6月1日
*以下はやはり5月半ばまでに書き留めていた物を
アップするものです。
ちょうど40年前にオーディオに手を染めた。
ぴったり40年前だ。
今でもおめでたいが、中学生当時は更におめでたかった。
雑誌オタクのスペック馬鹿。そんな感じだった。
だからアンプを見ると、歪率がコンマコンマ1でも小さいのが一番良いアンプだと思い込んでいた。
カセットデッキを見ると、SN比が1dBでも高い物が優れたデッキだと信じていた。
アナログプレーヤーではワウフラッターが、コンマコンマ%でも低いのが一番良いのだと疑わなかった。
ま、さすがにそんな期間は永くは無かったが、今思うと笑える話だ。
そんな僕の前に、1976年当時、ワウフラッター0.025%の数字を焼きつけたレコードプレーヤーがあった。
それがパイオニアXL-1550だった。
その頃ワウフラッターは0.03%位が最高値だった。そこに0.025%の数字を誇るプレーヤーが出現。
なぜか割とお手頃価格の59.800円。
だがきっと10数万円のよりも良いプレーヤーな気がしていた。
ああ、なんてかわいい中学生。
“ダイレクトドライブ方式の中枢部とも言えるサーボ回路。
新製品XL-1550ではいままでのEサーボ(電圧を利用した制御方式)や
Fサーボ(周波数発電機を利用した制御方式)に代わる第三のサーボ方式
クオーツPLLを採用しました”
と、広告にはある。
水晶発振機を使ったクオーツロック。なんとも中学生心を揺さぶる単語ではないか。
もう僕はすっかりやられてしまったのだ。
32.4センチアルミダイキャストターンテーブル。これを2/3回転で定速に持ち込むハイトルクDCモーター。
ああ、なんて素敵なんだろう、と飽きもせず雑誌をめくる日々。
本当に懐かしい。
さて、その憧れだったプレーヤーが目の前にある。
某オフにジャンクで転がっていたのをkoyamaさんが気を利かして補獲してくださったのだ。
1550はマッハのスピードで我が家に来た。
実は、関西ツアーの時、よっしーはアナログプレーヤーのジャンクを漁っていた。
対象に1550も入っていたのだが、外装のプリントが思いっきり剥がれたりしていて
さすがに買う気になる個体が無かったのだ。
その姿をしっかり横目でにらみチェックしていたkoyamaさん恐るべし!
正に神の所業である。
とにかく40年の歳月を経て1550はよっしーの部屋に来た。
6月2日
まず程度だが、ジャンク扱いだから文句は言えない。
(言う気もない)
まず目につくのは金属部分の錆だ。
これは凄いというか、例えばトーンアームなんかは点錆なんてレベルじゃなくて
地肌まで届きそうな、立派な錆が発生している。
なんとカウンターウエイトは固着して回転しない。
ターンテーブルももちろん錆びている。アルミが粉を吹くという感じ。わかるだろうか。
しかし!
さすがkoyamaさんのお見立てで、ダストカバーはかなり良い感じ。
そして外装の木目プリントだが、ごく一部を除いては崩れていない。
これが肝心であり、錆なら磨けば済むのである。
(もちろんそんな簡単なもんじゃないが、元々よっしーはバイク、車好きなもんでして…)
だから磨くことにする。
まず、アームである。
カウンターウエイトの固着は怖かったが、大胆にCRCを噴霧して取り外し。
幸い尻下がりなどは起きていない(!)
