1月24日

オーディオの世界(と、限らないのかもしれないが)で
9というナンバーはかなり特殊な物である。

3、5、7と並んだとすると3普及機。5がある意味お買い得な中核機。
そして
7上級機というか、まあ通常なら5で充分なのだが、ちょっと贅沢したい方のための
7、みたいな感じ。

ま、つまり松竹梅なのだが、では
9って何よ?となる。

7でも贅沢感あふれるのにその上なのだが、これはもう
エクセレントというか
特別の上にも特別のモデルという意味合いが出てくる。

当然そのような物に一般庶民は
縁遠い。

縁遠くて当たり前なのだが、一方で
一生に一回くらいはそうした物に
接してみたい、みたいな気持ちはあるものだ。


1月25日

振り返るとそのモデルを初めて
知ったのは44年ほど前のことになる。

なんだ、また
1979年ごろの話しかい、と言われたらその通り。

僕の頭はその頃で進化を止めている。


9が付くだけあって高価であって、実際に出回ったがどれくらいかもわからない。


実物を見たことはないのだが、さすがネット時代で、昔だったらお姿を拝むこともなく
過ぎたはずが
オークションなどでは見かけるようになった。


そのたびに、おお〜、と思うのだが
手が出ない
虚しく消え去って行ってしまう。


そう、それはまるで一皿千円近い、
金の皿が通り過ぎて行ってしまうように…
あ、これは
回転ずしのレーンの話しであるが…



手に入ったとしてその
のことも問題だ。

置ける置けない、の問題ではなくて
メンテナンスのことだ。

維持。いや、それ以前に本来の調子が出ていなかったとして、
僕では手を入れるのは難しいし、プロでも手がけた例をなかなか
見ない


まあいいや。で、それは一体何かというと…


1月26日



ごめんなさい。

想定外が一つ。

いや、
珍しく呑んでしまって…

後ろ姿だけでご勘弁…

AVアンプにしては端子がない?

続きは明日…


1月27日

これ以上話を引っ張ると怒られる。


ブツはなによ?と言われたら
プリアンプである。

そう、それはあの
東京芝浦電気様がおつくりになられた、
AUREX
SY-99である。



オーレックスSY-99。
1979年発売。当時498,000円。

ほぼ50万円のプリである。

1976年の
SY-77。そして1977年のSY-88に続く第弾。

…なのだがこの三弾目は前二作と比べてサイズも値段も
かけ離れたものだった。

価格の50万円からしてスゴイ。

同年発売の400cc4気筒バイク、
Z400FXよりも約10万円高かった。

国産のプリアンプでそのような価格帯の物は無かった。
同時期パワーアンプでマッキントッシュの
MC-2205555,000円だったか。
頭抜けた価格設定だったのがわかるだろう。


だがしかし、このアンプの
中味を知ると、その50万円がくさえ思えるから
再びスゴイ。

まず、重量
26,4s。パワーアンプではない。プリアンプである。
この記録は永らく破られなかったと思う。

サイズは
450W×172H×473Dと巨大。後年のAVアンプみたいな出で立ちだ。

ただ、高さこそ大きいが、幅をちゃんと抑え、あとは奥行き大きめに逃げたのはさすが。
よく考えられている。

A級動作で常時90Wを消費。反社会的電化製品である?

外装の大半は厚手のアルミ。これが鉄だったら重量は30kg超え?

開閉式サブパネルの中にスイッチが並び、機能は
豊富な方だが実際には信号が入ってから
出ていくまでの
接点は二か所だけ。しかもスイッチ類は三回路並列接続なので接触抵抗は1/3である。

パーツだが、
ラムダコンデンサーとハイラムダコンデンサーを使い放題で124個入っている。

基板の銅箔はいよいよ厚く、
1,000ミクロン。つまり1ミリ厚の銅板がエポキシ基板に貼られているような
感触。

これだけで十分頭がおかしいのだが、各基盤の
接続が全部極太の配線で行われているから狂気の沙汰である。

徹底したローインピーダンス化を目指してこうなったのだろうが、ここでメンテや修理は
絶望的
困難になった。

スロットに基板を挿す形にでもしてくれたら話は全然違うのだが、オーディオの王様=AUREX様の
旗艦アンプさまがそんな手を使うわけがない?

一方回路構成は
オーソドックスの極みで、ヘッドアンプ。イコライザーアンプと来てあとは
フラットアンプがあるだけ。
巨大な
トライダルトランス三基搭載(うち一つはフロントにあるプラズマディスプレイ用と言われる)。

