12月1日
アンプのボリューム交換。
これは案外難しいのだ。
技術の問題ではなく、ばっちり合う物を市販汎用品から
探し出すのは至難の業。
ただ、一応やってみましたが。
12月2日
市販アンプのパーツ交換は難しい。
いや、トランジスタだコンデンサーだというのはまだ良い。
問題になるのはスイッチなどカスタム度が高い物達だ。
ボリュームの例で言うとトータルなんKΩなのかというのは
何とかなるとして、サイズ、軸の長さ、形状、端子の形などの諸条件まで
クリアーさせるのは困難至極。
そこでどこかで妥協する事になるのだが今回は軸の形状、長さに重きを置いて
カーブはBの物を選択。
ピンの配置は、これは同一でもその形状は違うとか
色々あって、そこは工作でなんとかした。
それでどうなったか?
音は出た。
出ないと困る。
ボリュームを絞り切る寸前の左右の音量さは、改善。
もちろんゼロにはならないが、それを望むなら高額な物にするか
あるいは別の手立てが必要。
気になったBカーブだが特に不都合はない。
これは良かった。
音質だが、最初はちょっと違和感あり。
一晩でちょっと馴染んだか、という感じ。
こんな小さな部品、と言いたいがボリュームはアンプの中でも
重要なパーツの一つ。
音が変わらない訳がないのだ。
12月3日
例によってムキになって突き進みそうな自分にブレーキを掛ける。
…いや、単に老成しただけか、ちょっと様子を見ようという気になったわけだ。
まず、Bカーブ。
特に使いにくいなんて事は無い。
リニアに音量が変化する辺りは却って気持ち良い気がする。
改めてボリューム。
大変重要なパーツであることに異論はないだろう。
増幅を仕事とするアンプの中に合って唯一減衰を担う部品。
それが重要とはある意味皮肉である。
さてしかし、一つ10万円もしそうなボリュームなんてローコストアンプでは
採用不可能だ。
ビズリーチに出稿しても、しょぼい会社には人が来ないのと
一緒である。(一緒じゃないか…)
AX-640のボリュームも御多分に洩れないが、
10万円未満のアンプのボリュームなんて大同小異とも言える。
だから駄目だと言い切るのは愚かな話しである。
では、どうしたら良いのか?
もう少し高級なボリュームを使うというのが一つだが
発想を変えて、そんなに大したことない、
つまり汎用品でも大丈夫な設計をするというのがある。
いつもいう事だがアンプのゲインは高すぎである。
常時大音量再生をするのなら別だが
普通の家庭であれば大切なのは小音量再生であり、
ボリュームであれば絞り切るギリギリのところの精度であろう。
ま、ゲインが高くなのは別に音量の問題だけではなく、
音作りの関係でそうなるというのもあるだろうから
一概に非難出来ないのだが過去を振り返るとゲイン可変というか
ゲイン切り替えスイッチが付いたアンプなどもあった。
ただ、主流にならないのが悲しい。
ゲインを落とせるとボリュームの位置は高く出来る。
そもそも超高級ボリューム以外では極小音量以外でも
その精度は怪しいところがある。
これを避けるには、やはりボリュームを上げて使うのが好ましいのである。
これからやってみたいのは、ボリューム付近での固定抵抗による
ゲイン調整である。
もう一つは、既に以前やったがプリとメインの間での調整。
セパレートアンプで、メインアンプに音量調整が付いている場合
話しが簡単なのだがメインの方で絞ってプリのボリューム角を上げるような使い方だ。
評論家的世界ではメインのボリューム全開、プリで絞れという事になるが
その使い方が常に良いわけじゃないというのも浸透している。
とにかく色々やってみよう。
12月はそんな事で明け暮れるのかもしれない。
12月4日
出来る事からやってみよう、ということでAX-640のアクセサリーアウトと
アクセサリーインの間に自作アッテネーターを入れてみた、の図。
以前ここに固定抵抗を入れて、その分ボリュームコントロールを上げて使ってみた事があった。
今回は可変ということで実験は色々出来そう。
…なのだがなんだか正気の沙汰ではないな、我ながら。
プリのボリュームを上げてメインのボリュームを下げる、に近い事が出来ればと
思ったがアクセサリー端子が果たして本当の意味でその位置づけになるかどうか?
