
型番でいうとpioneerのTH-380AVだという。
ありがたいことに比較的安価で売りに出されているのだ、これが。
果たして本当にこれのヘッドパッド部分がHP-1にそんなに簡単に付くのか?
それを検証するのも一考だろうということでゲット。
一応言っておくと380AVもテレビの観賞用などという風に考えたら
立派な内容を持っていた。
だが、哀れ、あっという間に解体されて…
4月26日
TH-380AVの献体があってHP-1は使用可能になった。
元々ジャンクとしての入手だったので断線があっても仕方ないと
思っていたがラッキーなことに右も左もちゃんと出る。
さて、とっとと音について書けという声が聞こえて来そうだ。
HP-1の音だが、正に中庸というかノーブルというか
音楽を聴くために生まれてきたという感じのサウンドだ。
まず、このヘッドフォンを手にして最初に音を聴こうとすると
驚くのが能率の低さであろう。
ボリュームをいつもより右にぐっと捻りたくなる。
そう、HP-1族はハイインピーダンスなのである。
これはある意味機器にも優しいし耳にも優しい設計。
ただし、一聴パッとしない音に捉えられかねない危険はある。
HP属は後にエレクトーン用みたいな位置づけでHP-50シリーズなんかも
生むがこれは正真正銘のハイインピーダンス。
何も考えないでオーディオアンプやデッキなどの出力端子に繋ぐと
ぎょっとする程だ。
ま、それはそういう設計なのだ。
HP-1はもちろんそこまでは行かないが
ローインピーダンスタイプの方が圧倒的多数派のこの世界では
どこか異質な存在なのも確かだ。
4月27日
ところでヘッドフォンについて語りたかったら
アンプにも触れろ、と言われたらその通り。
もちろん細かいこと言わずにヘッドフォンジャックに挿して
ある程度の仕事をしてくれないようでは困るわけで
その意味ではアンプもクソもない。
なのだが出来たら、ふさわしいアンプで鳴らして欲しいというのは
スピーカーだろうがヘッドフォンだろうが変わりない。
ところが見まわしてみてもヘッドフォンジャックを持つアンプが
よっしーの部屋では少ないことに今気が付いた。
プリでC2Xに見つかった。
あとはプリメインでは907MOSだ。
C2Xで悪いはずがないが今回は907MOSに委ねた。
一つにはこのアンプはバランスアンプであるから
ヘッドフォン端子には何か配慮があるだろうと踏んだからというのがある。
(意味が分からない人は自分で考えてね♪)
まあプリでもプリメインでもダメで、ここはやっぱりヘッドフォンアンプだろう、
と言われたら謝るしかないが、それでも例えばCDプレーヤーの
ヘッドフォン端子に直刺ししたりするのとは断然違う。
ただ、正直いうとよっしーは今ヘッドフォンアンプ自作に
興味津々になってしまっていて、とっても危ない(笑)。
ま、暫く黙っていれば熱も冷める…
はず…
4月29日
信じ難いお知らせが届いた。
いや、未だにどうも信じられない気持ちだ。
4月30日
今宵はこれという事になる。
「下宿屋」、なんて特にお好きだったと記憶する。