5月7日
”僕はこれから大阪に行くところ。
一番綺麗だった女の子の顔など思い出し。
制服が人込みの中に消えて行くのを
振り返りながら僕は見送っている。”
関西以西弾丸ツアーの始まり♪
5月8日
一年が過ぎる速度が年々早くなる。
歳のせいとか色々あるが、そんな事はどうでも良い。
三年目となる、ハードオフ巡りの旅?
2018年度版スタートである。
しかし、当たり前だがドフ巡りだけが目的ではない。
まずはこちらkoyamaさん宅のお話し。
最近はすっかり定点観測をさせて頂き恐縮な限りだ。
さて、昨年を振り返るとkoyamaさんは旗艦、S-1EXの鳴りが今一歩ということで悩まれていた。
それが激変したという報告は逐一頂いていた訳で、どれだけ変わったのか。どのように変わったのかを
体感させて頂くのが楽しみだった。
koyamaさんの装置は昨年とはすっかり様変わりされているので報告が必要。
まずプリアンプがSONY TA-E1に変更されている。これは昨年のハードオフ巡りで見つかった希少品。
パワーもSONYでTA-N9000ES。これが二台あってBTL接続(!)
SACDプレーヤーはPIONEERの新作PD-70AE。
ネットワークプレーヤーはONKYO NS-6130。
他にAVアンプONKYO TX-NR656があって、こちらもネットワークオーディオを担っている。
更にアイテムは続々登場するが、ここで音の話し。
まずTRIO LS-TR60をお聞かせ頂く。
こちらは昨年も登場しているのだが外装補修を受けて。というか特注ピアノブラックに変身して
世界に一本だけ、の状態。
思わず見とれるがお金も大層掛かっているわけだ。
それだけの事をしようという気にさせるクオリティを持つスピーカーということ。
さてと、と音が出るとビックリする。
これはもう小粋なサブスピーカーなんて物じゃなくて、これ一本で立派に主役の座を務められる
超ハイクオリティスピーカーだ。
嘘だと思ったら入手して鳴らすしかないが、まず困難。
説明するのが馬鹿らしくなるが、小型スピーカーの良さもフルに出て、音場感も素晴らしい。
緻密というのはこういうのを言う。
アナログからハイレゾまで完璧にこなしてしまう。
思わずのけぞるが、これでS-1EXの立場はどうなる?
思わず心配になったところで王様の登板。
5月9日
…そう、王様。
心配は杞憂に終わった。
さすが、TR-60に多くの要素で水を開けて来る。
当然だがレンジの広さが、やはり違う。
深みと余裕が一段二段違ってくる。帝王ならではである。
しかしなるほど昨年とは一味も二味も違う。
どう違うかというとアンプがスピーカーに言う事を聞かせている。
これを基準にすると、昨年の段階ではスピーカーが好き勝手を言っていたのが良く分かる。
まず、プリで変わった様だ。
TA-E1。20世紀の終わりにSONYが放った高級プリ。
欲しいと言っても流通量が少なくて、これまた入手困難。
そしてパワー。
すっかりSONYに、というか、かないまるさんに入れ込んだkoyamaさんはTA-N9000ESを、さっと導入。
しかも二台でBLTである。
なるほど、これはさしものS-1EXも従うはずだ。
それにしても、音にも、だがkoyamaさんの行動力というか実行力にも驚く。
これはダメだ、と思ったら迷わず別の物を仕入れて来る。
いじいじ悩んでも仕方ない。人生には限りがあるのだと、ドン亀の我が身を恥じてしまった。
ハイレゾが真価を発揮しているのが良く分かる。
これならハイレゾを聴く意味がある。
そして個人的にとどめを刺されたのがSACDだ。
5月10日
ハイレゾがこれだけ鳴ればSACDは要らない?
…そんな風に思っていたところに掛けられたSACDは、これまでのSACDに対する概念をぶっ壊すほど
衝撃的なものだった。
ハイクオリティという意味だったらハイレゾがあれば十分?
ところがPD-70AEで聴くSACDはハイレゾでありながら一味違うフレバーを持った物だった。
どう表現したら良いかわからないが、人肌の温もり。蒸留水ではなく味わいのある水。
えもいわれぬ奥行き感。
そんな風に言ったらわかってもらえるだろうか?
