12月1日
さて、あまり引っ張っている時間も無い。
テクニクスSB-7000降臨。
SB-7000はこの時代のフロアー型の先駆けであると同時にその特徴的な形で語り継がれる一台。
ウーファーよりもスコーカー、ツイーターは後退している。
これは各ユニットの振動面の位置を揃える事で位相ずれの問題を解決しようという物。
もちろんそれだけで解決するほど位相の問題は簡単では無いのだが、この問題に取り組んだ一号機という事で
歴史に名を遺した。
なお、G7はウーファーを突き出す形で同じ問題に取り組んでいる。こちらの方が後発だ。
実物を前にしてみると、やはり大きい。だが馬鹿みたいに大きくはない。
あくまでも一般家庭に置いて無理のないサイズという事で好感が持てる。
幅、奥行きはG7と大差ないが背が低い。
正直低すぎると思うのだが、床に直置きして畳の上に正座するとちょうど良い塩梅だ。
ポンと置いて音を出して何がわかるかというと本当の事はわからない。それは確か。
ただ、取りあえず音が左右で六つのユニットから出るかどうか位は確かめないとどうにもならない。
まず、音は出た。本当に良かった。これが基本である。
寝起きの音について語らないで欲しいとSB-7000も言いたげだが、美しく、可憐でとがった所の無い音だ。
世間ではこのスピーカーの音はそういう物と認識されている様だが、その通りの音がする。
素晴らしい点を挙げると、何であれスピーカーから音が出ているという感じが希薄だ。
気になる点はというと、ブーミーであるという事と、あまりにもBGM的であるという事だろう。
しかし直近の日記でも書いたようにむきになり過ぎない程度に弄りながらも放っておくのが良作と見る。
すぐに好い音を出そう。出せるはずだなどと思う事が間違いの元なのだ。
だが…
12月2日
…などと分かった様な事を書いた途端になにかやっている?
流石に床に直置きだとSB-7000は背が低いので不利。
なにより低音が被っている感じありありである。
少し持ち上げたいと思いながら眠りについた。
当時の雑誌など見るとコンクリブロックを一枚〜二枚横置き。あるいは縦置きで一枚。
確かにそれでツイーターが耳の高さに来る。
しかし21世紀の今日、コンクリブロックまで1976年頃を再現するのはやりすぎという物だろう。
なにより、僕はコンクリだとか金属だとか、他の機材にぶつかった時に危害を加えそうな素材が苦手なのである。
そこでお得意の2×4材登場。
ざっくりの奥行きに合わせ43cmにカット。書くと簡単だが結局16本を切り出す訳で一苦労だ。
これをご覧の様に敷いて積み重ねる。短辺39mmを四枚重ねると塩梅が良い。
凄い手抜きの様に見えるが2×4材を片方づつ、一枚づつ敷いて行く方式だと一人でも設置が出来るのだ。
この際SB-7000上部についているハンドルが大いに役立つのは言うまでもない。素晴らしい設計だ。
その上で、袴に突き刺さる様に自作(つまり陳腐な物)スパイクを仕込む。
フロアー型スピーカーの袴というのは必要な物なのだろうが曲者で、スピーカーを保持する際は
これを外すとか避けるとかしたい物だ。
今回は上記方法で試してみた。
基本的なところでユニット取り付けネジの増し締め。
これは一年に一度は面倒を見た方が良い。しっかり締める。
ユニット自体はエッジを見る限り硬化も破れ、欠けも無い。一安心。
スピーカーケーブルはSB-700の端子が独創的で細い物しか使えない事もあって細目で色々試す。
アンプだがプリはここの所安定のPRA-2000そのままとしてパワーはHMA-9500→M-22→HMA-9500と
渡り歩いて9500に取りあえず、する。
あるいはM-22の方が合うか?と思ったが9500に戻してみるとこちらの方が遥かにパリと鳴る。
12月3日
以上で設置後の第一音とは全然違ってきた。当たり前ではあるが。
一応注釈を入れると、以上の使い方がベストとか、そんな事ではない。今やってみて良かったこと、という事に
過ぎない。
スピーカーというのは一旦鳴り始めると、少々どこかを弄った所で大して変化しなくなる。
その域を持って、始めて”鳴った”と言える。
それまでの過程において、何かを変えた際に極端に音が(望む方向に)変わると、”これがポイント”とか
”このケーブルが特効薬”、とか言いたくなるものだが黙っておいた方が良い。
意味が無いというではない。価値はある。ただし豹変した時の効き目というのは疲れた時のユンケルみたいな物と
思っておいた方が間違いが無い。
アンプも、出来たらローコストプリメインでも過不足無く鳴るくらいまで持って行きたい。
弩級セパレートでも良いが、ある時戯れに手持ちのプリメインを繋いでみたら”あれ?、こ、これで十分だったわけ?
