12月21日
12月22日
SATINのカートリッジについてはこれまで僕自身も触れているし
なによりも熱心なマニアの方が大変詳しい事を書かれているサイトも
あるので、くどくどとここで書いても仕方ない気がする。
ひとつ言えるのはカートリッジの理想を求めて
大変な綱渡りまでやっていたメーカーだということ。
こんな風に書くと「綱渡りとは何事か」とお叱りを受けるかもしれないが
もちろん誉め言葉だ。
MCカートリッジの理想を追い求めると
どうしてもコイルが前進してくる。
一般にはカンチレバーの根元にコイルが位置するが
動作としてみると曖昧さが生じる。
ただ、コイルが前進してくると大抵厄介なことが起きる。
やはりコイルというのはカンチレバーの根元にあって
ボディの中にすっぽり隠されている方が安全だ。
次に、この前進して来たコイルを支える技術がスゴイのが
SATINの特色だ。
一種のパンタグラフが置かれ、その頂部にカンチレバーが接触する。
ほとんどウルトラCの世界だが、更に凄いのがゴムなど曖昧さの出る物の追放も行う。
やっぱり半端でない。
ただ、これだけシビアな物を作ると使う側にも覚悟を要求する事になる。
冗談抜きにF1レーサーの世界である。
いや、F1マシンの方が民主的かもしれない。
僕はアナログレコード再生は好きだが
あんまり細かい話は好きじゃないのだ。
12月23日
ただでさえシビアなSATINが生まれてからざっと
40〜50年経過している。
考えただけで無理筋なことだ。
2021年も暮れの今、語るべきは「このSATINは…」という
ことになるだろう。
さあ、この個体。SATIN M-117は…
まず歪む。
盛大に歪むのだが音は出ている。
それじゃあ駄目でしょ、というのは失礼ながらマニアではない。
SATINにおいて音が出る。
しかもある音量が出ているというのは非常に重要な事だ。
というのはアーマチュアやコイル部分でのグリス劣化からくる
固着が強固になると音が出ない。
出ても蚊の鳴くような音量になる。
それらは難物なのだ。
しかも下手をすると弄られてパンタグラフ状のアーマチュアが
破損して一巻の終わりになっていることだって考えられる。
それからすると歪んでも音が出ているのはマシな方なのである。
さてしかしこのままでは困るのも確か。
どうしたらよいのか…?
12月24日
さて、何が出来るか?ということで最初はひたすらレコード再生に励んでもらった。
針圧で変化するかとか色々模索したが結果イマイチ。
あれこれと悩むが、これはやはりmm単位のアーム調整とか
そんなこと以前の段階にあると判定。
ではなにをどうしたら?
ひとつ気になったのが室温の低さ。
よっしーの部屋は寒いのだ。
そしてこの個体のグリス?の状態が気になった。
そこでコタツの中に持ち込んだり(タッパーに入れた)、
ストーブの前をワンコたちと争ってもらったりして
文字通りウオームアップ。
結果、これまでのところではこれが一番効果があった。
全体に歪みまくりという状態からは脱した。
しかしもちろん完璧ではない。
この先はというとよっしーの手には負えない気がする。
12月25日
温め大作戦が功を奏したのか、
当初の盛大な歪は無くなった。
それが温めたためかどうか確証はないのだが…
ここでアーム交換…と言いたいが面倒だからプレーヤーごと位置変更。
EPA-100の方がWE-308より優れているなんてことではなく
EPAだと演奏しながらアームの高さ調整可能。
また各種コントロールもSAECよりやり易い。
これで凄く良くなると良いな、と思ったがそこまでは感じられない。
さらに…
と言いたいが、この年の瀬に連勤連勤で時間不足も甚だしい。
そこへ持って来て色々やるものだから混沌としている。
いい加減小休止しないと駄目かな?