これを聴くと、これは急いでSACDディスクを買いあさらないと、と思ってしまう事間違いなし。
ただし、バランス接続が条件の様だ。
アンバランスで繋いだ70AEの音は期待外れで、がっかりするほどだったとはkoyamaさんの弁。
もちろん環境が変わればこの辺はまた異なる意見が出て来るかもしれないが、
それはさて置きこのSACDの音は一聴に価する。本当に感動した。
さてさて、ここでアナログのお話し。
(続く)
5月11日
さてさて、ここでアナログのお話し。
koyamaさんがのっけから、どうしても聴かせたい風の物があったのだが(笑)
それはこのカートリッジ。
テクニカのVMS-30ENだった。
ご存知、テクニカの最新型。VMシリーズのローエンド、ではないが下から二番目、みたいな存在。
これをオンキョーCP-1050に取り付けてレコードを掛けると…
…なんという事でしょう?素晴らしい音だ。
こういうのは嬉しい誤算的で盛り上がる。
…だが、よっしーは驚愕はしない。なぜって今まさに自宅でもテクニカVMシリーズに親しみ
その音に魅了されている所だからだ。
ま、koyamaさんは従来のVMシリーズをほぼ全て体験済みで
それらと比べて最新型は一段秀でていて
テクニカの若い技術者にエールを贈りたいとまで仰っていた。
テクニカのVMというと入門機と誤解される事もあるのだが、音の素直さは天下一品。
なにしろオーディオテクニカは世界有数のカートリッジメーカーなのである。
途中でシュアーV15Type5MR(JICOのSAS針)も使ってみるが正統派な感じはテクニカの方にある。
ただ、シュアーはさり気なく、隣の人と会話などしながら聴き進める時に独特のテイストがあるという
事で意見は一致。やはり持ち味というのはあるものだ。
ここでプレーヤーについても注釈。
koyamaさん宅では今MMカートリッジ担当プレーヤーは
ONKYO CP-1050。
これも凄く良いということで興奮気味のkoyamaさんだったが
気持ちはわかる。
なかなか良い、ではなくて凄く良い、のだ。
実勢価格を考えると馬鹿みたいにハイCPということになる。
これでなんの不満があろうか?の水準だ。
ルックスも良い。
往年のヤマハYP-D51とか71とかを彷彿させるデザインにも拍手だ。
さてしかし、ここでART1000が登場。プレーヤーはKP-9010でこの組み合わせだけは昨年来の物。
VMやシュアーも相当良かったので、どうかな?と思うとやっぱり差を付ける。
音溝にある信号は余さず拾い上げてくるハイパフォーマンス。
しかし、どこにも強調感がなく、ウルトラナチュラル。この印象も昨年と変わっていない。
はったりを利かさない分損な気もするが、これが本当のハイエンドなのだろう。
何しろ60万円のカートリッジだ。常用という訳にはいかないが、koyamaさん曰く
”僕の名刺代わり”とのこと。
一応ART1000も持っていますが何か?と言えば大抵の人は黙って引き下がる。
その意味では60万円も高くない?
アナログの締めくくりにフォノイコにも触れておく。
エソテリックのE-02である。
これも昨年のKchan宅同行訪問の影響か?
それはわからないが抜群の音に一役買っているのは
間違いない。
悩みはE-02もバランス受けをと思うとプリにバランス入力が一つしかないので
一々差し替えをしなくてはならないところ。
多分その内XLRの切り替え器を導入されることであろう。
それまでの辛抱?
5月12日
メインシステムは以上だが、これで終わらないのがkoyamaさんの凄いところ。
次いでリビングのシステムだが、昨年以来、特にスピーカーは変更に次ぐ変更。
…だったのだが、もしかして終止符が?
何?というとYosii9である。
ごぞんじ、タイムドメイン。
これが又リビングで、テレビの両脇に鎮座するなんて光景は、そうそう観られるものじゃない。
音、だが、お伺いする前から、”こりゃ凄いですよ〜”と訊いては居たのだが現物を聴くと
おったまげる。
なんじゃぁ、こりゃ?と誰もが思うだろう。
威風堂々の立派な音。これがこの、確かに縦には長いが口径9cmの筒?から出て来るとは
お釈迦様でも気づくまいって。
どうにも信じがたいのだが、ユニットを、と見れば、こりゃどう考えてもフォステクスのFE83だろうが、
という風情。
(そばに白い、mini Yossiがあるのがわかるかな?)
どうしてこうなる?と言いたいが、なっているものは仕方ない。
しかし重量は9kg。なるほど。
Yosii9の音に驚くと同時に、なんとかダミーを、あるいはレプリカをと自作魂に火が付いた人たちも
たくさんいる。
実際僕も塩ビ管で模したらどうなる?と一瞬思った。
だが、どうにも形だけ真似ても結果が付いてこない気がした。
それはそうだろう。それで済むならYosii9は要らない。
それでも、いや、俺流でなんとか!と思わせる要素をこのスピーカーは持っている。
今回は専用アンプではなくONKYO TX-L50でドライブだがバッチリだ。
とにかくオーディオ装置から音が出ている風が無い。
つまりオーディオをやっている感が希薄になる訳で、それが一番スゴイ点でもあり
マニアとしては同時に一番困る点でもあろう。
以上でkoyamaさん宅の紹介は終わり…と言いたいがそうは問屋が卸さない。
何しろkoyamaさんの所では全室オーディオ装置あり。そしてハイレゾ対応なのだ!
別のお部屋にはパイオニアVSX-S500+Ortfon Concored105を中心とした装置がある。
105は昔も愛用していたのだが又入手して改めて惚れ直したとか。確かに切れの良い素晴らしい音で鳴っている。
寝室にはシャープHT-SP100+パナのSB-PS800を軸とした装置が組まれているとかで
おはようからおやすみまで暮らしを見つめるオーディオ?