母さん、僕のあの120回払いは何だったんでしょうね?”というのが望ましい。
(望ましくないか…)
12月4日
ここまで書いて、改めてSB-7000の美点。
なんと言ってもスピーカーから音が出ている感じが希薄である。
これは設置すぐから不変。現在も目の前1.2mくらいの所で鳴らしているのだが大きなスピーカーが
目前で鳴っているという気がしない。
これは立派である。
難点はパリッとした音が出づらい。
併せてブーミー。
量感という意味では38cmのG7よりもある位なのだが、いかにせんゴー・ストップが悪い。
ブレーキが甘い大型バイクみたいな感じだ。
量はこのままで、もっと張りのある低音が襲い掛かってきたら天下無敵と思う。
この点があと一歩、二歩、三歩の現状だが、到着から24時間も経っていないのだから誉めて?欲しい。
(ここ数日の日記の出来事はSB-7000到着から数えて20時間位の時の物)
…と書いていたら、更に向上。
ゴー・ストップは良い。後は、この際恐ろしいような。面で飛んで来るような低音になってしまうと最高だ。
いわゆる凄みが欲しい。
更に、スコーン!と突き抜ける感じももっと出る筈だ。今も片鱗はある。
12月5日
例によって分かった様な事をつらつら書いてしまったが
24時間で完全攻略できるほどオーディオは甘くない。
大枠は良いとして、そこから先は簡単じゃない。
一つには適当に鳴らす事なのだが、ただそれをやって居られるほど
達観はしていない。
取りあえず自作のスパイクはあまりにも信用ならないので?除去。
スピーカーケーブルもISODAの端にダイエーをほんの少し継ぎ足して
SB-7000のターミナルに対応。
そしてプリ交換。
PRA-2000からSY-88へ。
すると、特に低音のだぶつきは一気に解消?
大変な変わりようで俄かには信じ難がった。
問題は一気に解消と言いたいが、どうも面白く無い。
騙されているような気分。
一度PRA-2000に戻してみないと気が済まない感じ。
12月6日
という事でSY-88からPRA-2000へ。
あっという間にプリは戻す。
SY-88もお手入れして上げないとなー、なんて違う事に思いを馳せる。
それはさて置きPRA-2000の方がやはり合う。
しかし低音はタイトに締まったまま。
それで良い筈なのだが妙に気に入らない。
他にやった事というとケーブルと、例の陳腐な自作スパイク外しだ。
この辺で大分違うのか。
本当の事をいうと袴を外して使いたいのだが
SB-7000は袴を外してしまうと構造上後ろ下がりになってしまう。
そんな事は出来ない。
しかし袴とその下の設置の仕方で音が変わるというのなら試してみたい。
そこで袴の下四隅に鉛の円板を入れてみる。
すると、ちょっと上が賑やかに。
ちょっと品が悪いが、これはこれでアリだ。
それにしばらくすると落ち着いて又音が変わる。
なんでも良い。とにかく変化してくれるという所がポイント。
それより何より、到着直後の音とはまるで違う。
SB-7000らしからぬ音、と言って良いんじゃないか?
