7月1日

SAECのダブルナイフの軸受けはこんな感じ。

とにかく高精度であるが故に使う方も気は配らないとならない。

例えばラテラルバランス。
左右のナイフエッジ軸受けに均等に荷重を掛ける必要があるから
このあたりシビアーな調整が必要。
又、バランスウエイトも極端な前より後よりは避けたい。
だからこそ407/23など豊富なオプションウエイトが用意されていた。

とにかく作り手の“気合い”に、使い手も“気合い”を入れて
応えないと許されない。
そんな感じのアームである。



今度は元祖?SME登場。

まあ今さらSMEについて説明というのも馬鹿らしいが、
一応解説。

(繰り返しになりますが、SAECとSMEに関しての元ネタは
別冊FMfan30号のトーンアーム徹底研究です。)

3012のプロトタイプが登場したのが’59年というから
僕より年上である。その後モデルチェンジはあったわけだが
基本的な所は不変といえば不変。

特色はナイフエッジだけにとどまらず色々あるが
それは省略しよう。



第一図がナイフエッジ部分を前方より見たところ。

といってもわかりにくいかも知れないけれどご容赦を。

ナイフエッジの受けがわずかにV字型になっているところがミソ。
これによってサイドスラスト受け無しでもナイフエッジが
常に軸受けの中心に位置するようになる。

第二図はナイフエッジ先端の横断面で
カーボンファイバーを精密鍛造して作られたエッジ先端は100μRくらいの
正確な半円形をしていて、軸受けに接する部分には
極めて薄く、かつ丈夫なテフロン(多分)コーティングがされている。



これによってエッジは受けに対して適度な弾性を持って接する事になる。
エッジ面で発生しやすいがたつきを完全に防止しつつ
カートリッジから伝えられる振動を確実にアームベースに受け渡す事が可能。

更に、誤って軸受けに多少過大な力を掛けた場合でも
カーボンファイバーの持つ弾性によって緩和されるため
エッジの破損も防止されるという。

エッジ先端が半円状になっているのは
機械的強度を増すためとアームの縦方向の動きに対して
適度なダンピングを掛けるためである。

この部分は、軽いカートリッジの場合は接触面積が小さく、
逆に重いカートリッジの場合は接触面の弾性変形のため
接触面積が広がり、どのような使用状況でも最適なダンピングが
掛かるようになっているというから恐れ入る。



ということで、徹底的に精密加工で型の追放をめざすSAECとは
ちょっとアプローチ方法が違うけれど、
このあたりの考え方の違いに、お国柄というか国民性というかが
見え隠れして面白い。

SMEのアーム(30XXシリーズ)は揺すれば動くとかガタがあるとかいうが
(すみません、あたしゃSMEは持っていない。汗)
だから悪いとかそんな事ではなく、一つの考えに基づいて
作られ続けているという事でありましょう。
なんというか、このあたりにイギリス人の老獪さが漂うみたいで
面白い。



KPの横置きナイフエッジ、SAECのダブルナイフエッジ、
SMEの元祖ナイフエッジと見てきたが、それぞれにそれぞれの優位性とか
面白さがあるのが楽しいところ。

どれが好きなの?と訊かれたら“全部好き”、とこたえます。(笑)
SME持ってないのは、10年後でもちゃんと手に入るだろうと思うから
先延ばしにしているだけです。

ただ、一つ言えるのはSMEやSAECに対してKPのは
格段に安いということ。
僕が手に入れた時で2万円台前半の値付けだった。
(今でも手に入るかどうかは知らないが)

「’84年カートリッジとプレーヤーの本」によると
KPのこのアームも開発時期が2〜3年早かったら単売の可能性もあったそうだ。
KP−880Dが登場した段階でCDも登場していたので
時既に遅しの感があって実現に至らなかったのでしょう。

価格面だけでなく、取り扱いの容易さも魅力。
やたらとシビアなメンテナンスが必要なのは僕としてはありがたくないし
調整箇所が多いアームも短気な僕には向いていない。(汗)

その点で考えてもKPのアームは扱い易い。
ゼロバランス取って普通に針圧を掛ければOK。
インサイドフォースキャンセラーの調整なんかも簡単。

1100/9010のアームなんかはシェル込み26〜27gのカートリッジまで
何とか使えるので、その点でも充分。



ただ、ルックスの面ではSMEみたいな優美さもSAECみたいな
機能美も持っていない?気がする。(笑)
それは仕方ない。…が、僕はこのちょっと安っぽい(失礼)ところも
愛している。

