9月19日

ここでいよいよULTRA500登場。

発売は’85年。当時は10万円と謳われているが
’90年頃の雑誌にも掲載はされていて
それによると8万円となっている。
この間に消費税導入&物品税廃止があったので
そのためと推測される。
いずれにしても高価なMMカートリッジであることに間違いない。

出力電圧3.2mV。針圧1.2g。
それは普通だが自重9.3gはなかなか重い。
実際手に取るとズッシリと感じる。

ルックス的にはシュアーTypeVが太ったみたいな感じなのだが
金属で包まれたボディーは高級感というか凄みがある。
TypeVが普通のセダンだとすると
ULTRA500の方はオーバーフェンダー標準装備
スーパーセダンという出で立ちだ。


発売が後なのだから当然だが、ULTRA500では
V−15V−MRで採用されたマイクロリッジ針や
ベリリウムカンチレバーが継承されている。

又、ダイナミックスタビライザーも装備で、これはTypeW以来。
そしてボディ構造は数枚のラミネート化したポールピース
これはTypeVの時代まで遡った技術。

つまりULTRA500はシュアーMMシリーズの集大成的存在といえる。

現在このULTRA500を見掛ける事は大変稀だが
これは一品一品を厳密に作る姿勢の製品だったため
流通量があまり無かったからではないかと推測される。

そしてもうひとつ言うと、’85年当時10万円というのは
なかなか高価だ。これも数が出回らなかった一因に違いない。
もちろんシュアーもラインナップは考えていて
ULTRAシリーズは500の他に400、300といった下位機種も
併せて用意していた。


以上を踏まえた上で…と言いたいが
調べ物は大抵音を聴いたでする。
短気なのでまずは音を聴いてしまわないと気が済まないのだ。(笑)

さて、前口上を抜きにして、針を降ろせば
このカートリッジがただ者ではないことがすぐにわかる。

TypeX−MRとVx−MRの違いはあくまでも同系列の中での
違いだったが、ULTRA500はそれらと次元が違う。

音が出た瞬間から口が半開きになってしまった。
それくらい違う。
これは音に関心を持っている者同士が並んで共に聴けば
必ずわかってしまう違いだ。

とにかく大変生真面目で正確な音がする。

人も様々だし機械も様々だから好みはあって当たり前。

その意味でいうとTypeX系の音など一種のテイストがあるので
それがツボに嵌れば最高の一言だと思う。
そしてそのような味わいを持った機材というのは
高価か安価かとは関係なくたくさん存在する。

ただ、それらを秘伝のソースで音を仕上げている
タイプと例えるとすると、ULTRA500は素材の味のまま
出来るだけ出してこようとするタイプだと言える。

TypeXに代表されるシリーズが優秀だけど庶民の出だとすると
ULTRA500は生まれも育ちもエリート系という感じ。
毛並みが異なるとはこういう事なのかな?と
自分自身も庶民代表のよっしーとしては多少悔しい気もするが
認めざるを得ない音がする。


なんだかわかったんだかわからないんだか、わからないような?
説明になってしまったが、とにかくULTRA500は
ある日忽然と現れた、シュアーの隠れた長男坊みたいな存在だ。
音の方はレコード次第、他の装置次第みたいな感じで
あなた達がキチンとやってくれるなら私もちゃんとやりますが
とカートリッジが呟いている?

あえて難癖つけるなら、弾むようなとか踊るようなといった
演出をしてくれないので、そのあたりで欲求不満を感じさせられる事も
あるかな?という感じ。

面白いものでそのあたりを解消したいと思うと
同じレコードをVx−MRで聴きたくなるし、
もう少し冷静さが欲しいなと思うとULTRA500で
聴きたくなる。(笑)

やっぱり人間って無い物ねだりをする生き物なのですね…。

しかし、こりゃ凄いカートリッジです。(汗)


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