ま、やってみた。
で、最初は何だかつまらないというか、だからどうした?みたいな感じだった。
ただ、多少付き合ってみると意味はある。
ポイントは、やはりほどほどに、という事。
ボリュームを極端に上げて、パッシブの所で極端に絞って、みたいなのは
余り良い感じが無い。
パッシブの所で絞った分、ボリュームをギリギリのところで使うよりは
上げられました、くらいが塩梅が良い。
オーディオはシンプルイズベスト。
往復二組ものピンケーブルを追加して、しかも音質劣化の元凶にも成り得る
抵抗を追加して良い筈がない。
…というのは理屈なのだが極小音量でも音が不安定にならない。
実にひっそりと、しかし確かな音を聴けると言ったらほめ過ぎか。
密やかに聴きたい。あるいは密やかにしか聴けない
という人は試してみる価値はあると思った。
12月5日
ボリュームというのは本当に様々な規格がある。
シャフトの長さというのもその内の一つで、今回は長さ25ミリの物が適合する。
更にシャフトの形状というのも市販アンプに使う場合は問題になる。
平型と呼ぶらしいが写真の様にシャフトが一部カットされている形が必要。
(アンプによって異なる。もちろん)
ちょうど良いのを見つけて、俺って天才〜?って思ったがそうは簡単に行かない。
シャフトのカットの方向が180度逆。
だからノブを挿すとトンデモナイ位置にポッチが来てしまう。
やっぱり純正ボリュームを何とか立ち直らすしかない?
しかしその前に、と今日はコンテュニアスラウドネスのボリュームに
パーツクリーナー注入。
いつの間にか接触不良が起きていたのでクリーニング。
いらずらにパーツを脱着するのもリスクなので今回は隙間から
パーツクリーナーを噴霧。
それで治まったから良しとしよう。
以上をもって極小音量でも全く問題なく使えるアンプとなった。
取りあえずは目出度し目出度しなのだが
ここで一旦外したボリュームボックスを再び接続してみた。
(AX-640のアクセサリー端子の間に)
するとやっぱりこの方が音が良いのだ。
余計な物を持ち込んで音が良くなったとは馬鹿言うなと突っ込まれそうだが
明らかに音が変わる。
雑味が減退して、一番違うのが奥行き感。
ボリュームボックスを挿入してAX-640のボリューム位置を少々上げる。
それだけでこう変わるわけ?
ミニチュアを愛でるオーディオという目的には
とっても合致している。
12月7日
とはいう物のオリジナルボリューム復活も期待したい。
分解クリーニングは終わったが1番端子と2番端子間の抵抗値を計ってみると
こんな感じで偏差が見受けられる。
この程度は仕方ないとも言えるが癪に障るのも確か。
実験してみると上の写真で55.4kΩと高い数値を示している側の
1番端子と2番端子の間に1MΩの抵抗を並行に入れると偏差がかなり解消するのは
わかった。
それで使いにくさは改善するのか?
ちょっと興味のあるところだ。
12月13日
さすがに12月。
色々ある。
いや、別に仕事の話しばかりじゃない。
こんな事をやってみたが結論をいうとイマイチ。
AX-640のボリュームだが、元から付いているヤツは
多分。多分だが昔最小音量のところより下まで回されてしまった事があると思う。
その後遺症まで直すのは実に面倒。
12月疲れもあって一旦ここで打ち切る。
12月15日
スピーカーの形式には様々な物がある。
ただ、今日主流なのはバスレフか密閉だろう。
平面バッフル、後面開放などはメーカーメイドはほぼ見ない。
アマチュアの自作がほとんど、というか
自作に好適な形式と言える。
ホーンスピーカーというのも主役ではないようだ。
こちらもどちらかと言うとアマチュアの自作が主か。
色々あるが基本的にはユニット背面の音をどう処理するか?
