針のクリーニングにはもっぱらテクニカの AT607を使っている。 接眼鏡で見る限りはこれで充分綺麗になる。 世の中にはもっと凄い物もあるらしいが大抵高価で手が出ない。 そこへいくと607は安い。定価600円、実勢480円。 今日新しいのを一本買って来て使い始めたところ。
「絶版生活2」(株式会社ネコパブリッシング刊)。 よっしーは昔ライダーでした。 この本(ムック)に目が行ったのは、表紙にカワサキマッハVと ホンダCB−750FZが載っていたからに他ならない。 とは言ってもカワサキマッハVの登場は1968年なので 僕も現役ではお目に掛かっていない。 ’70年代末、カワサキSSシリーズは既にKHシリーズになっていた。 友達がKH−400なら乗っていたので乗ったことはあるが。 CB−750Fの方は後年必死で限定解除して それこそ最終の在庫、CB−750F2Cを手に入れた。
いけないのかもしれない。 だが、まあデジカメで僕がいい加減に写した写真を見て満足する人は 居ないだろうと推測する。 本物の写真は1000倍くらい美しい。 だからバイクが好きな人だったら是非書店でお求め下さい。 価格も980円と、この手の物にしては安い。 しかし、このカワサキマッハV500SSの美しさには参った。 これは’72年式の型式名H1Bという物なのだが、 僕にはなんとも艶めかしく悩ましく見える。 トータルのデザインが素晴らしいという一言で終わらせてはいけないのだろうが 上手い表現が見つからない。 クロームメッキの美しさ。塗装の素晴らしさ。 金属とゴムが織りなす世界なのだが こんなに素敵な世界から足を洗ってしまって 自分は良いのだろうか?と悩んでしまうくらいだ。
自分の原点があると認識してしまった。 だからオーディオをやっていてもトーンアームの美しさに ひときわ感心を持ってしまうのだろう。 アームが僕に与えてくれる世界は、どこかバイクに似ている。 ターンテーブルも然りで、我が家に10台近くある ターンテーブルの中で、居並ぶDD機を押しのけて 接していて一番楽しいのがMU−41というベルトドライブ機だったりするのだ。 これはどうにもしようがない。 それ以前にアナログ機器が好きというのは 結局エレクトロニクスよりメカニズムの方に感心が高いからなのだろう。 アンプ類のデザインにはこだわらないようで本当は拘りはある。 プリで言うとカウンターポイントSA3のスイッチやつまみの デザインは大好きだ。 パワーアンプはやっぱりHMA−9500Uが好きなのだと思う。 (9500MK1も良いが、パワースイッチが丸型というのが引っかかる。 MK2になって角形になったのは正解だと言える) などと言いつつ、さすがにデザインだけでオーディオ機器を 選ぶには至っていない自分は中途半端者なのだな、やっぱり。 困ったことにマッハVに乗りたくなってきた。 でも、その前に車庫で不動産となっている CB−750Fを立ち直らせる方が先か。 いや、その前にZ−400FXだろうか。 50万円くらいあればレストア可能だろうが こりゃやっぱり無理な相談だ。 トホホ…。
これが氷山の一角だとはお釈迦様でも気がつくまい? すみません、たくさんのカートリッジを拝借中です。 シリーズ、THEアナログカートリッジの世界!? 第一弾はシュアーでございます〜。 右からV15V−MR。V15VX。そしてULTRA500。
シュアーと言えばMM、MMと言えばシュアー。 正にMMの本家の、その中核を成すのがV−15シリーズ。 僕がオーディオに感心を持ったとき、すでにシュアーV−15TypeVは マニアなら一本は持っていないといけないかも?の勢いで浸透していた。 TypeVは’76年当時で34.500円。 中学生には高嶺の花だった。 V−15はその後TypeWへと進化。 これは更に好評を博し、当時のMMのスタンダードとして 国産各社がアンプのMM入力の音決めをする際に使ったとされる。 VとWで最大の違いは振動系。 Vは楕円針。Wはハイパーエリプティカル。つまり超楕円針。 カンチレバーはVがジュラルミンパイプの根本に ベリリウム丸棒を押し込んだ二重構造。 Wはジュラルミンパイプを二重にした二段テーパー。
