5月19日

しかしカセットというネタは何故か和む

オーディオマニアであろうと無かろうと、
今40歳以上位の人間はコンパクトカセットというものに
大変お世話になったはず
だ。
足を向けて眠れない人も多いはず。
僕もその一人だろう。

昔、レコードはブルジョアの?買う物だった。
庶民はFMエアチェック。そしてカセットと決まっていた?のだ。

ウルトラマン抜きで幼年期、少年期が成り立たなかった様に
青春期、思春期はカセット抜きでは成り立たなかった。

それなのに、その恩を忘れて何がMDだ。
何がDCCだ。何がDATだ。
挙げ句にiPodとは何事だ?

あんなにお世話になったカセットは
もはや窓際族を通り越して
歴史の一ページになりつつある。


しかしカセットテープというのは案外丈夫な物である。

もちろんシビアに見れば音質劣化とか
色々あるのはわかる。

それでも30年前のカセットでも
取り立てて問題なく聴けてしまうものだ。

よく、テープが伸びて…などという話しも訊いたが
僕個人はテープを駄目にしてしまった経験はほとんど無い。

むしろビデオテープやDATテープなどの方がトラブルがあった。

MDやCDは信じてはいるが、
恐いのはとにかく読めないとなったら何がどうしても再生不能なこと。
アナログは案外逞しい物なのだ。

また、音についても優秀だ。
まあこれには“充分調整された”という但し書きが付くが
良く手入れされたカセットの音はソース次第で
下手なCDを凌ぐということも体験させて貰っている。


さて…


5月20日

とっとと突っ込みを喰らってしまったが(爆)
そう、SONYのTC-K75だ。

実はこれも捨てられていた。

僕は録音機には手を出さない事にしているので
(そう言いながら4〜5台は確かあったと思う。汗)
拾うつもりは無かったのだが
KX-640を見た事もあってつい捕獲してしまった。
もちろん3ヘッド機である事を確認したからなのだが…


TC-K75'79年(あるいは'80年)の製品。

先にTC-K55及び65が発売され
満を持して登場。
当時94.800円

3ヘッド2モーターデュアルキャプスタンス

この後名器777が出てくる。

カセットデッキの系譜というのは調べていくと面白いが
手に負えないところがある。
非常に製品のサイクルが速く、次々モデルチェンジしているからだ。

しかも同時期に、同メーカーから、ちょっと趣向の異なる
シリーズが並行して出ていたりするから
それらを整然と整理するのは困難至極

取り敢えず大雑把な流れでいうと、
この時期カセットデッキは“メタル対応”が始まっている。

それから、'70年代中盤までは高嶺の花以外の何ものでも
無かった3ヘッド機が普及価格帯にも登場している。

プログラム再生的な方向に走る製品も多かった。
これはマイコンの普及の影響か。

マイコン繋がりで行くと、やたらとテープに対する調整が細かく出来る様になっているのも
この頃の特徴。

ただし、マイコンでオートチューンというのもあれば
手動で各種調整というのもあり、これは両雄一歩も譲らすの感じ。
K75は後者でありチューニングは手動。




5月21日

'70年代後半のオーディオの主役はカセットデッキだったのではないかと思う。

エアチェックに必要だったし、
レコードもわざわざカセットに録って聴くという人が多かった。

しかし、僕は最初カセットデッキを持っていなかった。

レコードプレーヤー、アンプ、チューナーはある。
スピーカーも勿論あった。
しかしカセットデッキが無かったのである。

これは当時としては片手落ちとしか言いようが無かった。

親に買ってくれと絶対に言いたくなかった年頃。
一夏のバイト代をつぎ込んで、高校一年生の時だったかと
思うが初めてのカセットデッキを買った。

これがパイオニア製で、たしかCT-700と言ったと思う。

さんざん検討して買った割には、今ひとつという気がする
“迷器”であった。

…というほど当時音がわかって居たのかというと
怪しいものだが、ローブーストハイ落ちの柔らかい音作り。
やけにでかい図体。

それは良かったのだが、何がいけなかったといって
このデッキテープ終演時のメカの落ち方が本当に乱暴だった。

ガチャン!ともの凄い音がしてヘッドその他が落ちるのだが
やっぱりこれはまずかったみたいで、
何年か後、高域発振を起こしてツイーターを一本
焼き切ってしまった


30年以上経って初めて言うのだから許して欲しい
軽い欠陥商品だったのではなかろーか?


