12月2日
昔(中学生の頃)、アンプはスイッチが少ない物ほど優れているのだと
思い込んでいた。
オンキョーのP-303なんか良いなーと思っていた。
デザインとかは今でも良いと思っている。
デザインはさておいてスイッチは少ないほど良い。
これは年老いたアンプを絶えず面倒みている
オーディオ介護職のよっしーが言うのだから間違いない。(ある?)
冗談抜きに接点は少ない方が良い。接点ほど不確かなものはない。
だからスイッチは少ない方が良い。
ただし各種コントロールが揃っている方が良いとも言えるので
この辺は悩むところだ。
だがしかし、中学生の頃不思議だったのは
これだけ色々な物を省略しようとしながら、どのアンプにもバランスコントロールは
ほぼ確実に付いているということだった。
こんな物が必要なのだろうか?と首を傾げていた。
なにゆえのバランスコントロール?
しかしなるほど、アンプもそうだが接続される物達だって
絶対に左右出力差が無いとは言い切れない。
部屋の条件の違いをバランスで補正…は、ちょっと考えたくない。
そこまで左右の条件差がある状態で音を出すのは気持ちの上で引っ掛かりがある。
さてしかし、バランスコントロールが一番必要になるのは
小音量時にどうしてもアンプの出力に偏りが出る場合だろう。
これもアンプによって(個体差あり)顕著なケースと、
そうでもないケースがある。
拙宅ではSY-88やAX-700Vは相当絞っても大丈夫。
だったがAU-D707Xはそうもいかない様子。
G7もぽんせんべいも能率は高めだ。
これを小音量で鳴らそうとするところに既に間違いがあるのだが
大音量こそ正義とはしたくないので意地になる。
もう一つ、AU-D707Xなんかだとミューティングスイッチも使いたくなる。
このミューティングスイッチというのも是非が問われる物だが
アンプのゲインやらスピーカーの能率やらを考えると
使ってみたくなるケースもある。
実際本日のよっしーの部屋がそうである。
アンプのボリューム角はある程度上げて使う方が良いという見方もある。
ところがそれが儘ならない事も多々ある。
するとどこかでゲインを落とせないかと考えてしまう。
セパレートアンプでメインアンプにボリュームが付いている場合は
割と話が簡単。
ボリュームを二度通すというのは嫌がられるものだが
使い勝手という意味ではあった方が遥かに便利。
ところが拙宅で入力ボリュームが付いていて…となるとQUAD405-2位しかない。
するとプリとメインの間に抵抗を入れて減衰器…というのもたまにやるが
結構煩わしい。
だったらプリ、またはプリメインのミューティングを使うのが一番
…だと良いのだが、これが何故か入れると音が死ぬアンプが多い。
この辺こそお金を掛けて欲しい気もするのだが、どうもおまけ的なアンプが多いのが
残念。
その点AU-D707Xは割と優秀。これは良心設計と思う。
では、と小音量観賞用にと安易に小型低能率スピーカーを
考えると、これが案外…
これまでの所小音量再生でもベストなのはぽんせんべいだったりする。
小音量でもなんでも実に音が生き生きとしてぶっ飛んで舞い踊っている。
超巨大、軽量振動板。
ヤマハさん、復刻しない?
もっとも、このような物で良い音だと喜んでいるようだと
マニア指数を疑われることだろう。
12月4日
何となくテーマが欲しいと思った。
で、12月。年末と言えば大掃除。
オーディオも大掃除?
物は試しでやってみたが続くだろうか?
