4月1日



PX-2にサブウエイトを載せてみた、の図。

基本的にはPX-2は
軽量軽針圧向けと思うが、これを使えば重めのシェル+カートリッジも使用可能。
ただし針圧計は
必須となるが。

では、とテクニカの
15gシェルにDENON DL-103SLを付けてみる。

音だが俄然
明瞭でガッツのあるものになる。

103SLは知る限りでは最も無印103と
かけ離れた音がする103属と思うが
これはそういう物と思って使うと良い。

しかしPX-2というのもカートリッジの
違いを綺麗に描き出す
見事なプレーヤーだ。



4月3日

しかし四月の頭でこれだけ
寒いのも珍しいのではあるまいか?

さて、
PX-2+DL-103SLだが早々にめてしまった。

何故ってあまりにパッとしない音だ。

やっぱりPX-2には
軽量軽針圧が良いのか?と思う。
針圧でも間違えたかとなんども測り直してしまった。

見切り千両、で選手交代。
MCを使いたいのでテクニカAT-30E。



ところがこれがサエクの軽めのシェルについているから今度は
軽すぎ
ゼロバランスが取れない。
仕方ないので針圧計で
直読して1.5gを確保。

音だが申し訳ない。この場合こちらの方が遥かに
う。

そしてシュアー
M44もやっぱり面白い。

見かけ上の
音が速いというか、聴いていて気持ちが良い。

くて頼りがいのあるカンチレバー。
あるいはそれがこの場合良いのか?

さすが超ロングセラーは伊達じゃない?


4月7日
Z1
を久々に引っ張り出してみた。

Z1と言っても
KAWASAKIではない。残念ながら。
VICTORである。

僕にとっての
めてのカートリッジ。

…なのだがこれは二本目。
一本目の
Z1Sの二度目の針交換を考えた時に
いっそ
Z1Eを買っても出費に大差なしと気づいて買った物が現存している。

確か社会人になって最初の年だったと思う。

Z1SとZ1Eで
針先形状が違うのだが、当時はオーディオに不熱心になっていた時でもあって
その差は全く気にしなかった。

さて、そんな事はさておいて、僕にとっての音の
原点みたいな存在。

久しぶりに聴いても、やっぱりZ1である。

聴感上、
ややハイ上がりに聴こえる、良く言えば清涼感あるサウンド。

皮肉な事にZ1Sの時代が一番音楽を聴けた。
何しろ暇のある学生時代を
走り抜けてくれた?カートリッジだ。

そのせいだろう。この音は身に
み込んでいる。若い時の体験っていうのは凄い。

この音を聴いて育ったのだなー、と思う。

今改めて聴くと、なるほどまあ価格差ウン倍のカートリッジと比べると
いというのはある。

ではロークオリティーかというとそれは違う。

クラシックにはどうか?と思うがその他の物には
十分
それどころか、これで聴くの
ベストじゃないか?と思わせる物もやっぱりある。

適材適所みたいなのはあるもんだ。


4月8日
いや、
18年目に突入の節目に何かネタが欲しいなと思い
取り出した
Z1だが偉く塩梅が良い。

ちょっと
たい感じのポップス?に好適

シャーンっと突き抜けて爽快極まりない。

この際調子に乗って低い方もゴンゴン行ってしまえばよいのに、
と思わせてしまう。

やっぱりアナログはこの辺が面白いというか
種々雑多なディスクに対して、”おい、お前の出番だ”
みたいな感じが楽しい。

多少の音作りは、シェル
リード線。その前にシェル等でも出来るので
それも楽しい遊びだ。
実際Z1も、
あることをやれば…というのがあるが
取りあえず現状を楽しんでいる。

しかし、当時の物は一万円前後の物でもこれだけ
素晴らしい物があったのだと
今更ながら驚愕する。
その頃はそれに気づかなかったのだから
贅沢なお話だ。

もっとも、生みの親のメーカーだってわかっていたかどうか?

例えばこの頃のビクターだとシェルはほぼ例外なく
溶湯鍛造PH-6
あるいはそれの劣化版?みたいな物を使っているはず。

僕も持っているし、当時評価は高かったシェルだ。
ただ、そのまま使うと、
やや賑やかな音になるシェルだ。

Z-1にはPH-6でも良いが、替えてみると世界がちょっと
うのも確か。

しかしメーカーであれば、
当然自社製品で組み合わせる訳で、
やむを得ないがベストかどうか探るのは難しいのだ。

ある意味
気の毒
好き勝手やれるユーザーは羨むべき存在だったか?

