ここでいよいよULTRA500登場。 発売は’85年。当時は10万円と謳われているが ’90年頃の雑誌にも掲載はされていて それによると8万円となっている。 この間に消費税導入&物品税廃止があったので そのためと推測される。 いずれにしても高価なMMカートリッジであることに間違いない。 出力電圧3.2mV。針圧1.2g。 それは普通だが自重9.3gはなかなか重い。 実際手に取るとズッシリと感じる。 ルックス的にはシュアーTypeVが太ったみたいな感じなのだが 金属で包まれたボディーは高級感というか凄みがある。 TypeVが普通のセダンだとすると ULTRA500の方はオーバーフェンダー標準装備の スーパーセダンという出で立ちだ。
V−15V−MRで採用されたマイクロリッジ針や ベリリウムカンチレバーが継承されている。 又、ダイナミックスタビライザーも装備で、これはTypeW以来。 そしてボディ構造は数枚のラミネート化したポールピースで これはTypeVの時代まで遡った技術。 つまりULTRA500はシュアーMMシリーズの集大成的存在といえる。 現在このULTRA500を見掛ける事は大変稀だが これは一品一品を厳密に作る姿勢の製品だったため 流通量があまり無かったからではないかと推測される。 そしてもうひとつ言うと、’85年当時10万円というのは なかなか高価だ。これも数が出回らなかった一因に違いない。 もちろんシュアーもラインナップは考えていて ULTRAシリーズは500の他に400、300といった下位機種も 併せて用意していた。
調べ物は大抵音を聴いた後でする。 短気なのでまずは音を聴いてしまわないと気が済まないのだ。(笑) さて、前口上を抜きにして、針を降ろせば このカートリッジがただ者ではないことがすぐにわかる。 TypeX−MRとVx−MRの違いはあくまでも同系列の中での 違いだったが、ULTRA500はそれらと次元が違う。 音が出た瞬間から口が半開きになってしまった。 それくらい違う。 これは音に関心を持っている者同士が並んで共に聴けば 必ずわかってしまう違いだ。 とにかく大変生真面目で正確な音がする。 人も様々だし機械も様々だから好みはあって当たり前。 その意味でいうとTypeX系の音など一種のテイストがあるので それがツボに嵌れば最高の一言だと思う。 そしてそのような味わいを持った機材というのは 高価か安価かとは関係なくたくさん存在する。 ただ、それらを秘伝のソースで音を仕上げている タイプと例えるとすると、ULTRA500は素材の味のままを 出来るだけ出してこようとするタイプだと言える。 TypeXに代表されるシリーズが優秀だけど庶民の出だとすると ULTRA500は生まれも育ちもエリート系という感じ。 毛並みが異なるとはこういう事なのかな?と 自分自身も庶民代表のよっしーとしては多少悔しい気もするが 認めざるを得ない音がする。
説明になってしまったが、とにかくULTRA500は ある日忽然と現れた、シュアーの隠れた長男坊みたいな存在だ。 音の方はレコード次第、他の装置次第みたいな感じで “あなた達がキチンとやってくれるなら私もちゃんとやりますが” とカートリッジが呟いている? あえて難癖つけるなら、弾むようなとか踊るようなといった 演出をしてくれないので、そのあたりで欲求不満を感じさせられる事も あるかな?という感じ。 面白いものでそのあたりを解消したいと思うと 同じレコードをVx−MRで聴きたくなるし、 もう少し冷静さが欲しいなと思うとULTRA500で 聴きたくなる。(笑) やっぱり人間って無い物ねだりをする生き物なのですね…。 しかし、こりゃ凄いカートリッジです。(汗)
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