4月1日
PX-2にサブウエイトを載せてみた、の図。
基本的にはPX-2は軽量軽針圧向けと思うが、これを使えば重めのシェル+カートリッジも使用可能。
ただし針圧計は必須となるが。
では、とテクニカの15gシェルにDENON DL-103SLを付けてみる。
音だが俄然明瞭でガッツのあるものになる。
103SLは知る限りでは最も無印103とかけ離れた音がする103属と思うが
これはそういう物と思って使うと良い。
しかしPX-2というのもカートリッジの違いを綺麗に描き出す
見事なプレーヤーだ。
4月3日
しかし四月の頭でこれだけ寒いのも珍しいのではあるまいか?
さて、PX-2+DL-103SLだが早々に止めてしまった。
何故ってあまりにパッとしない音だ。
やっぱりPX-2には軽量軽針圧が良いのか?と思う。
針圧でも間違えたかとなんども測り直してしまった。
見切り千両、で選手交代。
MCを使いたいのでテクニカAT-30E。
ところがこれがサエクの軽めのシェルについているから今度は軽すぎて
ゼロバランスが取れない。
仕方ないので針圧計で直読して1.5gを確保。
音だが申し訳ない。この場合こちらの方が遥かに合う。
そしてシュアーM44もやっぱり面白い。
見かけ上の音が速いというか、聴いていて気持ちが良い。
太くて頼りがいのあるカンチレバー。
あるいはそれがこの場合良いのか?
さすが超ロングセラーは伊達じゃない?
4月7日
Z1を久々に引っ張り出してみた。
Z1と言ってもKAWASAKIではない。残念ながら。
VICTORである。
僕にとっての初めてのカートリッジ。
…なのだがこれは二本目。
一本目のZ1Sの二度目の針交換を考えた時に
いっそZ1Eを買っても出費に大差なしと気づいて買った物が現存している。
確か社会人になって最初の年だったと思う。
Z1SとZ1Eで針先形状が違うのだが、当時はオーディオに不熱心になっていた時でもあって
その差は全く気にしなかった。
さて、そんな事はさておいて、僕にとっての音の原点みたいな存在。
久しぶりに聴いても、やっぱりZ1である。
聴感上、ややハイ上がりに聴こえる、良く言えば清涼感あるサウンド。
皮肉な事にZ1Sの時代が一番音楽を聴けた。何しろ暇のある学生時代を
走り抜けてくれた?カートリッジだ。
そのせいだろう。この音は身に染み込んでいる。若い時の体験っていうのは凄い。
この音を聴いて育ったのだなー、と思う。
今改めて聴くと、なるほどまあ価格差ウン倍のカートリッジと比べると
違いというのはある。
ではロークオリティーかというとそれは違う。
クラシックにはどうか?と思うがその他の物には十分。
それどころか、これで聴くのベストじゃないか?と思わせる物もやっぱりある。
適材適所みたいなのはあるもんだ。
4月8日
いや、18年目に突入の節目に何かネタが欲しいなと思い
取り出したZ1だが偉く塩梅が良い。
ちょっと眠たい感じのポップス?に好適。
シャーンっと突き抜けて爽快極まりない。
この際調子に乗って低い方もゴンゴン行ってしまえばよいのに、
と思わせてしまう。
やっぱりアナログはこの辺が面白いというか
種々雑多なディスクに対して、”おい、お前の出番だ”
みたいな感じが楽しい。
多少の音作りは、シェルリード線。その前にシェル等でも出来るので
それも楽しい遊びだ。
実際Z1も、あることをやれば…というのがあるが
取りあえず現状を楽しんでいる。
しかし、当時の物は一万円前後の物でもこれだけ素晴らしい物があったのだと
今更ながら驚愕する。
その頃はそれに気づかなかったのだから贅沢なお話だ。
もっとも、生みの親のメーカーだってわかっていたかどうか?