ところでこの時代の普及品と言えば
MM。当然だ。
MCがデカい顔をし始めたのは1977年頃のこと。
先にアメリカでブームになり、すぐ日本も追従した。

テクニクスは
15.000円EPC-300MCなど投入。
MC=高価という図式を崩し始めた。
更にMCヘッドアンプの
SU-300MCが一万円ちょうどで驚かせたが
それが1978年頃のお話し。

その頃を境にマニアなら
MC、みたいな事になってしまったが
改めて
MMは針のバリエーションを楽しむとか色々な楽しみがあるのも事実で
別の意味で
マニア心をくすぐるものだと最近実感している。

さて、オーディオ歴足掛け
41年
それだけ掛かってやっとこんなもんかとも思うが
趣味とは時間の掛かる物
少なくとも1976年頃の音よりは進化したはずなので由としよう。


4月9日
カートリッジと限らないが、あまりあれこれ在っても仕方ないという説は有る。

まあ
煩悩とか物欲のなせる業と笑ってもらうのが良いのではないか。
良く言えば
探求心旺盛ということで…

一応もっともらしい事をいうと、ソフトというかディスクが完璧であれば
カートリッジも究極の一本があればそれで事足りるという事は言える。

だが、ソフトの音傾向と言いうのは一律ではない。

良い盤には良いカートリッジを、というのは実は案外わかり易い。

そうでもない盤を
どう料理するか?という方が奥は深い。
これは半分は
冗談だが半分は真面目なお話し。

昔々のオーディオマニアはそんな事に明け暮れていたというか
自分の音を追い求めて日々色々な事を繰り返していた(と思う)

アナログディスクの再生なんていうのはその最たるものだった。
シェルをダンプして。シェルとアームの間のゴムリングは外して。
リード線に拘って。
リジッドに固めてみたり、ふわふわにしてみたり。
ええい、ケーブル交換だ。半田鏝はどこだ?

…なんて感じだった。

そこには、なんというか、レコードを
再生、ではなく
演奏するかのような姿勢があったと思う。

あるいは酷い演奏(録音ではなく再生側のレベルの問題)も
あったかもしれないが、どこか
活き活きとして輝かしい物があったのではないか。

CDの時代が来て、徐々にそういう事はやりにくくなった。

代わって
ケーブル電源にいたずらの矛先は向かう。

それはそれで良いし、お陰でトータルでの
音質向上はあったのだろう。

だが、どこか寂しい気がするのは僕だけだろうか。

今は皆
クリーンで快適な生活をしている。

たれ小僧も、ほっぺがい子もあまりみない。
紙おむつ万歳で
おしめの洗濯なんか考えられない。
空き地で遊ぼうと思っても空き地がない。
ゲバ棒を振り回す人も見ないし集合管でブリブリ言っているのはおじさんだったりする。

空調は普及し、基本的に物は壊れれば買い替えられる。
立派な暮らしと言い換えても良いかもしれない。

そんな暮らしぶりは、趣味のオーディオにも反映されている。
これは
世の流れというものだろう。



ぴったり一年前の写真が見つかった。


4月10日
さて、
Z1E

ちょっと眠たい盤には
最高のスパイス付きカートリッジという感じでちょっとズルい、と感じてしまうほど。

しかし、ちょっと本格的な録音の盤。一例として
吉田美奈子さんの「FLAPPER」なんぞを掛けてみると荒さが耳につく。

もっとも、この盤、なかなか
らしいというかどい一枚なのだ。

こら、あかん、と思って
DL-103辺りで掛けてみると、さすがにを付ける。

それはそれでよいのだが、
に障るのも事実。

ここでついに、数日前から何となく考えていた事案を実行。

シェル交換である。

これまでは
GT-2000標準装備のシェルに付けていたのを、ビクターPH-L1000に交換。

本来MC-L1000と組み合わせるべき、
炭化ケイ素シェルである。

当時15.000円。シェルの方がカートリッジの
1.5倍高くなるが、まあ試してみても良いじゃないか。

結果だが、これは
成功

わずかの違いと言えばそうなのだがマニアなら感激する位の違いは出る。

金額が高い方が良い結果が出ても当たり前と言えばその通りなのだが、その内真逆の廉価シェルにも付けてみたい。

カートリッジとシェルの
相性問題というのは、やっぱりあって、避けて通れない。

長岡先生のテスト記事など読むと、氏がこの問題には気を使っておられたのがわかる。



ところで勝手に盛り上がっておいてなんだが、立て続けだとちょっと飽きる。

そこで…



昭和46年のモーターサイクリストより。

カワサキ
350SS500SS
手前に350SSなのはこの年の発売だから?
ドラムブレーキだから
S2
45馬力は良いがゼロヨン13.6秒まで堂々と書いているのが時代。
ちなみに500SSは12.4秒だ。

