2月10日
挽歌を撃て、という話では無かったのだろうが
1982年以降も各社からアナログプレーヤーやカートリッジは出ていた。
ただ、まあこれが最後の…であろうことはCDの台頭もあり
皆が感じる所ではあったわけだ。
しかし一方でそんなに簡単にデジタルに移行するものかという
思いもあった筈だ。
ちょっと曖昧な時期。
それが1982年くらいから1985年くらいの時代の空気だったではないかと
思う。
そんな中でパイオニアから1984年にリリースされたのがPL-7LおよびPL-5L
であった。
そしてこれにてパイオニアのアナログプレーヤーは打ち止めとなってしまう。
次を見る事が出来たのは近年DJモデルが出た時だったから、かくも永き不在もよいところ。
2月11日
パイオニア実質最後の。渾身の一台…と言いたいのだが改めて見てみるとなんとも
変な気持ちになる。
まず佇まいはまるでヤマハのGTプレーヤーだ。
木の感じなんかそっくり。
ちょっと大きめのプラッターなんかも似ている。
それでいてアームはというと、今度はなんだかケンウッドのKPみたいな感じだ。
なにがどうしてこうなった?
しかし、当たり前だが単なる物真似プレーヤーなんかではない。
大きな特徴のひとつがダブルインシュレーションシステム。
簡単に言ってしまうと底板にインシュレーターが付いていて、それは当たり前なのだが
その底板とプラッターやアームが取り付けられているプレーヤー上部も
インシュレーターで分離されているというもの。
頂点のプレーヤー、P-3及びP-3aと少し似た構成ではあるがさすがに同じとは言い難い。
それはお値段からして仕方ない。
次にトーンアームだがDRA(Dynamic Resonance Absorber)方式と呼ばれ
共振排除に腐心したもの。
字だけで説明するのは難しいがアームの支持部に特殊ゴムを用いたダンパーを仕込んでる。
更にアームパイプの途中にカチャカチャと動くアブソーバーが組み込まれている。
これで音に良いのか?と首を傾げるが、結果は後のお楽しみ。
なお、このDRAは前作のオート機PL-707で初めて採用されてからP-3aにも取り入れられている。
パイプは超ジュラルミンストレートパイプ。
これは前PL-70、50、30シリーズのパイプと互換性があるという親切設計。
上級機PL-7Lではアルミナセラミックスを採用していたが、それは単売もされていたので
それを使う事も可能だ。
プラッターは33cm。ちょっと大きい。しかしGT-2000なんかと比べると明らかに小さい。
それは当然のことで、価格帯からして比較するならGT-750あたりと比較すべきだろう。
サイズ的にはきゅっと引き締まり、大げさすぎず。質感はKPよりもGTよりで
所有する喜びにも繋がるという辺り、やっぱりポテンヒット狙い?
しかしこのプレーヤーだけ見ていたら別に問題なく素敵である。
細かい事だがダストカバーも前PL-50系30系よりも厚く質感の高い物になっている。
さて音だが…
2月12日
さて音だが…
音だが…は良いがいつも変わらぬ前口上を言うとプレーヤーの音はプレーヤーだけで
決まるわけでは無いということ。
それをご理解いただいた上で、の話しだがカートリッジは付いていたテクニカAT-F3U
時代的にも、なるほどね、の組み合わせである。
プリPRA-2000。メインHMA-9500はいつもの通りだがスピーカーは
最近のお気に入りのSX-3V。
出て来る音はと言えば美しいの一言。
透き通る、という方が正しいか。
ベールを被るなんて事は微塵も無いのだが、アラみたいな物は、これまた
絶対に見せないという毅然とした姿勢を感じる。
人間の聴覚に心地よいものだけをお届けする全自動篩分け器を内蔵している?
