1月24日
昔は大手がオーディオに参入していたんだよなー、
なんて会話が増えたのが'90年代後半からだろうか。
当時も今も松下、SONY、YAMAHAという決して小さくない会社は継続しているので
全部が全部手を引いたわけでは無いのはお分かりの通り。
綺麗に引き上げた代表格として東芝、日立というのが出て来る。
Aurex、Lo-Dと言ったブランドはベテランマニアなら覚えている、のではなく
記憶に刷り込まれていると思う。
日立はバッサリと家電を捨てに掛かった感じがあるが
東芝はそうも行かずというところか。オーディオマニア向けはとうにやめたが
お茶の間家電には取り組んで来た。
そんな中のひとつにDVDがあった。
DVDはビデオデッキやレーザーディスクプレーヤーに替わるテレビ周辺機器だ。
もっともその後数年で各社DVDはDVDでもレコーダー機能の付いたDVDに向かった。
時代の要請である。
そんなこんなの2000年代はじめ頃、その東芝が遺したDVDプレーヤー達の頂点に君臨する
プレーヤーがあった。
それが…
1月25日
それがSD-9500である。
当時298,000円。
発売当初は高額だったDVDもあっというまに数千円レベルまで再生専用機の場合下がったのだから
30万円級というのは今の見方なら正気の沙汰ではない。
ある意味東芝最後の高級オーディオ関連機か?
ま、最後には定価の何十パーセント引きで投げ売りされていたらしいから悲劇の主人公かもしれない。
しかしこのSD-9500の名がDVD機としては例外的に歴史に残る様になったのは
その音の良さからというのだから面白い。
知っている人は知っている(当たり前)話しなので書くのも憚られるが
DACはAD1955を採用。それもDVDの5,1chに合わせて6器搭載。
それを2ch再生時には3個のAD1955がパラレルで動くという贅沢仕様。
更にDDコンバーター内蔵でアップサンプリング及びビット拡張してD/A変換が出来るという
正にフラッグシップ機ならではの凝った。金の掛かった作りになっていた。
ポイントは外部入力端子が豊富でDACとして使えるという点。
つまりハイレゾ音源にも(ある程度)対応可能=今日でも存在意義がある、ということだ。
実はこの個体もジャンクであり、本体はCDもDVDも読めない。
しかしDACとしては使えるとなると大変リーズナブルな存在ということになる。
さて、開封の儀なのだが想像以上に格好良い。
漆黒。
この点で兄弟機SD-9200を大きく引き離す。
通常この色は対米などの輸出仕様だろうが日本でもそのまま売られたのか。
そこにブルーのインジケーターが光ると泣きそうに素敵である。
トレーの開閉もスムーズかつゴージャスで高級機らしいもの。
これでディスクが読めないのはやっぱり残念ではある。
とにかく大手が本気でやると凄い物が出て来るという見本みたいなプレーヤーだ。
1月26日
次に型番が良い。
9500(笑)
9500というのはよっしーの部屋ではエースナンバーである。
日立の9500と東芝の9500の邂逅。なんて素敵なのだろう。
まあ何でも良いから早く音を出せと言われそうなので、そうしよう。
そうしよう、は良いが前述のようにDACとしての使用だ。
取りあえずリファレンスのDV-AX10のデジタルアウト(光)を使ってみる。
定価では80万円の組み合わせ(!)
贅沢である。おおよそよっしーの部屋らしくない。ま、許してもらおう。
なにしろこんな事はやったことが無いので音が出るかどうかハラハラしたが
杞憂に終わりあっさり音は出た。
その音だが…
音だが、誤解を恐れずに言ってしまえば、我が家のデジタル再生では
今までに聴いたことのない音である。
実に繊細でチャーミング。
その一言で済ませても良いと思う位だ。
聴いてて楽しいデジタル。聴きごたえのあるデジタル。
そんな風に言いかえても良い。
念のためだが僕はアナログ好きではあってもデジタル嫌いではない。
要するに何だって良いのである。
ただ、デジタルの場合、へえ、凄いなーと関心はしても、わあ、と魅入られる事が少ないだけだ。
出来が良すぎて相手にしていると疲れてしまう。そんなところがデジタルにはあるんじゃないか?
ところがSD-9500のDACの音はちょっと違う。
実に正確無比なのだが色気、可愛げを感じるのである。
それが何故なのかはわからない。
しかし例えて言えばMOSアンプとバイポーラアンプくらいの違いがある。
どうも9500という型番が影響するのか?SD-9500も音がMOSなのである。
1月27日
例によってウハウハ言いながら(単純)、次々とディスクを掛けるが
CDの48kHz/16Bitで充分良い感じだ。
…とかなんとか言いながらここ数日のよっしーは悩んでいる。
柄にもなく。だ。
何を?
実はSD-9500のインプレッションの数々はスピーカーをSX-3にした状態で
書いていた。
ではこの辺でG7に。
と戻してみたがここしばらくの間ですっかりSX-3V中毒になってしまっていたようなのだ。
SX-3Vというのは、どうも化け物みたいに綺麗な音がするようで
それを基準にすると他のスピーカーはどれも荒くれもの?にさえ思えてしまう。
特にSD-9500の音がそれを助長するというか相乗効果で麻薬的なことになっている。
これもオーディオあるあると言ってしまえばそれまでだが、無い物ねだりをしてしまうのだなー。
深く考えないで暫くSX-3の音を楽しめばよいのだけど、居座られたらどうしよう、と
ふと不安にもなる。
1月28日
たまにはこんな事もして遊ぶ、の図。
ONKYO NR365を使って、さてテレビ用に最適なスピーカーは?