更に…



なんと
750SS。すなわちH2スクープ写真が巻頭を飾っている。
在米の読者が送って来たという。



写真はこの一枚だけだが、とにかく格好良いの一言。
当時これを
見た瞬間に購入の算段を始めた人も多いだろう。

74馬力。203kgでゼロヨンは12秒フラット。
…なんてことまではこの段階では当然書かれていないが。

2サイクルエンジンは北米での排ガス問題から消え行く運命であり
この750は僅か
二年だけの生産と短命に終わる。

後を引き継いだのがもちろん
903ccのZ1

このZ1とカートリッジのZ1には、もちろん何の関係も
い。


4月11日

マッハを載せたら
SUZUKIの三気筒も無いと片手落ちではないか?

…という声が上がった…わけではないが



ほいじゃ、という訳で
GT-380

サンパチである。サブロクは合板である。

こちらはオートバイ誌
1978年4月号から。

この頃のスズキGTシリーズは
非の打ち所の無いプロポーションをしている。

ただ、よっしーの興味は同じGTでも
GT-250の方にあった。
それも前期の、まるで実用車の様なヤツが好きだった。
つくづく変わったヤツである。

さて…





4月12日


Z1E
ただ今絶好調


これはある種のソフトに対して
麻薬的味付け?をしてくれる。

PH-L1000に付けるとその辺が補強されるようでトランス状態になる。
ただ、別に特殊なシェルでなくてもZ1Eの持ち味は出せる
はずだ。

(なぜかGT-2000+WE-407/23よりも
PX-2の方がマッチする)


ただ、クラシックを
しんみり聴きたいなどという場合は他のカートリッジの方が良いだろう。多分。

さて、しかしビクターだけ贔屓にするのもいかがなものか?

そこで
テクニクスにお出ましいただいた。
EPC-U25。で合っているのかな?

シェル付きで売られていて、その場合
EPC-H25と呼ばれる。
(どなたのサイトを参照しているかバレバレだが)

これをT4P規格にアレンジした様な物に
EPC-P202Cなどがあるのだが
この辺は針の
バリエーションも多く差し替えは色々出来る。

さて、しかし本来指定の針は
EPS-25ES

楕円
針で針圧1.75g。

だが実は、このU25、針は付いているがチップ落ちしている。
(物を昔々
limited師匠に17年くらい前に頂戴した…のだと思う)

このままではもちろん音が出ない。ここで針の登場。まず、
EPS-25CS

針である。これが一応針圧1.75gで使えるはず。

随分都合よく出て来ると思われるかもしれないが、これは
BORON師匠から5年位前に頂戴した物。

なんと東西。いや、北東?両
二大師匠のサポートの元音が出るのである。

一つ余談だが、この馬鹿(よっしー)に物を渡すと真価を発揮するまで
どえらい月日が必要である。不義理の帝王というかよっぽど気の長い人でないと付き合っていられないだろう。


4月13日

EPC-U25
EPS-25CSを装着。
スタイラスノブは美しい
オレンジ。あるいはアンバーと言うべき物。
チップは
針で針圧は1.75g指定。
基本的にU25に合うはずだ。

と、その
前にシェルの話し。

このカートリッジ、基本的にはシェル上面からネジを入れて、カートリッジ本体にねじ切られた穴にねじ込む必要がある。

つまり俗にいう
馬鹿ネジのシェルを使わないとならない。

確かにその種のシェルも複数あるが、既に別のカートリッジに使っていたりする。
それを外して使いまわすのもちょっと面倒くさい。

どうした物かと悩むが、ここで
ビクター溶湯鍛造シェルの登板。
考えてみるとこのシェルは僕が最初に買ってもらったステレオに付属だったものだ。
他の物は消えたが、シェルだけは残っていたのだ。