入力感度がMCで0,05mV。MMで1mV。定格出力1,5VなのでSY88と比較して9,5gBアップの
ハイゲイン
MM入力で大抵のMCが使えてしまう。

という事で、これはもう戦艦大和、武蔵級…と言いたいがそれすら凌ぐイメージ。

計画のみの幻で終わった、
紀伊、尾張クラスといっても間違いない。


1月28日

ところで今回の入手ルートは
某オク

電源入りました。他は確かめておりません、だったので
音が出ない可能性もあった。



もしもそうだったら、自力で…はかなりハードルが高いので
横須賀のレジェンドに大枚はたいてお願いするか、
などと考えていた。



もうその辺は
覚悟決めるしかない。

落札後マッハのスピードで品物は届いた。

開梱時もう一つ気になるのは
外観で、これはある意味中味以上に直しようがない。



しかしその辺はオーケー。
シーリングドアもちゃんと開閉する。



で、見ている内に、これは大丈夫、の思いを強くした。

年がら年中ジャンクばかり相手にしているとわかるものなのだ。

恐らく長期間ラックに納められて
唄を歌うことが無かったと見た。



中を確認してから電源投入…とも思ったが簡単に開腹できるような相手ではない。

男は黙って電源オン。

取りあえずパワーオンにはなった。



あとは
音が出るや否や。

祈る気持ちでプレーヤー他を繋ぐが…




ちゃんと
音は出た。それも両チャンネルからだ。

それで当然と思うのは新品が相手の場合。



この瞬間、
猛烈に感動する。取りあえずすぐに試せそうではないか。


それにしても、なんだかとんでもない
モンスターを墓場から蘇らせた気もしてきた…





1月29日

まずは
恐々様子見。


アナログプレーヤーは
HT-500MK2を接続。
907iMOS LTDのパワー部を借りる。


この段階では、本当に音が出続けてくれるか。
途中で変になったりしないか?とか
そんなことを気にしていた。



日を追って、カートリッジをテクニカのVMからMCに換えたり。
その内プレーヤーごとビクターの
JL-B37Rに換えてシュアーType3や
ヤマハMC-2000改を鳴らしたりする。


メインアンプは
HMA-9500に交代。
改めて、9500よりもSY99の方が
きいことを確認。馬鹿げている。



焦っても仕方ないのだが、何しろ一年で
一番の寒さの時期。

あっちっちになる筈のアンプたちがえたままだ。

今回の場合これは困る。

しかし奇をてらうと危ない。

ただ
ひたすら時間を掛けるばかりである。


そして四日目。やっと朝から
ずっと通電という暴挙に出ることが出来た。

これでやっと
本調子の入り口くらいまでたどり着けた感じ。

さて…


1月30日


ところで
なぜSY-99

1979年の時点では高級機だが、その後40年以上の間に色々なアンプが生まれている。

'80年代に入るとSONY
TA-E900が60万円で出てくる。

アキュフェーズ
C-280も68万円で登場。

やがてバブル期からその崩壊期に
100万円超えも居並ぶ。
(価格面では
1977年A2というプリがテクニクスから160万円で出ていたが)

今更
SY-99というのも酔狂といえば酔狂

もっと言うと、その登場時から99は
やり過ぎとか、電源偏重とか言われ、必ずしもベスト扱いは
されていなかった。

バランスでいうと後年のSY-88Λ2の方が好ましいとされていた。

しかし
ひねくれ者としては、そうしたことを聞けば聞くほど99に肩入れしたくなるのである。

昭和のプリアンプの中で比較すると
TA-E900はモジュールが手に入らなくなると
修理が困難という点が引っかかる。

C-280シリーズ等アキュフェーズのアンプたちについては、皆がその良さを知って使っているので
わざわざ僕みたいなのが手を出す必要はないということになる。

平成不況期の各社フラッグシップ達については素晴らしいのだろうが心惹かれない。
というか、昭和オーディオ本舗としては
対象から外す必要があると感じる。

そんなことで遂に
SY-99に手を出してしまいました。の巻なのだ。



その後の99だが



1月31日

その後の
99

かくも長き不在…ではない、
冬眠からの目覚めだから時間が掛かるが
起きたらそれはそれ。
蘇る金狼なのだ。


4〜5日目から、その音の良さが
はっきりわかってきた。


そうか、高い
プリアンプってこういう仕事するんだな、って感じで感心することしきり。


音の
確かさ、とでもいうべきか。ここぞという時の実在感が違う。

そして何より、黒がちゃんと黒になるというか
沈み込みが見事。

こんな日本語は無いが、
動的SN比が素晴らしいと感じる。


もちろんこれまで使ってきたアンプでも、それはわかるのだが、
聴きに行って初めてわかる、
みたいなところがある。

それが99だと普通に座っていても
全て届けてもらえる感じ。


金払うと
良い席に座れるということか。認めたくないけど。


間違えちゃいけないのは、高いヤツ使ったからと言って聴こえる音の数が倍になったりはしない
ということ。

そんなつもりで居ると裏切られた気がしてガッカリすることになる。



音色、という捉え方をすると
大人し目に受け取られるだろう。

大げさに飛んだり跳ねたりするタイプでないのは確か。

しかし、あまりに地味でやっていられない、なんてことは無い。
これが本物だと言われたら頷ける。

低音の量は、これは確かに多い。

というかよく
伸びて、屈託なく出してくるのがスゴイ。



冗談抜きにソースによってはトーンコントロールでローを
りたくなる。


使い勝手は大変良い。


ボリュームなんかも
使いやすい。-90dBまで絞れるってどういうこと?

スイッチも小気味よいし何よりも確かな感じ。

フォノのインピーダンスとか負荷は
リアパネルで切り替えなのだが筐体の奥行きが深く、
大抵のラックでお尻が出ると思うので案外
使い易い?




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