例えばこの頃のビクターだとシェルはほぼ例外なく溶湯鍛造のPH-6
あるいはそれの劣化版?みたいな物を使っているはず。
僕も持っているし、当時評価は高かったシェルだ。
ただ、そのまま使うと、やや賑やかな音になるシェルだ。
Z-1にはPH-6でも良いが、替えてみると世界がちょっと違うのも確か。
しかしメーカーであれば、当然自社製品で組み合わせる訳で、
やむを得ないがベストかどうか探るのは難しいのだ。
ある意味気の毒。
好き勝手やれるユーザーは羨むべき存在だったか?
ところでこの時代の普及品と言えばMM。当然だ。
MCがデカい顔をし始めたのは1977年頃のこと。
先にアメリカでブームになり、すぐ日本も追従した。
テクニクスは15.000円のEPC-300MCなど投入。
MC=高価という図式を崩し始めた。
更にMCヘッドアンプのSU-300MCが一万円ちょうどで驚かせたが
それが1978年頃のお話し。
その頃を境にマニアならMC、みたいな事になってしまったが
改めてMMは針のバリエーションを楽しむとか色々な楽しみがあるのも事実で
別の意味でマニア心をくすぐるものだと最近実感している。
さて、オーディオ歴足掛け41年。
それだけ掛かってやっとこんなもんかとも思うが
趣味とは時間の掛かる物。
少なくとも1976年頃の音よりは進化したはずなので由としよう。
4月9日
カートリッジと限らないが、あまりあれこれ在っても仕方ないという説は有る。
まあ煩悩とか物欲のなせる業と笑ってもらうのが良いのではないか。
良く言えば探求心旺盛ということで…
一応もっともらしい事をいうと、ソフトというかディスクが完璧であれば
カートリッジも究極の一本があればそれで事足りるという事は言える。
だが、ソフトの音傾向と言いうのは一律ではない。
良い盤には良いカートリッジを、というのは実は案外わかり易い。
そうでもない盤をどう料理するか?という方が奥は深い。
これは半分は冗談だが半分は真面目なお話し。
昔々のオーディオマニアはそんな事に明け暮れていたというか
自分の音を追い求めて日々色々な事を繰り返していた(と思う)
アナログディスクの再生なんていうのはその最たるものだった。
シェルをダンプして。シェルとアームの間のゴムリングは外して。
リード線に拘って。
リジッドに固めてみたり、ふわふわにしてみたり。
ええい、ケーブル交換だ。半田鏝はどこだ?
…なんて感じだった。
そこには、なんというか、レコードを再生、ではなく
演奏するかのような姿勢があったと思う。
あるいは酷い演奏(録音ではなく再生側のレベルの問題)も
あったかもしれないが、どこか活き活きとして輝かしい物があったのではないか。
CDの時代が来て、徐々にそういう事はやりにくくなった。
代わってケーブルや電源にいたずらの矛先は向かう。
それはそれで良いし、お陰でトータルでの音質向上はあったのだろう。
だが、どこか寂しい気がするのは僕だけだろうか。
今は皆クリーンで快適な生活をしている。
鼻たれ小僧も、ほっぺが赤い子もあまりみない。
紙おむつ万歳でおしめの洗濯なんか考えられない。
空き地で遊ぼうと思っても空き地がない。
ゲバ棒を振り回す人も見ないし集合管でブリブリ言っているのはおじさんだったりする。
空調は普及し、基本的に物は壊れれば買い替えられる。
立派な暮らしと言い換えても良いかもしれない。
そんな暮らしぶりは、趣味のオーディオにも反映されている。
これは世の流れというものだろう。
ぴったり一年前の写真が見つかった。
4月10日
さて、Z1E。
ちょっと眠たい盤には最高のスパイス付きカートリッジという感じでちょっとズルい、と感じてしまうほど。
しかし、ちょっと本格的な録音の盤。一例として吉田美奈子さんの「FLAPPER」なんぞを掛けてみると荒さが耳につく。
もっとも、この盤、なかなか嫌らしいというか際どい一枚なのだ。
こら、あかん、と思ってDL-103辺りで掛けてみると、さすがに差を付ける。
それはそれでよいのだが、癪に障るのも事実。
ここでついに、数日前から何となく考えていた事案を実行。
シェル交換である。
これまではGT-2000標準装備のシェルに付けていたのを、ビクターPH-L1000に交換。
本来MC-L1000と組み合わせるべき、炭化ケイ素シェルである。
当時15.000円。シェルの方がカートリッジの1.5倍高くなるが、まあ試してみても良いじゃないか。
結果だが、これは成功。
わずかの違いと言えばそうなのだがマニアなら感激する位の違いは出る。
金額が高い方が良い結果が出ても当たり前と言えばその通りなのだが、その内真逆の廉価シェルにも付けてみたい。
カートリッジとシェルの相性問題というのは、やっぱりあって、避けて通れない。
長岡先生のテスト記事など読むと、氏がこの問題には気を使っておられたのがわかる。
ところで勝手に盛り上がっておいてなんだが、立て続けだとちょっと飽きる。
そこで…
昭和46年のモーターサイクリストより。
カワサキ350SSと500SS。
手前に350SSなのはこの年の発売だから?