12月11日
はっきり言ってオープンリールデッキとは無縁の世代だ。
趣味としてのオーディオに目覚めた時にはカセット全盛の時代。
オープンリールデッキも辛うじて、という感じで存在はしていたが
興味の対象外というか現実性がまるでないという感じ。
それこそ小学生の時分におじさんやらお兄さんやらが持っているのを見たことがあって
その音も聴いたが、あくまでもテレコとしての位置づけだった。
大きなリールでくるくる回るテープというのは、どちらかというと1960年代のコンピューターの世界。
科学特捜隊の基地や、ジャイアントロボの内部(驚く事に真空管が使われていた!)を連想するのが
関の山だ。
だから、まさかご在銘中にオープンを経験するとは夢にも思わなかったのだが…
12月12日
突然、DEON DH-710S登場。
1974年発売。
アンプ部が一体の710とセパレートの710Sがあったが、S付きは38万円。
DENONは特に業務用にこの種のデッキを作って納品していたメーカーで、710は民生用とは言え
思いっきりコンシューマー用のかほりをさせる。
ダイレクトドライブ、2キャプスタン。
電子式テープテンションサーボ。
挙げて行くとキリが無いので省略するが、重量がメカニズム部27kg。アンプ部が8.5kgと
ただ物じゃない。
…とかなんとか言っていても仕方ない。もともとが詳しくない分野だ。
テープの掛け方もわからない位だが、なんとかクリアーして、いざ再生。
ところが、これが超超高速回転だ?
19cmを38cmで掛けたか?と思ったがコントロール不能。
これは困った…
が、何とかする以外ない。総重量40kg弱を置物にしても仕方ない。
いきなり分解するのは気が引けたがやるしかない。
ついでに言うとマニュアルも回路図もパーツリストも無い。正に五里霧中。
だがしかし、20年前とは違いネットという強い味方がいる。
さっそく検索、猛勉強。
すると、何のことは無い、フォノモーターのDP系と似たお話しで、小電力トランジスター
特に伝説の迷石?2SC458の劣化が原因になると想像がついた。
それは良いが分解手順からして手探り。
しかし、わかってみれば、さすがプロも使う想定だけあってわかり易い。
ウッドキャビネットから本体取り出し。
冷静に見れば基板はたった三枚。
なのだがこの基板の傷み具合が凄い。
本体側面についているのがサーボ基板なのだが、これのパターン面なんか、ひょっとしたら
錆ついているじゃあるまいかと思わせるくらいの状態。
底面に一番大きな基板が付いているが、これは埃に埋没している。
悪く言っているのではないから誤解のない様に。
これはもう構造上仕方ない。放熱の為には通気口もあるし、中でモーターが回転しているという事は
ある意味収塵機みたいな作動もする。
更に、熱、湿気と加わると、どうしてもこうなる。ノーメンテナンスの同型機は全てこうなっていると想像される。
大好きな作業だが、さすがに手間取った。
脇に付いているのがサーボ基板というのは後からわかったことで(笑)
先に底の大型基板から着手。
汚れは取ればよいのだが、この基板も小電力トランジスターは軒並み足が真っ黒。
これを総取り換え。
ついでに電解コンデンサーも取り換えてしまう。
何しろこの基板を外すのは一苦労。この際やれるところはやっておこうと思った。
この状態で直ることを期待したが駄目。ま、当たり前、サーボ基板はこの後着手した。
ここも凄い状態でトランジスターは全交換。電解コンデンサーも交換。
書くとたったこれだけだが、ミスのない様に作業をするのは大変。
これでだめだと本当にお蔵入りになるぞ…と思いながら電源を入れてテープを掛ける。
すると…!
