10月26日
聖地巡礼
10月27日
ほぼ一年振りとなる。聖地巡礼。
この間にPL-31E/TS(milonさんの手が入ったPL-31Eの呼称)を
手に入れられたpippinさんのお導きで再訪。
shuksさんも同様に入手されていたのだが聖地訪問は事情で叶わなかったので
今回初訪問。
pippinさんとよっしーは「二回目だから驚かないでしょう」と言われたが
心配無用?ばっちり驚いた(笑)
基本路線に変更なしだが、それでも驚くものは驚く。
まず音の出口スピーカー。
サブシステムのはずが気づいたらメインになっていた?という
AIRTIGHT AL-05。俗にいう盆栽スピーカー。
10cm一発で170W×270H×220Dと本当にコンパクト。
後ろにA5が控えるというのにまるで城主のような居ずまい。
軒を貸して母屋盗られるとはこのことだ?違う??
冗談はさて置いてこのAL-05のパフォーマンスは圧倒的であり、
ここで聴いて即導入したというハイエンドマニアが後を絶たない
ようだが無理もない。
この日も圧倒的だったが、どうしても10cm一発とは思えない。
その割に低音が出ますね、なんてレベルではない。高い方も見事なもので
どこかにツイーターとスーパーウーファーが隠してあるに違いないと思うだのが
そんな物は無いのである。
パワーも十分入る。もちろんユニットは目で見てわかるくらい振動するが
破綻はしない。むしろ「使い切っている」という爽快感がある。
どうしてこんなことが起きるのか?
スピーカー自体も素晴らしいのだろうが、やはりアンプというのもあるだろう。
milonさん宅のアンプはFIDELIX社の物で占められているのだが、これは
純粋に音の良さに惹かれてのこと。
単純に盆栽スピーカーだけを買ってみても、相応のアンプが無ければこの音は出ないだろう。
更にmilonさんの場合はフォノイコからパワーアンプまでの間にプリを使わず
パッシブのボリュームで接続をしている。
これが一段と高い鮮度に繋がっている。
実に巧みな設定で、そのボリュームも、ほぼ全開でちょうど良い塩梅の音量が得られるようになっているのだ。
大変ロスの少ない伝送である。
しかし音はいわゆる鮮度のみを重視したようなものではないのだ。
10月28日
milonさんが紹介されていたお話しだったと思うが、FIDELIXの中川さんがデモみたいなことをして
凄い音を出すのだが、感銘を受けた人たちがみんなスピーカーの型番ばかりメモして
行くので悲しい想いをされるそうだ。
おお、これは凄いスピーカーだ、という訳だがそのスピーカーを鳴らしているのは
いかなるアンプなのか?そこにこそアンプ造りをしている人からしたら着目して欲しいだろう。
僕はある種の憧れを持って、ガレージメーカー、という呼称を使うのだが
かつて我が国のオーディオの世界でも数多くの、優秀なガレージメーカーが存在して
輝きを放った。
今は残っていないところも多いがそれは仕方ない。
そもそも人と同じく会社にも寿命がある。
ゾンビ企業になって公的資金を点滴して貰って生き延びるのもひとつだが
やることをやって去っていくのも生き方として素敵な気がする。
大きくなる会社もあるだろう。アップルだって最初はガレージメーカーだ。
しかし、それはそれだ。
FIDELIX社も偉大なるガレージメーカーのひとつ。…と、勝手に決めてしまう。
製品も良いがユーザーさんとの距離感が良い。
江川先生、FIDELIXの中川さん、そしてmilonさんと続く一本の線は
オーディオを愛し、自ら実験検証、実践をもってそれを語るという点で
真っすぐに繋がっていると、今回その思いを強くしたよっしーだった。
さてここでご本尊?最上流のプレーヤーとカートリッジの話しなのだが…
10月29日
このプレーヤー、PL-31E/TSという名前が付いた。
基本的にはpioneerの昔のベルトドライブプレーヤー、PL-31Eなのだが
実際にそのまま使われている物と言うとプラッターやらパネルやらだけな気がする(笑)
アナログプレーヤーを手回しした時の音に、いかに近づけるかが基本コンセプトで
そのために回転軸のフリクションロスを徹底的に排除する事になった。
当初はスピンドル軸を細くすることによる音質向上から実証はスタートした。
一部メーカーを覗いては、如何に自社のプレーヤーの軸は太いかを競い合った部分だが
実際には細くするほど音の解放感が増すことが判明。
これは軸ケースとの接触の側圧低減が原因と見られた。
その後軸にベアリングがはめ込まれ側圧は更に低減。
とどめにマグネフロートが採用され、そこに載せられたプラッターは軽く刺激して
放っておくと、延々8分くらい回ってしまう事が確認されている。
これを回すモーターも、最初はACモーターの換装であるとか、進相コンデンサーの研究であるとかが
盛んに行われたが有る時DCモーターに変更。
そのモーター自体の良さもあるが、これでバッテリードライブが可能になった。
とどめに自作(!)ピュアストレートアーム。
基本はワンポイントアームなのだが側方を後一点補助するので二点。
いや、1.5ポイントアームか?