やろうと思えばトイレからお風呂までオーディオ設置も可能。
そんな事は楽勝なくらい機器はいっぱいある。紹介しきろうと思ったら一か月はかかる。
とにかくkoyamaさんのヴァイタリティには圧倒される。
行動するオーディオマニア。
割と少数派かもしれない。一般にオーディオマニアは腰が重い。
買うのも売るのも判断が早い。
じっくり使う事が貴いとする考え方もあるが、潔く入れ替えてみる方が良い場合も少なくない。
それに、売ってしまってから買い直したって良い訳だ。実際koyamaさんなんか
しょっちゅうそれをやっている。
僕をはじめ見習った方が良い人もいるだろう。
人生には限りがある。
疾走するオーディオ。koyamaさんのオーディオにタイトルを付けるとそんな風になる。
ごく一部だが紹介するとSL-10がある。
…のは珍しくないが隣にあるレコードケースが凄い。
SL-10とサイズが揃っている。コレクターズアイテムだ。
バブルコンポの蒐集も趣味の一つ。
きちんと動作するから凄いのだ。
5月13日
”僕らは夕食時だった。
僕らは夕食時だった。
テレビを観るのは習慣だったから。
テレビを観るのは習慣だったから。
岡山で戦車が運ばれるとニュースで伝えていたけど。
僕らは食べる時間だったから”
大阪から兵庫へ、そして岡山へ。
名コンダクターkoyamaさんにお任せで車は走る。
恥ずかしながら岡山という地に足を下ろすのは生まれて初めてだ。
名所、旧跡、ハードオフ?
ここで数年前よりネット上で交流のあるオーディオマニアNさんと合流。
というか僕らの宿泊先にご足労頂いてしまった。
ここでのオーディオ談義が、また濃かった。
詳しくは書かないがNさんもまた年季の入ったマニア。
出て来るお話しが凄いスゴイ。
全員アドレナリンが出まくって大変だった?
それにしてもネットを通じて、昔だったら到底つながる事の出来なかったマニア同志が
知り合って、こうして直接の会話も出来る。
良い時代だ。
待ち合わせだって、携帯スマホがあるからスイスイ行く。
ありがたやありがたや。
5月14日
そして四国へ。
なんと四国へ渡るのは30数年ぶりだ。
学生時代にZ400FXで渡って以来。
北海道、九州というのは社会人になってからも幾度か行くことがあったのだが
四国に関してはそれっきり。四国の皆さんごめんなさい?
しかし30年余の歳月は大きい。
大きな橋はいっぱい掛かり、高速道路の充実ぶりは半端ない。
恐ろしく快適である。
語りたい事はいっぱいあるが、後にしよう。
まずはこれ、ティールである。CS7。
でかい。実にでかい。そして重い。さすがハイエンド。さすが4Wayである。
持ち主は?
そう、OTさん。
実に15年ぶりくらいの再会である。OTさん宅へは初訪問。
ハードオフ巡りもあるのですっかりお待たせしてしまったが、いや、広いお部屋で
まず羨ましいことこの上ない。
これならCS7も置けるし容積的にも不足ない。
再会を祝う暇もなくいきなりオーディオオフ会で申し訳ない感じ。
OTさんも用意万端というべきか、泡を食っているというべきか、
まずは音だ、という感じでDVDオーディオや優秀録音盤のCDで幕を開ける。
その音だが、さすが超ワイドレンジ。炸裂するサウンドと言う感じでオーディオ的快楽の極みである。
しかし、ちょっと待て、いきなりフル加速のF1マシンに縛り付けられたみたいで落ち着かない。
音の問題ではない、人間側三人のアドレナリンが出まくってしまっている。
これでは本来の音がわからない。
しばらくして落ち着いて来るが、これはやはり良い音だ。
ただ、飼い慣らすのが大変なのが良く分かる。
凄いスピーカーなのだが正にF1マシン。これと暮らすのは簡単ではない。
お邪魔して暫く音を出して頂いている間にも微妙に鳴り方が変わってくるのが感じられる。
もちろん、どんどん良くなるのだが、日々気遣いを続けるのは大変だろう。
ここでもカギを握るのはアンプ。並のアンプでは言う事を聞くわけがない。
だからプリがC10、メインがM10と、これまた凄い組み合わせになっている。
20世紀の最後を飾る、ラックスのフラッグシップ機だ。
眺めていると、あの頃はまだ良い時代だったんだなーと思ってしまう。
リスニングポイントに着座させて頂くと、すぐ右にプリがあってメインはスピーカーのそば。
OTさんはプリとメインの間のケーブルを伸ばす派のようだ。
ユニバーサルプレーヤーはDU80。これもLUXMANだ。OTさんはラックス党でもあるようだ。
当時60万円のプレーヤー。母体は僕も使っている(というかkoyamaさんからお譲り頂いた)
パイオニアのDV-AV10のようだが当然ながら強化版。
これでお聞かせ頂く音は、やはり正統派のハイファイオーディオの音だ。
ただ、CS7のツイーターが不調を抱えているということでビビる。
ユニットだけ交換、また修理は難しくないと思うのだが、さすがハイエンド機?