ドラムブレーキだからS2。
45馬力は良いがゼロヨン13.6秒まで堂々と書いているのが時代。
ちなみに500SSは12.4秒だ。
更に…
なんと750SS。すなわちH2のスクープ写真が巻頭を飾っている。
在米の読者が送って来たという。
写真はこの一枚だけだが、とにかく格好良いの一言。
当時これを見た瞬間に購入の算段を始めた人も多いだろう。
74馬力。203kgでゼロヨンは12秒フラット。
…なんてことまではこの段階では当然書かれていないが。
2サイクルエンジンは北米での排ガス問題から消え行く運命であり
この750は僅か二年だけの生産と短命に終わる。
後を引き継いだのがもちろん903ccのZ1。
このZ1とカートリッジのZ1には、もちろん何の関係も無い。
4月11日
マッハを載せたらSUZUKIの三気筒も無いと片手落ちではないか?
…という声が上がった…わけではないが
ほいじゃ、という訳でGT-380。
サンパチである。サブロクは合板である。
こちらはオートバイ誌1978年4月号から。
この頃のスズキGTシリーズは非の打ち所の無いプロポーションをしている。
ただ、よっしーの興味は同じGTでもGT-250の方にあった。
それも前期の、まるで実用車の様なヤツが好きだった。
つくづく変わったヤツである。
さて…
4月13日
EPC-U25にEPS-25CSを装着。
スタイラスノブは美しいオレンジ。あるいはアンバーと言うべき物。
チップは丸針で針圧は1.75g指定。
基本的にU25に合うはずだ。
と、その前にシェルの話し。
このカートリッジ、基本的にはシェル上面からネジを入れて、カートリッジ本体にねじ切られた穴にねじ込む必要がある。
つまり俗にいう馬鹿ネジのシェルを使わないとならない。
確かにその種のシェルも複数あるが、既に別のカートリッジに使っていたりする。
それを外して使いまわすのもちょっと面倒くさい。
どうした物かと悩むが、ここでビクターの溶湯鍛造シェルの登板。
考えてみるとこのシェルは僕が最初に買ってもらったステレオに付属だったものだ。
他の物は消えたが、シェルだけは残っていたのだ。
ところが指掛けが無い。
理由はわからないが昔取り外してしまったのか??
もちろん指掛けは見当たらない。
無くても良いが、なんだか不細工だ。
そこで型番不明のシェルから指掛けだけ拝借。
更にシェル上面にアルミ製スペーサーを載せる事にする。
元気だが、ともすると品の無い音を出すシェルであることも、経験からわかっているのでダンプする意味で使用。
これでカートリッジ込みの総重量も適当なところに落ち着く。
で、取りあえず、とGT-2000+WE-407/23に着けてみると見事に音が出ない(笑)
やれやれ、とシェルの出力ピンを見ると、滅多に見られない劣化度合だ。
無理もない。一体どれだけほったらかされた?
こうなるとアルコール+綿棒くらいではどうにもならない。とうとう紙やすりの登場だ。
こんなもん使いたくないが仕方ない。
これで無事音は出るようになったので、早速シェイクダウン。
だが…
4月14日
新品の針を付けてのシェイクダウン。
期待に胸を躍らせ…
なのだが、どうもパッとしない?