ところが
指掛けが無い。
理由はわからないが昔取り外してしまったのか??
もちろん指掛けは見当たらない。

無くても良いが、なんだか
不細工だ。

そこで型番不明のシェルから指掛けだけ
拝借
更にシェル上面に
アルミ製スペーサーを載せる事にする。



元気だが、ともすると品の無い音を出すシェルであることも、経験からわかっているので
ダンプする意味で使用。

これでカートリッジ込みの
総重量も適当なところに落ち着く。

で、取りあえず、とGT-2000+
WE-407/23に着けてみると見事に音が出ない(笑)

やれやれ、とシェルの
出力ピンを見ると、滅多に見られない劣化度合だ。

無理もない。一体どれだけほったらかされた?

こうなるとアルコール+綿棒くらいではどうにもならない。とうとう
紙やすりの登場だ。
こんなもん使いたくないが仕方ない。

これで無事音は出るようになったので、早速
シェイクダウン

だが…


4月14日



新品の針を付けてのシェイクダウン。

期待に胸を躍らせ…

なのだが、どうも
パッとしない?

何か間違ったかと色々確かめるが
決定的な過ちは犯していない。

Z1もそうだったのだが、どうもSAEC
WE-407/23相性が悪い?

ま、GT-2000++WE-407/23計画は中途半端な状態なのでそれもあるだろう。(それしかない?)
しかし、多分
軽量用ウエイトを用いないと、この場合上手くいかない気もする。

WE-407/23は適合範囲も広く、優れたアームだが、ありとあらゆるカートリッジ+シェルに対応させるには
オプションウエイトは必要なのだろう。

悩んでいても仕方ないので
PX-2に装着。

これでどうよ?


4月15日

これでどうよ?

一発目が出た瞬間から、こちらの方が
合うのがわかる。

ざっくりな言い方で、大変
ノーマルな音がする。

王道というか、
ど真ん中の正しい音だ。

Z1と比較してはっきり違うのが
み。ぼてっとした表現も可能というのが明らかな違い。

だが
しかし、それで納得という状態にはならない。

どうしたものかと悩むが、
シェル交換。

アントレーのシェルの降臨である。

この個体も
指掛けロス状態で完全ではない。

どうした物かと思うが馬鹿ネジのシェルには限りがある。よって採用。

ただ、このシェルは指掛け部分が一種の
ダンパーの役目も果たしているので、このままだと陽気に歌いすぎるのは
過去の経験でわかっている。

そこで、これもスペーサー。ただし今度は
真鍮製と思われる物を使う。

指掛けは…と思ったがPX-2で使う場合は指掛け
不要。リニアトラッキングという事を考えると
左右のバランスを取る上で指掛けは却って邪魔。



なお、アントレーのシェルは幾つか
バリエーションがあり、これはネックの所が2ピンのタイプ。

理屈はさておき、これでどうか?

実は最初は
イマイチ変化なし。

あれこれやるがいい加減に嫌になって
適当に聴き続けていたら、ある所から急にブレイク

なんじゃこりゃ?と思うが、やはり万物に
慣らし運転は必要みたい。
パーッと視界が開けた感じで、安心した。


4月16日

閑話休題


良いとか悪いとか、相変わらず
勝手に盛り上がったりがっかりしたりしているが、今回登場のレコードは
基本的にごく普通の
ポピュラー物。

それらが自分にとって、いかに気持ちよく聞こえるかに重点を置いている。
そこのところを汲んでください。


ただ、相反することをいう様だが、
さすがテクニクスというか、実に万能っぽい所を見せる。

これはきっと
どんなジャンルのレコードを持って来てもそつなく対応してくれるに違いない。

松下様はカートリッジも
自社生産に拘っていたとかいないとか。
ビクターのZ1辺りは
グランツのOEMであったことが、今ではわかっている。
別にOEMでもなんでも良いが、テクニクスはさすがテクニクスというべきか。


で、話を戻すが、恐るべしテクニクスで、
相当ヤバい?盤も良い所を引っ張り出して聴かせてしまう。
今夜の締めに、と掛けたところでびっくりポン。

明るいナショナルは伊達じゃない。
光る東芝もがんばれ。これは別の意味だが頑張れ!