簡単にユニットが外れそうにない。この辺が超高級機ならではの悩みとなる。
ま、近い将来対策が打たれると思う。
次によっしーのリクエストでハーベスHL5をお聞かせ頂く事となった。
5月15日
次によっしーのリクエストでハーベスHL5をお聞かせ頂く事となった。
これもO.Tさん愛用の一本。
プリは変わらずでメインがM-07に変わる。スピーカーごとにメインアンプが用意されている。
なかなか贅沢なセットだ。
この音が、また良い。
ティールと比べてラグジュアリー。
ちょっと心が穏やかになる。以降お暇するまでハーベスで拝聴。
このスピーカーにも悪戦苦闘して、近年専用スタンドを手に入れてやっと良くなる様になったとの弁だが
多分本当は違うと思った。
ひとつは、スピーカーというのはいずれも時間が掛かるというか手が掛かる物。
そんな苦労は馬鹿らしいというのは門外漢の人で、オーディオマニアというのは大なり小なり
似た経験をする。
ただ、無駄ではないというか、やっぱり鳴らす腕、みたいなのは経験に応じて上がる傾向にある。
ティールで15年、ハーベスで5年以上と重ねた苦労で、OTさんは難物スピーカーを鳴らすのが上手くなった
のだと思う。
たまたまその頃合いで専用スタンドが来ただけで、今後はスタンドを換えたら換えたなりの
良い音がすると思うのだが違うかな?
とにかくオーディオ的にという事だけでなく、音楽的にも素晴らしい音だ。
koyamaさんも僕も大絶賛だったのだが、案外当のOTさんご自身が自分の装置に厳しめのご様子。
本当かな?と疑心暗鬼。
まあそれで正常というか、我が家の音は世界一、と言って人も迎える人の方が少ない。
オーディオマニアは押しなべて謙虚である。
もう一つはOTさんが弄られキャラを買って出ている所があるので諸先輩が厳しめに当たられるのもあるかも。
この世界では比較的若いという事もあってのポジションで、必要なキャラクターだが
実力十分なので、今後は後進の指導に当たって欲しい。
さて、こちらも部屋に馴染んで来ると、OTさんのCDの音が特に良いのに気づく。
ふと気づくとCDはCD専用機で掛けている。アキュフェーズDP-80L+DC-81Lのセパレート構成だ(!)
やはりCDはCD機で掛ける方が良いのか?
koyamaさん宅のSACDに続きOTさんのCDにも考えこまされてしまった。
今回のツアーでは課題というか反省材料を頂き過ぎたよっしーである。
アナログプレーヤーもあったので無理を言って掛けてもらったが日頃そちらはそんなに追い掛けて
おられないご様子。
それでもBL-91+SME3009という組み合わせは格好良い。見ているだけで幸せになれる。
あっという間にお別れしなくてはならない時刻が迫ってしまったが、koyamaさんなんか敵愾心に火が付いたというか
”この低音に勝つには…”と、早くも自宅装置に手を付けそうな勢い。
僕はセパレートCDを盗み出そうとして後ろから羽交い絞めされた…というのは冗談だが
本当に考えこまされた。
興味深いのは年齢的には若いOTさんの音の方が、年上のkoyamaさんの音よりも少し落ち着き気味なところ。
この辺にその人の好みが出るというか、隠せないものが露見する。
名残惜しいかったが時間の限界に到達。お別れとなる。
次はいつか?また会えるか?
国内といえ四国は近くない。
いや、来年はZ400FXで来いとOTさんの目が語っていた。
ツーリングも兼ねて…
出来たら本当にミラクルだ。
でも、必ず又お会いしましょう!
5月16日
前回四国を走ったのは30数年前。
今回はほとんど高速を走って貰ったのだが当時はそんな物があったのか?
あっても走らない。貧乏ツーリングだからだ。
ほんの少し下道を走っている時、ああ、この道を30歳以上若い俺がバイクで走ったんだなー
と思うと感慨深かった。
30年後の現在はおろか10年後の事だって考えもしなかったが、思えば遠くへ来たもんだ。
その頃まだ瀬戸大橋の工事中であった。
本州への戻りは淡路島経由フェリー利用だった。
今回はその淡路島も瀬戸大橋から見下ろす形だったが、なんと広く大きいことか。
下道を走って、しかもフェリーに乗って、その夜は神戸あたりの大層汚い(失礼!)
YHに泊まったであった。
本州に戻ってからもkoyamaさんの運転であっちへこっちへ。
本当に大変お手数をお掛けしてしまった。
一応巡ったハードオフを列挙してみよう。
岡山野田店
倉敷中庄店
倉敷北畝店
福山駅家店
福山曙店
今治片山店
松山駅前店
松山久米店
新居浜西喜光地店
伊予三島店
丸亀店
宇田津店
高松郷東店
高松桜町店
高松やしま店
南摂津駅前店
門真店
バロー寝屋川店
長岡京店
京都曙店
西大津店
滋賀栗東店
他にカック倉敷、BBGオーディオも回れた。
疾走すること1000キロオーバー。koyamaさんは運転お疲れ様でした。
お買い物の報告はこれからするし、回ったお店は全部面白かった。
しかし今回はオフ会二軒、マニアのホテルへのご来訪一軒があり、それも濃く
刺激的だった。
koyamaさんにしてもO.Tさんにしても実に熱心にオーディオをされている。
僕もやっていないわけでは無いが、求道的な所は鳴りを潜め、どちらかというと横展開の
オーディオ。
それに対してご両名は上へ上へと木が伸びる様な上昇志向のオーディオ。
この差は大きく、ルーズな我が身を恥じてしまった。
家に帰ってからは早速ゴニョゴニョ始めてしまったが我が家のオールドな機器たちでどこまで
太刀打ちできるか?