何か間違ったかと色々確かめるが決定的な過ちは犯していない。
Z1もそうだったのだが、どうもSAEC WE-407/23と相性が悪い?
ま、GT-2000++WE-407/23計画は中途半端な状態なのでそれもあるだろう。(それしかない?)
しかし、多分軽量用ウエイトを用いないと、この場合上手くいかない気もする。
WE-407/23は適合範囲も広く、優れたアームだが、ありとあらゆるカートリッジ+シェルに対応させるには
オプションウエイトは必要なのだろう。
悩んでいても仕方ないのでPX-2に装着。
これでどうよ?
4月15日
これでどうよ?
一発目が出た瞬間から、こちらの方が合うのがわかる。
ざっくりな言い方で、大変ノーマルな音がする。
王道というか、ど真ん中の正しい音だ。
Z1と比較してはっきり違うのが厚み。ぼてっとした表現も可能というのが明らかな違い。
だがしかし、それで納得という状態にはならない。
どうしたものかと悩むが、シェル交換。
アントレーのシェルの降臨である。
この個体も指掛けロス状態で完全ではない。
どうした物かと思うが馬鹿ネジのシェルには限りがある。よって採用。
ただ、このシェルは指掛け部分が一種のダンパーの役目も果たしているので、このままだと陽気に歌いすぎるのは
過去の経験でわかっている。
そこで、これもスペーサー。ただし今度は真鍮製と思われる物を使う。
指掛けは…と思ったがPX-2で使う場合は指掛け不要。リニアトラッキングという事を考えると
左右のバランスを取る上で指掛けは却って邪魔。
なお、アントレーのシェルは幾つかバリエーションがあり、これはネックの所が2ピンのタイプ。
理屈はさておき、これでどうか?
実は最初はイマイチ変化なし。
あれこれやるがいい加減に嫌になって適当に聴き続けていたら、ある所から急にブレイク?
なんじゃこりゃ?と思うが、やはり万物に慣らし運転は必要みたい。
パーッと視界が開けた感じで、安心した。
4月16日
閑話休題。
良いとか悪いとか、相変わらず勝手に盛り上がったりがっかりしたりしているが、今回登場のレコードは
基本的にごく普通のポピュラー物。
それらが自分にとって、いかに気持ちよく聞こえるかに重点を置いている。
そこのところを汲んでください。
ただ、相反することをいう様だが、さすがテクニクスというか、実に万能っぽい所を見せる。
これはきっとどんなジャンルのレコードを持って来てもそつなく対応してくれるに違いない。
松下様はカートリッジも自社生産に拘っていたとかいないとか。
ビクターのZ1辺りはグランツのOEMであったことが、今ではわかっている。
別にOEMでもなんでも良いが、テクニクスはさすがテクニクスというべきか。
で、話を戻すが、恐るべしテクニクスで、相当ヤバい?盤も良い所を引っ張り出して聴かせてしまう。
今夜の締めに、と掛けたところでびっくりポン。
明るいナショナルは伊達じゃない。
光る東芝もがんばれ。これは別の意味だが頑張れ!