手間は大変掛かる。
オーディオ装置というのも思った以上に汚れるもんだ。
特にアンプなんかは手が触る事が多いから手垢で汚れる。
冗談抜きに白い手袋して触る方が良い。格段に違うと思う。
僕はそこまでやる気にならないからフツーに掃除をする羽目になる。
上のAX-700Vなんかは実に綺麗で楽ちんな方。
これはこのアンプがほとんど触られなかった証左である。
ま、何でも良いが掃除は気を付けて。
やりすぎ厳禁。フロントパネルのシルク印刷なんか剥がしたら
取り返しがつかない。
最低限の液体と、シルコット、綿棒、爪楊枝なんかで手入れする。
こういうことをやっている時、言い様も無い幸せを感じると同時に
自分という人間のスケールの小ささを痛感する。
ま、いいじゃないの。幸せならば。
12月5日
余計な事を言ってしまった感があるが、お掃除は大切という事で少しやってみた。
大きなものから小さな物まで、動かす力はヤンマーディーゼル♪
ということで大きな話から行きたいが、逆に細かいお話し。
接点はいつも綺麗に。なのだが案外儘ならない。
まあ新品ならまだ良いが、よっしーの部屋にあるのは
皆さんお歳を召した物達ばかり。
本来光るべきところもくすみが目立つ。
という事で何かと気を遣う。
写真はDP-1700の出力端子。
春に来た時に一通り磨いたが今回更にリフレッシュ。
さて、この種のプラグで、実際に接触をするのは中央のピン(+)と
外周の、その内側(−)。だから外側がピカピカでも仕方ない。
ところが経験者にはわかるが、この「内側」というのが実に磨きにくい。
専用のツールも出ていて、宝くじでも当たれば買いたいが
ドケチとしては手を出せない。
となると綿棒の芯を更に削って、ラッピングコンパウンドで、
となるのだが、それでも危険はあるし、何かと面倒だ。
なので今回はシャイネックスを使ってみた。
結果は良好。
下手にどこかがピカピカなどということはなく
ほどほどに光ってくれた。
これで良い。高齢者に劇薬は危険。
ということで細かい作業もいっぱいなのだが大局を見極めないといけないのも確か。
さすがに写真は撮っていないが、年末という事でラックもスピーカーもずらして
窓、壁、床を掃除。
抜いただけで背面に転がっていたケーブルなど(汗)回収。
で、そんな事をやりながら音を出して、時にはリスニングポイントに。
掃除に専念しろ?
いや、実はこれが目的というか日頃当たり前にある物達を除去してみたら
音はどうなるか?という興味で始めたのでした。
さて、どうか?
あるいはスピーカーの周りから、物は除去した方が良いのかも?
と思わせるところはあった。
音の伸びやかさに違いを感じる。
これは悩むが結局元の状態に戻した。
理由はいくつかあるが、現状ではこの置き方が最も
心が落ち着くからというのがある。
オーディオは音が命だ。そのためにすべてを捧げよ
というのは間違いではないというか正しいのだろう。
しかし僕のようなひねくれ者は、どうもそうした一生懸命さを
持つ事が出来ない。
凡人は凡人らしく、が、よっしーのモットーなのだ。
12月6日
相変わらず酷い写真だなー。ま、勘弁。
それもそうだけど、こんな風に機材を積み重ねて使うなんて
やっぱりよろしくない。
…のだが、こんな風景に無上の喜びを感じるのも確か。子供だー。
厳密に言うとAU-D707Xの上にAX-700Vがあるだけで音はちょっと変わる。
この位置に物があると乱れるみたいだ。
だから本来はどけないといけない。
取りあえず今夜はこのままで…
もうAX-700Vは良いだろう、と思っていたのだが
AU-D707Xのフォノが不調。
これはポチさんからお譲り頂いた段階でフォノ未整備という
前提だったので、よっしーがやらないといけない箇所だ。
やっぱり707Xはもう一度分解される運命の様子。
それは楽しいのだが疲れているのも事実。
早く寝るべきだな、これは。
12月8日
たまには普段やらない事をしてみようという気持ち。
人間というのは放っておくと知らない内に保守的になるものだから。
12月12日
自慢じゃないがよっしーの部屋は暗い。
いや、気持ちの問題じゃなくて照明に問題がある。
先日いよいよ我慢がならなくなって、よっしーの妻に蛍光灯新品を
買ってきて貰ったのだがもったいなくてまだ交換していない。
さて、カメラというのは面白いもので撮り方ひとつで上の写真の様にもなるが
現実は下の写真が本当っぽい。
しかし寒い。人体には大変良くない(多分)
オーディオ機器にも厳しい。
ただ、アンプには良いのかもしれない。
通電しっぱなし、なんてことをしても一向に熱くならない。
ここで”おや、プリアンプが違うぞ”なんて気が付く人はかなり目が良い。
ヤマハC2X登板である。
アンプというのは使いすぎるのも良くないが全く使わないのも良くない。
年末モードでこれもお掃除。綿棒、シルコット、少しアルコールということで