12月26日
いや、昔の20分の1程度しか疲労していないのだが
やっぱり連勤はダメだよ。
ま、今回みたいなのは仕方ないんだけどね。
SATINに疲れたので一休み。
12月29日
いや、本当に無理は禁物。
いかなる理由であったとしても、だ。
ここで話はCDプレーヤー。
しかしご覧の通りミニサイズ。
ケンウッドのDP-1001Gである。
これまた調べたら四分の一世紀くらい前の物と知ってびっくり。
もうそんなに経つのか…
正確には1994年の発売。
ケンウッドはK'sという高級ミニコンポをリリースしたが
CORE1000というパッケージはアンプがKA-1001G(60,000円)
スピーカーがLS-1001(60,000円2本1組)
そしてCDプレーヤーがDP-1001G(48,000円)で16万円という基本構成だったが
それぞれ単売もされていたというわけ。
この1994年というのがどんな年だったかというと
バブルの崩壊が止まらない頃であり
景気の冷え込みはなかなかのものだった。
そんな中でもオーディオ界はまだ元気だったというか
バブルの残り香があったというか、
今を基準にすればまだまだ国内メーカーに活気があったと言える。
このCORE1000の16万円というのも
高くは無いが安くはない。
コンセプトは大人の使用と鑑賞に堪える質感高いミニコンポという
ところだろうか。
この種の物といえばK's、的なヒットはしたと思う。
冷静に眺めてみると他社からも同じコンセプトの物は出ていたわけで
まだまだパッケージメディアを買って来ては
気の利いた装置で音楽を掛けるなんて事を
人々がする気になっていた証左といえよう。
そんな事もあってこのDP-1001Gなんかも高級感…とは言わないが
特にフロントパネルの厚みと質感が効いて
持つ喜びを感じさせる仕上がりとなっている。
12月30日
しかし、まあ27年前のCDプレーヤーだから
不具合は抱えている。
この機種と限らないがトレーが時々開かない。
ベルトの伸び?と思ったがそうでも無さそう。
メカの可動部を簡単に清掃、グリスアップするが
あと一歩完璧にならない。
まあ続きはボチボチと。
それよりもこの機種、調べてみると案外(失礼!)人気がある。
カギはDACらしく、DAC7採用というところがポイント。
DAC7ってなによ?と調べるとPHILIPS社の 1bit TDA1547を使って云々と
出て来る。
よっしーの不得手な分野なので正確な事はご自身で
お調べになる方が良いと思う。
ただ、一定の評判評価を得たDACな事は間違いなさそうだ。
過去によっしーの部屋にもCD-950という機種が来てくれているが
それもDAC7搭載機だった。
ちょうどDACがマルチビットからワンビットへと
主流が移っていく頃の製品であり、
DAC7搭載機としてはDP-1001Gなどはローエンド機だったのだろう。
もちろんDACだけで音が決まるわけでは無いのだが
捨て値で買えるところに目を付けて、これに更に手を入れるという
マニアも散見する。
個人の感想かもしれないが、そんな風に構って貰えるプレーヤーって
やっぱり幸せだと思う。
取りあえずディスクの出し入れが出来る様になったので
音を出してしまう。
せっかくのコンパクトプレーヤーなのだから、と
S-A60に繋ぎRealistic7を鳴らす。
すると…
12月31日
…とっても良い音だ。
適当に言っているんだろう?と思われたら半分合っている。
ぱっと聴いて良い感じである。それでオーケー。
それで何が悪いのだろう?
”ありふれた暮らしの 何が悪いのだろう”という一節を思い出した。
小山卓司さんの「帰郷」という曲の中の言葉だ。
DP-1001Gがどうこう言う前にS-A60で鳴らす鈍器スピーカーは大抵良い感じだというのがある。
やはり多くの人が”お、いいじゃん”という普遍的な音というのはある。
DSLを入れた状態で”どんっ”と出て来る低音〜重低音。
普通に聴く分にはこれで充分。これ以上何が要るんだろう?と思えてしまう。
オーディオは趣味の世界だから、誰が何をどれほど追及しようと自由だ。
だから人間の方が壊れちゃっていても気づかないなんて事もある。
そのモードに入ってしまっている時に誰が何を言ってもどうにもならない。
何事もほどほどに…というのがよっしー的2021の結論。
ありふれた音の何が悪いというのだろう?と一人呟いてみる。
今年の締めくくりにSATIN M117の話し。
本当に草臥れてしまってアナログどころじゃなかったのだが、その数日放っておいたら
見事に歪みなく鳴るとはあまりにオカルト的?
どうしてこうなった?と訊かれたら、しばらく運動していたら永年の固着が溶けた+
針圧、アームの高さなどの調整がツボに嵌ったとしか解釈のしようがない。
音だが、カラッとして突き抜けた感じはとっても良い。
鳴ったら鳴ったで一筋縄ではいかない音なのではないかと
勝手に思っていたが、音自体は極めてノーマルな物だ。
一年の締めが歪んだ音だったら嫌だな、と思っていたが
奇跡の?大逆転。
これで大丈夫だ(何が?)。
大晦日。
一瞬風が雪を運んできて驚いたが
取りあえず日照時間も長くありがたい、そんな日だった。
えーと、来年は2022年くらいで良かったっけ?
どうぞよろしくお願い致します。
なにより、皆さんにとってより素晴らしい一年でありますように!