4月17日
ところで、あるところで急にブレイクスルーなんてのはオーディオマニア同志なら通じる話しかもしれないが
一般人(正常者)からしたら嘘八百も甚だしいお話だろう。
ま、体験しているこちらが驚くくらいなのだから無理もない。
針の馴らしもあるのだろう。何しろ細かく見たらミクロンオーダーの世界である。
カートリッジ本体も、マグネットとコイルだけだろう、と言われても、それでも慣らし運転というのはある。
シェルもそうだし、リード線もそうだ。
このあたり誠にややこしい。
ただ、何十時間も掛かるということは無いだろうから、一か月も経ってイマイチだったら他の要素を考えた方が良い。
さて、ここでEPS-23ES登場。
こちらは楕円針で針圧1.25gで良いはず。
胸は高鳴るが不安もある。なぜって25CSがあまりに良すぎた。
基本的に楕円針の方が高音が伸びるとか色々メリットはある。
だがしかし、光あるところに影がある様に、メリットの裏側にはデメリットもある。
これをデメリットと言ってはいけないが、楕円針の方がアームのセッティングその他にはシビアになるはず。
丸針はその点有利。
楕円針は、丸針よりも音溝に、より深く食い込む。それが良さでもあり難しさでもあるのだ。
更に、はなはだ低次元なお話だが溝に沈んだゴミも余計に引っかけてくれる。
気軽にリスニングでもしておけば良いものを、この際シビアに針先の違いを堪能…なんて考えるから
片面掛ける間に何度も針先クリーニングになる。
まあそもそも音楽聴いて和もうとか、そんな気が無いから良いが通常では考えられないしぐさだ。
アームの高さも色々変えて、針圧も増やしてみたり戻してみたり…
結果、というか今の時点で思うのは丸針と楕円針は一長一短という当たり前のこと。
単純な人間だから、丸針よりも楕円針。更にシバタ針だとかML針だとかSAS針と段々音が良くなっていく様に
思ってしまうが、まあそんな簡単なもんじゃないということだ。
ある盤では丸針が圧倒的な、媚薬的な音を聴かせてくれた。楕円くんにも頑張ってもらいたいと思う今日この頃。
4月18日
さて、物事というのは一、二、と来たら三が出てこないと収まりが悪いと相場が決まっている。
何故か知らないが、そういうものなのだ。
ここで満を持してEPS-202ED登場。同じく楕円だが、こちらはボロンカンチレバーである。
202Cからもぎ取って装着。
スタイラスノブは透明。そしてカンチレバーは独特の黒だ。
ボロンは比弾性率(弾性率÷比重)が地上最大。要するに曲がりにくい。
硬度はダイヤに次いで二番目と硬い。そして比重がダイヤ、ルビーの半分以下。
軽く丈夫で音速が早い。カンチレバーには最適。
…ということで理屈の上では最高なのだが、しげしげと拡大鏡で眺めてみると、真っすぐのカンチレバーの先端に
実に危うい感じで(本当は危うくないのだが)針先チップが付いている。
23ESとはカンチレバーの素材が違うだけでなくチップの取り付け方も違うので、単純に素材比較だけではいけない気がする。
ここに更にダンパーが、テンションワイヤーが…と絡む訳で、誠にアナログはややこしい。
さて、それはさておき、202EDを装着して、H25の音はどうよ?
これはさすがに頭一つ抜きんでて来る。
低い方まで含めて音が早く、”音波”を感じる。
…と書くと、結局値段が高いヤツが良いのね、と思われそうだがソフトによっては以前アルミカンチレバー丸針に良さも感じる訳で
要するに相手に合わせて使えばよいということ。
なにせ三種類の針先を抜いて挿すだけ(気を付けないと事故の元)なので話は超簡単。
そんな事をさせようとする、テクニクスMMはやっぱりすごいというか、MMの王者なのだと改めて痛感した。
4月19日
さて、この辺でやめて置いても良いのだが、一旦始めるとよっしーはしつこいのである。
ここでEPC-202C登場。
…と言ってもSL-7やQL1に付けて経験はしてきている。
だが今回登場の物は別物。なんと未使用新品である。
こんな物使えません。もったいなくて…
とも思うのだが、人生も半分は使ってしまったなんて事を考えると、体験できる物は体験しておかないと
なんて地味な事も思ってしまう。そこで満を持してシェイクダウン。
針達は同じでH22と、さて音は変わるか?
なにせ同じ系列のカートリッジ達。H22が普通の仕様で202CがT4P仕様。
それだけの違いと言えば違い。
202CにはT4Pアダプターが必要。なので既にそれが装着されているダイナベクターのシェルにプラグイン。
これで聴いてみると、なるほど全体的なトーンは同一。当たり前か。
では完全一致かというと、やはりちょっと違う。
簡単に言うと202Cの方が同じ針を使っても鳴り方がほんの少しだがタイト。
やや骨っぽい音になる。弦楽器のテンションがほんの少し強くなったような、というべきか。
ただ、これが果たして本当にカートリッジの違いなのかは怪しいところもある。
シェルが違うしリード線が違う。ビスも違う。
202Cにはもう少し重めで強靭なシェルを使うと良い気もした。いずれ試してみたい。
取りあえずどちらか片方持っていたら、わざわざ持っていない方を買い求める必要はないと思う。
針を差し替えての傾向もほぼ同一で、正統派の香り漂う楕円針ボロンカンチレバー、
悪くないのだが使いこないを要求する、楕円針アルミカンチレバー。
そして密かに好きな丸針アルミカンチレバー。
お好みのソースで召し上がれ、という感じ。
いや、しかし、どいつもこいつも高性能過ぎるぜぃ!