アームパイプは盛大に錆びていたが、メッキ部分の錆なのでがっつり落とせる。
梨地のくすみの方がはるかに難しい。
ここも大胆にペーパー掛けである。1200番のペーパーで磨いてコンパウンド仕上げ。
おお、パイプは光輝くではないか。
続いてターンテーブル。
迷ったがコンパウンドだけでは落ちそうもないので1200番のペーパーにCRCを塗布して
磨いてみる。
そしてコンパウンドで磨く。
結果、ご覧の通り。40年物としては大変綺麗と言える状態になった。
もちろん、達人からするとお笑いレベルだが、何事もほどほどが大切というのがよっしー流。
特にアルミは素人がやって美しくなるほど甘くないのだ。
今後も気長に、折を見て磨けばよろしい。
それに放置すればまた錆びる。
知っている人には説明不要だが、この錆は手の脂というか汚れを付けてそのまま長期間放置して
発生したものだ。
徹底するなら時々はトレシーなどで拭く。もっと良いのは手袋して触れることだ。
しかしこの時代の物は磨けば光る。そこが素晴らしい。
6月3日
ある程度磨いて眺めてみると、実に格好良いのを実感できる。
キュートさではDP-1700だが、格好良いという意味では1550の方がアピールするものがある。
サイズも一回り大きい。
良く考えてミニマムに追い込んだという点でDP-1700はやはり素晴らしいが、
1550は日本市場だけでなく海外でも人気が出るようにデザインしたのかな?と思わせるところがあって
それはそれでとても良い。
両社一歩も譲らす?
面白いものでターンテーブルが少しだけ大きい1550の方が、早めに停止する。
1550に問題があるというよりもDP-1700が優秀なのだ。
操作性は同等、と言いたいが個人的にはDP-1700の方が好ましく思える。
XL-1550では右側にアンチスケーティングであるとかクオーツのON、OFFとか
ピッチコントロールとか、33、45の回転切り替えとかが並ぶ。
一番手前にモーターのON、OFF及びアームのUP、DOWNを兼ねるスイッチがある。
便利と言えば便利なのだが、モーターの回転を止める時は必ずアームがアップの
状態になってしまう仕様だ。
ということはゼロバランス調整などする時、必ずターンテーブルは回っている訳で
精神安定状好ましくない。(電源ケーブルを抜けばターンテーブルは停止するが)
DP-1700みたいに、モーターはモーター。アームはアームとなっている方がありがたい。
また、DP-1700の卵型ターンテーブル(単売DP-1000)はゼロバランス調整などするための
余地が多く作れる設計で大変助かる。
もっとも、この辺りの配慮がイマイチなプレーヤーはたくさんあるわけで
1550だけが取り立ててよろしくないという事ではない。
ただ、何でもそうだが付き合ってみないとわからない事というのもあるのだ。
なお、アンチスケーティングは両機共ダイヤル式の大変扱い易い物で
これは助かる。
考え方は色々だが、ユニバーサルアームと謳うからには各種調整は簡単に出来ないと困る。
というかカートリッジを取り換えて楽しむには不都合となってしまう。
もうひとつ、XL-1550で特筆したいのがダストカバーのゴージャスさ。
肉厚があって大変コストが掛っている。
DP-1700のペナペナな感じとは偉い違い。
ついでにいうと同じパイオニアでもPL-50L2のなんかはかなり薄い。
この辺りはコスト削減でしかたないのだろうが、所有する喜びという点では
どちらが良いか考えなくてもわかる。
6月4日
さて、なかなか音の話に行かなくて申し訳ないが40年前のプレーヤーだから色々事前にやることが多いのだ。
この個体で一番驚いたのがアームのガタ付き。
さてはピボットが…なんて思ったら全体が根元から揺れている。
何の事はない、裏からアームを固定しているナットが緩んでいるのだ。
ひっくり返してカバーを剥いでがっつり増し締めする。これでガタについてはオーケー。
ただ、プレーヤー全体を支えるインシュレーターが、この樹脂のカバーにダイレクトに
付いているのが音にはどうか?という印象。
DP-1700ではか弱いインシュレーターではあるが取り付けはキャビネット四隅の木部に、
となっている。
どちらかというとその取り付け方の方がまだましと思えるが、この辺りは生産性との兼ね合いもあるので
一概に駄目だしは出来ない。
もっとも、裏を返すとそのあたり多少対策すると音質向上も望める訳で
1970年代マニア的な遊びをこの後やっても良いかな?
