11月3日
PIONEER PL25。
PL-25でも後ろにDとかEとか付くのはベルトドライブ機。
無印25はそれに先立つものでアイドラードライブである。
アイドラードライブと言えばEMT、トーレンス、ガラードと相場は決まっているが
ここはよっしーの部屋なのであった(汗)
歳を取ったアイドラードライブで一番気がかりなのは
文字通りアイドラーであり、プラッター内周と接触する
ゴム部品の硬化等の劣化は致命的。
しかしさすがメイドインジャパンというべきか、
触感、目視で特に問題無いレベル。
立派である。
ただ、この個体はアイドラーと別の部分で問題をいくつか抱えていた。
当初あったのが最内周でアームが進まなくなってしまうというもの。
あるいは音が歪始めるというもの。
首を傾げたが、オートリターンの為の機構をアームが押していくのだが
押す力が不足というか抵抗が大きいというかで
上手く行かない様子。
今回久しぶりに出してみても内周に寄った時の歪が
出ていたので再調整。
ま、オートリターンはしなくなってしまうが
アームを機構から解放しておいた。
しかし、それでもどうにも歪っぽさが出る。
色々やっている内にアームのシェルと触れる部分の接触不良ということになった。
しかしこれが、ちょっと綿棒で擦りました、パーツクリーナーを吹きましたで
済むレベルじゃあなかった。
あの手この手でなんとかクリーニング。
最後にタミヤの接点グリスを塗って終わり。
これでやっとまともな音が聴けるようになった?
そうだ、45回転も試さなきゃ、と思ってカシオペアの12インチを掛けたら凄かった。
安上がりなヤツとお笑いください。
11月4日
PL-25だが昔鳴らした時は違ってクオリティ大幅アップ?
やはりお手入れというのは慎重かつ大胆でなければ
ならないと痛感。
シュアーM-75MBで快調に鳴っていたがMCだとどうなるか?と思って
テクニカAT-33E初代を持ち出した。
考えてみると随分久しぶりだ。
AT-33Eだから、というのもあるが
18gシェルに付いて、しかもミッチャクシリンダーを
奢ってある仕様なのも気になった。
ハイマスの方がこのプレーヤーには
更にマッチするかな、なんて思った次第。
予想的中で良い感じが増す。
そして、このAT-33Eというカートリッジがベストセラーになった
理由が改めて良く分かった気がした。
パッと明るさが出る高域。
たっぷりと鳴る低音。
これを派手な音、と言ってしまえばそれまでだが
特に小音量で聴く時、このアクセントが実によく効くのだ。
こうした演出というのは大事だろう。
買い替えた人が、ああ、買ってよかった、と
第一音からにっこりする音作り。
担当者は世のなかを良く分かた人だと想像する。
使っていて感じる難点はゴミを拾い易くしかも
それにちょっと弱いということ。
そんな事言われても…とカートリッジが呟くのが聞こえて来そうだが
それが無ければ、と思ってしまう。
しかし、やはり33は103と並ぶ日本を代表するMCカートリッジだ。
それにしても、その能力をちゃんと引き出してくる
50年近く前のアイドラードライブって…
11月5日
ここまで鳴るのなら、と興に乗ってZYX登板。
AT-33Eも良いが、これが出て来ると一段二段大人の味わいが
出てきて違いを見せつける。
AT-33Eが20代30代だとすると
ZYXは40代か?深みが増すのがわかる。
これだけ鳴ると本気にならざるを得ない。
前にもやった気がするがアイドラー外して、この後モータープーリーも
一度抜いて点検と注油。そして脱脂。
注目のアイドラーは硬化もしていないしヒビも無い。
その点で本当に優秀。
ただ、残念なことに一箇所だけ変形あり。
これはもうモータープーリーにアイドラー当てたまま
保管してくれたな、と恨み節。
それさえなければね…
…なのだが、そんな事を忘れさせるくらいの音がしているのは何故?
11月6日
いや、これはマズイ…
ことはないのだが日増しに音が良くなる…
ではなく、こちらが理解出来るようになったのだ。
まず、こんな古い。それも正直そんなに高級でも無い
プレーヤーからさほどの音はするまいという先入観。
それを払拭するまで時間が掛かった。
とんでもございません。
スゴイ良いんですけど、これ(笑)
あたしゃ一体どうしたらイイんでしょう?
