5月1日
日経のロックタイムズはちょっと気になる記事だ。
今回は倉持淳子さんが登場してシンディーローパーを取り上げていた。
シンディーローパーといえば、やっぱり「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」でしょ。
やっぱりそうなる。
このアルバムは出た当時テープで(多分FMステーションのエアチェック)良く聴いていた。
LPは僕が買ったものではなく、かみさんが買った物だろう。結婚の時持ち込まれたのだと思う。
邦題がやはりすごくて「NYダンステリア」である。
でも、割とセンスのある方かもしれない。
今も聴きながらこれを書いているのだが、ある時代を思い出させる、切れの良い音楽だ。
しかし、久しぶりに引っ張り出してみたら、まあ盤の汚いこと(汗)
ただ、面白いもので上っ面こそ汚れていたが、溝のほうはそうでもない。
この辺が見分けられるようにならないと、アナログ洗濯人の称号は剥奪される。
さて、それはそれとして、この右ページではSONYのPCM-D100が取り上げられていて、何かと思えば
アナログレコードを取り込むのにDSD録音をすると良いというお話だった。
この話題ネット記事でももちろん取り上げられているが、なるほどというか、この切り口もないと
なかなか生録用途だけではこの機械のマーケットは広がらないのだな、と思った次第。
個人的にはレコードはレコードで聴けばよいと思うので興味は全く無い。
ただ、オープンテープからの保存などには良いと思う。
シンディーローパーをデジタルで聴きたければ素直にCDやらSACDを聴くほうが良いと思うがいかが?
ということで一年振りくらいにPL-88Fを引っ張り出す。
深い意味は無いのだが、ラックに入れて使うにはジャケットサイズプレーヤーは不向き。
ラックに収めて様になるアナログプレーヤーといえば88しかあるまい。
音だが付属のPC41-MCの音が支配的。
何度も取り上げてきた高出力MCだ。
一種独特の癖というか味を持ったカートリッジで、好みは分かれるかもしれない。
ただ、特にポップス系などでつぼに嵌ると面白い。
5月2日
なんでもそうだがお手入れは必要。
人生の一つの行き方としいて、そのような事が必要な物とは付き合わない。
手入れが必要になった段階で手放す、というのもある。
僕も趣味の物以外はなるべくそうしている。
そうしないと手が回らない。
画像はPL-88Fの内部。
いわゆるミニチュアリレーが出力のところに入っている。
このリレーが出力に直列に入っているのか?回路図を引っ張り出すのが面倒なので
確認していない。
ただ、基板を見る限りは直列な気がする。
以前にもクリーニングした事があるのだが、
今回はより丁寧に接点を磨けたらと思った。
結果を言うとミニチュアリレーの接点磨きは困難至極。
仕方ないからはがきを短冊状にカットしたものにリレークリーナーを染込ませたもので
接点を擦るにとどまった。
代替はあるようなので取り替える方が早い。
SL-7がGT-2000Xとかなり張り合ったのに比べると
今回PL-88Fはちょっと差がついた。
それもあって手を入れたが、そう単純な問題では無かったようだ。
現状ではPL-88FはSL-7にちょっと差をつけられている。
理由はわからない。
88が不利な点はカートリッジの交換が出来ない点とか
非力なモーターとか色々ある。
だが、PL-88Fは、そのような事を言う前に、ラックマウント可能という
コンセプトに意義を感じるべきプレーヤーであり
単純に非難されるようなプレーヤーではない。
5月3日
最近こんな画像ばかり?
詳しくは又!
5月6日
PRA-2000のフォノ基板。
電解コンデンサーの被服が熱で後退しまくりの図。
ここまで酷いと笑ってしまう。
さて、PRA-2000の不具合だが、フォノに限って左チャンネルの音が出ないというもの。
珍しくは無い症例だが、珍しかろうが無かろうが困る。
とりあえずこの基板の電解コンデンサーは全部交換した。
これで直ればしめたものだが、そうは問屋が卸さない。
直らなかったのだ。
怪しの一つがこの日立製リードリレー。
型番がHA-212S。
この時代の色々な機種に使われているが、あちこちで寿命が尽き始めているようだ。
代替があまり無い。
オムロンでも該当しそうな物は廃番。
似たものを見つけて喜んだが24V仕様だったのでがっかり。
これは12V仕様なのだ。
ただ、どケチらしい実験はした。
このリレー、同じものが同一基板上に7つ並んでいるので
それをどんどん位置替えさせた。
TUNERやAUXの音はちゃんと出ているだから、そこらに使われている物をフォノに回せば
とやってみたが駄目。
そーゆー問題じゃないのかもしれないが、こちらとしては残念至極。
さて、電解コンデンサーは犯人ではなかった。
もしリレーでないとすると、抵抗、トランジスター、フィルム等のコンデンサーと言うことになるが
数は馬鹿にならない。
さて、しかし意地でも直すつもりなのだが…
5月7日
雑誌は大好きなのでそれなりの数がある。
ステレオのすべてもそこそこの数があるが、お気に入りとなると限られる。
今回1982年版(発売は1981年暮れ)を手にしたのだがこれは面白い。
どう面白いのかを細かく書いていると一ヶ月くらい軽くいくのが大幅に割愛するが
まず長岡先生の組み合わせ紹介。
この号は(というかステレオのすべてではそれが多いのだが)
評論家各氏による組み合わせ特集。
予算が多いのと少な目のと二つづつ作る。
そしてリスナーとして音楽評論家諸氏をお招きしているのがミソ。
こちら長岡先生の組み合わせで予算が100万円くらいのもの。
ぱっと見ただけで、その時代が思い浮かぶことだろう。
スピーカーはエクスクルーシブの3401W。42万円だ。
想像の通りで選んだ理由は重く丈夫で高能率。
要は自作バックロードの代わりになりそうな物が宛がわれ
後は当時の長岡リファレンスそのものの組み合わせ。
カートリッジはMC-1。トーンアームにEPA-100。
アームケーブルがSAEC CX-5006A。
ターンテーブルはLo-D TU-1000。
そしてプリはPRA-2000でメインはHMA-9500MK2。
ああ、なんとも懐かしいのだが、こうしてみると9500が真っ先にMK2化していたのがわかる。
9500は1977年発売。9500MK2は1979年(ほぼ1980)。
PRA-2000はまだ2000Zになっていない。
MC-L10も出ていない。
EPA-100MK2もまだ。
長岡先生のリファレンスがD-7MK2だった頃で
オーディオブームの最中。長岡先生も人気絶頂という感じ。
先生のファンはこぞって上記のラインナップを揃えたか揃えたがっていたであろう時代。
ウルトラスーパー懐かしい。
(続く)
5月8日
エクスクルーシブ3401Wを選んだ理由は前述の通り。
長岡イズムは、まず高能率スピーカーを選ぶところから始まる?