一応基板を見るとトランジスターの脚が真黒とか、そんなのは無い。
そしてIC化が進んでいるのもわかる。
もうひとつ。この個体では出力ケーブルが交換されていた。
ネグレックスの2505ケーブルが使われている。
径8ミリくらいはあろうか。大変太いケーブルだ。同軸線で静電容量130pF/mでメーター700円くらい。
オーナーはMCを愛好したか?
それは結構だがプラグが酷い状態になってしまっていた。
抜き差しすると受けるジャックが壊れそうだ。
点検していたら簡単にプラグが崩壊。これはいけない。
付いていたプラグも、どこか当時のこだわりの逸品的風情だがやむを得ない、交換だ。
問題は先に書いたようにケーブルが極太なので使えるジャックに限りがあること。
今回は100円で売られている物にちょうど良いのがあったので採用。
自作ケーブルはこの辺り及び半田付けの技量でも音が変わるはずなので難しいが
取り敢えず交換。しかしこのケーブル、長さが1メートル位なので使いづらいかな?
…と、クダクダ書いたところで音のお話し。
6月6日
段々書き溜めた物が減って来たな。
今後どうするか?
…と、クダクダ書いたところで音のお話し。
そうは言っても簡単ではない。
というのもプレーヤーだけでは音は出ない。カートリッジが必要で
それによってもちろん音は変わるのだから。
本来はPC-330/Uが付属だったのだしパイオニア同志ということでPC-110でデビュー。
失礼な言い方かもしれないが、“悪くない”という印象。
続いてテクニカAT-11。これも同様。ただ、“悪くはないが”というところに留まる。
どちらも地味目で、そこが持ち味だがよっしーはあるいはグルメではないわけだ。
スパイスが、すぐ欲しくなる。
ここでMCに行ってAT-F3。
これが良い感じ。F3はあるいはこのプレーヤーにとってもマッチしているかもしれない。(予感)
考えてみると1万円のMCというのは59.800円のこのプレーヤーには大変現実的な訳だ。
ただ、1976年発売のXL-1550をAT-F3が登場するまで使い続けたユーザーがどれだけ居たか?
なにせ当時はオーディオのサイクルがとっても早かったから。
ここで自信をもってAT-150Ea/occ。
このカートリッジ、いわゆる高級機ではないのだがたまらないスパイスを持っているのは確かみたい。
ただ、針圧含めちょっと神経質。
XL-1550はその辺も見事に対応してくれたので、これも立派ということか。
続いてAT-33ML。
もちろん良いのだがこの辺で欲が出る。
というかどうにも樹脂の底板直付けのインシュレーターが気になる。
せっかくなら、ということで四隅にYPB-1を入れて持ち上げてそれで支えてみる。
やっぱりこの方がちょっとだけど良い。
ただ、永い間という観点で見た時、果たして四隅をこの様な形で支えるのが是か非かは
わからない。
というのもキャビネットのたわみ、ゆがみの問題も考えないといけないからだ。
6月13日
…ということで偶然だがDP-1700、そしてXL-1550と1970年代の中級国産ダイレクトドライブプレーヤーが
降臨してくれたおかげで当時の機器の実力を検証させて貰えた感がある。
結論をいうとこれらの機器は実力充分。
凄いもんである。
敢えて言えばコストの壁は当然ある訳だが、しわ寄せは主にキャビネット等に来ていると感じた。
何が何でも積層合板とは思わないが同じモーター。同じアームでも取り付ける相手や取り付け方次第で
結果は変わると思うと手を入れたくなるのも事実。
DP系はメーカーの方でキャビネットを出していてのでそれを使えば取り敢えず良いと思う。
XLの場合は内部のメカも邪魔をするので事はそう簡単ではない。
ただ、少しの補強を入れて、脚の装着方を換えるだけで変わる部分はあるだろう。
ただ、少しの補強を入れて…
なんて可愛いことを書いた。
当時そのようなことをやった若いマニアはたくさんいた。