Wになってダイナミックダンパー採用。 その他色々違うが、VはWの登場後もVHEなど派生モデルを産んで 併売されていた。 そして’82年に登場したのがTypeX。 これが又Wとはだいぶ違うが、変更点の一つにダンパーがある。 前述のダイナミックダンパーを廃してV同様の普通のダンパーに戻っている。 下の画像の第二図でaがWのダイナミックダンパー。 マグネット後方に突き出ているゴムの塊がダイナミックダンパーで、 これによって高域のピークを10kHzと22kHzの二つに分けて低く抑え込む。 bがXのダンパー。ごく普通のタイプ。 高域のピークを33kHzに追い上げる事が出来たので 普通のダンパーに戻ったとされる。 f特上もWは20kHz以上は急降下。 Xは40kHzまで伸びているらしい。
V−15V−MR。 一見MR針を採用しただけみたいに思えるが 実は振動系、コイル共に変更されている。 XでWに採用されていたダイナミックダンパーを止めたのは ローマス化で高域共振を可聴帯域外に追いやることが出来たからだが V−MRで高域共振は更に上の帯域に押しやられた。 これはVの針が0.1o円柱HEだったのに対して V−MRでは0.05×0.1o角柱ソリッドダイヤのMR針になったからだ。 その関係でコイル定数も変更されたのだが 直流抵抗はXの950ΩからV−MRは815Ωへ。 インダクタンスは変わらず、インピーダンスが Vの2.3kΩからX−MRは2.1kΩへと変わっている。 (以上、参考文献は別冊FMfan25.33、41号の 長岡鉄男カートリッジフルテストです。…っていうか引用多くて 長岡先生、ごめんなさい…。 画像も33号のV−15Vの項からの物です)
シュアー三兄弟?トップバッターはそのV−15V−MR。 接眼鏡で針先を覗くと、とても繊細そうなベリリウムパイプの カンチレバーの先に微少なチップが付いている。 ブラッシングも慎重に…。 音の方はパッと聴いて爽やか系。 スカッと抜けて、それでいて淡泊過ぎるということもなし。 ただ、ねっとり絡むという様な要素はあまり感じられない。 今回の個体を聴かせて頂く限りでは、シンバルとかの帯域に アクセントを感じる。 ポピュラー、JAZZには良いけどクラッシックにはきついかしら? と思ったが杞憂に終わる。 ギスギスする事はなく、むしろ弦が撥ねる感じなどを ピチピチと鮮度が高そうに表現してくれる。 さすがMMの名門は伊達ではない。 …書いちゃうと一瞬だけど(笑)諸々の調整もあって 実際に掛けている時間は相応のもの。 そしてV−MRの記憶が残る内にとVxMRへ…。 (続きます)
V−15Vx−MRの登場は’97年。 もうそんなに前の事になるのか?というのが個人的感想。 名器V−15V−MRの後継という位置づけとみるべきか。 外観はそっくり。 どこが違うのかというとスタイラスのノブの色が違う。 いや、色が違うだけでなくご丁寧にもVとVxでは互換性が無いという?。 なんとも親切設計?(汗) それは残念だがVx−MRのチップはマイクロリッジなのは同じだが 0.15×3.0ミルということでV−MRとはちょっと違う。 カンチレバーはベリリウム。 大筋において似通ったこの後継機、音はV−MRと違うのか?。
と、いきなり音に活気が無くなってしまってギョッとする。 V−MRが元気系だったことを差し引いてもこれはずいぶん違う? しかし、冷静になるとボリューム(正確にはアッテネーター)の 位置が同じにしては随分音量が小さい。 今調べてみたらV−MRの出力電圧3.2mVに対して Vx−MRは3.0mVとやや低い。 この違いが効いたのだろうか? そこでアッテネーターを弄って音量を揃える。 すると…。 これは好い音だ。 オリジナル?V−MRの、ややテンション高めの音を好む人も いて不思議ではないが、個人的にはVx−MRの方が好み。 一聴大人しめだが、品位はグンと高い。 それでいて音楽の聴かせ方が上手いというか何というか。 陳腐な表現をしてしまうと、真面目な高音域の下で 奔放な低音域が踊っている。 一種の2階建て構造だ? ほお〜、と感心させて お!、とドキドキさせる。 素敵なカートリッジだと思う。 それでいて為替の関係か、価格は旧来のシリーズに比べれば 随分下がっている。 やっぱり長生きはするもんだと改めて思ったりして…。 今でも買えるみたいだからありがたい。 そしてここでウルトラ500を…。 (続きます)
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