4月19日
ツルルルルルル…
ピッ!
「もしもし、よっしー君。わしじゃ、わしじゃよ」
「あ、limited師匠。こんにちは。今どちらで?」
「どちらもこちらも無いのじゃよ。君のしょぼい職場の前にいるから。ちょっと出てきて」
「へ?前って。あ、もしかしてあちらのお車〜」
「例のブツを持ってきたから、取りに来て」
「へいっ」
「あ、師匠。ご足労ありがとうございます。
…ってか、なんか大きく見えますが、これって…?」
「ああ、ついでに持って来たんじゃ。それからこれね。じゃ、後はよろしく」
「え?そ、そんな…」
ブーン…
「あ、行っちゃった…。さすが師匠。やることが早い…」
そんな訳でlimited師匠ははやてのように現れてはやての様に去って行ったのでありました。
そして僕の手元には…
(続く)
4月20日
こちらSL-QD3。
1986年頃の製品か。
当時39,800円。
T4Pカートリッジ込みだったから随分お値打ちだ。
1986年というのはなかなか微妙な年度で、世はすっかりCDに傾倒。
しかしアナログが完全に消えた訳でも無いし、みたいなタイミング。
そんな中で生まれて来るプレーヤーに課される物はなにかというと
手軽であるということだ。
よってこのQD3もフルオート。
盤を載せたらやることは33回転か45回転かを選ぶだけ(大抵33に固定だろうが)。
後はスタートボタンをちょっと押して終わり。
それで良いのである。
それにしてもこのアームはじめ格好良い。
黒く、低く、薄くという感じで実にスリムというよりは車高低くロータスヨーロッパみたいだ。
いささか安っぽく見えるところもあるのは致し方ないが、
それでも触れてみるとキャビネットなんか単なるプラスチックではないのがわかる。
底ベースは TNRC (Technics Non-Resonance Compound) という、振動減衰性に優れた複合樹脂製
が採用されている。
余談だが何気なく手で触れて「お、これは良い物をお使いだ」とかわかるようになると
人間お終いで立派なジャンカーの認定が下される。
以上をさて置いて、音はどうか?
4月21日
取りあえずT4Pが必要な訳で202Cに針を…贅沢にもボロンカンチレバーのをチョイス。
これでどうよ??
…なるほど悪くない。
悪くない…
だが悪くない、のと良い、はちょっと違う。
なんというか、感動が薄いのである。
三食出て来るし、ベッドもある。お風呂もあります。
それはわかった。
わかったが、後一息何かが欲しい。
そんな感じだ。
この辺でお金を掛ける事を許されたプレーヤーと、コストに厳しい制限をされたプレーヤーの
違いが出て来る。
当たり前で、同じ結果になるわけがない。
しかし悔しい。何か出来る事は無いか?と考える。
シートは交換不可。カートリッジもT4P限定。
調整箇所は無いのである。
ただ、一つだけ最初から引っかかっていたのが…
4月22日
ただ、一つだけ最初から引っかかっていたのが脚である。
インシュレーターがグニャグニャ…
更にそれを介して止められている底板が前述のTNRC製でカンカンした鳴きこそない物の
どうにも納得できない。
いや、これはひとえにQD3だけの問題でなく、普及価格帯のプレーヤーにつきものの
弾性を持った底板とそこに付けられるインシュレーターというヤツの問題と思う。
そこで戯れに三点に木の破片を挟み込んでプレーヤーを浮かしてみる。
これはやはり効果があって、随分音がちゃんとして来る。
何ていうと偉そうだが、激しい運動をトランポリンの上でやったらどうなるか?と
考えたらすぐわかるお話しだ。
しかし市販品プレーヤーの場合ハウリング対策は必至で、特に一般リスナー向けプレーヤーで
それを廃したら、後でとんでもないことになるのは想像に難くない。
ここで悪乗り。
インシュレーターも底板も外してしまう。
そして両脇に木の棒を置いてその上にQD3を置く。
取りあえずの設置対策としてはこれ以上は無いと思う。
ただし、よゐこは絶対真似してはいけない。
プレーヤーの贓物はさらけ出されてしまう。
間違えると優秀なオート機構を壊す。
何よりも感電、発火の危険もある。
ご存じこのプレーヤーには電源スイッチが無い(!)
常に100Vが掛かっている。
電源はプリメインかプリの連動ACからとりなさいということだ。
ということで色々書いたが普通に考えたら実に優秀なレコード再生機だ。
T4Pカートリッジに限定されるが今ならまだ手に入る。
後は調整不要。
オート機構も光だ何だと使っていないから壊れる心配が少ない。
立派なクオーツロックダイレクトドライブでもある。
手に入れたらややこしい事を言わずにガンガンレコードを掛けるのが吉。