励んだがそもそもそんなに汚れていなかった。何よりです。
音だが、改めて、やっぱりこれはヤマハビューティーだ。
本当はそんな風にまとめてはいけないのだろうが
破滅的、破壊的な所がとっても少ない。美しい世界が広がる。
一種の定期診断みたいな思いもあって登場してもらったが、極めて健康体。
スイッチのフィーリングなんかも良くて、この辺でSY-88なんかは撃沈する。
12月13日
C2Xだが少し妙に感じるところがあった。
どうやらそれはインプットセレクターの軽い接触不良みたいだ。
カチャカチャやって解決。
もっとも、これは本当の対処ではない。
しかしC2Xは預かり物なのでいつもの様に気楽に?分解する訳にはいかない。
さて、古いCDだ。多分1991年頃の物かと。
杉山清貴さんの、当時のベスト盤。
なんでもバブルの一言で片づけりゃ良いってもんでもないが
これなんかもバブル臭いというか、ちょうどその頃を、嫌でも思い出させるサウンドだ。
「最後のHolly Night」はご丁寧に2バージョン共収録されている。
やっぱり人気曲なのかな。
強力な作詞陣に支えられ杉山さんも大活躍。
Holly…は売野雅勇さんの詞。
”キャンドル消して君は 忘れられない夜になると背中で髪を解いた…”
という一節が、やはり素敵だと思う。
もっとも、最初僕はこの”解く”を”髪を梳く”と勘違いして聴いていて
妙に体の柔らかい女性を想像していたのだから
やっぱり詩人にはなれそうもない。
12月14日
師走というのは忙しい。
…というか、どうも忙しくしていないとならない
みたいなモードになってしまう。
しかしそれも社会人とやらになってから以降のことだ。
学生の頃は特に12月だから気ぜわしいなんて事は無かった。
それで良いのだと思う。
意味も無く忙しくするのはただの馬鹿だ。
で、一年前の日記を覗いてみたらぽんせんべいとDV-AX10で感動していた。
そうか、ぽんせんべいは未だ一年しか相対していないのか、と変な感慨にふけったりする。
この子は物置で15年くらい寝ていたので実にもったいない事をした。
人生損をしたような感がある。
今もって懐疑的なのだが、やっぱり音は良い。
というか、どうも他のスピーカーとは異次元の音がする。
それは奇抜な音がしているだけでは?と思われるかもしれないが
音はある意味オーソドックス。
人の声は人の声らしく聴こえ、弦楽器の美しさは保証出来る。
しかし音が早い。これはやっぱり異質だ。
いや、別に高音や中音が早いスピーカーは幾らでもある。
しかし低域まで含めて全域等速というのは滅多にない。
これはもう巨大で、それでいて軽い振動板のなせる技としか思えない。
そうそう、振動板はコーンなんかと比べると圧倒的に丈夫なのもある。
音像はお化けみたいなんじゃないの?と思われるかもしれないが
とんでもない。
もう一つ面白いのは基本的に音場はスピーカー後方に展開すること。
平面バッフルだしユニットがダイポール的使われ方を想定しているから
と言ってしまえばそれまでだが、実に不思議な感じだ。
アンプは選ばないが、その本質は露骨に描き出す。
嫌なヤツなのかもしれない。
12月17日
12月19日
1985年頃に始まった798アンプ戦争。
今と比較にならない旺盛な消費に支えられて加熱の一途。
翌年翌々年と戦争は継続。
各メーカー意地の張り合いで一歩も引かず。
採算度外視の物量投入で肝心の儲けはどれくらいあった?
終わってみれば死屍累々。後を追ってスピーカーの598戦争も勃発していたので
メーカーは本当に大変だったというかやりがいがあったというか…
さてしかし振り返ってみるとよっしーの部屋的には798アンプって登場したことがあったか??
これが案外無いのである。
それより下。あるいは上の価格帯の物というのはあれこれ登場するのだが798は無い。
敢えて言えばビクターJA-S71が8万4千円だがあれは時代が違う。
798アンプを知らずしてオーディオを語る事なかれ、と神様が思ったかどうか知らないが
(多分思っていない)
突如としてアンプ一台降臨。
いつもの事ではあるが、”よっしー君、君に使って欲しいアンプがあるんだ”と言われて
”はい、そりゃどうも”という事になった。
ブツの引き渡しは夜の駐車場で…というのは半分嘘で半分本当だ。
車を開けるとそこには確かにアンプがあった。
ヤマハ…という事は聞いていたが型番なんかは不詳。
どれどれ…と目を凝らすと(本当に真っ暗な駐車場で車のルームライトだけで見たもんで)
やけに小さい…
げ!、これはミニコンのアンプじゃないか、と思ったが後の祭り。
”ちゃんとしたアンプだよ”と言われていたのだが、まあ考えてみると一般の人の感覚では
単体アンプというのは全部”ちゃんとしたアンプだわなー”と一人ごちたが後の祭り。
身請けはちゃんとしようではないかという事で取りあえず型番確認をすると…
12月20日
取りあえず型番確認をすると…
A-2000X
…?