4月20日
T4Pのネタになったら隠しておけない?EPC-310MC登板。
去年だったか、未開封新品を頂いたということで簡単にお披露目はしたがその後丁重にカートリッジキーパーに収められ
おねんね状態。
恐れ多くて、盆暮れ正月以外出せない気もする。
だが、先にも書いた様に、生きているのは今だから、あまり惜しまず使った方が良いと相成った。
そもそもはジャストジャケットサイズ一号機SL-10と共に産み落とされた物。
単売もEPC-P310MCとしてされていて、当時25.000円。
ピュアボロンカンチレバー採用。コアレスツインリングコイルということで空芯だ。
インピーダンスは30Ω。
SL-10の場合はこれに合わせたヘッドアンプを内蔵していた。
今回はPX-2→SY-88のMC入力で聴く。
音だが、やはり同じテクニクスであっても、立て続けに聴いてきたMM属とはちょっと違う。
いや、202C辺りとは血が同じというのは感じる。それは芯の強さだったり明確であろうという意思を感じる音だったりする。
だが、310MCの方がより芯が強く、切れ込むにも力を感じさせる。
MMだから、MCだから、というのもあるが、ハウジングの強靭さなどで202Cに差を付けるのかもしれない。
ただ、その辺含めて、要はトータルでの音作りなので、どっちが上などと思わない方が良い。
MM属の、時にふぁ〜っと聴かせる要素というのも変えがたい物がある。
どちらにしても素敵なカートリッジなのは間違いなし。
やっぱりもったいなくて、再び丁重にキーパーに戻す私は小心者です(汗)
4月21日
この辺でそろそろ春のアナログ祭りは終わり…
と思ったのだが手が勝手にカートリッジキーパーに伸びている?
ま、聴けるうちに聴きましょう。
という事で今度はパイオニア。PC-41MCだ。
針交換式、高出力MCでMM入力で使える、というか使わなくてはいけないタイプ。
詳細は過去17年間の内に何度も書いているから省略。
これがまた贅沢な事にV24Cさんの炭化ケイ素シェルに取り付けられている。ただしこちらは重さ18gタイプ。
PX-2で使いたいのだがこれでは重量オーバー?
いや、さすがにカートリッジ本体が軽いからこれでちょうど良いみたい。
いそいそと針を降ろすというかPX-2だからスイッチを押す。
音だが、テクニクス一族との対比で重心が下がる感じ。
良い意味でベースラインが聴きやすい。
全体に、過去の印象だともう少しハイ上がりにさえ感じるカートリッジだったのだが、今日は印象が違う。
どこか頭を抑えられる感じが無きにしも非ず。
そこでシェル交換。やはりPX-2だともう少しだけ軽量なというか軽妙なシェルの方が…と思うが手持ちに限界あり。
そこでサンスイの型番不詳のシェルを使う。
いかにも頼りない感じだが、これも実験のひとつ。ただ、ちょっとだけ重量付加する。
これでどうか?というと正解。重苦しさ減退。しかし下っ腹に力が入った感じはちゃんと残っている。
そして華やぎ一割増。
馬鹿みたいだが、これもやっぱり良いカートリッジだ。というか普通のレコードを聴くのにこれ以上のカートリッジが必要か?
多分、シェル交換でもっと良くなる。薄く丈夫で13gくらいの優秀なシェルが好ましい。
4月23日
…と書いた手前シェル交換。
アントレーに頼ってみる。
さすがに一歩前進?第三弾がこの場合バランスが良い?