4月17日


ところで、あるところで急にブレイクスルーなんてのはオーディオマニア同志なら通じる話しかもしれないが
一般人(正常者)からしたら
嘘八百も甚だしいお話だろう。

ま、体験しているこちらが驚くくらいなのだから無理もない。

針の馴らしもあるのだろう。何しろ細かく見たら
ミクロンオーダーの世界である。

カートリッジ本体も、マグネットとコイルだけだろう、と言われても、それでも慣らし運転というのはある。

シェルもそうだし、リード線もそうだ。

このあたり誠に
ややこしい

ただ、何十時間も掛かるということは無いだろうから、一か月も経ってイマイチだったら他の要素を考えた方が良い。

さて、ここで
EPS-23ES登場。
こちらは
楕円針で針圧1.25gで良いはず。

胸は高鳴るが不安もある。なぜって25CSがあまりに
良すぎた。



基本的に楕円針の方が
高音が伸びるとか色々メリットはある。
だがしかし、光あるところに影がある様に、メリットの裏側にはデメリットもある。

これをデメリットと言ってはいけないが、楕円針の方がアームのセッティングその他には
シビアになるはず。
丸針はその点有利。

楕円針は、丸針よりも音溝に、
より深く食い込む。それが良さでもあり難しさでもあるのだ。

更に、はなはだ低次元なお話だが溝に沈んだゴミも余計に引っかけてくれる。

気軽にリスニングでもしておけば良いものを、この際シビアに針先の違いを堪能…なんて考えるから
片面掛ける間に何度も針先クリーニングになる。
まあそもそも音楽聴いて和もうとか、そんな気が無いから良いが通常では考えられないしぐさだ。

アームの
高さも色々変えて、針圧も増やしてみたり戻してみたり…

結果、というか今の時点で思うのは丸針と楕円針は
一長一短という当たり前のこと。

単純な人間だから、丸針よりも楕円針。更にシバタ針だとかML針だとかSAS針と段々音が良くなっていく様に
思ってしまうが、まあそんな
簡単なもんじゃないということだ。


ある盤では丸針が圧倒的な、媚薬的な音を聴かせてくれた。楕円くんにも頑張ってもらいたいと思う今日この頃。


4月18日

さて、物事というのは一、二、と来たら
が出てこないと収まりが悪いと相場が決まっている。

何故か知らないが、そういうものなのだ。

ここで満を持して
EPS-202ED登場。同じく円だが、こちらはボロンカンチレバーである。

202Cからもぎ取って装着。

スタイラスノブは
透明。そしてカンチレバーは独特のだ。

ボロンは
比弾性率(弾性率÷比重)が地上最大。要するに曲がりにくい
硬度はダイヤに次いで二番目と硬い。そして比重がダイヤ、ルビーの半分以下。
軽く丈夫で音速が早い。カンチレバーには
最適

…ということで理屈の上では最高なのだが、しげしげと拡大鏡で眺めてみると、真っすぐのカンチレバーの先端に
実に危うい感じで(本当は危うくないのだが)針先
チップが付いている。

23ESとはカンチレバーの素材が違うだけでなくチップの
取り付け方も違うので、単純に素材比較だけではいけない気がする。

ここに更にダンパーが、テンションワイヤーが…と絡む訳で、誠にアナログはややこしい。

さて、それはさておき、202EDを装着して、H25の
はどうよ?

これはさすがに
頭一つ抜きんでて来る。

低い方まで含めて
音が早く、”音波”を感じる。

…と書くと、結局値段が高いヤツが良いのね、と思われそうだが
ソフトによっては以前アルミカンチレバー丸針に良さも感じる訳で
要するに相手に合わせて使えばよいということ。
なにせ三種類の針先を抜いて挿すだけ(気を付けないと事故の元)なので話は超簡単。

そんな事をさせようとする、テクニクスMMはやっぱりすごいというか、
MMの王者なのだと改めて痛感した。


4月19日

さて、
この辺でやめて置いても良いのだが、一旦始めるとよっしーはしつこいのである。

ここで
EPC-202C登場。

…と言っても
SL-7QL1に付けて経験はしてきている。

だが今回登場の物は別物。なんと
未使用新品である。

こんな物使えません。もったいなくて…

とも思うのだが、人生も半分は使ってしまったなんて事を考えると、
体験できる物は体験しておかないと
なんて地味な事も思ってしまう。そこで満を持してシェイクダウン。



針達は同じでH22と、さて音は変わるか?