これに続いてアンプの説明が来る。
まずパワーアンプ。
この頃は片チャン500W級のパワーアンプも台頭して来た頃だが
敢て120W×2のHMA-9500MK2を選んでいるのは
エネルギー感はパワーよりも重量、強度、電源であるという説による。
HMA-9500MK2は重量29s。
これでは不十分なのだが構造上鉛板を載せるのに適した形であるということで
30sの重量付加をされている。
(要するに自宅での使いこなしと同じ)
思わず笑ってしまうが、アンプ選びの理由が鉛板を載せても大丈夫かどうかという
風にも捉えられるのは傑作だ。
続いてプリアンプ。これはPRA-2000なのだが、これも電源が強力でパワー感があること。
音像がソリッドに引き締まっており音場が三次元的に広大なこと。
MC(30Ωクラス)が良く鳴ってくれること。が選出理由なのだが
次いでキャビネットが木製で鉛板が載せやすいことが挙げられているので再び笑う。
なるほど鉄板のキャビネットが一般的だが、強度を取るのは難しく
ウエイトを載せるとたわむこと必至である。
PRA-2000とHMA-9500MK2を繋ぐケーブルの重要性にも触れているが
この時代の先生のケーブルはキャプタイヤを使った物だったはずだ。
後年はFケーブル使用となる。
プレーヤーシステムはTU-1000で、これは完成品のプレーヤーの中では
比較的長岡先生のお眼鏡に適った方で、母屋でもしばらく使われていたのを
記憶する人も多いだろう。
アームレスだからアームを載せるが、当然?EPA-100。
この時すでに発売から6年経とうかというアームで
"後継機は出ないのではないか”と語っているのが印象的。
テクニクスはこの後すぐEPA-100MK2を出すが、価格も100の倍以上の13万円。
そもそもそれくらいの値付けが正しいのだろう。
MK1の6万円がそもそもバーゲンみたいなものだった。
カートリッジはダイレクトカップル一号機のMC-1。
L10が出る直前のタイミング。
EPA-100が選ばれるのも、MC-1を活かすためとも言える。
…ということでこのお話も続くのだが一応速報。
よっしーのPRA-2000だが先ほどフォノも両チャンネル鳴るようになった。
基板を追いかけていたら抵抗が一本オープンになっているのを発見。
これを交換して解決。
余談だがステレオでシンメトリーに近い構造の基板は追いかけ易い。
右と左を交互にチェックしていけば良いからだ。
今も百年振りに?PRA-2000のフォノの音を聴きながらこれを書いている。
まずはめでたしなのだが、乗りかかった船だから整備は続ける。
この後は電源基板のパーツ交換とお手入れだ。
詳しくはまた報告したい。
5月9日
何から書くべきか?
まずPRA-2000。
このプリアンプ、当時かなりの数が売れたようだ。
もちろん長岡先生がリファレンスとして使ったからだろうが
それを抜きにしても立派なプリアンプの一つと言えるだろう。
ただし、当時の製品の中でも群を抜くとか、そういうことではない。
そもそもプリアンプというのは好みの世界で、
誰がなんと言っても気に入らなければどうにもならない。
ある意味パワーアンプなどよりも遥かに融通が利かない。それがプリだ。
だから誰かが持ち上げた物を盲信してしまうと酷い目にも遭いかねない。
と、前置きした上で言うが、PRA-2000は、それでも当時の優秀なプリのひとつと言うのは
否定されるものではない。
良く言われる事だが、フォノ部分の充実は注目に値するものがあり、
中を見ても気合の入り方が違う。
気合が入った故かどうかは知らないが、フォノ基板に掛かる電圧は74V。
フラットアンプには40V位しか掛からないのに偉い違いだ。
ただ、そのためにパーツの痛みはちょっと進みやすい傾向がある。
今回のPRA-2000もそうだが、(良く知られるように)これが2000Zや2000ZRだと
更に熱の影響が出るようで、フォノ基板は部分的に焼けている物が多い。
2014年の現在でも、パーツ交換などすれば立ち直るので大丈夫だが
長く使うなら本当に冷却には気を使った方が良い。
(よっしーも今後はファンで冷やすなど対策をするつもりだ)
2000より2000ZやZRの方を愛する人も多いだろうが
2000には2000の良さがあるということで両方(ZとZRは傾向が似ている)持つ人もいる。
よっしー個人は2000の方が設計に無理が無いので使いやすい気がしている。
…ということで今後更に手を入れて(元のコンディションに戻すという意味)みたいと思う。
あるいは音傾向をちょっと変えられたらもっと楽しいかも?と考える。
正直よっしーとしてはPRA-2000に固執せず、他のプリアンプ。
過去に聞かせて頂いた中でいうとアキュのC-240とかオンキョーのP-309などに
換えてしまう方が早い気もするのだが、その前に2000を充分堪能しようかという目論見だ。
5月10日
話は変わるがアンプのレストアというのは楽しいものだ。
もちろん、上手く行けば…の話だが。
世の中には修理上手な人が居て、ブログを見ていると、一日一台の勢いで
レストアをしている。
ほとんど神の域だ。
よっしーはそんな域にはほど遠いのだが元来修理好きなのは確か。
そうでなければ35年も前の原付なんか乗っていない。