というか三つとも特に問題なんかないのだが(汗)ここで後一発華やぎが欲しい気がして来た。
遂に第四弾。これまで一度も使っていなかったPX-2純正のシェルだ。
指掛け無し(不要)、軽量で見るからに工作精度イマイチな感じ(笑)
PC-41MC相手だと軽すぎてさすがにバランスもとれない。やむを得ずまたしてもスペーサーで重量付加。
これでどうよ?
…さすがに一番軽妙な感じ。
一概に悪いと言えない。ただ、どこか品位に欠ける感じ。
このあたり誠にさじ加減が難しい。
いい加減嫌になったが、毒食らわば皿までということでパイオニアの樹脂製シェルを持ち出した。
どんな音になるかとドキドキしたが、見かけ上の繊細さはこれが一番?
よくよく聴くと、あくまでも見かけ上の、であって、どこかごまかしの世界を感じるが、だからと言って悪いと言い切れない。
シェル選びは誠に重要。
ただ、やりすぎ厳禁。疲れてしまう。
パイオニアにテクニクスの音を求めても仕方ないという当然の帰結になる訳だ。
PC-41MCは対テクニクス属で、どちらかというと内声の充実が売り?
そして安定している。レコード片面掛ける間に何度も針を上げてクリーニングしたくなるテクニクスより大らか。
心安らかにレコードを掛けていられる。
優劣ではなく、狙う所が違うのである。
このパイオニアのカートリッジも、パイオニアのプレーヤー。さらにはコンポ込みで売れる目算があったから作れたが
単体で作るとなったら幾らの値付けになったかわからない。
実はそんな思いが強くて、ここ最近はプレーヤー付属みたいなカートリッジ達に肩入れしている。
数が出る事が見込めたからこそのローコストであり、製造原価がローコストだったわけじゃない。
お宝は案外足元に転がっていたりして…
4月24日
時代はMY電柱。
4月25日
やっぱり電源は大事だ。
ちまちま針の掃除などしている場合じゃない。
言いたくないが、オーディオも最後はマネーか。
ここ一番に奮発すると、別次元の世界が広がる。
今まで到底たどり着けなかった世界…
…というのは言うまでもなく真っ赤な嘘である。
電柱工事は本当だが、単に古い電柱の撤去。そして新しい電柱のお出ましだ。
新しくなるのは柱だけで、電線はそのまま移設だろう。
MY電柱。縁のない世界だ。
金があっても、まあやらないだろう。
フツーで居たいと思うばかりだ。
趣味の世界だから何でもありだが、だからなおの事フツーで居たい。
ああ、こんな事書くなんて、なんだかつまらない人間になってしまったような…
ところでそもそも何やってんだっけ?と考えたら
レコードの虫干しならぬ、一通り聴きだった。
一部を適当に床に撒いてみたが見事に脈絡がない。
更にいうと意思を持って買った覚えがまるでない。
何にでも対応することを強いられる装置は迷惑なことだろう。きっと。
4月26日
手持ちのレコードを片っ端から、なんて言っても本当に大した数が無い。
なんだか悲しくなった…
でも、まあ良いか。
なんというか、本当に手放せないレコードっていうのは、人によって程度の差こそあれ限られると思う。
そういう意味では残す物が限定されている方が良いのかもしれない。
それでも、全部聴こうとなったらどれだけの時間が掛かるか?
ハードディスクに何千曲と収めている人はもっと大変なのかな?
禁欲とは程遠い人間だが、でもやっぱり音楽というのはそんな簡単に手に入らない方が良いと思う。
昔々、レコードを一年に二枚とか三枚とかしか買えなかった若者と、今の若者とどちらが幸せだろう?