それはさておき、このお題の日記の最初の方で書いたけど
そもそも補修パーツなので設置には一工夫必要。
それからリフターなんかは使えないので不便も感じさせる。

DSアームに興味があったら、やっぱりKPごと使うのが
無難だし正解だと思います。

第一その方が安上がりに違いない。



7月7日

暑い一日だった。夜になってもまだ暑い。

だから…、とそればかりが理由ではないが
さすがにオーディオから遠のく時期だ。

なんというか、この暑いのに部屋を閉め切って音を出すというのは
やはり自然の摂理に逆らう行為じゃあなかろうか。
(今更何言ってる?。笑)

そんなわけで日記も滞り勝ちになる。



ただでさえ暑いのに、オーディオ装置というのは発熱するから困る。
写真のCDP−777ESAあたりでも結構に熱くなる。
もっともこれはラックの隙間が少ないからという説もあり
反省している、というか、だから電源を入れないようにしている?。



ちょっとだけこの夏良かったかな?と思ったのが
プリを外してパッシブコントローラーを使っている事。

パッシブという事は無電源だ。発熱無し
これは精神的に良い、というか嬉しい。

とにかく機器が熱くなるのは勝手?だが、
部屋まで暖まるのはありがたくない。
少しでも消費電力を抑えているのは精神的に宜しい?。

ついでに夏はポータブルCDを電池駆動で使おうか?。
そーすれば壁コンセントを使うのはパワーアンプくらいで済む。


7月10日

あまりの暑さに何もする気にならない?。
オーディオは完全にとまっている。
メールの返信や掲示板のレスとか滞り勝ちでごめんなさい。



↑いきなりなんですかぁ〜?という感じだけど
最近はかみさんの教室の方も力が入っている。

といっても僕は勤め人なのでもっぱら影で糸を引く係。
実行部隊はかみさんです。

でも、まあかねてより色々勉強していたことが
実践に移せるのは楽しいといえば楽しい。

集客に、お金はかかならないのです。」
藤村正宏さんの著書。これも楽しい一冊。

オーディオと関係ない?。
いえいえ、音楽とか音って店舗にとってすごく大事なんですよ。♪
以前から漠然と思っていたことを
ずばり指摘されてハッとする事が多いです。


7月11日

↑本の話しの続きをします。

とにかく“環境をガラッと変えるには音楽が一番安上がり”だとの事。
これには激しくうなづける。

BGMは非常に重要。
こう書けば当たり前と言われるけれど
案外これに無頓着なところも多い。

いや、他人様の批判などしている暇は今の自分にはない。
だからせっせと音楽について考えるようにした。

元々音楽やオーディオは好きなわけで、とりあえずは
そんなに困る事はない。
ただ、テーマを持たせたり戦略的に音楽を使うという点では
まだまだやりかけの部分がいっぱいある。
(それだけ今後の楽しみがあるということ)


ところで店舗のBGMというと天井埋め込みのスピーカーなど想像しがち。
僕も教室のあるマンションの天井にユニットを埋め込んで…なんて
一瞬考えた。

でも、藤井さんの本によると音は出来るだけ耳に近いところ
耳の高さ)から聞こえる方が良いそうな。

この言葉には俄然心を強くした。
だからスピーカーはコンコルドで、ラックに納めたままで
鳴らしている。

(このお話し続きます)


7月12日

ところでこの本は広告代理店に採用された途端に
北海道にある業績不振のカメラ店に赴任された風間君という
主人公と、JAZZ喫茶ジスイズの常連客トミーさんの対話という
形で進められる。
だから本文中には会話調の部分がいっぱい登場する。

こんな感じだ。

“よくあるでしょう。鈴虫の音を録音した環境音楽というのが。
あれを天井から流したらダメだってことはわかるよね。

上からの音というのは、なんとなく散漫になって、人間の意識に
残らないんだよ。これから商業施設のスピーカーは
平面スピーカーの時代になるかもしれないね。

仲間で平面スピーカーを開発している男がいるんだ。
柳川真之さんっていうんだけどね。
何とロスアンゼルスに事務所を持ってやっているんだよ。

総合商社に勤めているときにね、テーマパークの企画会社の
社長をしたりしていたんだ。
バルブ崩壊もあり会社をたたんだあと独立してね。

そうそう平面スピーカーといっても形が平面ということもあるけどね、
平面波を出すスピーカーという意味なんだよ。
音源をチップ化してね平面に並べんだ。
普通のスピーカーは点から音を発するだろ、
根本的に違うんだ。
だから音源から離れても減衰しないんだよ。