でフルテスト?
どれも良いね(笑)
というかオーバークオリティかもしれない。
…何でも良いけどこんな事をやっていると
とっても純真な心に戻れる気がするのは気のせい?
1月29日
ちょっと飽きて来たのでたまには別の話し。
「ボビーに首ったけ」、である。
珍しくないというかベストセラーだから数が出ている。
僕もこれで何度目?のボビーなのだ。
…だが、なんと、これ角川文庫版の初版である。
昭和55年10月10日刊。1980年代が始まった年の秋の刊行。
当時「サーファー小説」なんて言われる事も多かった片岡作品だが
この短編集はオートバイ小説集みたいな趣だ。
「ボビー…」もそうなのだが、「朝になったらタッチミー」ももちろんだ。
…というか「朝になったらタッチミー」についてくどいくらい語っているくせに
「朝になったら…」が「ボビー…」に収録されているという事実はすぐ忘れて
今回もページをめくって行ってビックリしたお馬鹿さん。それは私です。
それもさておいて、改めて「どしゃ降りのラスト・シーン」に感銘を受けた。
10代の青春。自殺を仄めかすハガキが女の子から届いて男子二人は予測される
場所に向かいバイクで疾走していくのだが果たして…
と書いたしまうとただそれだけなのだが、そのただそれだけを、ただそれだけではない
様に書いて行くのが作家というもので…
疾走感というものがこんなにも見事に書けるものかと、ただ驚愕するばかりだ。
疾走なんてのは危ないからしてはいけない。
その通りである。年寄りは疾走してはいけない。本人がどうなるのも自由だが
周囲に迷惑が掛かる。
疾走。特にバイクによる疾走は10代にこそ許されることだ。
「ボビーに首ったけ」という短編集の各作品で出て来るオートバイは排気量を問わない。
原付が出て来る「烏なぜ啼く」も秀逸だ。
ただ、若い頃は読むのが怖かった作品でもあったが。
挙げていくと全作品絶賛の嵐になってしまうのでこの辺で止めておくが片岡さんの作品に
出逢えたことは僕の人生において大きな大きな収穫である。
1月30日
装置はいっぱいあるしプリアンプもたくさんあるのだが、気づいたらDENON PRA-2000に
落ち着くというパターンになってになって何年経つのだろう?
40年も前のアンプでオーケーなんて、なんてお目出度いヤツなんだと思ってもらいたい。
で、このPRA-2000一号機がちょっと前から不調に感じる事があった。
無精を決めてそのままにしていたが、さすがにどうか?と思いラックから出して
その間をPRA-2000二号機に補ってもらう事にした。
そんな訳で12月くらいから暫くこの二号機でやっていたのだがその間の事を備忘録替わりに書いて置く。
まず、このアンプ(と限らないが)みたいなオールドアンプの場合(電源が入らないとか音が出ないとかいう
症例は別にして)、なによりも接点をクリーンにすることが肝心ということ。
二号機の方は敢えて激しくメンテはしていない。金と時間が追い付かないから、と思って貰って良いのだが
メンテした物とノーメンテの物でどこがどれくらい違うのか見極めたいという気持ちがあった。
で、音がちゃんと出ている分にはメンテ済みもノーメンテもそんなに大きく違わない。
だが、やっぱり接点の不具合を感じるようになると当然音も変になる。
ズバリ言うとPRA-2000だったらインプットのTAPEモニタースイッチとかそこに並ぶ四つの
思いっ切りアナログな接点を持つスイッチをクリーニングする事だ。
分解してのやり方は昔取り上げたことがあるが、そこまでやるのは…Tという場合、
パーツクリーナーで良いから(接点復活剤は止めておこう)噴霧すること。
その先は少々難しいがボリュームコントロールは分解してクリーニングしたい。
さらにその上となると二種類のリレーの交換となる。
二つの電磁リレー。六つだか七つだかあるリードリレーの交換。
ただ、この辺はパーツの入手という問題があるのだが。
電解が、トランジスターが…というのはその先の問題としたい。
ま、こんな話がどれだけ役に立つかわからないが物には順序があるということ。
ところで一号機の方だが開けて中を見てもこれと言って気づくところが無かった。
多少基板を抜いて戻してはしたが、なんと結果的に不具合と感じていてような物は
消えてしまった?
取りあえず一号機に戻しました。
二号機よ、そろそろメンテするからね♪
1月31日
おっと1月最後の日だ。
早いなぁ。
ひと月の日記を細かいテーマごとに切ると
読みやすいのは確かなのだが、その章のタイトルに縛られる、
みたいなところはある。
例えばこの1月の三章目のタイトルはSD-9500なので
それに呼応した事を書かないといけない気もするのだが
そうもいかない時もある。
するとなんだか散漫な出来になるのだが
束縛されるのはそもそもあんまり好きじゃない。
…といいつつ一応ここ数日のまとめをすると
(結局縛られている?)
SD-9500(のDACの音)は大変気に入ってしまったということ。
そのお膳立てとして先にSX-3Vが来ていたとは
話しが出来過ぎだが凄く良いのは事実。
冗談抜きにリファレンスにしようかどうしようか
迷う位だ。
多分PRA-2000+HMA-9500とも相性が良い。
ついでにいうとこんな時に、なんだか妙に嵌るソフトなんか出て来ると…
不思議とそういう良い流れになる時っていうのもある。
上手く流れて困る必要は無いのだが、
これで良いのか?とも思ってしまう。
まあ良いか?(笑)
あ、大事なことを書き忘れていました。
このタイミングで、東芝、一部再上場おめでとうございます。