知る限り2000Xにブラックモデルも無ければコンパクトタイプも無い。
…??
で、よーく見ると2000ではなく200だ。A-200X。
おいおい、そんなアンプあるのかよ??
と思い速攻で検索してみたら、あった。
ヤマハA-200X。
ちゃんと存在するのである。
いやしかしどうみてもミニコンのアンプ部分だけみたいな…
1000M上げるよと言われていそいそと行ったら100Mだったみたいなノリだ、とにかく。
だがしかし来るもの拒まず。付き合ってみようじゃないか。
さて、と改めて調べると、なんとこのアンプ79.800円?
12月21日
なんとこのアンプ79.800円?
…などというのは失礼だろうが一見どう見てもミニコンのアンプなのだ。
まずサイズは本当に当時のミニコンサイズ。幅340mmである。
しかし持ってみると案外重い。そのはずで8.5kgだ。
もちろん20kg族と比べれば軽いという事になるがサイズからすると大変重い。
デザインだがさすがに寸詰まりの感は免れない。
…のだが、そこがヤマハというべきか、全体の質感は悪くない。
見ている内に妙な愛着が沸くコンパクトアンプだ。
同時期の、他社340mm幅アンプと比べてみるとそれが良く分かる。
回路を調べてみるとこの時期ヤマハが得意としたZDRという歪低減方式が採用されている。
これは確か1983年のパワーアンプB-2Xで初採用された方式だ。
更にClass A TURBOというものが採用されている。
TURBO?という事で、なんだろう?と思ったら要するにA級AB級の切り替えが可能ということだ。
1970年代の名器CA-2000などではA級B級の切り替えが可能だったが1980年代では純B級という方が珍しくて
AとABの切り替えとなったわけだ。
しかしTURBOとは凄い名称だ。スイッチを押すと爆音がしそうに思える。
だが、ややっこしいのだがTURBO ONで純A級になるようで、見かけ上のパワーはダウンするのにTURBOとはこれいかに?
このTURBOをONにすると発熱が凄くなるので、いっその事夏、冬、とした方が良かったのでは?
小さいが機能は充実していてフォノはMCにも対応。CDダイレクトスイッチはこの頃の流行り。
VTR入力が二つもあり、更にVD(VIDEO DIDK)なんてのがあるのが時代だ。
後はリッチネススイッチがある。これはエクストラバスなどと同じで、低音に厚みを加えるのに有効。
ま、なんでも良いがそろそろ音の話…
12月22日
音、だが予想はしたものの、このサイズのアンプから出る音とは俄かに信じられないものがある。
下っ腹に力が入ったというか、固太りの小兵的な音がする。
”なめんなよ、負けねーぞ”とアンプが語りかけて来るかの如くだ。
悪いがAX-700Vには明らかに差を付ける。700Vが、何事も深く考えないお嬢さんだとすると200Xは叩き上げみたいな感じで
将来に備えて資格の勉強なんかをちゃんとやって来た実力派ということになる。
これはもう立派の一言。マイリマシタ。
さて、だがしかしではAU-D707X辺りと同じかというと、これは違うのだ。
致し方ない。8万円と13万円は違う。これも今回痛感した。
価格差でアンプは何が違うのか?
例えば回路。何か特殊な事をやると部品も増える。
しかしこれは案外決定的な差にならない気がする。というのも上級機から普及機まで、一旦開発された回路は流用することが可能だからだ。
後はパーツ。良い部品=高い部品と考えると部品のコスト増はすなわちアンプの価格アップに繋がる。
個人的には後者の方が決定的と思える。
では、高ければ高いほど良いのか?
きっとそうなのだろうが、ある所から先は違いが段々微妙になる。
50万のアンプが25万のアンプの倍よいか。100万円のアンプが50万円のアンプの倍よいか?
と言われると難しいものだ。
今回の例の様に5万円(AX-700VはDAC抜きなら5万円のAX-500と同等)、
8万円(A-200X)、13万円(AU-D707X)みたいな比較は割と容易なのだ。
さて、A-200X。このサイズは音質優先だと不利かもしれない。
敷地面積が広い方が余裕が出来るのは住まいだけじゃない。アンプも同じだ。
故に同時代のフルサイズ798アンプと比較したら差が出るのかもしれない。
ヤマハにもA-750などがあったわけで、加えて200Xをリリースする必然性があったのかなかったのか?