どう扱うかが今も昔も変わらなう課題と言えそうだ。
閉じ込めてしまうのが密閉。
一部を使ってポートを鳴らすのがバスレフ。
残る目立ったところと言うと音響迷路、バックロードホーン。
共鳴管などがある。
その三つを得意とした人に長岡先生がいた。
晩年のリファレンスはご存知ネッシー。
高さ3メートルの超トールボーイ。
これがスクリーン脇に立っていたのでAV用と思われる事も多いが
別にそうと決まったものでは無い。
共鳴管スピーカーというのはタブーへの挑戦で始まった。
共鳴管にユニットを取り付けるとボーボー言って使い物にならない
という定説への疑問からスタート。
一号機カテドラルでは複数の共鳴管を合体させるという形が取られた。
これは、さすがに一本の共鳴管ではクセが強く出てダメなのではないか
という危惧があったからだ。
二号機カノンが折り返し一回の長い共鳴管で成功。
ここからハイカノンが生まれ、方舟の初代リファレンスに収まった。
そこからの発展形がネッシーであり、リアカノンだったりする。
共鳴管スピーカーの魅力は何かというと、やはり音の素直さ。
背圧がゼロ、では無いのだがスコーン、と抜けた構造で
平面バッフルや後面開放には及ばないながらも
実に開放的に鳴る。
それについては自分でも作って実証している。
(続く)
12月16日
共鳴管は共振系として考えると割とシンプル。
管の長さでf0が決まって来る。
ただし、これも管の端を開管とするか、閉管とするか、
あるいは片側開管で片側閉管とするかでf0は変わる。
また開口の大きさも影響する。
ここまでは良いが共振とは別に管の長さによって
音響迷路の性格が顔を出す。
ユニット背面の音は位相が180度ずれているが
これが管の長さ分だけ更にずれる。
これが開口部から出て来るのである。
結局トータルでは複雑な動作となる。
なにかとややこしいが、それでも既出の音の解放感は素晴らしい。
そして超低音再生の可能性が出て来る。
乱暴に言ってしまえば管の長さを長くすればするほど
低い帯域まで再生出来る理屈だ。
もちろん、それは理屈であって、再生出来ても
フラットに再生できるものでは無い。
とどめにユニットの選出が絡む。
駆動力の弱いユニットでは立ち上がり立下りが悪くなり
管の共鳴をコントロールできなくなる。
かといってあまり強力過ぎると相対的に低音不足となる。
そんなこんなで厄介でもある。
もちろん、共鳴管方式は長岡先生の発案ではないので
昔々から市販品でも採用されていた例はある。
有名なところではボーズのキャノンがある。
スーパーウーファーとして共鳴管を活かした力作だ。
もっと昔にはオンキョーがクオーターラムダシリーズというのを出していた。
12月17日
前振りを二日も続けるとこちらが疲れてしまう。
ただ、やっぱり解説は必要。
お待たせしました、ケンウッドLS-9070降臨である。
2006年頃の製品。
220W×265D×1119Hというスリムなトールボーイである。
それなのになんとユニットは6つも付いている。
8cmウーファが四発。
ミッドレンジが同じく8cmで一発。
そして1.9cmドームツイーターが一発。
何とも豪奢な造りだが、お値段はどうもペア4万円位だったようで
恐るべきハイCPだ。
重量もしっかりした台座付きで10.1kgと十分。
まあこれ以上理屈を述べても仕方ない。音を出す。
DV-AX10→C-2X→AST-A10という最近のお気に入りに繋ぐ。
…
8cmながら四本のウーファー。そして共鳴管方式ということから
ある程度想像はしたが、それを上回る音が聴ける。
聴きどころはやはり低音。
サイズを遥かに上回る雄大な低音が聴ける。
野太くて雄大な低音。
力もある。
いわゆる下っ腹に堪える低音というヤツだ。
更に、超スリムなトールボーイという事で
音場感も最高。
スピーカーが鳴っているという素振りは全くと言って良いほど
感じない。
驚愕の連続だが、これがペア4万円程度であったという事が
それに追い打ちを掛ける。
ホント?