さて、まず自分でアンプを弄ることの是非について考えたい。
基本的にはノーということになる。メーカーが造ったアンプの修理は原則メーカーにやってもらうのが
良いと思う。
だが、ご存知の通り、20年も30年も前の製品の修理なんか、どこのメーカーも引き受けない。
意地悪でそうしているのではない。世に出てからウン十年の電化製品なんか、いつ何が起きたっておかしくない。
仮にある箇所の修理をしたからといって、全てが新品の状態に戻るわけではない。
延命した分他の箇所の故障発生率が高まるという悪循環になる。
物には限度。寿命というものがあるので、一定のサイクルを終えた物を後生大事に使うのは
本人のためにも世の中のためにも良いことじゃないのだ。
そして修理というのは儲からない。
メーカーの場合は特にそうだ。
サービス部門なんか置かないで済むならそうしたい。多分それがメーカーの本音だ。
と、なれば自分でやるしかないのだ。あるいは引き受けてくれる誰かに依頼するしかない。
ネットのなせる技というべきか。画像入りでプロや達人のお手並みを垣間見ることが容易になった。
するとなんとなく自分にも出来るのではないか?と考えるのが素人の浅はかさだ。
よっしーも浅はかな素人の一人である。
しかし、見よう見まねでスパナを握ったり半田ごてを握ったりするのは悪いことじゃないと思う。
さて、弄り。
ここではメンテナンスの意味としておきたい。
改造。チューンナップはまた少し意味合いが違う。
まあ要するに整えましょう、ということだ。
バイクだったらタイヤの空気圧をみる。チェーンの張りをみる。プラグの様子を見る。
それと同じ事をアンプにすることは良いことだ。というか必要なことだと思う。
リレーを磨いたり、交換したりすることは必要だと思う。あるいはインレットの電源ケーブルを差し替えたりするより大事なことだと思う。
スイッチを取り外して分解して接点をクリーニングするのも必要だろう。アンプに鉛を載せる前にこれをやった方が良い。
明らかに熱にやられている電解コンデンサーを交換しておくのは悪いことじゃない。
すっかり放熱グリスが乾ききっていたら塗りなおす必要はあるだろう。
半田もクラックが入っていたらどーにもならない。やり直してみよう。
以上のようなことは馬鹿に出来ないことばかりだ。
何が何でもアンプの天板を開けてはいけないというのは偏屈というものだ。
もちろん、以上のようなことはお金を払ってプロに委ねている、というのなら話は別だが。
で、ここから一歩進むとチューンナップにもなっていく。
例えば電解コンデンサーの銘柄に拘ってみたり、だ。
お金と腕と探究心がある人は大いにやられると良い。
よっしーはどケチなので今回も最低価格のコンデンサーに拘った。それがスタートだと思っている。
オリジナル部品に拘るというのもあるが、どう考えてもお疲れのパーツを"オリジナル”と奉っても仕方ない気がする。
半田の銘柄などにも拘って、ああでもない、こーでもないとやるのは楽しいんじゃないかな。
熱にやられそうなトランジスターにヒートシンクを増設してあげるのも良いかもしれない。
ま、色々楽しそうだからやってみたい。ただ、そう思っている。
5月11日
PRA-2000。音は出るようになったが、気になることばかりだ。
フォノ基板の次は電源基板。
このセクション、まず埃が酷い。恥を忍んで公開する。
まず基板を抜き出すのが一苦労。
あっちこっち外さないと駄目なのか?と一瞬暗くなるが
結論を言うと写真中央に見えるタイラップ一つばらせば基板は抜き出せる。
(幾つかのコネクターはもちろん外す)
チューブラ型のコンデンサーの被服が思いっきり剥けているのがわかるだろうか?
それでもトータルで言うとフォノ基板の方が電解コンデンサーの疲労が顕著だった。
これはPRA-2000に共通する傾向みたいだ。
コネクターは引っ張れば抜けるので良いのだが
抜けない結線もある。
間違いの元なので作業性を犠牲にしてそのまま作業。
つまり基板がPRA-2000に付いた状態であれこれやるということ。
タオルが本体を覆っているが、これは万一何かが別の基板の上に
飛んでいくのを防止するため。
現時点で半数くらいの電解コンデンサーの交換が終了。
あと、トランジスターの放熱グリスのやり直しとかも残っている。
半固定抵抗は交換するかどうか迷っている。
ま、やったほうが良いのは明らかだが。
ここで話は変わるがHMAの会会員名簿を久しぶりに更新している。
HMA-4500をゲットされた方が登場。皆さんでご確認いただきたい。
そしてもう一つ。
GT-2000のIFC(インサイドフォースキャンセラー)のパーツをお探しの方がいる。
あの針金を曲げたようなパーツのことだ。
もし余っている人が居たらよっしーまでメールをお願いいたします。
↑これのことです。
ところでPRA-2000を弄っている時はボリュームボックス+HMA-9500で音を聴いているのだが
とっても良い感じ。
頑張れPRA-2000。抜き返すんだ!
5月12日
電源基板に載っているトランジスター。
放熱用シリコンを塗りなおしたりする。
ここ最近の日記を見て、よっしーが理系と勘違いする人がいるといけないから
一応補足しておくが、そんなことは断じて無い。
上の電解コンデンサーを見て、あれ?三本足?
