7月11日

山の様なお宝カートリッジ達。

これだけあると、”たいていのカートリッジは試しました”
と胸を張っても大丈夫という位ある。

AT-
33系と来たら次は当然103系。

103もぞろり。

で、ここで問題はやっぱりリード線

これがまあ、なんと糸のように細い

元からリード線なんて太くはないが
これは一段と、いや二段三段細い。

しかし、出てくる音は?というと
これが実に美しく堂々とした物だから参る。

登場したのはビンテージワイヤーと呼ばれる物達。

WEブラックエナメル1957'sヴィンテージWE NO.23コイルワイヤー
WE パープルと進んだが、出てくる音はいわゆる103の音とは
随分違う。

ビンテーワイヤーと呼ばれる物達の底力を感じる。
そして同時に103というカートリッジの奥深さを垣間見る。

登場から30年だが、その可能性を全部引っ張り出せた人なんか
居ないに違いない。

いや、参りました。

だがしかし、本当の”参った!”はこの直後に来た。

ここで登場するのが…


7月17日

そう。驚愕すべき事はこの後起きた。

満を持してMC-L1000登場。

(シェルはLH18occ)

実はその手前でMC-L10というステップを踏むはずだったが
ちょっとしたトラブルがあっていきなりL-1000。

何しろず〜っと同じレコードの同じ箇所だけを聴いているので(笑)
だんだんこちらの耳も鈍化しかけていた。

が、L-1000の針先がレコード盤に着地した瞬間、
“ハッ”と目が覚めた思いだった。

とにかくスピーカーが変わってしまったような様な激変

思わず口が開いてしまう。

そしてさんざん拝聴したマライアの聞こえ方も
当然まるで違ってしまう。

この変化をどう表現したものか。

これが正解だとすると
ここまで拝聴した演奏はどこか統制がとれず
それぞれのミュージシャンが好き勝手をやって
ミキサーも制御を出来ていなかった…みたいな状態だったことになる。

それが今度は全然違う
全ての楽器のバランスが最高。
もちろんマライアも光り輝いている。

エンジニアが伝えたかった事は
正にこれなんだ、と勝手に決めて膝を叩くが
まず間違いあるまい。
出来ればその時のスタッフに。そしてマライアも招致して
ほらほら、って一緒に聴いて貰いたいような音だ。


しかし、凄い

L-1000やリード線に感激すべきなのだろうが
僕がまずここで改めて思い巡らせたのはFEバックロードが真価を発揮した時の
すさまじさ
だ。

市販スピーカーでは得難い音。

それでいて市販スピーカー上回る美しい音。

時としてそれが出てしまうのがFEユニットの
そして長岡式スピーカーの素晴らしさだろう。

モスビンさん使用のユニットはFE208S

その原型はFE203まで遡る。

恐ろしく古典的なユニット。

そんな物と合板を使った自作スピーカーで
まともな音はしない、という人もいるだろう。

だが、この音を聴けば黙るかもしれない。

“とにかくプレーヤーを換え、アンプを換え、カートリッジを換えるたび、
あれよあれよという間に変身、また変身、
10万円の音が100万円になった、といっても良いだろう。

これがFE-203バックロードの不思議なキャラクターなのである。

非常に古いユニットなのだが、球のアンプとは相性が悪く、
常にその時点での最新最高級のアンプと相性がいいという、
ある意味ではたいへんぜいたくなシステムともいえる”

これはオーディオクリニック中の長岡先生のコメントだが
本当にそうだとしか言いようがない


7月19日

真価を発揮したD-57の凄さに驚愕しつつ、
改めて思ったのは長岡スピーカーというのは本当にハイCPなのか?
ということ。

なるほど確かに比較的安価な装置でも
音離れ良く気持ち良い音を聴かせてくれる。

だがしかし、その先、もっと高見へ、となると
上流の装置に結構な金額を要求する。

例えばD-57自体は材料費だけで計算すれば一本
10万円もしない
で製作可能だ。
(ツイーターに何を使うか、板材にどんな物を使うかで
結構異なるが)

対してここに一本50万円のスピーカーがあったとする。

単純な比較ではもちろん後者の方が高い。

だが、そのスピーカーがあまりアンプ等の違いに影響されない
タイプだったらどうだろう?

