9月14日

一応あらためてだが、CDP-777ESA+
PRA-2000+HMA-9500+ティファニーのスピーカー部
システムはヤマハの防音室、アビテックスミニ
(今年モデルチェンジしてセフィーネと名称も変更)
の中に収まっている。

よし妻さんのお教室に設置されているアビテックスミニは
4.3畳タイプで既製のボックスサイズとしては最大のもの。

当然ここにはピアノが納まっている。

音を出す者なら必ず憧れる防音のお部屋。

いつかは…と思ってから15年くらいが経ってしまっていた。

いや、よっしーは中学の頃から憧れていたのだから
足掛けで言うと30年くらい掛かっている。

気の長い話しである。


念願の防音室。

さて、さぞかし良い音がするだろうという期待は
実は持っていなかった。

基本的にアビテックスミニは楽器演奏者の為の防音室。
オーディオ用ではないと最初から思っていたのだ。

それでもせっかくだからと持ち込まれたコンコルド105
実にこの部屋に不向きであった。

その事に気がつくまで残念ながら随分掛かってしまった訳だし、
更にこの部屋で良い音が出せると気がつくまではもっと時間が掛かってしまったのだから
何とも間抜けな話しである。

ここ数年の実体験から思ったのは
部屋というのは広いから良いとも狭いから駄目だとも
言えないということ。

エアボリュームがあれば有ったで苦労する。
無いから駄目だとは限らない。

小さいスピーカーだから狭い所向きとは限らない。
ほぼ同サイズのスピーカーでも
性格はまるで違う事もある。

とにかくやってみなきゃ本当のところは
わからない
という事だけは断言して良さそうだ。

さて、↑はアビテックスの概念図

簡単に言うと部屋の中に部屋を作るという考え方。

図を参照頂きたいが
まず浮き床(空中に浮いている訳ではない)を作り
そこに防音壁を立て、(図では見えないが)
その壁の上に天井を載せるという発想。

だが、面白いものでアビテックスミニはこの通りの作りにはなっていない

何が違うのか?というと
床と壁が接触していないという点が大違いなのだ。

そう言われてもわかりにくいと仰るだろうから
今一度組み立て時の画像を見て頂きながら
説明しよう。


まず最初に床ライナーと呼ばれる
薄っぺらい板が敷かれる。


このライナーにはこの様な
ガイドが付いている。

何のガイドかというと…


このガイドに沿って
防音壁を立てていくのだ。

防音壁は連結されて行くに連れ
キチンと自立をするようになる仕組み。


床はアビテックスミニの場合
このような形の分割浮き床

要するに一枚板ではなく
何ピースにも分けた板材
床を構築しているわけだ。

床を分断することによって
振動も分断され床全体が
鳴ってしまう可能性が低くなる。

設置の容易さも含めて優れた考えだと
思う。

そしてこの床は壁とは接触していない
それによって、床振動が壁を伝って行く
可能性を低く出来る。
これも素晴らしい発想だと思う。


全部組み立てる前にピアノを入れてしまう。

写真を良く見ると天井がワンピース載っているのが
わかると思う。

天井も分割形式であり、
基本的には壁の上に載っかる形で作り上げられる。


9月16日

それにしても壁は自立していて
床と非接触というのは面白い発想だ。

理屈で考えると床の振動は壁にも天井にも伝わらない
事になる。
(註 音圧で揺さぶられるのは別)

しかも床が分割と言うことは、床全体が鳴るという
心配も減る
わけだ。

だから、とわざわざ分割浮き床にちょうど良いサイズの
スピーカースタンドを作ってそこにスピーカーを載せたのが
最初のステップ。

ところがこの時は音がイマイチだったから面白い。

いや、あんまり面白くなかった…。その段では、だ。

その後開き直ってスペースファクター最優先で
スピーカーを天吊りにしたら、これが大正解

頭の中でいくら考えても
実際の結果はその通りにならない
という
良い見本なのかもしれない。


9月17日

それにしても天吊りとか言うのは
オーディオ誌をひっくり返しても
あまり出てこない

スペースファクターだけ考えれば最高の方法と言えるのだが
マニアのスピーカーというのは大地に根ざさないと
ならないと思われているのだろう。
(何を隠そう僕もそう思っていた)

巨大なフロアータイプのスピーカーはともかく
小型スピーカーならではのセッティングの自由度を
もっと活かす方向の検証
はあっても良さそうだ。

BOSEなんかは豊富なブラケット類を用意してくれているが
(僕が使っているのもBOSE社の物)
一つの見識だと思う。

後は…と考えるとヤマハは熱心かもしれない。
民生用もAVに対応するべくだろうが割と豊富。

そしてプロフェッショナルオーディオ用のカタログを見ると
更に色々なブラケットが載っている事に気づく。

今回僕は天吊りでやってみたが
壁付け、あるいはポールに固定するなんて方法も選べる訳だ。

色々探れたら面白い。
ただ、大きなネックが一つ。

それは肝心のスピーカーの方が
ブラケット対応になっていることが稀
だということ。

非対応のスピーカーに雌ねじを埋め込んで…
なんて加工をしたい人はあまりいないと思う。

もちろん、僕だってそうで、今回は最初からスピーカーが
ブラケット対応だからやってみた。

いや、もっと正確に言うと、ブラケット対応だから
拾ってきた
と言うべきか。


9月19日

などと書いていたらひょっこりBOSEに出くわした。

それもおあつらえ向けにマイクスタンドにマウントされている。
思わずネタ用に写真をパチリ。

簡単なPA用としての使用。
なので後方まで音が通る様に、と高さを求められてこうなっている。

こうしてみると、やっぱりBOSEってサービス精神
富んだ会社だな、と思ってしまう。

そう言えば折りもおり、オーディオベーシック誌の最新号
キーパーソンインタビューでBOSE社が取り上げられていた。

その取材後記で長濱貞治さんがBOSEのカタログを見ると
スピーカーの数ほどブラケット(取り付け金具)が
ラインナップされていることに驚いて欲しい
”と書かれている。

使い手第一の哲学に拍手を贈りたい。

ところで僕が撮った写真は、もちろん101MMの物。

'82年登場の名器で、「小型スピーカーでも良い音がする」
という概念を多くの人に持たせた、歴史に残る一本だろう。

それをこの様に中空に浮かべた如くのセッティングにすると
正に遮る物の無い音場が展開するのでは?

この日それを確かめる事は叶わなかったが
きっとそうに違いない。

それにしても、様々なセッティングを可能にすると言うことは
一般家庭用のオーディオ装置にとって非常に大事な要素だと
思うのだが、実はこの辺ほとんど議題に上がらない?

ムムム…とあらためて考えてしまった。


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