一体何台くらい出回ったのだろう。
しかし、このアンプ。なかなか愛くるしい。そしてミニコン用のアンプと見せかけて、なかなかの実力機である所が意表を付いていて好きだ。
12月23日
改めて、アンプの音は何で変わる?何で決まる?
1970年代半ば、アンプは既にある程度完成の領域に近づいていたのではないかと思う。
各社それぞれの工夫というのは在ったが、○○方式みたいな単語は少なかったのもこの時代を象徴する。
KA-7300の左右独立電源。JA-S41の前後独立電源なんてのはあったが、それはオーソドックスな展開だ。
その後DCアンプブーム。回路競争。疑似A級アンプブームと迷走。新電源の採用。軽量化。鉄の追放と色々あった。
再びオーソドックスな手法に回帰したのが1980年代半ばで、798アンプブームもそこに嵌っている。
ただ、10年前に戻ってしまうわけでは無いので各社独自の方式は盛んに開発、アピールはしている。
それでも小賢しい知恵だけではどうにもならないという事か、ベーシックな部分を重視する様にはなった。
その一つが躯体の強化。シャーシでアンプの音は変わる、という事でシャーシから見直し。
その結果か、あるいはオーディオ評論の影響か、798アンプの重量は増加の一途。
人間の方はしきりにダイエットとか言ってる時代にオーディオはドーピング競争だったのはなかなか面白い。
12月24日
ところで30年前のアンプ。それもある時以降放置されていたアンプが最初からまともな音を出す筈がない。
このA-200Xも御多分に洩れずだ。
まず、ガリが酷い。近年なかなか見なかった立派なガリだ。
ボリュームが、スイッチが、ということでそのままでは使い物にならないというかスピーカーが危険だ。
本来は徹底分解なのだが、それは危険も伴うということで最近のマイブーム。
注射器を使っての接点へのアルコール点滴を実施。
これが案外効くものでメインボリュームはもちろんスイッチや他のボリュームも復活。
点滴であって、注入してはいけない。注射器(100均のコスメコーナーで買える)の針先からアルコールが滲んで落ちて
それがスイッチの隙間から入るかな?程度で良い。
リアパネルもなかなかの状態になっていたがピンジャック清掃。
一つやる度に音は甦るというか前進していく。
とどめに?リレークリーニング。
この種の物は交換してしまう方が早いが部品を取り寄せるのが面倒だったりするのでクリーニング。
なお、特に手入れしなくても片チャン聞こえないなんてことは無かった。
以上でライン系は一応オーケー。
ただ、フォノのMM/MC切り替えスイッチだけが駄目だ。
これは継続中。
アイドリング電流調整などは後回し。半固定抵抗が劣化していた場合、回した途端に大変なことになる可能性があるからだ。
余談だがこのアンプの半田付けはとても半田槽に浸けて行った物とは思えない。
半田は所によりこってり盛られているし、しかも腕前がよっしー並?
まさかの手作業?
半田くずみたいなものも結構見受けられて、これで出荷オーケー?と思わず笑ってしまった。
もちろん綿棒と掃除機で全部吸い取っておいたが。
12月27日
何度か書いているが、こういうチマチマした事に大変な喜びを感じるところに
自分という人間の器の小ささを感じざるを得ない。
A-200X。おおむね納得なのだが唯一フォノだけがこのままでは済ませられないと思った。
写真↑はMM/MC切り替えスイッチの中身。接点部分。
どうあってもこのスイッチは分解しないと駄目と判断。ばらしてみたらやっぱり汚かった。
これをピカピカに磨き上げ、最後にタミヤの接点グリスを塗っておく。
(アンプりんさん、いつも拝読しています)
これで大幅に改善。
ただ、問題もあってフロントスイッチでのMM/MCの切り替えがうまく行かなくなっている。
スライダーというのかワイヤーと呼ぶのか知らないが
それとの連携がおかしい。幾らやり直してもダメ。
これだからよっしーのやることはあてにならない。
それでも音は大幅向上というか正常化。
だがしかし、100%納得ではない。
シンプルな構成でパーツ点数もそんなに無いので
リファインしても罰は当たるまいなどとも思う。
しかしこの年の瀬に何をやっているんだか。
やっていて楽しいからついついやってしまうが他にもやることがあるだろうと
自分で自分に突っ込みたくなる。
ただ、修理、というほどの事ではないにしてもこうしてアンプの中を
覗いて、わからないなりに手を入れてみるのはやっぱり重要と思う。