なにせ同じ系列のカートリッジ達。H22が普通の仕様で202CがT4P仕様。
それだけの違いと言えば違い。

202CにはT4Pアダプターが必要。なので既にそれが装着されている
ダイナベクターのシェルにプラグイン。

これで聴いてみると、なるほど全体的な
トーンは同一。当たり前か。

では完全一致かというと、やはりちょっと違う。

簡単に言うと202Cの方が同じ針を使っても鳴り方がほんの少しだが
タイト

やや骨っぽい音になる。弦楽器の
テンションがほんの少しくなったような、というべきか。

ただ、これが果たして本当にカートリッジの違いなのかは怪しいところもある。

シェルが違うしリード線が違う。ビスも違う。

202Cにはもう少し重めで強靭なシェルを使うと良い気もした。いずれ試してみたい。

取りあえずどちらか片方持っていたら、
わざわざ持っていない方を買い求める必要はないと思う。

針を差し替えての傾向も
ほぼ同一で、正統派の香り漂う楕円針ボロンカンチレバー、
悪くないのだが使いこないを要求する、楕円針アルミカンチレバー。
そして密かに好きな丸針アルミカンチレバー。
お好みのソースで召し上がれ、という感じ。

いや、しかし、どいつもこいつも高性能過ぎるぜぃ!


4月20日

T4P
のネタになったら隠しておけない?EPC-310MC登板。

去年だったか、
未開封新品を頂いたということで簡単にお披露目はしたがその後丁重にカートリッジキーパーに収められ
おねんね状態。

恐れ多くて、
盆暮れ正月以外出せない気もする。

だが、先にも書いた様に、生きているのは今だから、あまり惜しまず使った方が良いと相成った。

そもそもはジャストジャケットサイズ一号機
SL-10と共に産み落とされた物。
単売もEPC-P310MCとしてされていて、当時
25.000円

ピュア
ボロンカンチレバー採用。コアレスツインリングコイルということで空芯だ。
インピーダンスは
30Ω
SL-10の場合はこれに合わせたヘッドアンプを内蔵していた。
今回は
PX-2→SY-88のMC入力で聴く。



音だが、やはり同じテクニクスであっても、立て続けに聴いてきたMM属とはちょっと
う。

いや、202C辺りとは血が同じというのは感じる。それは芯の強さだったり明確であろうという意思を感じる音だったりする。

だが、310MCの方が
より芯が強く、切れ込むにもを感じさせる。

MMだから、MCだから、というのもあるが、
ハウジングの強靭さなどで202Cに差を付けるのかもしれない。

ただ、その辺含めて、要はトータルでの音作りなので、どっちが上などと思わない方が良い。
MM属の、時に
ふぁ〜っと聴かせる要素というのも変えがたい物がある。
どちらにしても素敵なカートリッジなのは間違いなし。


やっぱりもったいなくて、再び丁重にキーパーに戻す私は小心者です(汗)


4月21日

この辺でそろそろ
春のアナログ祭りは終わり…

と思ったのだが手が勝手にカートリッジキーパーに伸びている?

ま、聴けるうちに聴きましょう。

という事で今度はパイオニア。
PC-41MCだ。



針交換式、
高出力MCでMM入力で使える、というか使わなくてはいけないタイプ。

詳細は過去17年間の内に何度も書いているから省略。

これがまた贅沢な事にV24Cさんの
炭化ケイ素シェルに取り付けられている。ただしこちらは重さ18gタイプ。

PX-2で使いたいのだがこれでは重量オーバー?

いや、さすがにカートリッジ本体が軽いからこれでちょうど良いみたい。

いそいそと針を降ろすというかPX-2だからスイッチを押す。

音だが、テクニクス一族との対比
で重心が下がる感じ。

良い意味で
ベースラインが聴きやすい。

全体に、過去の印象だともう少しハイ上がりにさえ感じるカートリッジだったのだが、今日は印象が違う。

どこか
頭を抑えられる感じが無きにしも非ず。

そこでシェル交換。やはりPX-2だともう少しだけ軽量なというか軽妙なシェルの方が…と思うが手持ちに限界あり。
そこで
サンスイの型番不詳のシェルを使う。

いかにも頼りない感じだが、これも
実験のひとつ。ただ、ちょっとだけ重量付加する。

これでどうか?というと正解。重苦しさ減退。しかし下っ腹に力が入った感じはちゃんと残っている。
そして華やぎ
一割増

馬鹿みたいだが、これもやっぱり良いカートリッジだ。というか普通のレコードを聴くのにこれ以上のカートリッジが必要か?