ルックスも良い。このコンパクトさはタダもんじゃない。
そう、この大きさでアナログプレーヤーというのは綺麗に完結できるのだ。
そして動作が美しい。
オートリターンこそ殺してしまったが、
手動のリターン。そしてオイルダンプの効いたアームリフターの
仕事の丁寧さ。
これより新しくて高級なプレーヤーでも
礼儀正しさで負けるものも沢山ある。
なによりも、アイドラードライブというものに対する誤解。
なんというか、アイドラードライブというのは
なんかとんでもなく力強い音がするとか
そんな幻想?を抱いていた。
しかし、ああ、それはそういう事では無かったのか、とやっと
理解出来た気がする。
実に音楽が、ある種のまろやかさを持って、
しかし実に活き活きと美しく鳴ってしまうのだ。
これはちょっと無いんじゃないか、と拗ねてみたくなった。
50年も前にこんなにも完成された世界があったなんて…
おらあ騙されたような気持ちでイッパイだぁ〜
11月7日
PL25にZYXはとってもマッチしていたのだがふと思ったことがあった。
そう。アイドラーにはM44では無かったかと…。
いや、別にアイドラーには44なんて事は誰も言っていない。
ただ、僕も一時期千葉方面を気分の上だけだが
沢山散歩したことがあって、トーレンスにはM44と頭に刷り込まれているクチなのだ。
我が家で唯一のアイドラー機が活き活きと鳴り始めたとなると
これはやっぱりM44を宛がわない訳には行かないではないか。
さてさて…
11月8日
オーディオ界に時々出て来る単語に「信仰」というのがある。
「これこそは!」と思ったら一生懸命。
それは良いことだが勢い余ってその他を否定し始めると
トラブルの元。
ま、信仰というものはすべからくそうした危険性を持っている。
カートリッジなんかも信仰の対象になり易いというか
差し替え交換も比較的容易なパーツだから
信仰の乗り換えも簡単簡単?
しかし繰り返し言うが、だからこそあんまり乗り換えたりしないで
自分が惚れ込んだ物一途の方が良いとも思えるのだ。
SPU一筋。Type3一筋。DL-103一筋…
そうした中でM44一筋なんてのも愉快痛快奇々怪々?で良い気がする。
なんと言っても価格的にはローエンド。
高級カートリッジ一つ買うお金で10個くらい買えてしまう。
どんなもんだい、と言いたくなる。
その中から自身で選別してお気に入りを使うのさ。
さてしかし、よっしー個人の話しとなるとM44にそこまでの思い入れは
あるような無いような…
ただ、価格的ローエンド機で、「どうだ!」という音が出せたら
それはそれでオーディオマニア冥利に尽きるとは思う。
理屈はさておくと、やっぱり一心不乱にならないとそっぽを向かれる事も多いのが
オーディオなんだと痛感させられる。
最初は「なんだじゃ、こりゃ」と愕然。
そこから色々やって落ち着いた所。
写真はM44Gで、44属の中ではやっぱり中庸というか
これくらいだと安心して使えるよね、的立ち位置の一本。
だが、結論めいた事を言ってしまうと、よっしーの好みは
赤い赤い、赤い仮面のV3〜♪
…ではなくて、赤いノブのM44-5かな。
一段繊細さが増して兄貴分達も何するものぞ、みたいな
優秀さを示す。
しかし、しかしそれだけで良いのか?という思いもあって…
11月9日
なにか言い忘れたようで…というと小椋佳さんだったっけ?
なにかやり忘れたようで…
なにかというと44-7である。
M44ならなんでも良いというわけでは無かった。
M44-7こそ本命?
…かどうかしらないがよっしーの部屋では
M44-7は永ら不遇であった。
要するにボディだけあって針無し。
44-7の針くらい買えるだろう?と言われそうだが
それをなかなか買えない時期があったのだ。
で、昨年だったかkoyamaさんからジャンク(カンチレバーが曲がっていた)
針を幾つか頂いた中に44-7の針もあった。
これでやっと44-7のボディと針が邂逅…
そんな大げさな話しかいな、このドケチが、とカートリッジが怒っている?
まあ何でもよろしい。ここは44-7を締めに聴かなくてなならない。
結論を言ってしまうと音はサイコーである。
これはある意味最右翼。あるいは最左翼?
大変な個性であってバリバリどっかんと景気よく鳴り響く。
と、書くと単なる荒くれ者だがそうではない。
なるほど気遣いも出来る子なのだ。
ただ、44-7と限らないが44属は盤の状態他に敏感である。
あるいは根っから正直な性格なのか、
例えばZYXなんだかと何ら問題なく掛かる盤で何度も針を上げる羽目になる。
もちろんこれは日頃と違う位置をトレースしているからという
基本的な問題もあるのだが、なんとも不利な話しだ。
また、出力が大きいだけに色々なノイズも拡大して届けてしまう。
やっぱり44なら44に徹底して打ち込んで使わないといけない気がする。
それでも多少なりとも44の味わいも引っ張り出せたか?
一応そんな事にして置いて欲しい。