甚だ疑問ではある。
それはさて置き、恒例のお買い物公開タイム!である。
5月17日
5月18日
おっと!OTTO。TP-L3である。
お値段なんと税込み540円(!)
幾らなんでも安すぎると言いたいが、そんなことを言うはずがない。
何食わぬ顔でレジに持って行った。
サビ、緑青、どろどろ汚れ。ダストカバー無し。カートリッジ針折れということで
捨て値になったのだろう。
TP-L1の弟機。いくら何でも不憫である。
それにしても凄い汚れで、マジックリンをぶっかけたくなったがそうも行かない。
今回は重曹をマジックリンで溶かして、それを主に使ってクリーニング。
これは特に緑青には効果的で、良い感じに綺麗になる。目出度し目出度し。
ターンテーブルシートなども凄い汚れだったが、それこそマジックリン原液を使ってクリーニング。
綺麗になるものである。
冷静になってTP-L1と見比べると、価格なりの差が露わになる。
まず外装だが良い意味でチープ。ただ、悪い色じゃない。
TP-L1が美し過ぎるのだ。
ターンテーブルのデザインも当時としては普通。しかしこれもTP-L1を見ると遥かに美しい。
これも価格差だ。
モーターや軸受に違いがあるかどうかは不明。共通かもしれない。
ただ、TP-L3には電磁ブレーキが見当たらない。
もう一つ。クオーツロックかどうかが大きな違いとなるが、これは言っても仕方ない。
トーンアームを少し内周に向けるとターンテーブルスタート。これも同様で
オートリターン付きも共通。
しかしTP-L1には独立した電源スイッチがあったがTP-L3には無い。
だからゼロバランスと取る時など注意しないと回るテーブルに針先を引っかけることになる。
と、色々書いたが最大の違いはトーンアームか。
TP-L1の方がラスターのOEMかという感じで風情があり、感度も良いのに対して
TP-L3のアームはあまりにチープ。
ガタもあれば感度も鈍い。
余りの鈍さにゼロバランスが取れているのかどうかわかりにくい程だ。
5月19日
さて、本格的に…と思ったら何だか音が揺れる気がする?
ダイレクトドライブで回転不調は困るぜぃ、と思いながらよくよく観察すると
ターンテーブルが何かに擦れるような音を出している。
約二か所で回転に抵抗が掛かり、そこでワウを生じて音揺れに繋がっている。
当初かなり悩んだが、結論を言うとターンテーブル裏に貼られているマグネットが
30数年の経年変化で、ごくわずかに浮いている箇所があると気づく。
リニアモーターのドライブ部分とのクリアランスは極小なので、その辺はシビアなのだ。
どうしたもんか?と思ったが結局ターンテーブルに貼られているマグネットの当該箇所を
サンドペーパーでわずかに研磨。
それで無事解決となった。
OTTOのTP-Lシリーズで同じトラブルに陥っている人もいるだろうから念のため書いておく。
さて、音を出そう。
5月20日
さて、音を出そう。
しかし、そのためにはカートリッジが必要。
純正付属はMG27Lだが針折れ。
だが何故かMG27がある。
なんとこれも偶然だが今回のツアーでせしめてあった物。
27と27Lの違いは現時点では不明だがそっくりさん。
シェルもOTTOなのでほぼTP-L3の原型状態に戻る訳だ。
甦るTP-L3。
話しは少しわき道に逸れるが、このL3は高知のハードオフで見つけたもの。
TP-L3の発売は1977年頃だったとか。
僕が前回高知を走った'80年代初頭、このプレーヤーはさすがにまだ現役だったはず。
CDは登場していたが普及には程遠かったのだから多少は大切にされていたと思う。
やがてレコードプレーヤーというのは日陰者になる。
そう、このL3も'80年代末には稼働を止めていたのではないか。
その後しまいには物置にでも放り込まれていたか?
最後にごみに出されずにドフに持ち込まれたのが僥倖で、30数年ぶりに四国を訪れた
僕の手に入ったとすると、あまりに話が出来過ぎている。
ただ、30年前以上に僕とL3は第一次接近遭遇(古い!)をしていたと思うと
何だか涙が出て来る。
それはさて置き音だ。
5月21日
それはさて置き音だ。
第一印象は、大変わかりやすく親しみを覚える物。
言い方を変えると大雑把な感じだったのだがしばらく使うとそうとも言い切れないのがわかる。
しなやかさも併せ持った優秀なカートリッジのようだ。
これはMG27に限った事ではないのだが、あの頃プレーヤーに付属で大量に出回ったカートリッジ達は
おしなべて優れものということが言える。
おまけ扱いを受けていたから偏見を持って見られていたのが不運だったとしか言いようがない。
正にお宝の山。
ただ、その事実も最近では広く知れ渡ってしまった様で、捨て値では拾えないのが残念。
しかしこうなるともっと優れたシェルやらリード線やらで試したくなる。
古いカートリッジは下手に弄らない方が良いのだが、考えたらMG-27と27Lの二本が
手元にあるわけだ。
そこで27の方のシェルをテクニカの15gに換えてみた。
針は共有状態なので差し替える。
これで聴いてみると、ちょっと品位が上がった感じ。
ただ、どうも決定的な差がわからない?