などと言ったがこのデッキにはさんざんお世話になった

当時録ったテープもしっかり残っている。

そして今気づいたが、これ以降新品のカセットデッキというのは
買っていない(!)
なんちゅーこっちゃ…(汗)

まあとにかく当時の学生さんはカセット無しでは
夜が明けなかったし日も暮れなかった


録音そのものに多少腕が必要だったから
音の良いテープを提供出来る男子は、
女子から多少尊敬もされた
(ホントは体よく利用されていただけ?)

デッキ二台持ち寄ってダビングをしたり
(Wデッキなんて高嶺の花だった)
マイクで演奏を録音してみたり、
今思えば随分アクティブだなぁ〜。

TC-K75の登場が'79年

'79年。その頃世界は熱かった

いや、単に自分が熱かったのだろう。

'79年と言えば第二次オイルショックだ。

しかしホンダCB-400F亡き後を埋める形で登場した
カワサキZ-400FXは馬鹿売れしていたし
ホンダが放ったユーロスタイルのDOHC16バルブのナナハン
CB-750Fは400CC並の売れ行きを示していた。

ガソリンがリッター170円に迫っていた時代だったが
世の中に元気があったのだろうか。

まあ何でも良いがあれからざっと30年の年月が経っている。

それを生き延びて来たK75お疲れ様
まずは言いたい。


5月22日

調べてみたら別冊FMfan24号='79年冬号にK75の
広告が出ていた。
一応'79年の発売と見なせる。
(実売スタートが'80年1月だったらごめんなさい)

突然ですが、ターンテーブルの話から聞いてください
というキャッチコピーが目を惹く。

おお、聞いてやろうじゃないか、というものの、
なんじゃ?そりゃ?

ちゃんと広告文を読むと…

「デッキを評価する一番のポイントは、
テープとヘッドのタッチの問題」

「このヘッドタッチを完璧にするためにメカ部分まで気をつかい、
レコードプレーヤーではすでにおなじみのデッドニングを
カセットデッキのフライホイールに応用したのです

と書かれている。

どうもわかる様なわからない様なだが
クローズドループデュアルキャプスタン採用。
録音、再生ヘッドは独立としながらも
録音、再生ヘッドのギャップを近接して
(テープの)パッドとの圧着を均一化
定速走行用BSLグリーンモーターと
早巻用ハイトルクモーターを
専用化した2モーターシンプルメカニズム。

ってことか、ってまとめたら
当時の担当は怒る…。いや、とっくに引退しているだろうから
大丈夫?

取り敢えず重量は6.3s

姉妹機はK65が73.800円(RMS採用)
K55が59.800円(10モードフルロジック操作)
K45Mが49.800円(メタルには対応している)


5月23日

さて、能書きはさておいて29年前の
しかも捨てられていたカセットデッキが果たして正常な状態であるものか?

何しろ拾ってくるのだから自宅で電源を入れてみるまで
生きているか死んでいるかすらわからない。

このあたりに心がときめくかどうかが
立派なジャンカーかどうかの分かれ目になる?

電源を入れてみると通電はOK
ランプ切れやLEDの欠けも無い。

まず安心。

ところが!

何と操作スイッチが反応しない…(汗)

このデッキの場合ピアノスイッチではないのだから
“ちょん”とPLAYボタンなど触ればたちどころにキャプスタンが
回りヘッドも上がらなければならない。


あああ〜、人生初の3ヘッド機導入の夢は潰えたか…
とがっかりしながらも天板を剥ぎ中を覗いてみる。

覗いてもデッキみたいに複雑な物を
僕がどうにも出来る訳がない。

メーカーだって対応のしようがないし
かといって生産完了品でも修理してくれる業者さんに
大枚叩いてまで直して貰うほどの気合いもない。

いじいじと中を見てみると取り敢えずベルトは生きている
モーターも回っている。

プランジャーの固着かなぁ〜、とか思ってみるが
そうなると手に負えない。

が…

往生際悪く、デッキを縦に横にひっくり返している内に
何と!、スイッチが反応した
ではないか!

おおおおお〜、と喜んで取り敢えずヘッドフォンで聴いてみる。

音は無事出る!
それが正常な音かどうかは後にして、
とにかく音が出るのである。

その後スイッチを何度もカチャカチャやってみるが
PLAYもFFもRRもSTOPもキチンと作動する。

♪〜と思い眠りについたよっしーであった。

が…


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