自室では聴いたことが無いがP-3と志は同じくしているのかもしれない。
P-3が京都ならPL-5Lは小京都だろう。
2月14日
PL-5Lの上位にPL-7Lが居て、更に上回るのだろうが、サイズ感など
これ見よがしにせずに庶民感覚で収めたPL-5Lも凄く素敵だ。
さて、こりゃ参ったという感じのPL-5Lだが、この個体、実は難点を抱えている。
それでもこれだけの音が出るのねと呆れてしまう。
難点って何ですか?っていうのは後に明らかにしたいのだが音は良いの一言。
この辺で違うカートリッジを使ってみたいのだが、お分かりの通りカートリッジ交換は
とってもやりたくないタイプだ。
昔PL-50LUの話しの所で散々語ったが、パイオニアのこの種のシリーズは特に、
カートリッジを交換、ではなくアームパイプごと交換してお楽しみください、というのが
コンセプトなのだ。
更に親切設計というかPL-5L、同7Lでは前シリーズPL-70、50、30とアームパイプは共有が出来るのである。
という事でPL-50LUからS字パイプをもぎ取って来て差し替え。
せっかくだから、ということでカートリッジはAT-F3初代をチョイス。
BBGオーディオに初めて行った時求めて来た想い出のカートリッジだ。
これでどうよ?と見ると(聴くと)クールな感じは一歩後退。全体にちょっと太めな感じになる。
良くも悪くも使えるS字はこれだけであり、色々なカートリッジをどんどん差し替えて使いたいとなれば
このパイプを選ぶしかない。というよりS字を選べる余地が一本でもあった事に感謝すべきなのだろう。
その後はシュアーV-15Type3に交換してみるが
これも美しく鳴る。
いずれにしても、このプレーヤーのパフォーマンスには驚く。
もっと驚くのが市場であまり評価されなかった?
これはひとえに発売時期が限りなく1985年に近い1984年だったというのがあるのだろう。
また、ケンウッドのKP-1100みたいにロングランにでもなっていれば話は違ったかもしれない。
この音がどこから来るのか?と考えるとこのアームは優秀と見る。
音質優先ならストレートパイプを使いたい。何本か用意して、「これ」というカートリッジは
そちらに固定して使う。
念のためにS字パイプを一つ用意する。それで万全。
言い忘れたが前作PL-50LUなどと同様、レコード最内周まで行けばオートでアームは上がり
プラッターの回転は止まる。動作も優美で大変便利なものである。
2月15日
こうなると試してみたくなるのがPL-50LUに
PL-5Lのアームパイプを使ってみること。
だが問題がひとつ。
僕のPL-50LUには重量級カートリッジ用ウエイトしかない。
軽量級用が失われてしまっているのだ。
当初カートリッジ側に錘を付加してみたりしたが
好ましくない。
色々物色する内にビクターQL-7Rのウエイトが
合う事に気づいた。
PL-50LU+PL-5Lのパイプ+AT-F3Uの組み合わせの実現だ。
音はというと、少し甲高さを感じさせて気になるが
これは一種のお試し、実験であるので
これ以上は要求しない。
最後はPL-50LUを素のままで使う。
S字パイプでシュアーV-15Type3→AT-F3初代→AT-33E。
それでなんら問題ない音がする。
当たり前か、1981年当時95,000円と立派なお値段。
ルックスも良いし使い勝手も良い。
音についてはアームパイプが差し替え可能ったり、ウエイトもそれに呼応したり、
更にオイルダンプの量でコントロールできるなど
至れり尽くせりの丁寧な設計ゆえ、これがPL-50LUの音!と
断定するのはかえって難しくなった?
あるいはそこがこのプレーヤーの悲劇的なところかもしれない。
2月16日
松田さんのディスクを家で鳴らす日が来るとは思わなかったのだが
人生どこでどう転ぶかわからないものだ。つくづく。
適当に(失礼!)で買ってくるもんだから後から気づくのだが
これはベスト盤?
知っている曲もあれば、初耳もあり、そこは徹底した
ファンではない分良い意味で気軽に楽しめる。
全編を通じて感じるのは、当たり前だが娘心。
そして時代性だろう。
True Loe 嘘までついたはじめての旅に
True Loe あなたは指も触れてくれないの
…おいおい、男、しっかりしろよ、と突っ込んだら詩的には成立しない。
前から好きだった本当はあなたを
でも今は顔にも出さないつもり
不意のデートに誘われた時
迷うふりしてじらしてごめんね
…まったく女は面倒くさい…と言ったら詩的に成立しないだけじゃなくて
重要なポストから外されます(汗)
アリバイはうまく作れたの 女同士とママに嘘ついて
疑いもしない顔見たら ちょっぴり胸の隅が痛かった
うーん…ママはきっと気づいていたと思いますよ(笑)
以下挙げていくとまた全編解説になってしまうのでこの辺で。
18から20歳くらいまでの女性の心。
あるいは心の成長?を集めたアルバムかも。
何かを手にするよりも失う体験の方が、
歳と共に増えていく感じが描出されている。
これはもう売れる筈で、時代を背負ったというか代弁してくれた感がある。
サウンドも万全で歌唱を盛り立てる。
また、同じ20歳前の物語であっても
長い不況下にあった人たちのそれは、
この1984年発売のベストアルバムに描かれるそれとは
ちょっと違うのだろう。
録音も良いというかベストアルバムと思えない統一感があるのはなぜ?