12月18日
今回特に強く思ったのがメーカーの凄さだ。
共鳴管スピーカーは、既に書いたように大変な可能性を持つ一方
難物でもある。
低音を得やすい方式。…の筈なのだが現実には逆になりがち。
出てはいるのだが大抵の場合だら下がりになり、今一つ量感が感じられない低音と
なってしまうもの。
しかし、LS-9070ではそんな事は全くない。
何故だろう?
もちろん適度な吸音処理とか、その辺もあるのだろうが、ポイントは複数ユニットの
共存だとみた。
共鳴管のピーク、ディップはユニットを管のどの位置に取り付けるかで変わる。
更に音響迷路としてのピークディップも絡む。
ユニット一発では解決出来ないかもしれないが複数ユニットで複数の位置での共振が
可能となると一歩進んだ取り組みが出来る。
ただ、当てずっぽうでは駄目だから計算と、カットアンドトライが必要。
メーカーでは色々な研究、検証が出来るのだから、これは強い。
かくして解放感のある。それでいて充実した低音を出せるスピーカーが。
それもスリムなトールボーイ形状で実現したのだ。
12月19日
改めてLS-9070。
実に堂々として、裾野の拡がった山を思わせるエネルギーバランス。
しかし、実は案外超低域は出ていないことに気づく。
これは悪く言っているのではない。慧眼だと言いたいのだ。
そこまで狙うと、多分LS-9070のバランスは崩れてしまう。
欲張らないのが賢明なのである。
今更、なのだがLS-9070は基本的には薄型テレビを中心に添えたAVシステムの
核となるべく生まれたスピーカーだ。
他にセンタースピーカーも用意されているし、当然ながらサブウーファーも
ラインナップされている。
もしも40HZ以下の帯域をブリブリ鳴らしたいのだったら、シンプルにサブウーファーを
繋げばよいのだ。
その様な設計思想で作られていると考えるのが正しい。
また、意外と賑やかでない。
カツーン!、ガッシャーン!という様な表現はしない。
要するに割と大人しいのである。
念のためと思ってAST-A10をHMA-9500MK2に交換してみたが印象はさして変わらない。
多分、これも音作りだ。
リビングに収まるAVスピーカーとして、悪戯に刺激臭を振りまかない。
奥様やお嬢さんに顔をしかめられる事のないスピーカー。
それがLS-9070だ。多分。
12月20日
LS-9070のもう一つの顔。それはトーンゾイレだ。
トーンゾイレ=音の柱。
ひどくわかり易く言ってしまうと多数のユニットを縦方向にズラ〜と並べて
水平方向のサービスエリアを拡げてしまう。
それがトーンゾイレであり、ピュアオーディオ用としては少数派だが
PAの世界では常識。
ただ、一般にはフルレンジを並べるケースが多く、LS-9070の場合は
トーンゾイレを志したとは言えないだろう。
それでも結果的にはトーンゾイレになっていると言って間違いではない。
線音源の良さ=サービスエリアの広さはAVスピーカーとしてもプラスに働くに違いない。
ただ、線音源は、例えば小型フルレンジ一発の、言わば点音源スピーカーとは異なる訳で、
音場感が良いと言っても点音源のそれとはちょっと違う。
良い意味で、もう少し大らかで、人を追い詰める様な感じが無い。そこが良い。
12月23日
12月24日
ヤマハのASTについては散々書いてきているのでもう説明はしたくない。
また、しなくてもネットで幾らでも検索できるので省略。
しかし、遂にというかAST-S1登場。
ASTスピーカー一号機である。
ついでに?AST-A10がもう一台?
血迷ったか?