なんて驚いているレベルである。
半固定抵抗は交換するかどうか迷うが、やっぱりやっておこう。
迷うのは理解が甘いから、妙な物を選んで来てアンプを壊したら嫌だからだ。
5月13日
終わった…なにもかも…
…という訳では無いのだが電源基板の電解コンデンサー10本の交換は終わった。
なかなかパーツを一気に揃えられなかったりして、それが大変なのだが
お店の人とのやり取りは楽しいものがある。
だからネットでは買っていない。
(店行くの大変だけど)
次に半田付け。
昔を思えば随分進歩したが基本的に不器用。
まあそれをわかっているから、部品を外すのも一つ一つだし、
半田もするたびに虫眼鏡で確認するので、ブリッジとかしないのは幸い。
(この時代の、余裕のある基板だからよっしーでも何とかなるだけどね)
とにかく間違いがあって、修理のはずが破損させてしまうと後が大変。
だから慎重の上にも慎重に…。
確認はした上で、でも基板を元に戻して、最初に電源を入れる時は緊張する。
ボンっとか言ったり火を噴いたりしたらどうしようかと思うわけだ。
無事電源が入り、リレーの接続音が聞こえて、何事も無く起動した時はホッとする。
それにしてもこの基板は狭い所に収められているし
配線は引きずったままだしと苦労させてくれる。
ただ、なるほど、ちょっとしたコツがあるもんだと、今はすっかり学習している。
次にいよいよ装置に繋ぐのだが、これもまた緊張する。
いつでもメインアンプの電源コードを引っこ抜ける体制でスタート。
今はすっかり安心して(甘い?)CDの音に耳を傾けている。
苦労して電解コンデンサーを交換して、音はどうか??
何しろ無事音が出ているだけで感動してしまっているからどーにもならない。
でも、実は本当のことを言うと、音は凄く改善されている。
詳しくはまた。
5月14日
ほんの何枚かのディスクを聴いただけで結論を下すのは早計というものだが
今回のPRA-2000のお手入れは大成功。
アナログはヘッドアンプ基板に手を入れていない事もあって
特にMC入力は不安だったが、いかにもPRA-2000らしく、こちらもピチパチと
元気いっぱいに鳴ってくれる。
めでたしめでたし。
と言うことで、皆さん電解コンデンサーはどんどん交換しよう!
…というのは冗談だから真に受けすぎ無いように。
ただ、今回の場合は顕著に効果が現れている。
これは元の状態が悪すぎたからだろう。
だから効果が歴然としている。
タイヤの空気が抜けていたのを適正な空気圧に戻して喜んでいるようなものと思ってほしい。
さて、しかし'70Sのアンプ達に現代のパーツを用いてお手入れをしてあげるのは
これはなかなか楽しい趣味だ。これは確か。
一言でいうと半導体パーツは進化している。
まして30年も経てばその差は歴然だろう。
もちろんトランジスターなどは銘石が消えてしまったりと
一概に進歩したとはいえない部分もあるのは承知している。
それでも1970年代の、完成された回路に
新しいパーツを、数値などは守った上で宛がって上げるのは
なかなか良いことだと思う。
今回よっしーが用いたのは特に音響用でもなんでもない
一般用コンデンサー達だが
それでも充分いけている。
まあこれには数値を守ろうとすると、どうしても汎用品になるという事情もあるのだが。
規定は遵守した上で近代のパーツに差し替えて上げるのは
良い事尽くめな気がする。
オリジナルの音と変わってしまうと危ぶむむきもあろうが、
そもそも30年前の新品の音なんて誰も覚えてないのだから大丈夫だ?
そんなことよりも、まず正常動作をさせてあげることだ。
5月15日
秋葉原まで足を運ぶ余裕は時間的に無い。
いける場所で、と探すと、あるもんだ。これが。
しかしこのお店なんか、ぱっと見て探し当てるのは困難至極。
それでも店にはマニアが集っている。
こんな風景。ウン十年前の秋葉原では日常だったんだろうけど…
それにしても我ながらむきになり過ぎ?
思い込んだら電解コンデンサー交換馬鹿一直線である。
だが、まあ良いことにしよう。
ちょうど一年前に38センチ平面バッフルを作成するにあたり
"大人って嫌だなー、やりたいことを先延ばしにして”
と書いた。
あの平面バッフルもそうだったし、今回のアンプお手入れもそうだ。
昔から一度はやってみたいと憧れていた。
やっとそれをやっているのだ。
まあ僕のやりたい事なんてのは、実にささやかなのが多くて
これぞ人間のスケールの小ささを現している。
でも、幸せの形というのは人それぞれで
一概にまとめてしまうことは出来ない。
僕は今、店頭でドキドキしながら電解コンデンサーを買っている。
店主の人は無愛想な場合もあるし、
なんだか場違いな奴が紛れ込んでしまった感ありありだ。
だが、慣れていない分、お店に入れば大人の駄菓子屋さんモードだし、
お支払いはいつもドキドキする。
だって値札が下がっていない物も多いから
お会計するまでわからないんだもん。
時には、"え?そんなにするの?”って事になるし、
ある時は"え?数間違えていない?”って言うくらい安かったりする。
この辺も面白い。
なお、繰り返しになるが今回は音響用コンデンサーの類は使っていない。
使うと良いのだろうが、それは一通りに交換が一般品で終わってから
また見直せばよいと思うのだ。
5月17日
ネット上ではたくさん見られるので、もはや珍しくも無い
PRA-2000のヘッドアンプ及びバッファーアンプの基板。
写真ではわかりにくいが埃というか塵が基板裏にうっすら積もっていた。
所有者ならすぐわかるが、この基板はアンプ下から見たときに素子が見える。
つまり基板の裏が天を向いているのでこうなる。
それでもフォノイコライザー基板や電源基板に比べれば綺麗なものだし
電解コンデンサーもパッと見て皮膜に異常が出ているのは二つだけ。
これはすぐそばにトランジスターが二つあるのでこうなる。
さてや、パーツは揃えたものの、こうなると交換意欲が鈍る。
これまでの二つの基板のように見るからに劣化している場合は、問答無用なのだが
そうでもないとしたら、わざわざパーツを換えるのはいかがなものか?
