3月1日
3月2日
楠DAC
3月3日
楠DACって何だ?
特にデジタル音痴のよっしーが解説するのは間違っていると言えるが一応語る。
このDACの源流は1997年頃発表されている。
特色はノンオーバーサンプリングであるということ。
ノンオーバーサンプリングということはオーバーサンプリングしないということ。
CDプレーヤーのDACというのは大抵オーバーサンプリングをしている。
なぜオーバーサンプリングをするのか?なんて話しは検索掛けて調べて頂きたい。
よっしーが付け刃で説明しても恥をさらすだけだ。
オーバーサンプリングする、しない、はデジタルフィルターの仕様に関わってくる。
この辺りも是非検索してお調べ頂きたい。
今回自分なりに調べてみて面白かったのは、世の中にはオーバーサンプリングを
積極的にしていないDAC搭載のCDプレーヤー(大抵古い物)を、その音ゆえに愛好している人が少なくないということ。
自分の耳、嗜好で選んだらそうなった、ということで立派な物だと思う。
スペックや価格で決めたくなるのが人情だと思うのだが、本来そうやって耳で選ぶものだろう。
しかし、ノンオーバーサンプリングだのデジタルフィルターレスなどというのは大メーカーは出しづらい。
万一ツイーターの損傷でも起きたら責任問題になる。
故にここまで割り切った物は自作するか、あるいはガレージメーカーに頼るしかないということになるのだ。
今回の一品はAさんの自作。
手間暇掛けた愛器を貸し出し頂いたわけで痛み入る。
このDACだがケースは樹脂。そして電源だが充電池。つまりバッテリードライブだ。
是非バッテリーで聴くべし!ということである。
さらにトランスポーズまで一緒にお送り頂いているのだが、これがなんとCDウオークマン改である。
一見何の変哲もないポータブルCDなのだが、なぜかデジタルアウトが付いている。
これまたバッテリー(電池)でドライブすべし、ということだ。
いやいや、これは何だか期待を持たざるを得ない。
果たしてどんな音が飛び出すのか??
3月7日
予断を持つのは良くないので、さっさと音を聴いてしまう。
「…」
一聴してわかるのは、その音離れの良さ。
スピーカーに音がまとわりつかない。
パッ。スコーン。と音が飛んで来る感じがある。
気のせいかと思ったが、最後までこの印象は変わらない。
ただ威勢が良いだけでなく、繊細さも持ち合わせている。
ニュアンスの変化にも敏感。
…と、ここまで書いて気付いたのだが、こーゆー事をするのって久し振りじゃない?(笑)
最近はこんな風にシビアーに音に向かう事が無かった気がする。
Aさんとのお付き合いは永い。
よっしー手持ちのHMA-9500MK1二台の内一台はコンデンサーやリレーなどを
交換してあるのだが、その時の段取りを付けて下さったのがAさんなのだ。
もう10年は経つか。
ただ、掲示板にご登場などは無かったから、皆さんはご存知でない。
10年あると人の生活も変化する(変わらないのはよっしーばかり?)。
Aさんは少しご余裕が生まれ(羨ましい)、オーディオの方もちょっぴり再加熱。
そこで今回の運びとなった。
人と人の繋がり。何ともありがたく、そしてよっしーなどにはモッタイナイお話しである。
3月8日
さて、楠DAC+CDウオークマントランスポーズ。
これで色々なソフトを聴いた。
…と言ってもよっしーはCDとか全然買っていないから、出て来る物は古い物ばかり。
自分でも呆れてしまった。
しかしそれで音がわからないかというとそんな事はない。
よっしー流は取り敢えず何でも聴いてしまうこと。
いわゆるポピュラーから、オーディオマニア御用達まで何でもありだ。
音の良いソフトで聴かないと装置は真価を発揮しないというのは本当の話だろうが
あまりに特定の物でばかり判断をするのもどうかな?と思う。
(別に誰だってそう思うだろうけど)
だがしかし、その装置をより良く活かすソフトというのもあるし、
なるほどこれだとわかり易いというソフトもある。
諸々聴くが、どうも今回拝借の装置の場合、出来るだけ生々しい収録を心がけた物の方が
活きてくる気がした。
いわゆるフツーのソフトも良い感じで鳴るのだが、本領発揮はオーディオマニア御用達系ソフト?
最も印象的だったのが、高橋美智子「超絶のパーカッション」(懐かしい!もう20年くらい経たないか?)
コントラバスマリンバで有名なCDだが、実際には諸々の打楽器から尺八まで登場する
超絶ソフトだ。
今回はこれなんか凄かった。
3月9日
CDウオークマン+楠DAC。
聴いている内に自分のCDプレーヤーではどう聞こえるんだっけ?