やっとまともな回転になった。これまでは76回転どころか152回転以上の勢いだったのだから感涙ものである。
正直今はそこまでで十分納得している。
音についてはこれから、だが本当はまだお手入れが足りない。
それを言っているといつ終わるかわからないので報告しながら仕上げていくことになるのだろう。
12月13日
また備忘録替わりで失礼。
上の写真では既にキャビネットから出ている状態だが
本体とキャビネットを連結しているのは四本の長いボルトだけ。
ただししっかりしたドライバーを用意すること。
キャビネットのみになるとこんな感じ。
底面にある基板にアクセスするためには
各端子などが付いている後ろ側のパネルを外す方が良い。
コントロールケーブルとか電源ケーブルとかが留まっているので
それを外していく。
ただし写真はいっぱい撮っておくこと。
これは?と思うとリモコン端子のメクラ蓋。
ただ刺さっているだけだが、これが刺されていないと
コントロール機能が働かないので注意。
コネクター類を抜く時はナンバリングをしておいた方が良い。
ピンは最後にシャイネックスで磨いてから
タミヤの接点グリスをほんの少量塗っておく。
埃の堆積はかなりのもの。
これでももちろん途中。
それでも大分綺麗になった方。
念のためだがこの時代のトランジスタは型番の書かれている方から見ると
足がBCEになってしまっている物が多い。
2SC458も角型で初期のこのタイプはそうなっている。
困るのは後期型は形が変わり型番面から見てECBの脚の並びになっていたりする点。
その辺は注意。
今回は2SC458は1815に。
2SA673は1015にと代替品にチェンジ。
救いは基板にしっかりECBの記載があること。
これなら間違いは起きにくい。
総じて基板のサイズの割にはパーツは少ない。
電解はお漏らしをしているのが2〜3本あった。油断大敵。
12月14日
これ↑は底面の基盤を外してから最初のショット。
速度切り替えスイッチの不良かと疑ったがそうでもない。
ただ、半田の様子から過去に誰かが弄った形跡は感じる。
分解してメンテと思ったがアルコール点滴と半田やり直しで済ませた。
右下にマイクロスイッチが見えると思うが
この頃のオープンデッキはパネルのスイッチで直接
裏側にあるマイクロスイッチをオン・オフさせている物が多くて笑える。
実に大らかな設計だ。
ここも五つの内二つのスイッチに交換の後があった。
後で半田を盛って、それはそれで良しとした次第。
外したトランジスタや電解コンデンサーを簡易的に計測してみると
確かに変化はしている物はあるものの、決定的に破損というのは無い。
足が真っ黒になっても、お漏らしをしても数値上ではそんなに悪い成績ではない。
ただ、それだけでは語れない部分がありそうで、
安価で代替が手に入る部品は交換しておいた方が良い。
ある意味本題のサーボコントロール系基板は向かって右側にある。
単純に基板を止めている四つのネジを緩めるだけでも良いが
やっぱりその元締め?であるアングルごと外すのが良作。
ネジは四つ。
こんな感じでずらしてから基板を外して、更にコネクターを外したりする方が良いのだ。
ここは徹底的に、ということでトランジスター交換、電解コンデンサー交換はもちろん
全半田をやり直した。
基板の様子はお手入れ前とは一変。
デッキはまったくもって詳しくないので電気系はともかくメカニズム系は
弄るつもりなし。
ヘッドだけは掃除したが汚れは僅か。
それにしてもごっついヘッドブロックで、何もかもが大きい。
この点においてはコンパクトカセットよりも遥かにメンテしやすい。
12月17日
音の話しに移りたいところだが一休み。
なにより、さすがに年末。体力を激しく奪われる。
だから戯言のみ。
さて、果たして録音機とはなんだったのか?
昔録音機は憧れの的だった。
音というのは当然ながら放たれたら後は消えるだけのもの。
それを記録出来ないかと考えた、昔の人は偉かった。
エジソンの蝋管まで遡ると大変なことになるか。
大昔はみんなダイレクトカットだった?