仮に30万円位のアンプで充分良く鳴り、
逆に100万、200万のアンプを奢ってもそんなに
如実には違いを出さない
(つまりそのスピーカーのキャラクターで鳴り続ける)
としたらこちらは都合130万円で幸せな世界が訪れる事になる。

対してD-57は10万円のアンプでも楽しく鳴るが
実際には100万円のアンプでも物足りず、150万
200万掛けたなりの違いを出してくるとなると
これは合算で180万、250万と要求してくるのかもしれない。

…こう考えるとFEを使った長岡スピーカーというのは
結構な食わせ物?とさえ思えてくる。



まあ今はアンプの違いで例えてみたが、
今回モスビンさんのお宅では
アンプもプレーヤーももちろん一定で
カートリッジ及びシェルリード線のグレードを
上げていくだけで
音はガンガン変わってしまった。

まあやっぱり凄いものだ。

機材ばかり誉めてしまったが、もちろんここに至るまでの
モスビンさんの悪戦苦闘があった故の成果なのは申すまでもない。

何でもそうだが、やるとなったら突き詰めないと
ある線は越えられないのかもしれない。

長岡スピーカーでスタートして、最初は喜んでいたけれど
途中で疑いを持って違う路線を突き詰める、というのも一つ。

だが一方で、“絶対にやってやる”と思って
長岡スピーカーなら長岡スピーカーを突き詰めてみるのも一つと
今回痛感した。

僕は幸いにして長岡スピーカーで
アッと驚くような音を聴かせて頂ける経験が多いから
ラッキーなヤツとも言える。

それにしてもこれだけの違いを突きつけてくる
L-1000とリード線というのはいったい何なのか?

恐ろしい世界もあったもんだ。

…と締めくくるとこれで終わりと思われるかもしれない。

だがしかし、何と更にもう一段隠し球があった。

それは…


7月20日

いけない、ちょっと先走ってしまった。

L-1000のところでちょっと補足をしなくては…

モスビンさん、実はL-1000を五〜六本お持ちだ。

もちろん複数のシェルリード線を試すためなのだが
お気に入りのL-1000のために、ここには特に強烈な
バージョン
が織り込まれている。

この日だけでも四種類登場で、
ステージ101103106EVO.1106EVO.2

と拝聴。

ステージ、はその名の通り段階みたいなもので
数が上がる程に改良版。
そこにEVOが付くと、これはエボリューションの意味で
更に進化系?

その内容を正確に記すにはメモでも取るか
録音でもしてくるかしかないと思う。
(モスビンさん、良かったら解説して〜♪)

まあとにかく研究、開発に掛ける情熱が素晴らしい。

音はそれぞれどう違ったか?というと
今では説明不能。

何だ、違わなかったのか?と言われそうだがそうではない。
こちらのメモリーが追いつかなくなってしまっただけなのだ。

ただ一つ、これだけは言えるのはステージ初段の方の物でも
充分凄い
ということ。
そこから先はもうお好みで、としか申し上げようがない。

L-1000を鳴らし抜くリード線達とも言えそうだ。

下手な写真をいっぱい撮って
使い物になるのが一枚二枚というは毎度のこと(汗)

しかし見て欲しい、この線材やハンダの凄さ。

日夜研究。

その中でビンテージワイヤーの凄さに触れたり、
あるいはハンダによる音の違いに自身で驚愕されたりと
モスビンさんのオーディオライフに停滞や飽きは無いという感じ。

結果だけを拝聴するこちらは至って気軽なものだが
その陰の苦労たるや想像を越えるものがあろう。

(そして次こそは、驚愕第二弾のお話し…のはず…)


7月25日

すっかり度肝を抜かれて放心状態のところに
とどめがやってきた。

写真がまともでなくて申し訳ないが
IKEDAがずらり。

思わず心の中で
イケダイケダイケダイケダイーケーダぁ〜
と唄うが、考えたらあれは“タケダ”であって“イケダ”ではない。

まあ、ほとんどの人がこれを見ただけで牛さんになるだろう。
涎がダラダラ…である。


涎は良いがIKEDAはとにかくバリエーションが多い

IEKADAマニアなら暗記出来ているのだろうが
浅学な僕がこれから覚えるのは
山手線の駅を全部覚えろと言われるに等しく
困難極まりない。

この時拝聴したのはIKEDA 9CV、同(オメガ)、そして9EMP

それぞれビミョーに違うが、どれも確かにIKEDAである。

が、もう余計な事は省略しよう。
とどめのとどめ
IKEDAスプレモ登場。しかもゴールドである。

こんな物滅多に拝めるものではない。

価格35万円(!)
シェル一体型で自重47g
IKEDAのアーム以外ではまず使えそうにない。

外観は特異…という線を越えている。
あるいは“奇異”かもしれない。
どこか“宇宙船”を思い出させる。
いや、“宇宙人”かも?
ぴょこんと伸びた指掛けが愛くるしい。



さあしかし、特異なのは外観だけではない

音も凄い。

もちろん聴くのは“マライア”である(笑)

だが、しかしこれは凄い。
L-1000軍団にノックアウトされて垂れていた頭を
下からもう一度蹴り上げられた様なショックだ。

L-1000で充分と思えたマライアがここではまた
より一層よく謡う

L-1000で聴くマライアがどこか冷静さを保ち
ミキシングコンソールのこっち側から観る感じを残していたのに対し
スプレモでは正にマライア様がこの場に降臨している。

…と書くとまるでスプレモは恐山のイタコみたいだが
とにかくモスビンさんはスプレモを使って自室にマライア
呼び入れる事に成功している。

これも一種の超常現象か。

(次回いよいよ大団円のはず?)


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