もちろん、そんなことをしなくてもオーディオは楽しめるし
その方が正常という説はある。
バイクでもそうだが乗るのが好きでメンテは全部ショップで、
という人もいれば、とにかく何でもばらしてみないと気が済まないという人もいる。
好きな道を選ぶだけだが、やっぱり自分で分解して組み直してみると
ただ乗っているだけとは違う世界を垣間見ることが出来る。
フォノイコライザーって…
オペアンプって…
抵抗は…
半田は。そして接点は…と
楽しすぎる。
12月30日
一年で一番好きな日が来て、終わる。
一年が過ぎるわけで、良い事も、そうではない事もあったが
無事一年が終わる事に感謝したい。
年の瀬に何をやっているのかと思うが、A-200Xのフォノはどうにも気になって
弄り倒しているところ。
要するに基板上にあるMM/MC切り替えスイッチが芳しくないのだ。
やっぱりアンプにおいて最大の問題は接点とつくづく思い知る。
特にフォノみたいに微弱な信号を扱うところは神経質だ。
ベストはMMとMCは違う入力端子にして切り替えスイッチは使わない。それに限る。
A-200Xもコストの制限の中でめいっぱい真面目にこの部分に取り組んでいて、切り替えは基板上で。
操作はフロントからベルト付きのスイッチで遠隔操作ということで申し分無いのだが最善ではないわけだ。
これはいっそリードリレーやらFETとかを使った切り替えなんかに改造してあげる方が良いのでは?と思い始めた僕。
まあそこまでやるかどうかはわからないが、この切り替えには悩まされる。
そんなわけで道半ばなのだが、あれこれやっている内に
フォノトータルでの音質は向上している。
多少のパーツ交換やら半田のやり直しなんかも効いているのだろう。
だったら新品アンプを買いましょう、という考え方は正しいのだが
その新品というのも、ガンガン使うと二年くらいで劣化がわかるはずだ。
要するにお手入れからは、そう簡単に逃れられないということで
バイクと同じである。
そんなことをやる人もいないだろうが本当は新品の時からあちこち分解して
手を入れた方が、多分良い。
新車であっても、そのままアライメント修正などに出した方が良いし
各部分解してグリスアップをした方が良い。
まあそこまでやる人も滅多にいないが、それが正解だろう。
12月31日
いつも同じことを書くが初日の出よりも大晦日の夕日の方が好き。
陰りゆく部屋で何をしているかというと、引き続きA-200XのフォノMM/MC切り替えスイッチあたりの
レストアだったりする。
どうしても解決しないまま年を越す様だ。
やはりリレー等を使って切り替えるのが正解だと思う。
そこまでやりますか?
やらないかもしれない。ただ、音の方はやっぱり相当良くなったので乗り掛かった舟という心境。
ライン入力の方は元から安定している。CDは安心して聴ける。
とにかく立派なアンプだ。さすが往年の798アンプ。
しかもミニコンポサイズというところがひねくれ者の僕にはうれしい。
さて、2016年も終わるわけだが世相はどうか?オーディオに関しては何が起きているのか?
一つにはPCオーディオ。オーディオ情報もファイルとして扱い自在に操る。一つの流れである。
もちろん高音質も狙える。
CDの700M程度の容量に縛られないのだから、これは有利だ。
もう一つはプアオーディオ。
オーディオをやっている人間の平均年齢は上がる一方。
30〜40年前に20歳前後の人がやっていて、それがそのままスライドして新規参入は極少数だからそうなる。
団塊の世代の大量退職。退職金天国でウハウハオーディオ…かと思うとそうでもない。
若者よ、心配するな。昔を基準にすると皆金は持っていない。君達だけに辛い思いはさせない。
あくまで一つの例えだが、MCカートジッリは憧れの品物になっている。DL-103はハイエンド商品扱いだ。
念のためだが103はやっぱり良いカートリッジだ。馬鹿にしていない。何を隠そう僕も愛用している。
しかし、もう少し前だと、さすがにMCが憧れで103が凄い物扱いではなかったゾ。
結構高額なお品物を皆話題にしていた気がするが勘違いか?
だが、それで良いというかまともとも言える。身の丈オーディオである。
大した金も無い癖にオーディオだけ立派でも仕方ない。
やけに現実的で夢がないかもしれないが”昭和は遠くなりにけり”なのだ。
”贅沢は敵だ”。今こそその言葉をかみしめよう?
では、みなさん良いお年を。