と疑問が沸いてきた。
そこで途中から同じソフトをCD-401、そしてNEC CD-10でも聴いてみるという
事を始めた。
さて、どう聞こえる?
なるほど、メーカー製のプレーヤーというのは上手いまとめ方をするものだと
妙なところで感心した。
バランスがよいといえば良い。
ただ、ちょっと疑問も起きる。
例えばパッと聴くと低音なんか充実しているのだが
AさんのCDウオークマン+DACを聴いた後だと分解能不足で
ただ量感だけで騙されているような気分になる。
そして全域に渡って分解能不足で繊細さに欠ける音にも思えてくる。
これはいけない。特にCD-10が気にくわない。
そこで…
3月11日
話しは真っ直ぐに進まない。
さすがよっしーの部屋である。
あの日から二年が過ぎた。
今なお大変な生活をされている方も数多くいらっしゃる。
そんな日にバイクの画像なんかアップしているんじゃない
と言われそうだが、僕個人の中では
3.11の地震と、このバイクは繋がっている(あくまでも個人的に)。
地震の日、ということではない。その少し後、という時に
ガソリンがいきなり手に入らなくなってしまった事を記憶されていると思う。
拙宅の四輪車も折り悪くタンクは空っぽ。
給油する気にもなれず、つまり動かさずにいた。
電車もかなり危ういものだった時がある。
停電して電車が停まる、なんて言われて泡喰った日もある。
そんなあの頃、唯一の足として逞しく?活躍したのが
この原付バイクだった。
小回りが利く事この上ないし、何より燃費が良い。
ガソリン一gで40qは走ってくれる。
上手くすれば60`くらいは行ける。
省エネというのなら、もっと原付に乗れば良い。
一年前、ジャカルタの皆さんは元気だった。
もの凄い渋滞の中、しゃにむに前へと割り込んで来る原付(125ccクラスが一番多い)
には絶対二名以上が乗っていた。
食いつくようなバイタリティーを見たとき、
今の日本では勝てないな、と感じた。
まあそれは良い。当時このCB50は完調にはほど遠く
出掛けるのも怖々だったが、それでも役に立ってくれた。
どうしたって災害はいつか来る。
(来ないでくれる事を願うが)
備えの一つにミニマムコミューターもあって良い。
(もちろん自転車もその一つだが)
3月13日
さて、自分のCDプレーヤーのお話。
素材となったのがNEC CD-10。
このプレーヤーについては過去に何回か触れているのだが
一応注釈。
NECホームエレクトロニクス最後のCDプレーヤー。
1989年から1990年に掛けて生産された。
当時99.800円。
大変お金と手間の掛かった力作で、長岡先生が永らくリファレンスとして
使われた事もあって、一時長岡教徒のほとんどが持っていたとさえ
言われる。
僕が入手したのは1994年。
オーディオを再開したのが1993年で、その頃既に入手困難になっていたのだが
ある時ステレオ誌の広告にCD-10が載っていたのだった。
それで慌ててお店(秋葉原のお店だった)に電話したのだが
出たお兄さんは“CD-10ですか…??”
みたいな感じで、“そんなもん広告に出したか?”という心の声が
モロに聞こえてくるような応対だったのを覚えている。
しかし実際CD-10はあった訳で、箱入り新品を三割引くらいの価格で手にした。
よく考えてみると自分でお金を払って新品のCDプレーヤーを買ったのって
これが最初で最後だったみたいだ…
で、CD-10にまつわるお話しは他にも色々あるのだが
このプレーヤーが図抜けて素晴らしい音を出すと思った事は
正直これまで無かった。
だいたい世評でもグンと音が張り出し、直接音の迫力は凄い。
低域の押し出しも凄いが、高域方面はやや荒れる感じがあって
繊細感は今ひとつ、みたいなもんだ。
まあだいたい当たっているんじゃないの?っていうのが
よっしーの判定。
近年は登場回数も少なかった。何しろ24年も前のCDプレーヤーだ。
多くを語っても仕方あるまい、みたいな感じ。
…と、例によって前置きが長い。悪い癖だ。
で、今回CDウオークマントランスポーズ+楠DACをお借りして
それと聞き比べてみると、正にその通りというか
迫力や一種のまとまりでは勝るものの、繊細感や分解能で圧倒的に負け、
みたいな感じだった。
これは、まあこんなもんだろー…と思いはしたものの
どうも納得がいかない。
そもそもよっしーはCDプレーヤーに真剣に取り組んだ事がない。
それも如何なものか?