TP-L3の限界もあると思ったのでPX-2に差してみる。
するとこれははっきり差がつく。
当たり前だ。PX-2とTP-L3では価格がまるで違う。
ただ、MG-27のクオリティを引き出すにはこれくらいのプレーヤーは
使わないといけないというのも言える。
OTTOのMGもエクセルのOEMであることが今では広く知れ渡っている。
素晴らしいカートリッジ達がプレーヤーの先っぽに
当たり前のようにぶら下がっていた時代が、ただ懐かしい。
5月22日
次である。
なんとテクニクスEPC-270。
正確には270C‐2である。
どちらでも良い。日本を代表するカートリッジ。
一家に一本。
これを知らないと日本人ではない?
といっても過言ではないくらい普及したカートリッジ。
出回った単位が万本だというから凄い。
それを初めて体験するとは、こ奴はオーマニの
片隅にも置けない。死刑である?
まあそう言わないで頂きたい。
この辺のカートリッジだって本当に評価されたのは
21世紀に入ってからである。
今回は針無しジャンクを拾ったら新品針をkoyamaさんが
恵んでくれたというおまけ付き。
さて、どれだけの音がするのか?
まずはTP-L3で聴くがその段階で、申し訳ないがMG27に差を付ける。
MG27が普及機向けとして良い意味でのわかりやすさを
持ち合わせていたのに対してこちらは本格的な装置にも
対応できる標準機的素質を持つ。
美しくもあり力強くもあり、なにより自然体。
これを”取り立てて特徴が無い”などと言ってはいけない。
よし!と思ってPX-2に付けると一段二段グレードが上がる。
さすがであるとしか言いようがない。
さてしかし、ここで注釈。
これらのカートリッジは更に良い音が聴ける可能性があるということ。
純正からサードパーティーまで種類は豊富だが
丸でも楕円でもなんでも良いからダイヤの無垢針が手に入ると最高。
ただ、その辺に妙に拘り出すと普及機の意味が薄れる。
ほどほどの所で手を打つのが大人か。
5月23日
続いて同じくテクニクス。EPC-271C-Sだ。
といってもこれは今回のツアーで購入したものではいない。
良く考えると一昨年の一回目の関西ツアーでゲットしてあった物だ。
何で今更?というと針が死んでいて使えていなかったのだ。
今回EPC-270の針が来たことで使用可能になったもの。
しかし270系の針なんか選ばなければ1000円未満でも買えるのだから
とっとと買え…
まあ良い。兄弟機270と何が違うというと見ての通りシェル一体型のところだ。
シェル一体型というのは1976年頃にブームになった。
火付け役はもちろんEPC-100Cである。
シェル一体型にはメリットが多い。ビスにシェルリード線と
一般のシェルとカートリッジの間には不確定要素が多い。
ただし、ろくでもないシェルと一体化されてしまうと、それこそ不幸である。
271はどうか?というと、これは成功していると思う。
さすがテクニクス、そんなアホな真似はしないのであった。
音だが270の一枚上を行く感じ。
良い意味で低音にアクセントを感じるというか力強さがある。
聴いていて気持ち良い。
そして繊細。
…なのだが気違いじみた繊細さというのと違って破綻しない繊細さだ。
相手を追い詰め過ぎないで寸止めでやめる感じ。あるいは服までは当たっているが
身体には当てないという感じ?
ある意味本当に凄い。
これも普及機に付属という立場からしたら万能でなければならないからだろう。
”レコード歪むんですけど”とクレームが来たら困るのだから。
5月24日
今年もこの日が巡って来ちゃったね、ルーさん。
そっちでは無事に両おばあちゃんに見つけて貰えたかな?
お姉ちゃん曰く、”あいつ、鼻悪いからな”、だそうだけど(笑)
虹の橋の向こう側で元気に駆け回っている事を信じます。
あなた、そしてあなた達が教えてくれた事は
今を精いっぱい生きる事かな?
お父さんは相変わらず馬鹿をやっていますが
病気みたいなもので好きな事は片時もやめられない。
あちら側から見守ってやっていてくださいな。
5月25日
詳しい人は写真↑をちらっと見ただけでわかる。
DENON DL-60だ。
これも同社のプレーヤーに付属で大量に出回っている。
後継にDL-65があるわけだが、両者の違いは針、とも聞く。
この音を知らないでDENONのMMを語るなかれ、と言われて
(言われいないか?)ゲット。
さて、実際音を出してみるとまず出力が小さいのに気づく。
MG27、EPC-270、271の後に聴いたからぎょっとした。
出力控え目。
これはアンプやスピーカーを信頼できる場合はその方が良いとも言える。
逆の場合はカートリッジの出力が高い方が、一般ユーザーは
良いと感じるし実用上も便利かもしれない。
MG27やEPC-27×系と比べると全然後の設計だから
時代背景も違うというのもある。
そしてボディも小さい。
DL-110とか、その辺を連想させる。
当然の帰結だが重量も軽い。
ローマス時代のカートリッジとも言える。
音はどうだ?というと、これも良い音だ。
何というか標準的?