多分、シェル交換でもっと良くなる。
薄く丈夫で13gくらいの優秀なシェルが好ましい。


4月23日

…と書いた手前シェル交換。

アントレーに頼ってみる。

さすがに一歩前進?第三弾がこの場合
バランスが良い?

というか三つとも特に問題なんかないのだが(汗)ここで
後一発華やぎが欲しい気がして来た。

遂に第四弾。これまで一度も使っていなかった
PX-2純正のシェルだ。

指掛け無し(不要)、
軽量で見るからに工作精度イマイチな感じ(笑)

PC-41MC相手だと軽すぎてさすがにバランスもとれない。やむを得ずまたしてもスペーサーで重量付加。



これでどうよ?

…さすがに一番
軽妙な感じ。

一概に悪いと言えない。ただ、どこか
品位に欠ける感じ。

このあたり誠にさじ加減が難しい。


いい加減嫌になったが、毒食らわば皿までということで
パイオニア樹脂製シェルを持ち出した。

どんな音になるかとドキドキしたが、
見かけ上の繊細さはこれが一番?

よくよく聴くと、あくまでも見かけ上の、であって、どこか
ごまかしの世界を感じるが、だからと言って悪いと言い切れない。


シェル選びは誠に重要。

ただ、
やりすぎ厳禁。疲れてしまう。

パイオニアにテクニクスの音を求めても仕方ないという
当然の帰結になる訳だ。

PC-41MCは対テクニクス属で、どちらかというと
内声の充実が売り?

そして
安定している。レコード片面掛ける間に何度も針を上げてクリーニングしたくなるテクニクスより大らか。

心安らかにレコードを掛けていられる。

優劣ではなく、狙う所が違うのである。

このパイオニアのカートリッジも、パイオニアのプレーヤー。さらにはコンポ込みで売れる目算があったから作れたが
単体で作るとなったら幾らの値付けになったかわからない。

実はそんな思いが強くて、ここ最近はプレーヤー付属みたいなカートリッジ達に肩入れしている。

数が出る事が見込めたからこそのローコストであり、製造原価がローコストだったわけじゃない。

お宝は案外足元に転がっていたりして…


4月24日









時代は
MY電柱


4月25日

やっぱり
電源は大事だ。

ちまちま針の掃除などしている場合じゃない。

言いたくないが、オーディオも最後はマネーか。

ここ一番に奮発すると、別次元の世界が広がる。

今まで到底たどり着けなかった世界…



















…というのは言うまでもなく
真っ赤な嘘である。

電柱工事は本当だが、単に古い電柱の撤去。そして新しい電柱のお出ましだ。

新しくなるのは柱だけで、電線はそのまま移設だろう。

MY電柱。
縁のない世界だ。

金があっても、まあやらないだろう。

フツーで居たいと思うばかりだ。

趣味の世界だから何でもありだが、だからなおの事フツーで居たい。

ああ、こんな事書くなんて、なんだか
つまらない人間になってしまったような…




ところで
そもそも何やってんだっけ?と考えたら
レコードの虫干しならぬ、一通り聴きだった。

一部を適当に床に撒いてみたが見事に
脈絡がない。

更にいうと意思を持って買った覚えがまるでない。

何にでも対応することを強いられる装置は迷惑なことだろう。きっと。


4月26日

手持ちのレコードを片っ端から、なんて言っても本当に
大した数が無い。

なんだか悲しくなった…

でも、まあ良いか。

なんというか、本当に手放せないレコードっていうのは、人によって程度の差こそあれ
限られると思う。

そういう意味では残す物が限定されている方が良いのかもしれない。

それでも、全部聴こうとなったら
どれだけの時間が掛かるか?

ハードディスクに何千曲と収めている人はもっと大変なのかな?

禁欲とは程遠い人間だが、でもやっぱり音楽というのはそんな
簡単に手に入らない方が良いと思う。

昔々、レコードを一年に二枚とか三枚とかしか買えなかった若者と、今の若者とどちらが幸せだろう?