ロスアンゼルスの実験室で聴いたプロトタイプの音は衝撃的だったね。
私の家にもありますよ、簡易型のプロトタイプだけど。”

…と、まあこんな感じで続く。

もちろん風間君もトミーさんも実在の人物ではない
(モデルはそれぞれに居るらしい)
柳川真之さんが実在するのか?
ロスで平面スピーカーを開発しているのかどうかはわからない。

ただ、平面スピーカー云々の下り一つとっても
なかなかリアリティがある。

これを読んだ後は、思わず教室のBGM用スピーカーを
平面型にしたくなった。(笑)

ポンセンベイなんかも楽しそうだけど、いかにせんデカイ。(汗)

トーンゾイレとかユニットを平面にたくさん並べた
ウオール型なんか良いかもしれない。

もっとも、それを平面型と言って良いのかどうかは
わからないけれど…。

とくかくこの本は繰り返し読んでも楽しい。そして参考になる。

もしも店舗を持っている人だったら、読んでみて損はない一冊だ。
そして、音楽を好きな人だとなおさら楽しいものになっている。
藤井正宏さんはJAZZが好きみたいです。


7月14日

今日も暑かった。
梅雨は明けたそうだが、振り返ってみると一体どこに梅雨があったのか?。

今年は昨年とはうって変わって猛暑になるのだろうか?。

根っからの貧乏性なもので、エアコンというのは滅多につけない
エアコンのスイッチを入れるだけで、なんだか罪深いことをしているような
気になってしまう私は変わり者です。はい。

もっとも、エアコン無しで過ごせること自体が贅沢な時代だ。
感謝しなければならない。
マンションなどにお住まいだとそうはいかないだろうが
我が家はまだエアコン無しでもいけそうな環境なので頑張らなければと
思っている。

まあ、出来る工夫は色々ある。
打ち水をするのも一つだし、風呂場で冷たい水と戯れるのも
一つだろう。(冷たい水に浸かりすぎると却って身体が火照る
こともあるから要注意)

を食べるのも良いだろうし、金魚を眺めるのも良いだろう。
(あ、亀はいるけど金魚はいなかった)

それから電気を暗くするのも一つだ。
煌々と灯りがついているとそれだけで暑苦しい?。

ついでにTVもつけない。
画がチラチラしているだけで神経を逆撫でされるし
音声に至っては耳障りなものが多い。
第一TV本体が発熱しているから許せない。

…となるとオーディオ装置も当然ダメだ。
インジケーターランプが灯っているだけで暑苦しい。(笑)
ましてやでっかい音なんか発してる日には最悪である?。

とにかく夏場は扇風機以外の電気製品はなるべく
動かさないに限る。
電気を消したりして、暗くして過ごそう。

早めに消灯していると当然早寝になる。(筈)
早く寝て早く起きよう。

PC立ち上げてインターネットなんてしている場合じゃあない。(爆)
え?。ほざいてないでお前が早く寝ろ?。

すみません。いい加減にします。



冗談のようで真面目な主張も含まれているが
これじゃあオーディオ日記にはならない。

そこで暑い季節にこれから掛けても宜しかろうと思っている物を二枚。

一枚は「森のコンサート」。そしてもう一枚は
天国の調べ」だ。

「森のコンサート」については説明は要らないかもしれない。
ダミーヘッド録音で森の四季をまる録りしたもの。
音場感はこれこそ最高。スピーカー二本で広大なサラウンド音場
展開する。
部屋のそこかしこで鳥がさえずり鳴きわめき?
ぎょっとするやら耳が痛くなるやら。

高さ奥行きも果てしない。
ただ、雷鳴だけは注意しよう。ドカンバリバリと勇ましいことこの上ない。

久しぶりに掛けたら我が家のわんこが吠えだした。
無理もありません。
ちなみにこれを文鳥に聴かせると首を傾げながら
一緒に囀り始める。

次に「天国の調べ」だが、これはちょっとマイナー?。
両CD共に長岡鉄男氏の推薦盤だが、前者が外盤A級セレクションにも
収まっているのに対して、後者はディスク漫談で取り上げられただけ。
一応ディスクナンバーを記載するとCRAMPS CRSCD096
イタリアレーベルらしい。
広島に建てられた鋼製の高さ50b強の円錐形の塔の中で
録音されたもの。
塔の高さ2bのところに16個のスピーカー、
頂上付近に8個のスピーカーをセット。
これを電気駆動で操って音像を三次元的に移動出来るという
風変わりな音楽?CD。