いや、ASTスピーカー用カートリッジが欲しかったのでアンプごと手に入れた次第。
片チャンネル音が割れる時があるという触れ込みで、実際その通りだったが
ASTカートリッジの接触不良が疑われた。
実際何度か抜き差しをしたら症状は再現されていない。
さて、小さいスピーカーで豊かな低音をというのはオーディオ界では永遠の夢みたいなところがあった。
ここで、敢えて、あった、と過去形にしてみる。
昔、スピーカーは大きかった。
1970年代。もちろんその前。逆に1980年代。スピーカー達は家庭の中で目立つ存在だった。
それはそういう物、という認識をされていたのだ。
もちろん、小さい筐体で豊かな低音、というアプローチは遥か昔からあって
AR-3なんかもその一種だし、本当に小さいという意味ではヴィソニック・ディビッドなんかも
名を成したと言える。
やがてスピーカーは小さくて当たり前になった。
時代の要請だったのだ。
日進月歩で小さいスピーカーでも低音が出て然るべしとなった。
いつからそうなった?
僕らの世代だとボーズ101辺りがその典型みたいな位置づけとなる。
ボーズ101はPST方式で中高音の音を落として、トータルでは低音が豊かに聴こえる様に工夫をした。
もっとも、そんな事を理解したのはうんと後の事だ。
ネットワーク技術だけではなく、色々な意味で研究が進んでスピーカーは今日に至る。
ヤマハのASTはアンプとスピーカーに上手くタッグを組ませて豊かな低音を実現しようとした。
それが1988年頃だから30年位前のこと。
今から見たら枯れた技術という事になろうが、ある時代を象徴するテクノロジー、みたいな感じで
好きです。僕は。
理屈はさておき、AST-A10+AST-S1の音はどうよ?
12月27日
理屈はさておき、AST-A10+AST-S1の音はどうよ?
一言で言ってしまうとさすが低音が分厚い。
また、それだけでなく、実にそつなく綺麗な音が出る。
俗にいうヤマハビューティーである。
また音場感も良い。
これはコンパクトで音源が集中しているという事もあるが
堅牢強固なキャビネットの良さが出ていると感じた。
さて、しかしそれだけだったらASTスピーカーを、21世紀のこの頃に使う意味は薄い。
現実問題分厚い低音という事であれば先日来のケンウッドLS-9070で充分得られている。
何を求めるかというと超低音である。
30Hzくらいの超低音域までの伸び。それがあってこそASTであろう。
で、どうだったか??
さすがにこれは良く伸びている。
ただ、スピーカー、AST-S1のエッジが逝ってしまっている。
それは想定内だし今後ゴムエッジに張り替えを予定しているので楽しみの一つ。
現状では超低音が出て来るとビビり音が出てしまう。
当然本来の性能は発揮出来ていない。
それでもポテンシャルは感じられるのだからある意味立派だ。
12月28日
さて、しかし超低音。
これもこれまで幾度となく出て来たお題だ。
それだけ低音再生。特に超低音再生はマニアの夢であるということ。
だが、これを言ってはお仕舞だが超低音再生は意味があるのか?
あると言えばあるが無いと言えば無い。
禅問答の様だがそんな言い方になる。
まず、超低音が充分なレベルで含まれているソフトが稀である。
音楽ソフトでは本当に当たる確率が低い。
映画ソフトなどの方が遥かに再生する意味がある。
実際サントラソフトなどは驚くような音が入っている事もある。
そう考えると本当に音楽再生主体だと酔狂な趣味ということになる。
しかし、それでも小型スピーカー(AST-S1はA4サイズのバッフル面積)で
凄い低音を再生しようと頑張った、当時のヤマハの意気込みは評価出来るし微笑ましい。
12月29日
完全ではない状態でとやかく言われてもAST-S1も不本意だろうが
さすがに良く伸びて、そしてまとまっている。
まとまっているとはどういうことかと言うと、バランスが良いということ。
低音過多でどろどろした音かにはならないのだ。
この辺はさすがとしか言いようがない。
ただ、超低域まで含めたハイスピード感というのは80点というところ。
偉そうな言い方でごめんなさい。
とにかく超低音域までをハイスピードでとなると
それは並大抵の努力では難しいのだ。