いつからか磁気テープによる録音が普及。
最初はもちろん業務用先行だったろうが、生活レベルの向上と共に
一般家庭へも浸透。
オープンリールが標準だったのだが1960年代半ばよりコンパクトカセットが台頭。
しばらくは共存するが、次第に市場はカセットへと移行していく。
1970年代半ば以降にスタートした、僕らのオーディオにはカセットデッキが欠かせなかった。
コンパクトカセットというのは著しく進歩した分野で、
それ以前君臨していたオープンリールはいつしか隅っこへ追いやられてしまった。
先に書いたように、僕なんか現物を拝んだのが数えるほどだ。
ただ、2トラ38、なんて規格がある事はもちろん知っていたし
やはり突き詰めるとオープンだという認識はあった。
ある意味オープンは凄すぎて、憧れというよりも現実味が無い存在だったと言える。
12月18日
ちょっとだけDH-710Sから離れる。
落ち着いて耳をリセットしたいのと
疲れをとるためだ。
SB-7000の置台を多少はまともな物にした。
といってもマニアが見たら失笑必至の適当な物だ。
それでも、これまでの2×4材を単に積んだ物よりはなんぼかマシか。
その、積んであった2×4材を、今度は組んで形にしただけだが底にはキャスターを付けた。
キャスターは音質劣化の原因と言われて敬遠されるが、時と場合による。
SB-7000みたいにある程度重量があるスピーカーを任意の場所に動かすのには大変合理的?設計。
車輪というのは人類三大発明の一つなのだから活用しないのは嘘だ。
結果、大変塩梅が良い。
そして音も良くなった。左右の距離が変わった事が今回は好結果につながったようだ。
その他にも色々やったが、大きなところでは久しぶりにネットワークチューナー
オンキョーT-4070をラックに入れた。
ほんのちょっとだがハイレゾも入っていて、SB-7000も生まれた頃には無かった物を食せて
ご満悦?
12月19日
久しぶりに聴くT-4070というかネットワークオーディオは、
それはそれは楽ちんというか、オープンリール辺りとは対極の世界だ。
音も良い。
T-4070は、傾向としては細身でクール。
ちょっと冷たい気もするが、正に12月の晴れ渡った空の様に
透き通って穢れが無い。
とにかく仕事で疲れてしまっている事もあってDH-710Sの方は小休止。
…とはいっても電源を入れて回す、みたいな事はやっている。
すると悪戯な神様がほほ笑んでくれたようだ。
何が?
この灯り。
知る人は知っている、テープの有無を感知するための物。
これで、例えばテープエンドまで来たら自動でストップがかかる。
あるいは予期せぬトラブルがあった時も停止する。
テープ版ATCみたいなもんだ。
これが点灯しなかった。
24Vの掛かるところという事で、面倒でもマッチする電球をゲットして…
なんて思っていたらある時突然点いた?
古い機器にはよくある接触の問題だろう。
ちょっとだけ良い事があって、小さな幸せをかみしめている僕。
12月20日
…小さな幸せは良いが、ふと思った。
このランプが接触不良ということは…
このブロック、接触が悪くなっていないか?
あのランプも、このヘッドブロックの中にあるのだ。
こんな感じで、一種のカード式というかスロット式というか。
ヘッドブロックは差し込まれ、もちろんブロックはネジ二本でデッキ本体に
強固に固定されている。
アルコールを付けた綿棒でクリーニング。
二本目でこの程度の汚れだから軽微と言えば軽微。
しかし、汚れがあっても良い場所じゃない。
もちろん、お相手側もクリーニングしてすっきり♪
で、音への影響だがゼロではない。
日々こうやって進化はしているのだが、まだどこか決定的な部分で
本領発揮には程遠いというのが現時点での感想。
ひとつにはアンプ部分のメンテナンス。
これはやるしかないと思う。
もうひとつは、よっしーがまだオープンに不慣れというのがある。
テープがやっと上手に掛けられる様にはなったが
素人感丸出しだ。
この二点がクリアーされた時、DH-710Sも本領を発揮すると思う。
年内に間に合うのだろうか?