さすがNHKご用達。
半分は冗談だが半分は本当。
松下のが、電気屋さん的標準だとするとこちらは
放送局的標準。
わかるかな?この違い。
総じて言えるのは大量生産出来たカートリッジ達は
いずれも優秀であるということ。
安くて手に入れ易かったから低くみられるがそんな事は無い。
もう一つ言うと、馬鹿みたいに細かい事を言わなければ。
特に一般的なレコードを聴く場合はそれらのカートリッジで十分十二分であり
更にはその方がマッチするケースが多いということ。
いかに上手に音作りされていたかと、今になって気づいても
もう遅い?
DL-60の泣き所はあまりに軽いのでシェルまで軽すぎると
バランスが取れないアームが出て来るところ。
興に乗ってEPA-100に付けて使ってみたら
やっぱり音質向上。
いやあ、オーディオって本当に面白いものですねー。
5月26日
速い!5月も終わりそうな勢いだ。
それなのに僕の頭の中は、どこかGWのままである。
いや、休み呆けとかではない。
合間合間に今回のツアーの事を思い出すのである。
いつまでこういう事をしていられるのかな?という思いもある。
僕がどうこうという問題だけでなく、周囲の人も健康で
明るく暮らしていないと家を空けるなんて事も出来ないのだ。
…なんて地味な事を思いつつ、次はこちら。
これは?
知る人は知ると言いたいがここ数日挙げて来たカートリッジ達の中では
一番マイナーな存在かもしれない。
そこが良い。
そしてそういう物を発掘する名人といえば…
そう、koyamaさんである。
こちらテクニカのAT-UL3。
1983年か1984年頃の発売。
針交換可能なMCだ。
針交換可能なMCといえばパイオニアPC-31MC、同41MCを連想する。
そういえば僕とkoyamaさんの縁結びが31MCであり41MCであった。
このUL3も、単売があったようだが
そもそもはONKYOのINTECというバブルコンポのアナログプレーヤー
MP-1000EXに採用されていた物。
よくも、こういう物を見つけていらっしゃる(笑)
まず、独特のルックスにやられる。
遊び心いっぱいだ。
色も良い。
見ての通りで、これも軽量級。自重4.2gである。
調子に乗ってシェルまで軽くしすぎるとバランスが取れなくなるから注意。
最初はTP-L3で、次にEPA-100に取り付けて音出ししたが
あんまりチープなアームだと真価を発揮しない。
そういう意味では不遇な生涯を送った個体が多かったと想像する。
音は一聴して派手目で愉快痛快爽快という感じ。
理詰めに糞真面目に作ったカートリッジとは
一味違う。
ただ、派手と言っても同じテクニカのAT-33E辺りの
わざとらしさと比べるとまだ真面目な方かも。
俗にいう、”テクニカあるある”である。
5月28日
ところで今回のドフ巡りではある店舗に二度行くことになってしまった。
ひとえに僕が買う決断を一発で出来なかったためだ。
嫌な顔一つしないで付き合ってくれたkoyamaさんには心より感謝申し上げる。
さて、何を逡巡したのか?
問題のブツはこれである。
何か?
ターンテーブル。パイオニアのMU-1800だ。
発売は1976年。当時45.000円。
磁気パルス検出方式採用のダイレクトドライブモーター。
プレーヤー、PL-1800のモーター部を単売したというべきか。
あるいはPL-1800がこのモーターで作られたというべきか。
しかし今更モーターを買ってどうする?
プレーヤーならまだ良い。すぐに使えるからだ。
モーターを買うという事はまたしてもプレーヤー自作をするという事になる。
この上そんな事をしてどうなる?と自制したがやっぱり欲しくなった。
というのも、この個体、どうも使われた形跡が無い。
オーナーは買った物のキャビネットに組み込むことはしなかったではあるまいか。
あまりにも美しい、ピアノブラックの仕上げ。濡れたような黒とはこういうのを言う。
ただ、その美しさを活かすのであれば素直にPL-1800を買った方が良い。
しかし、どうもフォノモーターがよっしーを呼んでいる?
翌朝再びお店に行って結局ゲット。
自宅で、観れば見る程美しい。
ストロボライトの光り方などもこの上なく美しい。
でも、どうする?
5月29日
でも、どうする?
ここで色々な発想が出て来る。
まず、現物を見た瞬間から思ったのが、この真円とも言える形だ。
これを基に、マイクロのDDQまたはDDXシリーズみたいな形のプレーヤーを作れないか?