過去においてその点で合格だったのは、ネッシーのパライコでハイカットして
更に低域を補正した物=ネッシーのスーパーウーファーとしての特化使用の時のみだった。
他は自分の体験では難しかった。
歯切れ迄含めると磁気回路が強いフルレンジを使った共鳴管(共鳴管で無くても良い物があればそれで良いが)
くらいしか超低域再生は体感させて貰えないのかもしれない。
ただ、そう言ったやり方はお金も掛かる。
イコライザーアンプ(フィルターアンプ)+それ用のパワーアンプ+自作するしかない
スピーカー、ということでそれなりの出費が必要だし場所も取れば覚悟も要る。
そんな事をしなくても、ある程度行けるところにASTの良さがある。
ケチをつけるなら大げさな事をやれば良い。
ASTのコンセプトは、そんな事をしなくても済む、と言う所にあるのだ。
そして…
12月30日
突然ですがセンタースピーカー。
ケンウッドCS-7070。
LS-9070とはベストマッチとなる。
本来はこれらと組み合わせてAVシステムを組む物だが
今回は捻くれてCS-7070+LS-9070×2で3本マトリックスとしてみた。
深い意味はない。
ただ、やってみたかったというだけ。
それにしてもこんな風にセンターを置くとはマニアの片隅にも置けないヤツである。
結線はこんな感じ。
書くと簡単だが実際にやるとなると結構面倒。
さて、これでどんな音がするか?
まず、マトリックス効果は今一つである。
正直特に拡がりは感じない。
どうにかしたかったら、ここに更にリアスピーカーをマトリックス結線することだが
今回はやらないと思う。
それよりも音のまともさに驚く。
何が凄いって、センターのCS-7070が鳴っている気が全くしない。
思わず耳を何度も近づけたが確かに鳴っているし
結線も間違ってはいない。
もう一つ凄いのが、センターの音像が下に引っ張られるなんて
事が無い。
音は確かに中空に浮いているのである。
何度聞き直しても同じだ。
想像だがディスクリートでやればセンターは下がってしまうと思う。
余計なお世話だが、もしも5,1等でセンターを置いているが
センターの音が下に引っ張られて困るという人は
スピーカーの配置はそのままに、一度5本のマトリックスにしてみると
面白いかもしれない。
ま、そんなこんなの年の瀬だが、家の事を全く無視するなんて
神業は使える訳が無く、あくまでも隙間時間を繋いでの
オーディオなのである。
12月31日
大晦日だ。
昨日は色々あって朝から晩までばたばたしていたが
本日は何もしない。
何もしないと言ってもキッチンのかみさんからの指示には
すぐ反応しなくてはいけない。
年の瀬に山の神ともめても良い事はなにもない。
ついでに言うとせっかくのお休みではあるがオーディオ的にも
何もしない。
こんな時に下手を打って嫌な気持ちで新年突入なんて事も避けたいのだ。
だから他の家電もなるべく手を出さない。
それらの掃除もあまりしない。
深追いして壊したら元も子もない。
…と、大変地味な年の瀬だが個人的にはそれで良いのである。
一つだけ、昨日はやらないフリをした5本マトリックス。
これはやってみた。
昨日の結線プラスリアに二本マトリックス結線である。
しかしこれは即ボツ。
今度は差信号過多となって、風呂場を通り越して銭湯の流し場みたいになってしまった。
このあたりが調整機能に欠けるマトリックスサラウンドの
欠点ではある。
どうにかしたかったらリアスピーカーを更に増やして16Ω化して
能率を落とすとか色々あるが前述の通りの年の瀬なのでこれ以上はやらない。
取りあえずLS-9070二本だけでも何の不満も無いので
このままにしておこう。
2018年を振り返ると、色々あった年だったがオーディオに限定して何が一番心に残ったか?
数は少なかったが趣味を同じくするお仲間と会う事が出来た。
結局これである。
なんだかんだ言ってもオーディオを動かしているのも人間なのである。
作る、販売する、購入する、譲渡する、修理する。
人が不在ではオーディオというオタクな趣味も始まらない。
来年は、より多くの機会を得るべきだと思っている。
では皆さん良いお年を!
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