残すところ10日程度であるが…
12月21日
年内に間に合うだろうか?なんて書いたけど
間に合わせる必要がそもそも無い。
それで良いのである。
趣味の修理に締め切りは大敵。
何かに追われながらやるなんて愚の骨頂である。
そう言えるのは、遠い昔にそんな事をやっていたからだ。
ネットワークオーディオで音を聴きながら、片方でオープンデッキの修復。
一見優雅な日々?
実際には大変である。なにしろトランスポートは30キロ弱ある。
体力勝負なところもあるのだ。
さて、YOUTUBEなんか見ていると、せっせせっせとオープンリールの
(それだけではないが)修理をやっている人が居る。
定年退職後のボケ防止と言われるが、とてもそんなレベルじゃない。
その方曰く、車などを趣味にしたら置き場所から始まって
大変なコストがかかるがオープンリールだとオークションで数千円でも
落とす事が出来るし、それで大いに楽しめるのだからこんな良い趣味は無いと。
仰る通りである。
しかも、その方のレベルになると3モーターなんかより
1モーターデッキの方が楽しいらしい。
動画をいっぱい見ていると(寝るときに観ながら寝る)
良く分かる。
モーター一つで色々なロジックというかギミックを使って
動かしている、その知恵を観るというか体感するのが
楽しいのだ。
逆に言うと素人ほど3モーター、デュアルキャプスタン、なんて方が良いわけだ。
無理が無くて故障しづらい。
DH-710Sなんか見ていると余裕のが固まり。
これはありがたい限り。
いよいよこの後はアンプ部のメンテナンスとなるが
それで音はどうなる?
大変楽しみではある。
問題は時間、体力、気力かな。
12月22日
丁重な仕事を心がけたい。
そして冬至である。
12月23日
ネットワークオーディオは大変快適。
ただ、しばらくすると疲れてしまう。
音の問題じゃなくて、放っておくと延々音楽が流れる。
そりゃコントロールの問題だろう?と言われるとその通りなのだが
生来無精なもので楽が出来るとなるとつい流しっぱなしにしてしまう。
するとなんだか頼まなくてもどんどんご馳走が流れて来るレストランみたいで
げんなりしてしまうのだ。
そこで久しぶりにアナログレコード。
とーぜんだが上手く鳴る訳が無い。
これまた放置で(結局同じか)リピート再生。
それだけでなんとなるほど甘くないのでクリーニング。
お陰で大分甦ったがこの一年振り返って一番思い知ったのが接点の問題。
特に弱い信号の段階で通るところは要注意。
シェルとアームの接点なんてのは鬼門中の鬼門。
だから直結の方が良いのはわかるが利便性も取りたいと思うから悩みが増える。
ま、アライグマになって機器を壊さぬ程度にやりましょう。
12月24日
世の中には僕のやっているような事など
あっという間に終わらせてしまう人も居るのだろうなー。
アタシの場合は亀の歩みである。
写真はアンプ部のパネルの清掃過程。
比較が出来る様に上半分が処理済み、下半分がこれから
になっている。
マジックリンで湿布。
素敵な奥さんの世界。
なお、DH-710Sなどはレタリングが刻印となっているから大丈夫だが
所謂単なるレタリングだと剥がれて消える事があるので要注意。
12月26日
なんとかは死なないと直らないというが本当だ。
ある瞬間ふと気づいた。
ひょっとしてテープの通し方を間違えていたのではあるまいか?と
蒼くなって速攻で帰宅。
なんと一か月も経ってやっと気づいた体たらく。
取りあえず片チャンネルのアンプ基板は仕上がっていたので
組み直して試聴。
おお、これが正しい在り方だ。
やっと。やっとDH-710Sが本来の性能の一部を発揮した。
音はなにせ元の録音次第だから断定的な事は言えないが
確かな力を持っていることだけははっきりした。
ただ、例えば左右の出力差であるとか、
メーターの振れ方と実音量のズレであるとか
気になるところは残っている。
後片側のアンプ基板を弄ってからが本番だが
何が何でも本領を発揮させなければと