妄想ばかり膨らむ。
MU-1800を置いて、周りに色々なアームを仮置きしてみる。
出来れば三本アームのプレーヤーを作ってみたい。
普通のプレーヤーならもう作って来たのだから。
考えるのは楽しいのだが何かと難しいのも確か。
いよいよ辛抱堪らなくなって、とにかくプロトタイプを作ってみる事にした。
結果…と言ってもこれが最終形ではないのだが出来たのが写真のような物。
結局普通の形?
ま、取りあえず、なのである。
しかし、さすがに何も考えないで作ったわけでは無いので一応説明。
まず、アーム。
ご覧の通りSAEC WE-506/30だ。
ロングというのには少々足りないのでセミロングアームという方が良いだろう。
二本アーム、三本アームにするにしても、今回のプレーヤーのメインはこのアームと定めた。
理由は幾つもあるが、なにより不遇なこのアームをもっと使ってみたいから、というのがある。
SME-3012などでもそうなのだが、持っては居るがお蔵入り、みたいなケースが見受けられる。
理由は簡単で、長すぎて普通のプレーヤーケースには収まらないからだ。
今回のプロトタイプでもプレーヤーの幅は550mmとなっている。(奥行きは420mm)
GTラックの幅が580mmなので、載るは載るが正にギリギリ。
ちなみにGT-2000で、幅が540mm。
削ろうと思えば30mmくらい削れるが、レコードを演奏していると内周に行ったとき
アームのお尻がプレーヤーキャビネットからはみ出してしまう。
画としてあまり良いものじゃないと思う。
また、プレーヤーとしてのルックスも悪くなる。
ロングアームが不遇になる理由その二。
基本的にハイマス、ローコンのカートリッジで真価を発揮するので、その逆のカートリッジへの
対応は苦手。
結局、それらのカートリッジ用に別のアームが必要。
となる最低ダブルアームになるのだが、するとやはりキャビネットの奥行きまで大きくならざるを得ない。
大きくなっても良いとなれば以上の問題は一気に解決。
三本アームでもなんでも問題はない。
しかし、そうもいかんだろう、という事を考えるとマイクロDDQ、DDXみたいな形は一つの回答となる。
実際最近でも、メーカー製、自作を含め、その亜流みたいな物がいっぱい見つかる。
ここで大いに悩むが、まずはオーソドックスに箱型で試作してみる事としたわけだ。
5月30日
ここで大いに悩むが、まずはオーソドックスに箱型で試作してみる事とした。
積層合板も考えたが既に二回も作って多少飽きている。
そして色々実験、立証もしてみたいので超簡易型からスタートする。
まず天板は12mm厚品合板。
これはさすがに薄かったと反省するが、まずはお試しである。
ボディというか下半身は2×4材を組み合わせる。
いつでも分解できるようにとボンドは使わずオールねじ止め。
ふざけているというかもしれないがモックアップみたいなものだからやむを得ない。
あっという間に(というのは嘘なのだが)出来上がって、もう音を出したくて仕方ない。
さて、音はどうだ?
第一音は卒倒しそうになった。
なんとも寝ぼけた音だ。
あっという間に解体したくなったが堪える。
5月31日
せっかく組み立てたのだしもう少し様子を見たい気もしたが霞たなびくような音に
どうしても我慢ならず次を考える。
まずフォノモーターもアームベースも薄っぺらい天板は介さず2×4材の骨組みに直置き。
*さすがにこれは本当に仮置きの図
やっぱりこの方がなんぼかマシと思える。
試作一号機を作ってみて感じたのが天板の影響。
ここはスピーカーで言ったらフロントバッフルみたいな存在だと改めて知る。
厚ければ良いとか単純には言いたくないが、基本的には厚く強度があった方が良い。
もちろん素材によっても変わるだろう。
そんな事をつらつら考えている内に、だったら天板失くしてしまえば良いじゃん?と
オーディオの神様が僕に話しかけた。
物凄く単純な発想だ。
ま、普通は天板外したら形にならないが、そこが2×4材の良いところで強度はバッチリ。
なんの問題も無い。
これも一種のスケルトン構造というべきか。
風通しも良いので共振が籠るなんて事も無い、というのは半分冗談で半分本気のお話し。
アームベースはどうしよう?と考えた末脱着式にしてみた。
この部分についても語りたい物がたくさんあるのだがそれは又後で。
トータルでは割と市販プレーヤーに見られる形に落ち着いた。
ただ、それは一見、であってキャビの強度は全然違う。
なにしろ2×4材は建築の構造体にも使われる位だから頑強そのもの。そして合板等と比べて格段に安い。
非常に魅惑的な存在なのだ。
この状態で再びWE-506/30を装着して聴いてみると…
相変わらず大人しい音だ。
しかし、考えてみるとWE-506/30=力強い音というのは10年前位の印象であり
今回はモーター、キャビネットと全部違っているのだから違和感もあってしかるべき?
改めて耳を澄ませてみると、驚く位歪感の無い美しい音だ。
僕らしくない言い方を許して貰えるなら、楽器がきちんと並ぶのがわかる感じ。
繊細さは極まりなく、これぞアナログサウンドなのかもしれない。
とにかく、もうしばらく付き合わないと本当の事はわからない。