AT-33E+PL-50LUという組み合わせも好適なのか。
もっとも当時の価格で併せて13万円である。
悪い筈あるわけない?
*全部書いてから知ったが、これはシングルのB面だけを集めた
アルバムで、しかもそれでオリコン一位になってしまったとか…
さすが!ですね。
しかしどうしてサウンドに統一感が…
ますますナゾでございます
2月17日
気まぐれでビクターQL-7Rを出してみた。
パイオニアが続いていたがPL-50LUやPL-5Lが鎮座していたのをどかして
QL-7Rを置いた。他はもちろん同一である。
実にさり気なく、深い意味は無い交代だったのだが随分音が違うので驚いた。
やはり(自宅に来た最初の印象と変わらず)QL-7Rは実に若々しい音がする。
爽やかで明瞭。聖子さんが一段と若返って聴こえる?
陳腐な言い方だが定位も良い。ビクターのジンバル、恐るべしだ。
しかし考えてみると不思議である。
特にダイレクトドライブの場合、単に正確にプラッターを回しているだけのはず。
アームだってキャビネットだってそんなに極端に違うわけじゃない。
それでも音は違うのだ。
変だと思わない?(笑)
2月18日
写真の整理をしていたら面白い?物が見つかった。
1996年か1997年頃の一コマ。
D-55を作ってあるのにスーパースワンまで作ってしまった、の図。
どこへ置くのか考えていない?
テレビは29インチモニター。
その下に自作マトリックス。
これは良い音がした。
ラックの中に8mmとVHSのダブルデッキがチラリと見える。
当時の方が金があった?
D-55の上に見えるコードレスの子機が時代を物語る。
それにしてもGT-2000はこんな所に追いやられて何をしている?
SP-10MK2+EPA-100+コンクリ(!)キャビネットのプレーヤーが
来た時の写真だと思う。
カートリッジはMC-L10が付いている。
向こう側に見えるのが多分プリメインで
PM-94。
HMA-9500MK2の電源トランス断線品を手に入れてすぐの写真だと思う。
壊れていようがどうしようが嬉しくて仕方なかった。
YSA-2が手に入って嬉しさのあまり撮った写真だと思う。
向こうにツリーが見えるからクリスマスの頃かな?
スーパースワンとお別れする頃に記念に撮った写真だと思う。
今思えば思い切りが良かった。
2月19日
Lo-D HT-500。
なんだか再降臨シリーズみたいになってしまったが
動作確認をしていると思って欲しい。
恐らくゴムベルト一本さえ交換しておけば
半永久的に使えるオートプレーヤーだ。
フォトインタラプタを採用した機種は大抵怪しくなる。
(全部壊れるわけじゃないが)
シェルが限定されるのでカートリッジも気軽には交換出来ないのだが
今回初めて?DL-65を採用。
しかしこのプレーヤーの支配力強いのか?何を使っても
一定のトーンに納まる。
良くも悪くも大人しいのだ。
キャピキャピとはちょっと違う世界。
松田さんもレースのカーテンの向こう側で歌う感じ。
真にアナログプレーヤーというのも
興味深いものである。
2月20日
なにをごそごそやっているんだ?と
不思議がられるのもなんなんで一応説明しておくと
たまにはオークションにでも出してみようかと
確認中。
しかしどの子も優秀(笑)
困ってしまう。
そして何故かそれぞれ違うんだよなー。
VICTORを基準にするとLo-Dはかなり穏やか。
SONYは中間、しかしVICTOR寄り。
これが45年前の製品とは笑うしかない。
2月23日
蘇る〇〇シリーズみたいになってしまったが
毒食らわばということでラックに載せ続ける。
サンスイSR-525。
改めて素晴らしいプレーヤーだ。
シャープに決まるところはビクターQL-7Rと双璧。
しかしこちらは1975年頃の製品で定価が4万円台なのだ。
恐ろしいことである。
その価格でカートリッジまで付属していたのだが
それ故そのカートリッジでの評価になったことは
想像出来る。
当時はじゃんじゃん新製品が出て来るので
テスターもテストするのに限界があった。
かなり高級なカートリッジを宛がっても大丈夫。
というかそうしないともったいないプレーヤーだ。
付属のシートは裏返して使うか、
いっそもっと良い物に換えると素晴らしさが増す。
2月24日
これはアカン。
いや、アカンことはないのだが
もうひと押しということでType3に換えて
更に、ということでYAMAHA MC-2000改を宛がったら
また違う世界を垣間見ることが出来る。
松田さんの口の中の唾液の塩梅まで見える瞬間があるのじゃ。
SR-525恐るべし。
敢えて難癖をつければシェル込カートリッジ重量は
かなり軽めが吉。
しかしそうもいかないケースもあるだろう。
その場合ウエイトに鉛テープを巻くなどして少し重さを増やすこと。
ただし針圧計必須となるが今の時代なら千円もしないで買えるから良いんじゃない?