キャビネットの隙間を粘土で埋めてしまう。ケーブルを取り換える。これは今回の個体で実際に行われていた。
ブチルを使ってダンプする。
挙げていくとキリがないくらいだ。
若いマニアと書いたが、当時はマニアの平均年齢が低かった。
それだけ学生が参加していた。
若いという事は恐ろしいことだ。後から考えると怖気づくようなことも平気でやってしまう。
何が何でも良い音を、の精神である。
そしてアナログの世界はそうした工夫がやり易かったというか突っ込み処が盛りだくさんだった。
例えば重量増。
単純に言ってしまうとアナログプレーヤーのキャビネットは重ければ重いほど良い。
これは疑いの余地が無い。
(ただ、土台との兼ね合いは考えなければいけないが。
土台とはプレーヤーを置くラックであり、床である。)
だから鉛を張るとか隙間を埋めるとかいろいろ出てくる。
極端な人はコンクリートを流し込んでキャビネットを作った。
実際うちの物置にはそんな物が眠っている(作ったのは僕ではない)。
ターンテーブルも慣性質量が大事ということで裏側に鉛を貼り付ける(もちろん外周に)なんてことも行われた。
そんなのはもちろん可愛い方で、イナーシャーだ!となるとトンデモナイ重しを載せたりもした。
レコードを掛けかえる度に筋力トレーニングになりそうだ。
接点こそ害悪、ということが言われればカートリッジからアンプの入力まで直結を図る。
まあこれはもちろん間違ってはいない。
ただ、いささか潔癖症が行き過ぎている感はある。
とにかくアナログプレーヤーなどの正にアナログ部分というのは
金銭というより気合と根性と物量で、貧乏でも凄い音に近づけるんじゃないか?と
夢を抱かせる、それはそれは楽しい部分なのだ。
と、こんなことを書いていると、この男なにかやり始めるんじゃないか?と
期待を持つ?人もいるかもしれないが、残念、それはやるつもりはない。
いや、そう言っておいて何かやる可能性はあるが、今すぐは無いということだ。
それより素を味わっておきたい。それが先決だ。
6月14日
奇しくもDP-1700、XL-1550と'70年代中期のプレーヤーが揃った。
まず、それらはかなり優秀であると、これは断言して良い。
こんな凄いものがホイホイ作られていたということが驚異である。
例えば別冊FMfan14号で石田先生が最新プレーヤーのテストレポートを書かれているが
その数なんと22機種である。
Lo-Dが、ヤマハが、CECが、SONYが、トリオが、ビクターが、パイオニアが、
オーレックスが、テクニクスが、デンオンが、マイクロが、マランツが、サンスイが、
そしてダイヤトーンが、みんなアナログプレーヤーを出していたのだ。
14号は1976年夏号で、すでにデンオンDP-1700は取り上げてもらえず
DPはDP-1600や1800になっていた。
パイオニアXLはXL-1550が1551にチェンジしている。
なんとも凄い開発スピードである。
ちなみにDP-1600は56.000円とDP-1700とあまり変わらない風だが
こちらはカートリッジ付き(DL-8A)だからプレーヤーとしては少しお安くなっている勘定。
パイオニアXLは1550が59.800円でマイナーチェンジ(ブレーキ機構付き)の1551が63.000円だが
どちらもカートリッジ(PC-330/U)付き。
この時代はカートリッジ付きが当たり前の時代からカートリッジレスもありだよね、
の風潮も高まってきた、ちょうど端境期みたいなものか。
実際付属のカートリッジというのは悪くはないが最高かというと難しいものがあるので
付いていて良いのか悪いのか?
バランスが取れていて、しかもすぐ音出しができるというのがカートリッジ付属の良さで、
カートリッジレスの方はお好み次第でどうぞ、あなたを信頼しています、というノリの良さがある。
DP-1700がカートリッジレスで1975年に56.000円。
XL-1550がカートリッジ付きで1976年に59.800円ということで両者はほぼ対等か。
どちらが良かったか?
