5月25日
こちらのお二人は、滅多にリスニングルームに
入って来てくれない。
5月26日
ころでマランツLS-5Vである。
1998年頃の発売。
当時ペア2万円。
10cmウーファーと2,5センチドームツイーターによる2Wayと、
これくらいしかある意味資料がない。
特筆したいのはそのサイズで128W×204H×121Dmmしかない。
もちろんもっと小さいスピーカーも世の中にはあるだろうが
よっしーの部屋に現れたスピーカーとしては多分一番小さい。
例えば8cmフルレンジ一発の栗スピーカーよりも更に小さい。
その昔ミニスピーカーの第二次ブームを呼び起こした
ヴィソニックのダヴィッドが107W×170H×103D。
それよりは大きいが無闇に小さくしても仕方ない。
しかし20世紀も終わりに差し掛かったその頃、なぜにマランツはこのような
ミニスピーカーをリリースしたのか?
第四次ミニスピーカーブームでもその頃あったか?
振り返るがそんなものは無かった気がする。
というより、もうミニスピーカーはすっかり世の中に浸透して、ブーム扱いされる
ようなものでは無くなっていたかもしれない。
まあ良い。マランツブランドのスピーカー。
なんだか意外な気もするがマランツがスピーカーを出してはいけない決まりはない。
だがしかし、やはりこのスピーカーには裏があった。
裏?
なにか?
5月27日
裏?
なにか?それはユニットの供給元である。
これがTAMON タモンだったのだ。
タモン?
なんだそれは?
カモン、だと鼻から牛乳だが違う。
タモンと言えばやはり山口多門さんだろう。
飛龍と共にミッドウェー付近に眠られたのは何とも惜しかった。
…ではなくて、タモンなのである。
実はこれ、旧アイデンの皆さんが所属した会社なのである。
ではアイデンとは…というのは勘弁して欲しい。言わずと知れた名門であった。
その血が入ったスピーカー。それがマランツLS-5Vだったのだ。
もちろんそんな事よっしーが知っている訳もなく、例によってlimitedさんの入れ知恵である。
氏も最初から何でも知っていたわけでは無いのだが、いわゆる鈍器系のスピーカーなどの
研究を進める内に更に詳しくなってしまった様だ。
そんな訳で既に師がブログに考察を書かれている物について、物真似よっしーがあれこれ書くのは
憚られるのだが、それはそれということで勘弁して頂こう。
まず音を出してしまう。
するとこれが良い音だ。
実に透明感が高く、凛として力強く明快な音がするのだ。
最高に痺れるのが音場感か。
小型スピーカーで音場感なんていうと良くて当たり前でしょ?
今更なにを言っているの?と思われそうだが、そんな単純なものじゃない。
今回は一段上を行く感じなのだ。
もちろん極小という事が効いているだろうがそれだけでは無い物を感じる。
寝ぼけたスピーカーをいくら小さく作っても、このような音にはならない。
独自の浸透力。それがあってのこの音場感に違いない。
ただ、一つだけどうにもならない物がある、それは…
5月28日
それは低音不足である。
これまた当たり前の事を書いてしまってごめんなさい。
しかし本当にそうなんだから仕方ない。
そこで出て来るのがトーンコントロールやラウドネスということになるのだが
今回はまた強力な助っ人をお招きした。それが…
こちらAIWA S-A60。
よっしーの部屋的に、字面では何度か登場している。
よっしーも一つ手に入れていたのだが、これがなかなか直らない。
もたもたしていたら師匠から連絡を頂いた。
「よっしー君、ワシじゃ、ワシじゃよ。
ちみの代わりにA60落としておいたから取りに来て」
「へ?…」
…というのは例によって半分ジョークだが、全部冗談ではない。実話が含まれる。
まあそんなこんなで、今度こそ音が出るA60をゲット出来た。師匠ありがとう(^^♪
改めてこのプリメインアンプ、異常に小さい。
もちろん今となれば掌に乗るサイズのアンプだって普通だが、
これは純然たるアナログアンプであり40年前の製品だ。
それでいて248W×70H×230D(端子等の突起含まず)という寸法なのは立派。
中を覗くとわかるが強力な電源を抱え、機能も豊富でMIC端子があるのは謎だが
フォノはMC対応までしている。
しかしなにより素晴らしい機能が、DSLである。
DSLについては先月末だったかも説明しているので詳細は省くが
40Hz付近を猛烈にブーストするというもので、このA60で+15dBという
凄まじい補正である。
(先日のプリC80では+10dBと+20dBの選択式)
これも過去に何度も書いているが、よっしーはこの種の仕掛けが好きである。
スイッチひとつで低音増強。素敵ではないか。
ヤマハのアンプにあったリッチネスなんてスイッチも好きだった。
スピーカーが「低音出ない」と困っていたら助けてあげるのがアンプの役目というものだろう。
それを「僕には余分な装置は付いていません」とかほざいて放棄するとは何事じゃ!
ずばり!小型密閉型スピーカーの強い味方。それがDSLでありS-A60である。
limited師匠も鈍器系スピーカー探求がひとつのきっかけとなってDSL研究に至った。
至極真っ当な展開である。
ということで全ての理屈を超えて、セパレートアンプもなにも取っ払って
LS-5VをS-A60に接続してみると…
5月29日
LS-5VをS-A60に接続してみると…
これはもう笑うしかない。
いや、人をだまそうと思えば後ろで鳴っているG7を指して、
「やっぱり38cmは低音出ますよね」とか呟いて充分騙せる。
嘘をつけ?