あくまでも支点の明確化を考えたらこうなったということで
理想を追ってたどり着いた形。
だがしかし、大抵の場合は夢想して終わる物だが自作して実現してしまう人は
そう居ない。
さらにここに取り付けられるカートリッジだが…
10月30日
メインのカートリッジはMC-L1000と言いたいところだが、呼称はMC-F1000となる。
L1000のプリントコイルをFIDELIXさんのコイルに交換したもの。
…と、いうのは簡単だがL1000のコイル換装なんて、いかに大変かおわかりだろう。
実はよっしーのL1000もmilonさんの手によって同様の修理をして頂いている。
片チャン断線して永い眠りについていたL1000が蘇生した時のあの感激。
これはもう言葉には現し難い。
ただただ感激である。
そして蘇ったL1000改めF1000の音だが、確実に元のL1000を上回る部分があるから
恐れ入る。
僕の感想では、元々のL1000が、どこかA級外盤用的なストライクゾーンの狭さを持っていたのに
対してF1000はオールマイティであり自然さが際立つ。
この日は贅沢にもオリジナルL1000と新生F1000の聴き比べなんてことがされるわけだが
その差ははっきりとある。
ただ、さすがにL1000はよそ行き一張羅みたいなところがある訳で、
普段使いに別のカートリッジも欲しくなるのが人情。
御多分に洩れずmilonさんの所にも無数のカートリッジがあるが
好みは空芯MCと決まっている。
この日も幾つかのカートリッジを聴いたが、pippinさんが持ち込まれた
ヤマハMC-9が価格を超えたパフォーマンスを示してくれて一同感激。
常用するに値する一本という事が判明した。
milonさん自作のアームは普通にユニバーサルアームでもあるので
とにかくどんどんカートリッジを交換できる。
この辺の利便性や扱いの容易さが無いと、どうしてもこうはならないものだ。
その意味でも大変優れたアームと言えるしプレーヤー全体が
音が良ければそれで良い、ではなくて、スマートに使える事、も目指しているので
幾ら弄ってもレコードを掛け捲ってもストレスゼロ。
これは大切なことだ。
ただ、考えてみるとこの日は半日、milonさんは延々レコードをとっかえひっかえ
掛ける係となってしまった訳で、凄くお疲れになったんではないかと
今になって反省している。
いよいよ話は大団円へと向かうのだが途中pippinさんが持ち込まれた
オヤイデのMJ12というとっても格好良い金属のターンテーブルシートと
オリジナル?ガラスシートの音を比較して楽しんだり何だりと色々あった事を報告しておく。
そして、とどめはA5の咆哮である。
決して細々としたことだけ追っているのではないと
A5が教えてくれる感がある。
そもそもこのお部屋自体がA5のために自作(!)されたと言っても過言ではない。
こんな時はロックが掛かる。
とどめには追悼の意味を込めてヴァンヘイレンだ。
一年前お聞かせ頂いた時は、まさかこんなことになっているとは思わなかったのだが…
そんなこんなで日も暮れる。
お暇しなくてはいけない。
四名のオーディオマニアはまた散らばっていく…
再開を祈願しながら…
あ、そういえばデジタルの欠片も無い(笑)日だったと後から気づいた。
*こちらのお写真はpippinさん撮影です