そろそろそれが気になるところだとお察しする。
だが、これは甲乙つけ難い。
それぞれがちゃんと装着したカートリッジの音がするのである。実に立派。
…というか、だから双方を入れ替えてもどっちがどっちかわからないなんてことが起きる。
聴いているのはカートリッジの音であってプレーヤーの音ではないという事だ。
これを無個性と呼ぶむきもあろうが、そもそもレコードプレーヤーなんてのは
黒子に徹して、固有の音はしてはいけないという説もある。
それでは、例えば単売ターンテーブル+単売アームなんてのと同じ音がするのかというと
そこはそれ、差はつく。
しかし、これだけ聴いていたら十分十二分ということは言える。
アームの感度やターンテーブルのフリクションの低さという点ではDP-1700の方が確実に上回っているのだが、
ターンテーブルシートの感触はXL-1550の方が上。JP-501に似たブチル系のシートだ。
少しだけ直系の大きいターンテーブルを力強く回す感じで、ライト級のターンテーブルをフェザータッチで?
回すDP-1700とは対照的。
アームの取り付け方も、ゴムでダンプしたDPに対して表面と裏面に金属を配してサンドイッチしたXLということで
これも対照的。
結局はトータルバランスということだろう。両機共よくできているのだ。
…という事で書き溜めた物が終わってしまった。
6月16日
…と書いていたら、とある方から画像を頂戴した。
先日の日記に書いたような事を当時実際にやられていたという事で
歴史の生き証人?として登場して頂く。
まず、これ。
レコードプレーヤーをひっくり返した、の図。
おお!見事に重量付加がなされているではないか!
丁重に隙間が埋められているのがおわかりいただけよう。
こちらはパッと見るとわからないが
カートリッジから直接ケーブルが引っ張り出されている!
そしてインシュレーターは硬式テニスボールである。
受けているのが樋関係のパーツであるのもわかる。
以上だが、往時のマニアの凄さを垣間見ることができる。
これを見るといかに当時のマニアが行動力に溢れていたかがよくわかる。
男たるものこうで無ければいけない。
…というか若者というのはこうでないと…
思わず目頭が熱くなったのはよっしーだけではあるまい。
みんな、もう一度頑張ろうじゃないか。
大丈夫。僕が後ろからそっと見守っているから(あれ?)
なお、このプレーヤーはLo-DのPS-44であると推測される。
6月17日
しばらくこれといった事は書きそうもない。
いや、いつも”これ”といった事は書いていないと言われたらその通りだが。
まあ何でもよろしい。唐突にレコードクリーニングの話である。
しばらく聴かないでいたレコードを引っ張り出してみると
これがコンディションが悪くなっていることがあってびっくりする。
あるいは珍しくレコード(中古)を買ってみて針を落としてがっかりなんてこともある。
まあそりゃ別に構わないのだが、こうなるとクリーニングをしないわけにはいかない。
…実はレコードクリーニングというのは嫌いじゃないのだが、嵌ってしまうと本末転倒というか
レコードを掛けているんだか掃除を趣味にしているのか、訳が分からなくなる。
しかしアナログブームを反映してか、レコードクリーニングも立派に一つのジャンルとして確立しつつあるみたいで
凄いといえば凄い。
最近のトレンドというとデンターシステマ。
やたらとこの単語が出てくる。
あるいはステルスマーケティングかと思いたくなるくらいだが、レコードの溝よりサイズが小さい毛先
という事でにわかに脚光を浴びている?
後は水の劇落ち君。アルカリイオン水だったか?
水の劇落ち君は手持ちがあるので良いが、デンターシステマは買ってこないといけない。
ところがこれが一本200円以上する。
実に腹立たしい。人間様だってそんな立派な歯ブラシはめったに使えないのに
何が悲しくてレコードごときに使わなくてはいけないのか?
100均のだって良いだろうと思いつつも100数十円の差で遺恨を残すのもいかがなものかという事で
購入。断腸の思いである。
6月18日
で、まず液体の方だが、水の劇落ち君がそんなに効果的かはやや疑問もある。
あれはタバコのヤニ系には効果があるが油系にはどうか?
