11月14日
11月15日
ONKYO MP-1000X。
ネットを見てもXの正確な資料は出てこない。
1000EXなら出てくるので似たものと勝手に決めてつけてしまおう。
MP-1000EXは1987年当時53,000円。
恐らく、だがいわゆるバブルコンポの一員だったのだろう。
レコードプレーヤーだけで5万円なのだから全部揃えるとかなりの金額だったはずだ。
僕の不得手な分野なので触れるのは恥ずかしいのだが
たぶんIntegra1000シリーズの一員。
1986年ごろの製品なのだろう。
まあ細かいことはさて置いて、このプレーヤー、
なんとダイレクトドライブでクオーツロックなのだ。
そしてフルオートプレーヤー。
後年の似た物たちが軒並みベルトドライブであるのと比べて
お金はやっぱり掛かっている。
カートリッジもMC型であり、現在のMMオンリーとは違っている。
実はこのMCカートリッジがポイントの一つで
知る人ぞ知る、テクニカのAT-UL3なのである。
これの単体使いが一部で流行っていて
相場も上昇気味。
対策としてはプレーヤーごと買ってしまうという手があって
今回それを試してみた。
ジャンクということでほとんど送料のみで落札してしまったが
残念、カートリッジの針は折れていた…
もちろん文句を言えた言えた義理ではない。
颯爽と?手持ちのAT-UL3から針を剥がして装着。
そうそう、AT-UL3は針交換可能なMCなのである。
11月16日
例によって?マッハの速さで音出し。
スイッチを押してみるが、オート機能は壊れているようで不作動。
アームを内側に振ればプラッターは回るので当座は問題なし。
さあ、音は…
なのだがこれがなかなか酷い音だ…
しばらく付き合ったが我慢がならない。
基本のき、で針圧チェック。
なんと全然合っていない(笑)
近年の物たちは針圧は弄れない感じの物ばかりなので
すっかりそんなこと忘れていた。
針圧計を持ち出すと、アームの目盛りと針圧が合わない。
つまりカウンターウエイトが適当に回されたんだな、この子。
取りあえず適正針圧であろう1,7gで設定。
これでどうよ?
音だが…
11月17日
音…は俄然良くなった。
当たり前だ。適正針圧は守らなくてはいけない。
これは良かった、とレコードを色々掛ける。
すると、ちょっとばかり気になるところが出てくる。
これがオーマニの良くないところだ。
単純に喜んでいればよいのだがそれが出来ない。
なによ?って訊かれたらシンバルの領域に代表されるような
高い方が荒れるのを感じることがあるのだ。
もうこれは、あれ、しか考えられないと早速交換の儀。
お気づきの方もいるでしょうが、ターンテーブルシートである。
純正のそれは、いかにも取りあえず付けました、的なかほりがする。
故に定番、JP-501にチェンジ。
これでどうよ?っていうと、さすがに一歩前進。
しかしどうしてもあと一歩気になる…
ここで気づいたのだが…
11月18日
気づいたのは置台だった。
このプレーヤー、それまではSONYのCDP-101の上に置いてあった。
開封してパッと置ける場所がそこだったからだが、いかにも土台の音を拾いそうな気がする。
大いに反省してラックの天板の上へ移動。
なにせ幅600ミリのラックの上だから借りてきたなんとやら、
みたいな雰囲気になるがそれはそれ。
これで暫く聴いていると、やっぱりこの方が音が良い。
一晩経つとさらに良い。
これはオカルトでもなんでもなくて機器がその場に落ち着くまで
少々の時間が掛かって(重量級の機器でも同じ)
アナログプレーヤーみたいな物は特にその影響が出やすいのだ。
いや、かなり良い状態になった。
目の前で回っているのはミニコンサイズのプレーヤーなのだが
音はとてもそうは思えない立派な物。
失礼ながら、いくら高級な部類とは言っても
ミニコンポ属との組み合わせでは真価を発揮しきれなかったのでは?
と思う。
グリーンに輝くインジケーターも美しいし、
ダイレクトドライブは、なんといってもベルトの交換などの
手間から解放されているのでロングライフが約束される。
ただ…、なのだがその時すでに1986年ごろというと
主流はCD。
恐らく一番高い位置に設置されたこのアナログプレーヤーは
実際のところどれくらい活用されたのか?
そう考えるといきなり哀愁を帯びて感じる。
だがしかし、もしかするとディスクを載せられたその部屋で、
若い恋人同士が肩を寄せて何か音楽を聴いていたかもしれない。
その二人が、それからどうしたかは誰も知らない。
添い遂げて、今は爺さんと婆さんになっているのかもしれないし、
互いに別の人生を歩んでいるのかもしれない。
そしてすっかり邪魔者になったプレーヤーは、どこかへ押し込まれ、
最後は物置生活に近いことになったまま眠らされ、
唄を忘れたカナリヤ状態だったかもしれない。
それがネットオークションを通じてただみたいな値段だったとしても
身請けされ、折れていた足、ならぬ針は交換され
何十年ぶりに磨かれて音楽を奏でるとは…
何が起きた?と目を白黒させているのだろう。
それで良いではないか。
名器よ、もう一度美音を奏でておくれ。