大変な義務感を感じた。
また半田ごてを握るのじゃ。
12月28日
終わった…なにもかも…
…いや、何もかもは終わっていない。
ただ、全四章の内の三章目までは終わった。と思う。
さすがに疲れた。アンプ部も全部の小出力トランジスター交換。
電解コンデンサーもついでに交換。
それだけで良いのかというと、電源基板だとか少々残すが
それは2018年のお楽しみにする。
電解コンデンサーについてはアンプ部は目視の限り決定的にやばいのは
無かった。
電解よりもタンタルをこの際替えて置けとか色々あるが
先へ行っての不安要素を消すつもりで電解は替えた。
1970年代の機器においては電解コンデンサは案外大丈夫で、
それよりもトランジスタだ、という説もあって頷ける。
2SC458だとか同1345だとか、見かけたら交換必至の誉も高い。
もちろん、それらも当時においては優秀な低雑音トランジスタだった訳だが
経年変化というのは5年10年のラニングをしないとわからない世界なので
悪く言うつもりはない。
まあいずれにしても交換しておいてマイナスは無い。
結果だが、これで悪くなっているようでは困る。
テストランニングを始めたばかり。
しかも自分で苦労して手を入れた機器には
どうしても身びいきになるが、それを抜いてもやはり良くなっている。
一皮むけたと言って間違いなし。
ただ、やはり左右の出力差などは残る訳で
これは半固定抵抗などを弄る必要があるだろう。
まあ何でも良い。詳しくはまた明日以降だ。
うずくまって作業して、背中が痛い。
12月29日
しかし21世紀の今、オープンリールがあってどうなる?
正直最初はそう思ったが、一か月付き合ってみると悪くないのがわかる。
テープを掛ける煩わしさはLPレコードの比でないわけで
これはなかなか慣れそうにない。
ただ、この、いかにも操作しています、というフィーリングは
捨てがたい味わいがある。
動作音も大きいので、煩いと言えば煩い。
しかし、それが良い。
メカトロニクスとはよく言ったもので、メカと電気の融合。
スイッチを押してプランジャーが働いてモーターが回ってというのが
大変風情があるのだ。
もしも40年前にこの機械を持っていたら、
FMエアチェックなどのマスター機として使い倒していた事だろう。
今の僕にはそんなガッツも無いので録音はほどほどに。
ただ、数本で良いからまともな(筈の)市販テープくらいは仕入れた方が良いかもしれない。
ネタとして聴いてもらうにも、ソースが無いとどうにもならないからだ。
ところでその内トランジスターの型番やらコンデンサーのスペックなど挙げておきたいと思う。
というのはDH-710S様のマニュアルなどが案外手に入りにくいようなので
今後似たような事をする方のために微力でもお役に立てばと考えるからだ。
写真では到底わからないが足の黒かったトランジスタも全部綺麗なものになり、
また電解は一回りサイズが小さくなり40年余の間の進歩を感じる。
ボリューム関係はガリなど元から無いが
アルコール点滴で軽くクリーニング。
音は滅茶苦茶良くなってきたが詳しくはまた、ということで。
12月30日
2017年ももうすぐ終わる。
毎年のことなのだが、たまには年間MVPとかアワードとかなんとか
面白企画で終わりたいと思いながら果たせないでいる。
軽く振り返ると、今年も色々やってはいる。
自分で見て、驚いている。
機器別に何が印象的だったとか書いてみたいのだが、やっぱりどれも印象的で
一位、二位とか書くのは不可能だ。
そこで、モノ、ではなく、コトで行ってみよう。
まず、昔と比べると大分スピーカーを鳴らすのが早くなった。
これは年季と手元にある機材の数が効いていると思った。
年季の中には妥協もある。昔ほど焦らなくなった。ま、良いんじゃない、とスルー出来る様になったのだ。
それが良いみたいで、急いでもどうにもならない事も多い。
敢えて言うと色々なアンプだとかソースだとかで鳴らして上げると成長が早まるみたいだ。