この辺はケースバイケースで中性洗剤と使い分けるのが良いと感じた。
仕上げには精製水というのは反対しないが高い。
庶民派としては水道水にこだわり?たい。
レコードクリーニングマシーンも昔と比べると安価な物も出てきているが万単位である。
いっそ最高級品でケリをつけるのも良いが、そんな金があったら機器を買った方が良い気もするので却下。
くだくだ書いたが液体を使うのはまず賛成。
というか使わないとどうにもならない。何を使うかはケースバイケースということ。
今回の興味の焦点はデンターシステマ。
どんなものかお手並み拝見。
…は、良いがなるべく手間を掛けずにクリーニングしたい。
ここで長岡先生のオーディオA級ライセンスを手に取る。
そこでは先生流のクリーニング方法が紹介されている。
それはヘッドシェルに針先クリーニング用のブラシを取り付けてトーンアームに取り付けて使うという方法だ。
詳しくは先生のご本をお読みいただくという事で、今回はシェルにデンターシステマのヘッドを貼り付けてみた。
結論を言うとこれは使える。
何より手間が少なくて良い。
しかしレコードクリーニングに決定打はない様で、これは永遠のテーマかもしれない。
ほどほどのところで良しとしないと大変なことになる。
6月19日
レコードクリーニングで悩ましいのは、よし、行けた!と思っても
カートリッジを交換した途端にまたゴミ拾いが始まってしまうことがあること。
そりゃお前のクリーニングが甘いんじゃ、と言われたらハイその通り。
まあ何事もほどほどに。
話は変わりXL-1550。
当初の目論見どおり手を入れてみることにする。
例えば電気回路は本当の意味で正常に動いているのか?という疑問がある。
念のために言っておくと、現状で特に不都合はない。
ネットで修理事例を見てもデンオンDP系などはたくさん出てくるがXLは出てこない。
これは累計販売台数の違いもあるが、多分トラブル要素が少ないのだ。
しかし40年経過の電気製品が生まれた時の状態にあるとは思えない。
ということで実験開始。
最初に電源基板。
直接音楽信号が通るところではないところから着手。
これはアナログプレーヤーにおいて回転系の影響がどれだけ大きいかを確かめてみたいからだ。
約一か月ぶりにXL-1550をひっくり返して開腹。
パーツは色々買ったが、まずは電源基板の電解コンデンサー5つの交換をもくろむ。
なにかと交換が叫ばれる電解コンデンサーだが、むやみに交換してもどうかという説もあって
よっしーも悩むところだ。
ただ、40年経過した電解コンデンサーであるから交換しても罰は当たるまいと考えるのがふつうだろう。
実はこの電源基板の電解コンデンサーの銘柄によっても音は変わるという話もある。
それも確かめてみたいが、まずはオーディオグレードではなく並品で交換。
何をどうしたって40年物よりは良いだろうと思う。
ちゃちゃっと交換。…の筈だったが一つは形がチューブラタイプだったので今度にすることに。
つまり四つ交換。
これでどうか??
音は激変!