だがしかし、とにかくこの30年の間に素子が進歩していることを考えると
やはり交換してみる価値はあると考えた。
用いたのはそれこそ本当に一般普及品。
さすがにこれで良いのか?と思いながらもせっせと交換。
勢いづいてきたというか、今回はかなりのスピードで作業出来た。
ただ、一本一本抜いて差して、半田して、虫眼鏡で確認して…という流れは変わらないわけで
達人レベルからみると、ほとんど亀のようなスピードだ。
20数個の電解コンデンサーを交換。
電源を入れる時は本当に緊張する。
この写真は無事電源が入りリレーが作動したのを確認した上で通電中の図。
天板が坂立ちして置いてあるのは万一のための用心。
さて、音だ。
交換直後、ほんの一枚二枚のLPを聴いて感想を言うのは危険極まりない事を承知の上でいうと、
これは完全に蘇生した音だ。
交換前の音をちゃんと聴いておいたので良くわかる。
元の音は、音が立たずに寝ていた。木の下で寝そべる、仏陀様のような感じだった。
今の音はそれとは全く違う。
いきり立って飛び跳ねている。
詳しくはまた、だし、現状だとちょっと粒立ち過剰みたいなところもある。
これはもちろん新しい電解コンデンサーに通電が始まったばかりだからだろう。
実に楽しみになってきた。
5月18日
自分で手を入れたアンプとなると、どうしても贔屓目に見てしまう。
しかし、そういう感情を抜きにしても、今回PRA-2000の音質は向上している。
電解コンデンサーには通電が必要なので、これから一週間、十日で
音は変わっていくはずだが良くはなっても悪くはならないと思う。
なんと言うかターンテーブルの慣性質量が上がったような音の出方で
針先にまとわり付くゴミも物ともせず、みたいな鳴り方なのだ。
こうなると又悪い虫が騒いで、"もっともっと良くなるんじゃないか?”モードに入るのだが
取りあえずはいったん停止。
一応これからやるのは、フラットアンプの電解コンデンサー交換。
二つある電磁リレーの交換。
ボリュームやスイッチの接点クリーニングなどで
まあゆっくりやってみたいと思う。
5月19日
そろそろこのネタから離れたいが一言だけ。
音が良くなったのは良いが、一体いつからこのPRA-2000は本来の調子を失っていたのか?
そう考えると怖いものがある。
オーディオ博物館とかほざいているよっしーだが
機材全てを完全な状態に保つのは容易ではないことが身にしみた。
5月20日
このネタから離れるつもりだったがもう少しだけ。
ここまで順調なのは神のご加護があったからに違いないので
調子に乗ってあちこち分解するのはやめておく。
が、入出力のところの点検はする。
出来れば基板を外して…と思ったが前述のような理由でやめておいた。
ただ、端子は磨く。
お疲れもあるだろうから端子自体を取り替えるのもありだが
よく知られる様に基板に直付けなのでそれは難しい。
そこで基本に返ってクリーニング。
綿棒で乾拭き→アルコール付けて綿棒で磨く。
の繰り返し。
金メッキ端子なので磨き粉系は使わない。
リアパネルを捲ってやらないと届かないところがあるので
その意味で写真の様な図は有意義。
問題はプラス側で、ここは綿棒の芯を使って同じ事を繰り返す。
いわゆる面接触を狙ったタイプの端子ではないので
クリーニングはしやすい。
ただ、気を配ってやらないと肝心の接点を磨けないから注意。
汚れていない方がおかしいのだが、まあ汚れている。
日頃ケーブルを抜き差ししている、なんていう位では駄目なのだ。
それが良くわかる。
もちろん、アライグマになる必要は無いのだが、10年20年30年と使った機材では
今日やったくらいの事はやって当たり前と反省。
ついでに前回やり残した、MCヘッドアンプ基板のピン磨きもやる。
これは綿棒+極少量のコンパウンドで敢行。
こういうところが汚れているのは、なにより精神衛生上よろしくない。
以上をやって、また恐る恐る電源を入れて無事を確認。
音を出してみると変化はあるか?
実はこれまで、左右でちょっと出力差を感じていたのは無くなった。
全体に静けさも増す。
ただ、音全体としてみてみると、初期にあったエキセントリックさは後退。
おとなしくなった。
どちらかというと、これは電解コンデンサーの通電が進んだからで
本来の音になったとも言える。
ただ、無いものねだりリストとしては、そのうち又派手系な音にしてみたいと思う。
電解コンデンサーが全てではないが、部分的に銘柄を換えて音が変わるなら
それはそれで楽しいことだ。
5月21日
悪い癖が出て、"もっともっと”となるが
冷静になって考えてみると、今鳴っているのはロジャースだ。
14年前、PRA-2000を使っていた時の音は、それは惨憺たるものだった。
そこでSA3が登場することになったのだが、今のPRA-2000の鳴りだったら申し分無いといえる。
もちろん偏にプリの問題だけではないのだが、随分な変化である。
さて、このあたりで"ステレオのすべて1982”の話に戻ろうではないか。
そこでの長岡先生の組み合わせでもPRA-2000は登場していたのだった。
というか、MC-1、EPA-100、PRA-2000、HMA-9500MK2、そしてD-7MK2というのは
'70年代後半から'80年代前半の、いわゆる長岡リファレンスであり、
オーディオも隆盛を誇っていたし、長岡先生の人気も本当に絶頂だった。
プリアンプに関していうと、長岡先生のリファレンスは
C-3→SY-77→SY-88という流れで、この後SY-99も一時期ラックに収まる。
その後釜がPRA-2000なのだが、この時の長岡先生の言葉が良い。
週刊FM誌だったと思うが、"プリはSY-99だが、そろそろPRA-2000あたりに取り替えようと思っている。
50万のプリを使っていたのでは一般ユーザーとの間に断絶が生まれてしまう”
おおー、かっちょえー、と高校生だったよっしーは思ったものだった。
その後もエスプリの9000番やアキュの280にも惹かれながら、なかなか導入しなかった。
理由は上記の通りである。
PRA-2000は長岡先生の影響もあって大変売れたと思うが
最高のプリではない。
価格で計ってはいけないが、やはり20万円のプリは50万円80万円のプリとは違う。