では何かやってみよう、ということで思い立ったのが
脚の交換。
CD-10はプリメインアンプA-10シリーズの血を引くだけの事はあって
実に立派な脚を持っている。
しかもこれがリバーシブルで面接触と点接触が選べるという親切設計。
更に四点支持と三点支持のチョイスまで出来る。
…それは良いのだが、よっしーはどうしてもこの脚が気になる。
見るからに立派な脚だが、本当に音にプラスになっているのか?
もちろん床やラックが変われば判定は変わるのだが
どうも疑念を持ちたくなる脚なのだ。
それで最初はこの脚の下にテクニカのAD用インシュレーターを入れてみる。
すると…
3月14日
すると…
まあ一概に悪いとは言えないだろうが、どうもパッとしない音だ。
CD-10の脚は付けたまま、その下にADプレーヤー用のインシュレーターを入れたのが
まずかったか?
で、早々にそのインシュレーターは撤去。
次に黒檀のブロック(一辺1.5a程度の物)を四つ。
プレーヤーの下部、四隅に元の脚を避ける形で置く。
これによって純正の脚はラックに届かず、黒檀ブロック四つで
プレーヤーは浮いたような形になる。
なかなか見てくれも良い。
これでどうよ!?
…
おおおー、久々に感動。
随分音が違うじゃないか。
一言で言うと見通しが良い。
分解能が上がった感じだ。
ついでに、と天板の上に、今は出番が無いGTラックの棚板二枚(合計6`程度)
をTAOCの鋳鉄インシュレーターを介して載せる。
これで低音の押し出しが俄然向上…とはいかないみたいだが
(そんなに上手い話しは転がっていない)
繊細さは益々向上。
うーん、この古のプレーヤー、やはり潜在能力はそれなりの物があるんだな…
しかし、2013年の今、CDプレーヤーの脚部を弄ったり
天板に重りを載せて喜んでいるヤツもおるまい。
ネタが20年、30年遅い?
まあデジタルプレーヤーの脚部交換とか電源ケーブル交換というのは
やりつくされている感もある。
だが、念のため言っておくと、ネットを散策するも
案外やっているユーザーは多くない。
なんでだろう?
で、ネタが古いついでに1983年発行の
「FMfan臨時増刊 '84カートリッジとレコードとプレイヤーの本」
という雑誌(今風に言うとムック)を取り上げる。
サブタイトルにCD2年とある。
ようやく第二世代のCDプレーヤー達が出そろった頃の雑誌だ。
アナログからの移行期ということもあり
アナログプレーヤーやカートリッジの話題も豊富なのがおかしい。
で、その中に黒田恭一先生が”CDの本当の実力を垣間見た”という文を寄せている。
ここで取り上げられているのが第一世代のプレーヤーの中でも
音が良いと定評のあったNEC CD-803。
”おそらく、今のぼくがしなければならないのは、CDプレーヤーに関しての
最新情報とやらに動揺する前に、現在使用中のCDプレーヤーを十全に
使い切ることであろう。
はじめの内はCDプレーヤーはどんな使い方をしてもいいという、あちこちから
きこえてきた言葉を信じて、ひどく無頓着につかっていたが、
そんなつかい方をしていたのではCDプレーヤーのよさが引き出せないとわかった
(中略)
今はNECのCD-803というCDプレーヤーを使っている。
はじをさらすようであるが、そのCD-803をいかなるセッティングでつかっているかを
なにかのご参考になればと思い書いておこう。
(中略)
ちょっとくらい押した程度ではびくともしない頑丈な台の上に
ブックシェルフスピーカー用のインシュレーターであるラスクを置き、
その上にダイヤトーンのアクースティックキューブをおき、
その上にCDプレーヤーをのせている。
(中略)
CDプレーヤーの上の放熱のさまたげにならないような場所に
ラスクのさらに小型のような物を建てに置き
更にその上に鉛の板を載せている。
(中略)
今、ラスクでサンドイッチしたようなかっこうでCD-803をつかっていて
そこできける音には十分満足しているし、デジタルであるがゆえの
不満はなにひとつない。
コンパクトディスクはどうもデジタル臭くてなどという人に限って
CDプレーヤーをプリアンプの上とかカセットデッキの上に置いていたりする。
こっちが愛情と誠意をもって接しなくては、
相手だってほどほどの力を示してとどまる。
道具でも人間でもそのことでは同じである。”
…黒田先生すみません。
私は30年も経ってからその事が骨身に染みました。
3月21日
楠DACのお話しが延び延びになっている理由が一つ。
それは”バッテリー上がり”だった。
バッテリードライブだからこうなるとお手上げ。
どうしたものかAさんに相談して、手持ちの充電器で充電してみる事にした。
この充電器も買ってから何十年?