僕の答えは昔の若者の方が幸せだった、だ。もちろん結論は人によって正反対で一向にかまわない。
高校の時、友達と三人で渋谷にレコードを買いに出かけた。
懐かしい思い出だ。
一丁前に輸入盤屋さんなんか巡った。
何時間も掛けてレコードを選ぶのだ。今では到底出来ない時間の使い方だ。
途中でNHKホールの見学なんかもした。どういう流れでそうなったのか思い出せない。
留めに、急に担任の先生のお宅へお邪魔しようということになり、夕方だったか、急襲した。
先生って稼業も大変だなーと妙に感心した。
買ったものの、なんだかなー、というレコードもあったけど、何しろ手持ちが無いし、大枚叩いて買ったから無理してでも聴く。
その内なんとなく良さがわかってくる、なんて事もあった。それで良いのである。
適当に棚からレコードを出していると、そんな時代に買った物達も出て来る。
本やCDは物凄い勢いで捨ててしまうのだが、アナログレコードは捨てがたいというのは当時沁みついた想いのなせる業だろう。
ただ、聴く耳がやはりオーマニというか、音楽というよりも音を聴いてしまう所がさすがというか、悲しいというか…
でも、ここが面白いところで、何百回と聴いているはずなのに、2017年春の今聴く音が一番良いと思えるレコードがたまに出て来る。
ここが面白い。やはりアナログレコードならでは、かな?
フロイドの「炎」がその一枚。
このレコードは「狂気」を買ったつもりが間違っていたというお笑いの一枚。
生意気に輸入盤で、なんて買うからこういう目に遭う。家で開封して唖然とした記憶は今も生々しい。
もちろん元々ある程度のクオリティで録られている盤なのは承知しているがPX-2+テクニクス族で聴くと、それも一際、という感じ。
4月27日
「狂気」も、もちろん手に入れているが、確か大学に入ってから後の事だったか…
性懲りもなく輸入盤だが、買った当初から盤質イマイチと感じていた。
久々に出してみたら、そこに更にプチプチが増えて…
迷ったが水洗い。
これが今回は上手く行った♪
買った当初よりも音が良いと思った(笑)
ただ、レコードとして思い入れがあるのは「炎」の方か。
間違っちゃったんだ…と項垂れながら、たくさん聴いた。
ラジオのチューニングみたいな音が入って、そこから「Wish You were Hire」に雪崩れ込む所なんか
特に好きだった。
さて、しかし見た覚えもないレコードも出て来るのだが
「ON THE STREET CORNER」もその一枚。
これはかみさんが持ち込んだ物だろう。
盤質は大変良い。多分買ってすぐテープに落として
二度と針を降ろさなかったパターンだ。
かえって緊張してしまう。人さまのレコードというのはやりづらい。
全く聴かなくても無埃室にでも保管しない限りレコードは劣化する。
プチプチが少し聴こえるが、そんな訳で水分を使うのもためらう。
何度か針を通して、最もオーソドックスだが盤面を乾式クリーナーで丹念にお手入れ。
面倒だが二〜三回これを繰り返して解決してくれるなら
それくらいが一番だ。
4月28日
いつの間にかソフト紹介日記に?
まあ良いじゃありませんか。
フロイドと来たらクリムゾンである。
しかしこのジャケットはいつ見ても凄い。玄関に飾って魔除けに使いたいくらいだ。
この盤は大学三年の時に中古で買ったと記憶している。
久々に出したが盤質良好。不思議なものだ。
そして音が極めて真面目に録られている事に気づく。
これは昔「RED」のDVDオーディオ盤を取り上げた時に同じ事を書いたが、
ガキの頃はそんな事に気づきもしかなったのだ。
ロックというジャンルでSACDだの高音質CDだの、リマスターだのと笑止千万という気もしていたが
こうして聴くと、高音質盤もあってしかるべし?
ま、そんな事を今更言わなくても、この手の大御所は出せばある程度商売になるから、
焼き直し(失礼!)は繰り返されると相場が決まっている。
ついでに言ってしまうと、アナログで持っていなくてもCD等で良いと思っていたのだが
、今目の前で鳴っているような音がCDその他で出るかというと、
アナログ盤で持っている意義はあると感じる今日この頃。
これはアナログの方が高音質とか、そういう事とは話が違って、
上手くレコードを演奏出来た時の面白み、みたいなお話し。
仮に高音質だとしても、この種のジャンルでいう高音質は、生楽器を鮮度高く、
品位高く録るというのとは意味がまるで違うと僕は思っている。