だが、敢て20万円のプリを使い続けたところが大事なのだ。
ステレオのすべて1982の組み合わせでも当然?プリは2000なのだが…
"金さえかければという考え方は大嫌いであるし、金を掛けたからといって音が良くなると
決まったものでもない”
"値段も安いというところです。だいたいあまり高いものには反感をもっていますから使いたくない。
これで充分です”
ということなのだ。
長岡イズムに反感を持つ人もいっぱい居るだろうし、それで当たり前なのだが
要約すると、"オーディオにばかり金掛けるな”ということになる。
趣味の世界に常識めいたものを持ち込んでも…というのも正しい考えだ。
だが、よっしーは中学生の頃から長岡先生の言葉が本当にしっくり来ていた。
なぜだろう?と考えるのだが、ひとつにはよっしーの父と長岡先生がほぼ同年齢だった
ということがありそうだ。
戦争も経験し、どこか醒めた目で世の中を見ていた世代。
その後高度成長も経験したが、人生の本質というのはそういう所に無い、
と看破していたといったら誉めすぎか。
"足るを知りなさい”と言うことで、実にシンプルな考えだ。
そしてもう一つ。
"筆者自身自宅では三組のシステムを使い分けている。
それでもまだ足りないというのが実情だ。
たったひと組のシステムで何もかもというのは到底ムリな話である”
と言うことで、例えばステレオのすべて1982で組まれた装置及び出てくる音も
"その内の一つ”にしか過ぎないということ。
プラン2の方ではDL-301、KP-700、SU-V7、S-180Aという組み合わせだが
こちらも狙いはパワフルダイナミック。
あくまでも狙いを持って、ということ。
この時同席はオーディオ評論家からは貝山先生。
そして音楽評論家は黒田恭一氏。浅里公三氏。
"私は長岡さんの再生音に対する姿勢は非常にいいことだと思います。
普通、音楽評論家の方と、私たちがご一緒すると、少し我々のほうが恰好つけちゃうんですよ。
例えば少しまやかしでやるっていうとことがあるんですよ”(貝山先生)
"いわゆる音楽性ってやつでですか?”(編集子)
”ええ、私は音楽性という言葉は大嫌いでして、
そんな言葉を使うくらいなら、こんな商売やらない方がいいと思っているくらいなんです。
オーディオってものは、自分の狙っている音が、自分の中で自由に出来る楽しみだと
私は思っているんです。
それをどう聴くかはその人個人の問題で、いきのよさというか、ストレートに出してくるところが、
長岡さんの偉いところだと思うんです。
私にはそんな勇気とてもない。
すこし気取って、気恥ずかしくなって押さえちゃうんですね。
そういう点は今日非常に感心しました”(貝山先生)
"読者訪問に行きますと、自分がどういう音を求めるか、それがほとんどの場合わかっていないですね。
世の中にどんな音があるか判んないですよ。
比較して聴いたことがないから。
ですから、自分が求めている音がわかってきたらもう相当なキャリアを積んでいるってことです”(長岡先生)
"長岡さんの場合には、装置をその線で選んだというより、どの装置を持ってきても結局彼はあの線で音を出すんだろうと思いますね。
彼の音を私ははじめて聴いたんですが、あの強烈さを聴いて、
彼がオーディオの世界でスーパースターである理由が判りました。
なるほどこれなら人気が出るわ、と思いました”(黒田先生)
"長岡さんはかなり怪人二十面相的なところがあって、今日はその中の一面を
特に強烈に出されたということじゃないかと思いますけど”(黒田先生)
…という様な文を読んで。さて、皆さんご自分の目指す音っておわかりですか??
多分みんな、なんとなくはある。よっしーも同じですが。
5月21日
非常に疑い深い人間だから、今出ている音に懐疑的になる。
気まぐれでPRA-2000をフォノイコ扱いしてREC OUTから自作ボリュームボックスに繋ぎ
そこからHMA-9500へ。
これで凄い差がついてしまったらイヤだな、と思いつつ聴いてみる。
と、これはかなり鮮明、鮮烈な音だ。
ピンケーブルがひと組増えるマイナス要因なんぞなんのその。
だが、ちょっと付き合いきれない感じがした。
そこでボリュームボックスは除去してPRA-2000→HMA-9500へとノーマル接続。
うん、この方が良い。
やっぱりプリアンプっていうのは独特のまとめ上手感がある。
妙に納得した一瞬だった。
5月22日
PRA-2000なのだが今日なんかは良いのだが、少し前みたいに
室温があがる日は、かなり熱くなる。
一旦は木製の天板というかキャビネットを載せたのだが
とってもホットな感じにビビッて又外してしまった。
12V駆動のファンを早く買って来たほうが良い。
(天板に載せる)
さて、アナログ続きだったので昨日から気軽にCDを鳴らしている。
ところが極小音量にすると左右で音量差が気になる。
しかしこれは製品の異常ではないと感じる。
PHONOやTUNERなら入力レベルが低いから問題は起きないのだ。
CDの2Vの出力が、この時代のアンプには高すぎるのだ。
PRA-2000の発売はCD登場以前の1979年。
この後DAD入力とかが色々なアンプに付く(標記が変わっただけ?)し
そのうちCDダイレクトなんて入力も生まれる。
大変結構なことだが、実用を考えたらDAD入力のみ感度を下げる工夫の方が欲しかった。
まあ今更そんなこと言っても始まらないけど…
5月23日
何事にもライバルは必要と言うことでHX-10000に登場いただく。
はじめはHXをPRA-2000のTAPE IN に繋いで使用。
悪いわけが無いがもっといけると悪魔が囁く。
そこでHX-10000→自作ボリュームボックス→HMA-9500という接続
(ちょっと前までやっていた接続)に換えてみる。
うーん…これは現状でのリファレンスという感じ。
PRA-2000のREC OUT→自作ボリュームボックス→HMA-9500とした時は
ちょっと耳に付く音が感じられたが、HX-10000→自作ボリュームボックス→HMA-9500だと
ウルトラスムーズ。
相性と言うこともあるが、本格的なフォノイコライザーの音を一旦プリアンプに引き込むことの是非を
問いたくなった一瞬だった。
さて、PRA-2000はこの音を凌げるか?