ざっと27〜8年は経つか?
丈夫で長持ち。
6Vの設定があるのが美点。
12Vの設定しかなかったら今回も使えなかった。
それでも怖々の充電だったが無事出来た。
これにて楠DAC復帰。
めでたしめでたし。
さあ、行こうか!
3月24日
さあ、行こうか!は良かったのだが再び三度バッテリーダウン。
要するに充電器と充電池がミスマッチなのだ。
これはいけない。Aさんと相談中です。
楠DACの続報まで少しお時間を頂くことにする。
それで…というわけでは無いのだがGT-2000X。
あれ?ターンテーブルの色が違う?とすぐ思った人は
観察力のある人だ。
そんな訳で(どんな訳?)GT-2000Xが二台並んだ。
(続く)
3月25日
GT-2000Xが二台。しかも両方WE-407GT付き。
どんな金持ちかと思われそうだが、これ二台ともお預かり品だ。
(新規のGT-2000Xの持ち主の方はC-2XとTA-NR1の持ち主の方と同じ。
オーディオ博物館プロジェクトにご賛同頂いている方だ)
よっしーの生活レベルはその下のラックを見ればすぐわかる。(情けない)
左の2000Xには更にYGT-1(砲金ターンテーブル)にY31さん謹製の砲金ターンテーブルシートが載り
更に足元もY31-PB1が使われている。
右の2000Xは標準のターンテーブルであり脚も純正の物。
これでどんな風に音が違うか、物は試しで比較してみる事にした。
カートリッジはZYXをSAS針で再生した物。シェルはSAECのセラミック。
ヘッドアンプはヤマハHX-10000。二台のプレーヤーを試聴するには最適。
プリはSA3でメインがTA-NR1。スピーカーはDS-301。
先に右の砲金固めでない方から拝聴開始。
…なのだが、早々に比較なんて嫌になった。
なんとも美音である。
美しい…
ヤマハビューティーここにあり?
いかにも正確な再生という感じで文句が付けられない。
あんまり自宅の音にはしゃぐべきではないのだろうが、美しさという点に絞れば
これはやっぱり凄いの一言。
歪感ゼロ、…というより装置の方で歪みをデリートしてくれている様な感じがする。
慣性質量たっぷりのターンテーブル。確かな作りのトーンアーム。
それらが余すところ無くカートリッジの性能を引き出してくれている。
(続く)
3月26日
ということで比較試聴なんてやぁ〜めたー、と言いたいのだが、企画としてはこれだけで終わったら詰まらない。
そこで同じレコードとカートリッジが右に左にと二台のGT-2000Xの間を行き来する事になった。
両者の違いは砲金ターンテーブルかどうかという点及び脚の違いだ。
それとターンテーブルシートが違う。
厳密にはフォノケーブルが違うが、そこまで言っているとキリがない。
なるほど、聞き比べてみると大変な違いが…
というのは嘘で、凄まじい違いというのは今回感じられない。
では全く同じかというとそうではない。
彫りの深さやエコーの分離といったような要素で、若干だが砲金ターンテーブルの威力を感じる。
陰影に富むとでも言うのだろうか。
しかし、一方のアルミターンテーブルの方にも見るべきところがある。
とにかく音に危うさが無く、安心して、一貫して美しいのである。
この辺り素材の無難さというのはある気がする。
3月27日
自室で出ている音にあまりはしゃぐもので無いが、
たまには良いでしょ。
それに考えてみると装置のほとんどは借り物だ?
カートリッジをDL-103初代にしてみたりして、LPを片っ端から掛けている。
おしなべて美音。
(また寒くなってしまったのでカートリッジには厳しいのでちょっと減点)
一番驚いているのはDS-301ではないか?
43年前のスピーカー。長生きはするもんだ。
DL-103も驚いているのかもしれない。
いや、もう休みたいと両者語っているのかもしれない。
40年働けば、人間だって定年退職だもの。
3月28日
二台のGT-2000Xの間をDL-103が行ったり来たり。
こーゆー時HX-10000はと〜っても便利。
至福の時であろう。
ディスクはなんでもオーケーだが、こんなの掛けると美しさに酔いしれるのもひとしお。
ただ、知らない内に汚れてしまっているディスクが多い。
ひたすら水洗い→ティッシュで水を拭き取り→乾いてしまわない内に
両面針を通す。これで復活。
まあそれで良い。