僕の答えは昔の若者の方が幸せだった、だ。もちろん結論は人によって正反対で一向にかまわない。


高校の時、
友達と三人で渋谷にレコードを買いに出かけた。
懐かしい思い出だ。
一丁前に輸入盤屋さんなんか巡った。

何時間も掛けてレコードを選ぶのだ。今では到底出来ない時間の使い方だ。

途中でNHKホールの見学なんかもした。どういう流れでそうなったのか思い出せない。

留めに、
急に担任の先生のお宅へお邪魔しようということになり、夕方だったか、急襲した。
先生って稼業も大変だなーと妙に感心した。

買ったものの、なんだかなー、というレコードもあったけど、何しろ手持ちが無いし、大枚叩いて買ったから
無理してでも聴く。
その内なんとなく良さがわかってくる、なんて事もあった。それで良いのである。

適当に棚からレコードを出していると、
そんな時代に買った物達も出て来る。

本やCDは物凄い勢いで捨ててしまうのだが、アナログレコードは
捨てがたいというのは当時沁みついた想いのなせる業だろう。

ただ、聴く耳がやはりオーマニというか、音楽というよりも音を聴いてしまう所がさすがというか、悲しいというか…

でも、ここが面白いところで、何百回と聴いているはずなのに、
2017年春の今聴く音が一番良いと思えるレコードがたまに出て来る。


ここが面白い。やはりアナログレコード
ならでは、かな?



フロイドの「
」がその一枚。
このレコードは「
狂気」を買ったつもりが間違っていたというお笑いの一枚。

生意気に輸入盤で、なんて買うからこういう目に遭う。家で開封して
唖然とした記憶は今も生々しい。

もちろん元々ある程度のクオリティで録られている盤なのは承知しているが
PX-2+テクニクス族で聴くと、それも一際、という感じ。


4月27日



狂気」も、もちろん手に入れているが、確か大学に入ってから後の事だったか…

性懲りもなく
輸入盤だが、買った当初から盤質イマイチと感じていた。

久々に出してみたら、そこに更にプチプチが
えて…

迷ったが
洗い。

これが今回は上手く行った♪

買った当初よりも音が
いと思った(笑)

ただ、レコードとして思い入れがあるのは「
」の方か。

間違っちゃったんだ…と項垂れながら、
たくさん聴いた。

ラジオのチューニングみたいな音が入って、そこから「
Wish You were Hire」に雪崩れ込む所なんか
特に好きだった。

さて、しかし見た覚えもないレコードも出て来るのだが
ON THE STREET CORNER」もその一枚。

これは
かみさんが持ち込んだ物だろう。

盤質は大変良い。多分買ってすぐテープに落として
二度と針を降ろさなかったパターンだ。

かえって
緊張してしまう。人さまのレコードというのはやりづらい。

全く聴かなくても無埃室にでも保管しない限りレコードは
劣化する。

プチプチが少し聴こえるが、そんな訳で水分を使うのも
ためらう。

何度か針を通して、最も
オーソドックスだが盤面を乾式クリーナーで丹念にお手入れ。

面倒だが二〜三回これを繰り返して解決してくれるなら
それくらいが一番だ。


4月28日

いつの間
にかソフト紹介日記に?

まあ良いじゃありませんか。

フロイドと来たら
クリムゾンである。



しかしこのジャケットはいつ見ても凄い。玄関に飾って
魔除けに使いたいくらいだ。

この盤は大学三年の時に中古で買ったと記憶している。

久々に出したが
盤質良好。不思議なものだ。

そして音が
極めて真面目に録られている事に気づく。

これは昔「RED」のDVDオーディオ盤を取り上げた時に同じ事を書いたが、
ガキの頃はそんな事に気づきもしかなったのだ。

ロックというジャンルで
SACDだの高音質CDだの、リマスターだのと笑止千万という気もしていたが
こうして聴くと、高音質盤もあってしかるべし?

ま、そんな事を今更言わなくても、この手の大御所は出せば
ある程度商売になるから、
焼き直し(失礼!)は繰り返されると相場が決まっている。

ついでに言ってしまうと、アナログで持っていなくても
CD等で良いと思っていたのだが
、今目の前で鳴っているような音がCDその他で出るかというと、
アナログ盤で持っている
意義はあると感じる今日この頃。

これはアナログの方が高音質とか、そういう事とは話が違って、
上手くレコードを
演奏出来た時の面白み、みたいなお話し。

仮に高音質だとしても、この種のジャンルでいう高音質は、生楽器を鮮度高く、
品位高く録るというのとは
意味がまるで違うと僕は思っている。


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