凌ぐ凌がないは別にして、違う世界を見せてくれたら嬉しい。
出来るだけの事をやってみたい。
5月24日
先に基本的なメンテナンスを全部やるので以下は妄想の領域だが
PRA-2000も電源を改良したらどうなるか?
パーツの選別というのもあるし、他にも少々ある。
もっとも、理想を実現するとなると今のスペースには収まらないから
別筐体にすることになる。
ま、冒頭に書いたように妄想企画だけど
電気って楽しいな、と今の歳になって思っている。
もちろん、感電や破壊、事故には十二分に注意しなくてはいけない。
(妄想を呟いている、とお思いください)
5月25日
PRA-2000弄りは小休止。
今度はHX-10000→パッシブコントローラー→HMA-9500でアナログを聴いている。
わずかな差なのだが、ボリュームボックスを少し上回る音がすることに気づく。
ただし、ほんのちょっとの差で、気にしなければそれまで。
しかし、この組み合わせの音を、さて、PRA-2000は最終的に上回ることが出来るのか?
興味津々である。
で、本当はPRA-2000を弄り続けたいのだが、冷静になれ、と自分に言い聞かせている。
フォノ基板、電源基板、MCヘッドアンプ基板は比較的簡単に外せるのだが
フラットアンプ基板他はフロントパネル初め外装も外さないといけない。
これは割りと厄介な作業なので集中力が必要。
それと、せっかく外したら、それらの基板は一気に換える部品は換えてしまわないとならない。
準備も必要ということです。
それでも悔しいので一つだけ。
ボリュームのノブを外して清掃。
元の状態は見事に汚い。
マジックリンと歯ブラシで綺麗にしておいた。
さて…
5月26日
どこが小休止?という感じ。
フラットアンプ基板の手入れに取り掛かる。
例によって外したくない配線もあるのでアンプの上にタオルを敷いて作業。
この基板にはDC洩れ調整をする半固定抵抗(100Ω)が二つ載っている。
どうしようか迷ったが交換した。
写真で真ん中が元から付いている物。右が今回交換する物だが足の間隔が狭い。
そこでちょっと開いてみたのが左の物。
結果をいうと上手く収まった。
ボリュームも外してはみたが分解はせず。
2000Z以降は分解可能なのだが2000のはお尻がプッシュナットで止められているタイプ。
これを切断して、最後に新しいプッシュナットを嵌めればよいのだが次回の楽しみとする。
電解コンデンサー7個も交換。
組み立ててDC洩れの調整。
一応書くと、取り外した半固定抵抗の抵抗値を計って
新品の方をその値に揃えてから装着している。
だからそもそも大きく狂ってはいなかった。
とどめにホンのちょっと半固定抵抗を弄ったら無事0Vになった。
一安心。
音だが電解コンデンサー交換直後で、これを書いている時点で30分も経過していないので
書くのも憚られる。
ただ、後退する要因は何も無い。
ちょっとメリハリが付きすぎる気もするが、これは電解コンデンサーのエージングが終われば
消えてしまうのは立証済み。
5月27日
さて、本当にそろそろアンプ弄りはやめないといけない。
何がいけないって日記の方もついつい筆が進んでしまう。
こればっかりやっている訳にはいかんのだ。
ちょっとまとめじみた事を書いておこう。
まず、アンプレストアという遊び。
よっしーの場合はレストアに程遠いという説もあるが
世の中には達人、超人も居るのでその方達の活躍を見るだけで楽しい。
そして自分でやってもやっぱり楽しい。
アンプの寿命というのはどれくらいかと考えると、これはアンプの素性と使われ方によると思う。
今回素材になっているPRA-2000なんか発熱が凄いので、劣化は急速に進むタイプと見る。
まず、高熱を持つアンプは初期性能を失うのが早いとみる。
あらゆる素子に対して厳しい動作環境となるからだ。
お手元にそういうアンプがあって、これまでフルメンテナンスを一度も受けていないとしたら
本来の性能は出ていないと考えた方が良い。
次にレストアとは具体的になんだ?と問われたら
調整、クリーニング、パーツ交換と答えることになる。
調整といっても近代のメーカー製アンプにそんなに調整箇所があるわけじゃないが
電圧であるとかDC洩れの調整などはついて回る。
まずこれがちゃんとしてるか?体温検査みたいなつもりで見ることになる。
ただ、肝心の半固定抵抗が劣化で使い物にならなくなっている可能性もあるから
場合によってはそれの交換が先になる。
続いてクリーニング。
これは大切というより必須だ。
入出力端子から始まって、基板のコネクターピン。コネクター。
ボリューム初め各スイッチ。
リレーなどの接点。(リレーは交換してしまった方が早い)
それらが綺麗な状態にあること。
ただ、まあクリーニング馬鹿になってもどうかとは思う。
下手に分解すると壊したり、元に戻せなくなる可能性もあるから
己の腕との相談も必要だ。
一番いただけないのが、接点復活剤を噴霧すること。
これは応急手当と考えるべきで、本当はボリュームもスイッチも分解して清掃しないと
意味は無いのだ。
これだけは押さえておいたほうが良い。
パーツ交換については必要に応じて、となる。
なにかと劣化するパーツの代表扱いされる電解コンデンサーだが
前述の発熱との関係もあるから一概な事はいえない。
トランジスターの劣化の方が酷いということもあるのだから
一律な考え方はやめておきたい。
ただ、精神衛生上、電解コンデンサーは交換出来たらしておいた方が良いのも事実。
また、通常品であっても20年30年前の物より性能が上がっているのはまず間違いないので