しつこく付き合う事の大切さもあると思ったのはマトリックススピーカーの件。
20年以上上手く行かなかったのだがやっと納得。
では、これまでと何か決定的に変わったのかというとそんなことも無い。
不思議だが仕方ない。
後は色々な機器をメンテしたなーというのが実感。
オーディオはブラックボックスとして扱い、機器がどう動作しているかには無関心というのも
ひとつのスタンス。
車やバイクに乗っても、メカにはほぼ興味が無く、全てショップに任せるという人も居るのと一緒だ。
それはそれで一向にかまわないのだが、僕の場合は元来が弄り屋。
ただ、電気には疎いという負い目があってオーディオはなかなか弄れなかった。
50を過ぎて開き直ったのか、我ながらよく蓋を開ける様になった。
メンテで音が変わった(元に戻った)最右翼はパイオニアM-22だろう。
DH-701Sも大分変ったと思うが元の音をよく聞く暇もなく手入れしたのでM-22ほどの実感はない。
さて、しかしナンバーワンはというとPRA-2000になってしまう。
何年も掛けて手を入れているのだが今年ついにセレクタースイッチとボリュームをクリーニング。
特にボリュームは大きいというか、今までの音が本来の85%だったとすると95%位までは来た感じ。
そのせいか、最近もプリをPRA-2000、SY-88と入れ替えてみるのだがPRA-2000にどうしても戻ってしまう。
年が明けたらSY-88も手を入れてあげないといけない。
プリPRA-2000でメインHMA-9500というのは所謂長岡コピーみたいでアレなんだが
最初は物まねで入ったとしても、気に入らなければとっくに交代させている。
こればかりは好みというかなんというか…
例えばご新規さまのSB-7000も、この組み合わせだと良い感じで鳴るのだ。
相性の問題と片づけて欲しい。
ただ、このペアは圧倒的にスピーカーを突き動かすというタイプではない。
だから駄目だという人もいておかしくない。
その辺を改善しようとすると、出来るのかもしれないが失う物も出て来るはずで
痛し痒し…という事にして新しい物への投資をしない私は貧乏性です(汗)
12月31日
大晦日である。
本当に不思議に思うのだが、大晦日も元旦も365日の内の一日であり
時間の価値としては他の比も等しく一緒の筈なのだが
妙なテンションが掛かるのは一体なんなのか?
それどころか、年の瀬に、とか新年早々とか言って
通常よりも色々なものの効率を落とすことこの上ない。
その意味では、引き合いに出して申し訳ないが
例えば受験生なんかの方がよっぽど充実した時間を過ごしている。
ただ、最近は僕も丸くなったので、世間の流れには不必要に
逆らわない事にしている。
なんか時間が無駄になるな、とは思うのだが、それはそれであろう。
さて、年の瀬はDH-710Sに明け暮れた感がある。
振り返ると昨年同時期はA-200X辺りを相手に同じような事をやっていたか。
進歩の無い男である。
DH-710Sは再生はオーケーな感じまでたどり着いたが
自己録再がまだ駄目である。
というかやっと録音再生をまともに比較するところまでは来た訳で
それは一応の進歩進展というものだ。
録音再生をすると、わかり易く言うとハイ落ちで
なんだか位相が反転したようにも聴こえる。
極端にバイアスやイコライザを回してみたりと可能な限りはやっているし
他にも実はやっているのだが、この瞬間に解決は無理だ。
粘り強く付き合うしかない。
アンプなどの電気的な調整だとまだ良いのだが
アジマス調整だとかテープパスだとかと言い出すと
よっしーには未知の領域。
あまりやりたくないし、テストテープも測定器も無い。
ただ、このままと言うのは癪に障る。
あるいは物凄く単純な見落とし勘違いという可能性もある。
録音機には無知な私を笑って貰えたらオーディオ日記的には
目的を果たしたことになる。
では、つれづれなるままに。
皆さん良いお年をお迎えくださいませ。