…というのは嘘だが少しシャープさが増し明瞭になる。
その成果だと思うが音場感も向上。
マイナス要因はひとつもない。
そして(書いていなかったが)点滅していたストロボライトがきちんと灯るようになった。
これはやはり何かが悪さをしていたのだろう。
6月20日
こんなことを書いても仕方ないのだが、
そんなことを書けるのも個人のサイトの良いところ。
いや、ま、疲れた。
というかだるい。
こりゃもう完全に歳というか体力低下気力低下であろう。
仕事の大変さ、みたいなことで言うと数年前、その前の方が遥かに
大変だった。
そういう意味とは別に、だるいのである。
貧乏性だから、寸暇を惜しんでオーディオ、なのだが疲れる。
アナログは楽しいのだがクリーニングだ、調整だ、
音の成果の確認だ、とやっていると
どんどん疲れて来る。
仕方ないからCD、と思ったが音を出さないのが一番良い。
たまには風の音を聴きなさいということだろう。
6月21日
美しさに欠ける…
6月22日
夏至、か。
カートリッジから送られる信号は極めて微弱である。
ところがこれがアンプに到達するまで数多くの接点を通過する。
まずシェルリード線。これがカートリッジとシェル内の端子に実に頼りなさげに接触する。
続いてそのシェルのピン端子とアームの端子が、これまた実に儚い感じで接触する。
アーム内の線は、これはアームによって様々だが基本的にはか細い物が使われる。
そしてこれが5pinの端子を介して。あるいはラグ板を介して外部へと導かれる。
これが音に良いわけない、と、言われればその通りでございます。
この問題に最初に目を付けたのはご存知、故江川三郎先生。
1970年代の昔から研究、実証の連続で、本当に頭が下がる思いだ。
紆余曲折はあったが、カートリッジの端子にダイレクトに繋いで、もう片方の端は
アンプにそのまま繋ぐのが最も簡単ということで市販品も出た。
何を隠そう隠さないが、よっしーもそれを持っている。
多分2000年か2001年のオーディオ日記に登場している。
その後寝かすこと15年。たまには、という事で引っ張り出してみた。
まず先に断っておくが、この種の作業を軽く見ない事。
というかシェルリード線の交換も甘くない。
力の加減を間違うとカートリッジの断線(ピン端子付近で)につながる。
また、経年劣化した樹脂ボディーが一発で分解、破断なんてこともある。
基本的に貴重なカートリッジをやたらと弄ることはお勧めしない。
また、作業中に針を飛ばす可能性もある。
…ということで今回はシュアーM44に頑張っていただくことにした。
こう言っては悪いが万一の場合も新品を買いなおすことができる。
また、MM故作業中針を外しておくこともできる。
厳密にいうと使う線材はMMにマッチするとかMCにこそマッチするとか色々あるが
そこは次の問題とする。
線を美しく処理するというのはあきらめる。これはどうしても不細工になる。
そう開き直ってマスキングテープで貼り付ける。
もちろん極力アームの動作を邪魔しないようには心がける。
M44にXL-1550のアームということで今回は良いが、針圧1g以下のカートリッジを
超ハイコンプライアンスアームで…なんていう場合は動作に問題があるかもしれない。
ま、細かい点には目をつぶる。
さて、ぱっぱと作業を終えて、音はどうか??
6月23日
さて、ぱっぱと作業を終えて、音はどうか??
何事にもプラッシーは武田の飲み物…ならぬプラシーボ効果というのがあるから要注意。
なるべく覚めた目で、いや耳で音に向かわねば…
…なのだがこれは第一音が出た瞬間から明らかに音が違った。
病人から布団を剥いだ…
…ではない。ベールを一枚も二枚も剥いだような、という古典的オーディオ表現を思わず使いたくなる。
それくらい音は違う。
音が明瞭、というより音像が明瞭。故に音場感も上昇。
右に左に、上に下に、前に後ろに、が極めて掴みやすくなる。
ついでに装置の甘さ、セッティングのいい加減さ。追い込み不足も明瞭になるみたいで
これはありがたくない。少しは手加減していただきたい。
昔試した時はこんなに違わなかったと思うのだが、オーディオには時間が必要ということだ。
あるいは今回、シェルリード線が、あるいはアームパイプ内の線材が相当経年劣化をしていたのかもしれない。
また、ケーブルとM44の相性が良かったのかもしれない。
なるべくそういう事にしておいて欲しい。
というのも、いかに音が良くても、実に使いにくいからだ。
6月25日
直結は悪くない。
ただ、取りあえずの作業だったからいったん外して
もっと丁寧に、とやっていたら音が出なくなった。
すわ、断線?と蒼くなったが結果をいうと
カートリッジ断線ではなかった。
ではなぜ?と弄っていたら直結ケーブルのカートリッジ接続用チップが
一つ落ちた。
どうもケーブルのチップ側で断線したようだ。
このケーブル、良くできていて、ピンジャック側も勘合がしっかり。
ついでにカートリッジ側も、なのだが、ちょっときつ過ぎるかもしれない。
とにかく直さないといけないが、この際もう少し緩めに、チップ側を調整しよう。
しかたない、と直結を止めたら聞くに堪えない音か?と言えば
そんなことはない。
M44絶好調というか、前よりも音が良い?