あ、シートはJP-501に換えてみております。はい。
2月25日
考えてみたらこれを確保したのは昨年の内だったか。
よっしーも随分立派になったもんだ。ゲットした物を忘れていられるなんて…
なに?っていうとDATデッキである。
この期に及んでDATでも無いのだがトレイオープンせずで
安かった(相場が形成されていない)ので捕獲してみたのだった。
機種がすごい。AIWA XD-S260。
知らんわなそんなもの、と言われそうな機種だ。
なんとミニコンポサイズ。
やたらとデジタルインであるとかデジタルアウトだとかが
充実しているところも気に入った。
…気に入ったは良いがトレイが開かないんじゃどーにもならん。
ま、これはベルト喪失と相場が決まっているのでオーケー。
それでも考えるとやるでは大違いで苦心して
やっとオープンクローズがスムーズにいくようになったが
万事良好となるほど世の中は甘くない。
試みにクリーニングテープを入れてみたら見事に喰った。
リールが回っていない感じだ。
やれやれ…
グリスの固着かベルト伸びまでだったら面倒見るが
それ以上はお断りだ。
いや、それだけだって面倒臭い。
紐のデジタルは難物以外の何物でもない。
正直このまま捨てたいところだが…
多分しばらく放置だ。
2月26日
2月26日である。2.26事件である。
占星術殺人事件である。
あの日都心は大雪だったのである。
…わけのわからなぬ書きだしとなってしまった。
しかし人間の性癖というのは直らないものである。
どうしてもネジを緩めて分解してしまう。
分解せずにはおられない性分なのであろう。
ただ、特にDATなんてのは特に一晩で素人が
なんとか出来るような代物ではない。
だから、ちょっと分解しては組み立てて。
つまり三歩進んで二歩下がるみたいなことをやっている。
めんどくさいヤツだなーと言われたらその通りなのだが
例えば世の中にはサービスマニュアルなるものがあって
それを観たら懇切丁寧に分解手順から何から全部書いてある…
…なんて事は無いのである。
ある意味全部その場で自分で考えなくてはならない。
今回も、患部は今上に見える写真の部分の更に下というか
裏側にあるのだろうが、そこにたどる道を探らないと
どうにもならないのである。
ま、それでも例えば20代の頃であったなら
徹夜も辞さない勢いでひたすら邁進した事だろう。
今、それはやらない。
進んで引き返してをやるだけの頭が出来た。
あるいは集中力が無くなってその道を選ばざるをえなくなった?
2月27日
なんとかは〇なないと治らないそうです…
今夜メカ部を抽出。
言うは易し。
行きつ戻りつやっています。
このメカ部裏側の基板を覗いて、
ベルトの欠損。伸び、あるいは各部のグリス固着くらいまででしたら
手直し致しますが、それ以上は無理〜
紐の沼は深い。
何年か前にビデオデッキを覗いて心底そう思いました。
2月28日
あれ?2月ってもう終わりなの?
訊いて無いよ〜、と言いたくなる。
一歩づつしか進みません。
メカ裏の基板をどけて肝心な所をやっと拝む。
さてしかし、ベルトがあからさまにずっこけている訳でも無いし
グリスが見るからに固着している様でも無い。
これはまずいパターンだ。
ま、予断は許さないのだが…
さて、どうにかなるのかならないのか?
そろそろお休みというものが欲しいな〜