やって損をすることは無い。
その他のパーツはランクや許容誤差などのスペックに注意。
逆に言うと、規定の中で昔より良いパーツを使って上げると
音にも効く可能性無きにしも非ず(効かない可能性も充分ある)
…ということでやるもやらぬもアナタ次第、となるが勇気、やる気、根気があれば誰にでも出来る作業だ。
もうひとつ。以上の発展形としてチューンナップというのが出てくる。
先にも書いたように、ちょっと良いパーツを使う、というのもその一種。
うまくツボに嵌ると楽しいことになりそうだ。
例えばPRA-2000SUPERなんても造りうる。
更に、となると回路変更、基板起こしと何でもありだが
そこまでやるなら作ったら?と思うのも確か。
恐らく、一番有効なのが電源強化。
といっても、単に電解コンデンサーの容量を大きい物にするくらいではダメで、
別筐体にして組み直す位の気合は必要だ。
…と、ここまで書いてきて夢の無いことを一つ言うと
弄り倒して20万円の機器が30万50万の機器を上回るかというと
それはやっぱり厳しいものがある、ということだ。
よっしーも今、プレーヤーとメインアンプやスピーカーは固定して
PRA-2000 VS HX-10000+パッシブボリュームというのをやっているのだが
前者はどうしても後者を越えられないのが事実。
それをわかった上で、でもやっぱり肉薄でも出来たら嬉しいと思ってやるのも趣味だ。
色々あってそれぞれ楽しい。
楽しすぎて困る。
そろそろ更新もほどほどにしなくてはと、強く思う今日この頃である。
5月28日
PRA-2000だが、一晩で大分まともになった。
正直言うと昨日の段階では音はささくれ立って、どうしよう?という感じだった。
当たり前なのだが多数の電解コンデンサーを交換した直後なんて
まともな音にならないのだ。
ただ今どんどん良くなっている途中。
これが夢や錯覚でないことを祈る、ということでもう一晩置いたが大丈夫だった。
繊細さも力強さも向上。
というか、これが本来の音なのだろう。
素敵なプリの一つだ。
5月29日
ところでPRA-2000といえばエポキシ固めである。
こう書いてすぐわからない人は1980年代のオーディオに詳しくない人だろう。
長岡先生がPRA-2000の基板にエポキシを流し込んだのが1981年春先のことである。
このあたりは電波科学誌のオーディオジャーナルにリアルタイムで書かれているからよくわかる。
5枚の基板にエポキシ100gを流し込むという暴挙に出た。
さすがの長岡先生もやるまで12週間悩んだというが無理もない。
はっきり言ってアンプが壊れる可能性大。
この時先生が心配されたのはパーツ間の静電容量の増加。あるいは発振。
結果的にはそれらの問題は発生せず、音は劇的な変化を遂げた。
"どう変わったか。立ち上がりが猛烈によくなった。fレンジDレンジ共上下に拡がった。
透明度が格段に上がった。力強さが倍増した。
余韻がぐっとのびた。音像が引き締まって輪郭鮮明、三次元的にソリッドな音像が
飛び出してくる。
音場も広くなった。
音像、音場のリアルさは写真にとれるくらい生々しい”
と書かれている(電波科学誌より)。
これを読んで速攻で同じ事をやった人が居たとしたら凄いが居たかな?
まあ多分居たのだろうが極少数だろう。
これら音の変化はなぜ起きたのか?
ひとえに強度アップというか、基板上のパーツの防振。重量増。それらによって引き起こされたと考えられる。
基板上のパーツは振動していて、それは音に影響しているということだ。
だが、こんな無茶振りを喰らってアンプも素直に言うことを聞いているか?
そうはいかない、ということでこの一台目のPRA-2000は後にダウンする。
エポキシの収縮と重量で基板にストレスが掛かったのが原因。
2台目のPRA-2000では、基板全体にエポキシを流し込んだりせず、
"まず各基板のふらつきをゴムとエポキシで固定して抑え
次にふらつきの多い電解コンデンサーをエポキシでつないで安定させるようにした”
とある(別冊FMfan誌33号)。
アンプ補強。あるいは基板補強の効果を知らしめた一例といえるが
気軽に真似できるものではない。
例えば電解コンデンサーだが、頭を塞いでしまえば、いざという時爆発の恐れがある。
安全弁を塞ぐに等しいからだ。
修理となると実に厄介になる。というか不可能にすらなる。
(続く?)
5月30日
という事でアンプの改造はもちろんお勧めできるものではない。
ただ、素子のふらつきを押さえたらどうなるか?という長岡先生の好奇心には乾杯したい。
PRA-2000。そういう目で見てみるといくつか気になるところはあるが
第一幕はここで終わりとする。
っていうか、そろそろ蓋をしたくなった。
放熱の点では大気開放がベストだが、中に物を落とせば一発ショートであの世行きである。
このようなピンの汚れ↓
ざっくり磨いてこんな感じにする↓
各種スイッチの接点磨きを残したが、これは後の楽しみにする。
正式にはスイッチを基板から外した上で分解しないと駄目だ。
MCヘッドアンプの記念写真。
徹底して安物コンデンサーに拘った↓
手間のΛコンデンサー。一つは膨らんでいる。
写真のセンスの無さはお許しを↓
PL-88FSの上にプリアンプ、という時点で既に間違っているとも言えるが
よっしーはあまり置き方等に拘りたくないクチなのだ。
何か挟むのも、何か乗っけるのも煩わしいと感じるタイプなのである。
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