これは色々やっている内に調整がツボに嵌っただけとみる。
大雑把に、がポリシーのよっしーだが
特にアナログはちょっとしたことで音が良くなったり
その逆に悪くなったりするのは否定できない。
このあたりが楽しいといえば楽しいだが
ややこしいといえばややこしい。
そして曖昧である。
アナログしかなかった時代は、みんなこんな事をやっていたのかと
思うと改めて凄い物を感じる。
同時に基準線というのがつかみにくかっただろうなと思う。
これじゃあ百鬼夜行にもなろうというものだ。
加えて盤の状態の問題がある。
クリーニングフェチにはなりたくないが
やはりレコード自体が綺麗な状態でないとどうにもならない。
針を下してすぐと、片面の終わり頃で音が違うなんてこともザラなんで
本当に昔はみんな良くやっていたと思う。
逆言うと、CDが出てきた時にアナログにおさらばしてしまった
という人も気持ちも理解できる。
多分、そういう人ほど、アナログ時代に一生懸命やっていたのだと思う。
それで疲れちゃったのではないか?
ま、何事もほどほどに…ということで…
6月27日
いや、本当に気力体力が落ちているというか、要するに自分を甘やかしているんだな、きっと。
例えば休みの日に、あれやってこれやって、という歳でも無いといえば無いのだが
それにしても気力が無さすぎである。
だらしないとはこのことだ。
あまりも酷いと思って、かろうじてレコードクリーニング。
20年くらい前と比べると情報は豊富になって、かえって迷うところもある。
現時点で思うことを一応書いておくと、ポイントは最後の吸引。
吸引とは何かというと、ブラシだとか液体だとかで剥離させることが出来た汚れの回収である。
風呂場で丸洗いがやっぱり良いかと思いやってみるが、そう簡単には浮いた汚れは流れていないようだ。
(盤によるところはある)
となると、なんらからの方法で吸引する必要がある。
魅惑的なのは水も吸引出来る掃除機で吸ってしまうやり方だ。
まあこの辺を自動でやるのが、名のある高級機なので、今更何をかいわんやではあるが。
ウン万円を投じることが出来る人はそれを使った方が良い。
だが、どうも詰まらないと思うへそ曲がりは湿乾両用掃除機を使うことになるだろう。
これが1万円以下で買えるのもあるみたいなので俄然興味は持ったのだが…。
6月30日
XL-1550だが、すでに書いたように出力ケーブルが交換されていた。
ネグレックスの2505というあたりに時代を感じさせるところがあるが
これはこれで優秀なのでは?と思う。
実際XL-1550の音に不満は無い。
無さ過ぎて、これで良いのか?俺ってずいぶん安上がりな人間なんだなーと
変なところで落ち込むくらいだ。
不満が少ない状態で手を入れるものでもないが
どうにもこの太さが心に引っ掛かるのも事実。
それと、左チャンネルだったか?接触不良を感じることがあった。
それもRCA側ではなく(そちらは先日ピンプラグを替えて半田をしたばかりだし)
プレーヤー側で何かが起きている様だ。
どうもよろしくない、という事で思い切ってケーブル交換をすることにした。
極太ケーブルをラグ板に半田付けという事で前オーナーのご苦労がしのばれる図だ。
失礼ながら半田付けの技量は今一つというか、よっしーとどっこいどっこいだ。
アームからのケーブルを傷めないように、この半田を除去するのに神経を使ったが
無事ケーブル交換は終わった。
ただ、それで劇的に良くなったか?
あるいは後退したか?
これは時間を掛けて判定しないといけない。
目下は逆プラーシーボ?でネグレックスの方が良かったんじゃないかと
疑心暗鬼の様相。
全く持ってガキ以下である(汗)