2月13日
今夜こそ積雪するのだろうか?
2月14日
性懲りもなくまたアナログカートリッジを仕入れてしまった。
DENON DL-110。
このカートリッジは驚く事に現行品でもあるという。
現在36,300円税込み。
1983年初代登場時11,000円。'90年代のリバイバル時14,000円。
それからすると随分高くなったように見えるが現在では同じくDENONの
DL-103が税込み53,900円の時代だから当然の設定とも言える。
初代が1983年登場という所も興味深い。
いわゆるデジタル時代の到来必至としつつもアナログからの移行には
しばらく時間が掛かると見られていた時代に生まれた。
先輩格にDL-301、DL-207があり、そこからDL-55という先代の誕生に繋がっている。
DL-55は13,000円とDL-110より高かった。
もっともDL-207が38,000円だったわけで、55の13,000円は当時MCとしては
最安値ライン。
301、207、55という先達があったから110もあの価格でリリースできたのだと思う。
さて55と110の最大の違いは出力電圧だ。
55は0,3mV。110は1,6mV。
要するに110は高出力MCなのである。
狙いはずばり扱い易さだろう。MC入力が無くても使える。トランス、ヘッドアンプの用意も要らない。
高出力MCの普及というのは'80年代に広く行われた物で類似の物も多い。
同時期でいうとヤマハMC-21などがそれにあたる。
二重構造のカンチレバー、2Wayダンパーの採用と抜かりない。
アルミカンチレバーにムクの楕円ダイヤチップと抑える所は抑え尽くしている。
カンチレバーの根本にはウレタン?があって中は見えないのだが高出力MCということで
コイルの巻きは通常のMCより多いだろうことは想像するまでもない。
それがMCとしての動作にはマイナスになるというのがひとつの見方。
そうしたデメリットに対して前述のような昇圧行為を省けるというのはメリットでもあるので
この辺は正に一長一短。
さて、その音は?ということになるのだが…
2月15日
さて音は…。
これが極めてノーマルな音。
さすがDENONというべきか、こうしたローエンド(価格的に、当時は、ということ)カートリッジでも
変な遊びはしないのである。
コストの制約はあれどその中で最良の仕事をします、的な感じがあって関心してしまう。
ここでふと思ったのが現行品であるならネットにユーザーさん達のコメントが見つかるのでは?
ということで覗いてみたらいっぱいあった。
何しろ日頃絶対的にそうした事を望めない物ばかりと向き合っているから、こうしたことだけで
ワクワクしてしまう。
見るとみんな好意的な書き込みだ。
MMからの乗り換えというのもあれば(ある意味メーカーの想定した層か)、
同じDENONの103と比較しながらというのもある。
海外のユーザーさんから投稿も多いが概ね高評価だ。
ある意味当たり前なのか?
というのも現行3万円は安いとは言わないが1980年代以来のロングセラーだから
この価格で収まっているわけで、ゼロスタートだったら幾らになるのか?
考えても意味のないことかもしれないが考えてしまうものだ。
さて、そうした事はさて置いて自分は満足するのか?という最終的なお話し。
2月16日
さて、そうした事はさて置いて自分は満足するのか?という最終的なお話し。
悪い所はないのだがどうも輝きも無いというのが僕的感想だった。
ただ、伸びしろはあると思いながらしばらく聴いてからあることを試してみた。
いや、そんな大したことではない。当初MM入力で受けていたのをMCヘッドアンプ受けにしてみたのだ。
もちろんゲインは抑えめが吉。
これが効いた。
ビタミンを呑んだワーゲン…という表現はわかる人しかわからないか。
酒を呑ませたら急に人格が変わった新入社員みたいな?感じ。
この使い方は、恐らく間違っているのだろう。
ただ、即ち装置が壊れてしまうような使い方でもない。
個人の責任に委ねられる範囲のものだろう。
ちなみに同じことをしたら途端に音が変だった高出力MCもあった。
出力もバラバラなのだ。
取りあえず今回は逞しさが出て切れも良い。普通に聴いていたら文句なんか全くない。
こうなってくると本当はシェルリード線をKSシリーズなどに換えたくなるし
シェルも色々検討したくなる。
そんな事をして、少しでも良い感じに近づけたい。そーゆーのがやっぱり清く正しい
オーディオの道な気がする。
2月19日
時々…
いや、頻繁に?自分の耳がおかしいのでは?と思うことがある。
それは価格的にかなり安価なもので満足してしまう瞬間に起きる。
所詮自分も値段で物を推し量っている人間なのだな、と
うすら淋しい気持ちにもなるのだが
まあたかがオーディオで暗い気持ちになるのもいかがなものか?ということで…
例えばこちら。
この個体はまた違う型番だろうが、要するにテクニカのAT-3600だ。
多分数千円で求められる。
2,5mVの出力を持つMMカートリッジで
針圧は3gくらい掛けられる、とそれくらいしか実は知らない。
しかしこのカートリッジ、音が良いのだ。
今更だし、とっくに色々な人がそれも指摘済みだけど。
ものすごい数が作られるから嘘みたいな値段でも売られるのだろうが
いや、まあスゴイもんだ。
ということで素直に喜んで聴いておけばよいのだが…
2月21日
良いなら良いということで何もせずに聴いていれば良い物を
なにかしたくなるのがマニアの性というもので…
こちら俗にREGA CARBONという。
そう、REGAのプレーヤーに付属したりするカートリッジの針だ。
これもAT-3600系であることは間違いなし。
で、CARBONとは?