いや、そう思うならS-A60かC80を手に入れてDSLを試すしかない。
これは猛烈に効く。
ただ、やっぱりお相手は密閉が良い。
バスレフでも構わないが低音が癖なくだら下がり、みたいな特性でないと
難しい。
まあ何でもよろしいがDSL一発あれば小型スピーカーがその良さを残したまま
圧倒的な量感を手に入れる事が出来るわけで、こんな素敵な仕掛けは無いと思う。
音楽を聴くうえで低音という土台がどれだけ大切かを改めて教えてくれる。
そんなところもある。
ところでlimited師匠のブログはこちら。
本当はS-A60はこちら、とかLS-5Vはこちら、とか
細分化してリンクを貼るのが良いのかもしれないが
とにかくその二点に限らず実に豊富な内容と
なっていらっしゃるので、飛んで行って全部閲覧されるが吉かと。
続きはまた明日以降…
5月30日
ところで僕がAIWA S-A60を知ったのは長岡先生が書斎のサブシステムで使っていたからだ。
先生の「いい加減にします」のかなり初期の項で「サブシステムの話」というのがあり、
そこで紹介されている。
先生のサブシステムとは母屋二階の書斎(原稿を書く部屋)に置かれている物達であり、
抜粋するとこんな感じなのだが…
”現在使用中のスピーカーはステレオ誌'82年6月号で作ったBS-32と命名したコンパクトスピーカー。
本棚にぴったり収まるように32×32×24センチで作ったものである。
ユニットはフォステクスFW160。同FT-55D。コーラルHD-60の3Way
(中略)
これをドライブするアンプだが、なんと着実にコストダウンして来た。
当初はセパレートアンプ。
ついで本格的プリメイン。
ついで59,800円のプリメイン。
そして現在は34,000円の超小型プリメイン、AIWA S-A60(40W+40W)である。
なんと音は現在が一番いいのだ。
なぜか、理由は色々考えてみた。
1、小音量で聴いているので、大出力アンプより小出力アンプの方が微小信号に強い。
2、このアンプは超小型にも拘らず電源が特に強力。ヒートシンクはダイキャストで強靭。
キャビネットも丈夫。
あまりにもコンパクトなので音圧を受けて共振することもない。
3、超ローコストにも拘わらずフラット志向でMC入力からSP出力まで測定してフラットである。
これは珍しい。またMCの音が良い。
4、DSLという超低域(38Hz)ブーストスイッチが付いている。
これは入力信号の大小に応じてブースト量が自動的に変化するのでアンプやスピーカーを
壊す恐れが無い
と言った理由によると思う。”
ちなみにこの時のプレーヤーはSL-10。プレーヤー内蔵のヘッドアンプは使わずに
A60のMC入力を使っていたとのこと。
チューナーがパイオニアのF-120。
CDがLo-D DAD-1000であった。
僕のS-A60愛はこの文章を読んだ時に決まったと言って良い。
ただ、その昔はオークションを捜してもS-A60なんか見つからなかった。
最近のヤフオクは偉大過ぎる。
5月31日
没後21年は早い。驚いてしまう。
それもあって長岡先生のサブシステムの話し、その二、である。
残念ながらA-S60は壊れてしまい退役。スピーカーもBS-32からBS-46へ変更。
サイドスピーカーとして4B-1AV(コーラル)が配置されスピーカーマトリックスが
始まった。
*長岡鉄男のスーパーAVから一枚、なのだが
この写真の時はプロフィール一号機が据えられている。
フロントはBS-46。
Zライト?の向こう側にマトリックス用サイドスピーカーと思われる
物が写っているが、これの型番は不明。
だから、という訳ではないが、よっしーもスピーカーマトリックスを開始。
深い意味は無くただやってみたくなっただけ。
アンプはS-A60。フロントはLS-5Vでこれは固定。
問題はリアというかサイドスピーカーなのだがこれが難航した。
というのも思いのほかLS-5Vの能率が高いのである。
あれやこれや持ち出したが全部だめ。
改めてスピーカー買うのも馬鹿らしい…と思って気づいた。
ヤマハAST-S10があった。
ASTスピーカーをマトリックスのサイド(リア)に使うとは罰当たり?
いや、まあ取りあえずこの際マッチすればそれで良い。
と思ってやってみたらちょうど良かった。
どうもLS-5Vは90dB以上あるみたいだ。
久しぶりのスピーカーマトリックスなのだが、やっぱり楽しい。
特にリアというかサイドのAST-S10のセッティングなんていい加減の極みなのだが
その辺は深く考えてはいけない。
スピーカーマトリックスについてはこれまでも散々書いているし
なにより長岡先生の文献などがいっぱい残っているので僭越としか言いようがないのだが
派手にやるならリスニングポイントの後方にサラウンドスピーカーを配置するのだが
無難なのはサイド。それもリスニングポイントよりも気持ち前に
置いてみることだと思う。
本当はスリムなトールボーイとかが良いのだが、そんな物を設置出来る環境の方が少ないと思う。
だからブックシェルフでもなんても良い。
床に転がしてみることから始めれば良い。それならやりたい時だけ出してくるなんてやり方も可能だ。
ケーブルはもちろん極細で取り回しの良い物でスタート。
色々向きを変えたりして調整をすればよいだけだ。
ポイントはサラウンドスピーカーの能率が低すぎないように選ぶこと。
フロントと同等あるいはやや高めなくらいが良い。
サラウンドのレベルが高すぎるのを下げる調整は難しくないのだが
その逆は難しい。