炭のコーティング?
多分そんな感じの物と思って間違いない。
そう思ってカンチレバーを見ると、なるほど黒い…
いや、この機種のカンチレバーは元からこういう色なのだよ…
一体何がどう違うのかわからない。
まあそれは良い。音を聴いてみようではないか。
針の交換だから簡単だ。
パッと聴いて…
おお〜、なるほどこれは結構繊細さが増して音はやや遠く…
…と思ったけど元の針に戻してみると同じような音が…
駄耳と言われたらそれまでだが、取りあえず激変とは思えない。
ただ、REGA CARBONのバッチチューンは効く(笑)
オーディオは顔が命です。
師の残した言葉のひとつである。
2月25日
2月26日
突然ですがLo-D HT-500mk2。
以前MK1も登場しているがこちらは
1983年夏頃登場したマイナーチェンジ機。
何が変わったかというと、まず色だ。
観ればわかると言うなかれ。
MK1がどちからというと古来よりある
日本風和室的カラーだったのに対しMK2は若者の部屋にマッチする?
黒っぽいカラー。
アームパイプもMK1のシルバー基調からMK2は黒へと変更されている。
そして付属カートリッジがMMから高出力MCへチェンジ。
お値段3,200円アップの53,000円と5万円台に突入。
ユニトルクモーターとかVCメタルアームとかはMK1と同じなので
説明省略。
それよりこの1983年という時期の微妙さ。
前年コンパクトディスク発売。
そろりとデジタル時代は始まったが、まだまだアナログとの
共存が暫くは続くと見られていた。
故にこの頃は5万円前後のプレーヤー達も各社からまだ
リリースがあった。
日立はHT-500MK2を持ってそこに参戦していたという事になる。
ただ、実質的には日立はそろそろオーディオから手を引こうとしていたのか
これ以降アナログプレーヤーもアンプ類も出していない。
(全く出ていないとは言わないが)
CDプレーヤーは出したがそれも初期だけという感じ。
去り行く日立Lo-D…
そんな時代でありました。
2月27日
さて、実質Lo-Dラストのアナログプレーヤー?
HT-500MK2だが40年後の今日手に入る個体が
普通の状態であるはずがない。
アーム上下せず。
アームが左右にも動かないのならわかるが上下だけとはこれいかに?
ちょっと遠回りしてしまったが結論を言うと
お決まりのゴムベルトの伸びが原因だった。
逆にいうとこの機種なんか、ゴムベルト一個交換さえしていれば
半永久的に稼働する気がする。
オート機能を組み込んでいる事もあってキャビネットの中は
スカスカ。ほぼ単純な箱みたいなものだ。
スイッチは大きく扱い易くわかり易い。素晴らしい。
そして操作はダストカバーを閉めた状態でも出来るようになっている。
ただ、オート機構の動きは実にゆったりというか緩慢といか
貴族的というか…
短気な人はテクニクスを買えと言わんばかりのスローモーさだ。
まあ文句を言っても速くは動かないから諦めよう。
こちらの都合でカートリッジはデンオンDL-65をチョイス。
以前MK1を聴いているから大体の傾向はわかる…
と思ったが随分印象が違う。
MK1を聴いた時は大人しく刺激の少ない音と
思ったが今回は結構パリッとしている。
これにはカートリッジのキャラクターが絡むから一概に言えない。
MK2本来の音を聴きたければ高出力MCを持ってくることだ。
2月28日
いつも思うのだが昭和のオーディオ機器は優秀であり、
アナログプレーヤーも5万円位でも充分にさえ思える物がゴロゴロしている。
HT-500MK2もその一台の様で素晴らしいパフォーマンスを発揮する。
HT-500MK1の時、随分まったりした方向だな、と思ったのは、
あるいはその時のカートリッジのキャラクターが支配的だったのか?
今回MK2にDL-65で大正解?
パリっと鳴ってしかも立体的な鳴りも見せてくれる。
このままで良いのだが、ここまで来るとMCあたり試したくなる。
そこでヤマハMC-705を装着。(テクニカ3100系のOEM)
ルックスも黒でMK2のアームや外装にマッチする。
取り換えてみると、これ又違う世界を見せてくれる。
一言でいってエレガントになる。
色気が出ると言っても良い。
「おおーそーかぁ〜。そーだよなー、うんうん」
と一人で納得してしまう。
そんな音がする。
多分カートリッジを更に更にと取り換えていくと
それに見合った音がするのだろう。
とどめにキャビネットの中に補強を入れたり、デッドスペースを埋めたり
重量付加をすると一段二段の向上が期待できる。
まあそれはやらないが木のブロックを三点に挟んで
インシュレーターを浮かしてセッティングしてみた。
足元を確かな物として悪い事は無いのだ。
後は最近使わんかい事が多かったディスクスタビをドン。
好き好きだが重心を下げたいむきには良いかも。
そんなこんなでこれまた驚いた、のでありました。