約60分が1トラックで、とてもじゃないが全部をまともに
対峙して聴く気にななれない。
が、大きめな音量でさり気なく掛けていても近所迷惑には
なりにくい
。これは「森のコンサート」も同じで
案外重宝するソフト達だ。

個人的な感想ではサラウンド感は「森のコンサート」の方があると思う。
ただ、パワフルという点では「天国の調べ」の方が勝る。
うとうとしかけると、突然バリバリドッカーン、と轟音が炸裂するので
昼寝には向かない。
ただ、それでも暑い夏には普通の音楽ソフトよりも
この種のものが向いていると思うのは私だけ…かな?やっぱり…。

7月17日



ある方のご厚意で古い雑誌を数冊いただいてしまった。

写真にあるもので、ステレオ芸術’73年8月号、
’76年1月号と2月号だ。


記事も面白いし、広告が何より面白い。
機会があったら広告については別途取り上げたいくらいだ。

それはさておき’76年2月号に長岡鉄男氏が
夢のリスニングルーム”という記事を書いている。

4ページに渡る記事なのだがなかなか興味深い。
なのでちょっと取り上げちゃう。

先に注釈をつけると、’76年というのはもちろん方舟の
影も形もない頃だ。越谷に移られて数年後の段階である。



“自分のリスニングルームに完全に満足している人は
ひとりもいないだろう。ぼくもそうだ。”で記事は始まる。

“しょせんは夢物語だが(中略)夢のリスニングルームの
壮大な計画を展開することにしよう。”
と続くが、氏は約10年後に宿願を果たしている。

まずは土地から、ということで広さは300坪が理想と書かれるが
これはもちろん新春夢企画だから。
挙げ句に場所は世田谷という。世田谷に300坪っていったら
一体おいくらぐらいになるのでしょう?。(汗)
何故世田谷かというと、仕事の関係からメーカーさんに
近い方が好ましいからという単純な(失礼)理由からみたいだ。



そこまでは良いとして、面白いのは世田谷でも地盤に注文をつけているところ。

なんと、地盤は弱い方が良い、と書かれている。
“湿地帯、水田地帯が最適である。軟弱な地盤の土地に
コンクリートを一面に敷き詰めて基礎を作る。”



第1図、第2図をご覧いただくとわかりやすい。

要するに、“これはフォームラバー、あるいはウレタンフォームの上に
コンクリートのドブ板をのせたのと同じで、
外部からの振動を遮断し、この基礎の上に建てたリスニングルーム内の
振動が外部へ伝わるのも防ぐ。”
というコンセプトだ。

知っている人は知っているが(当たり前?)
実現した夢のリスニングルーム方舟は
正にこのような作りになっていたのである。

世田谷に…はさすがに無理だったみたいだけど
10年以上前の能書き通りにやったのは凄いことだと思う。

(一気に行きたいけど疲れが…。
すみません、続きます。)


7月20日

しかし、あらためて考えても’76年の段階で方舟の原型が
氏の頭の中にあったことは凄いことだ。

具体的な建築についても書かれている。



まず基礎が肝心ということで、その原型を示したのが
第1図。さらに実際的にということで書かれたのが上の第3図

厚さ30センチの水平コンクリートの上下にヒレが生えている形の物が
地盤の上に浮いている。

上のヒレのみが地表に出る形で、これは将来の沈下を見越して(!)
の構造だという。

「長岡鉄男のスーパーAV ホームシアターをつくる」
など読まれた方はご存知だと思うが
実際に方舟が建てられた場所は埼玉県越谷市
大字下間久里字土浮というところ。
おおあざシモマクリあざドブ、なのである。

地名は語る。そのあたりは湿地帯地盤が弱くてビルが建たない。
地表の下約60bは粘土層が続くということで地盤沈下必至。
方舟も最初はパイルを打ち込んでその上に基礎を…と
想定したが、CP比最低の上に粘土層だけが沈むと
パイルの上に建物だけが残される形となることが判明。
結局地耐力3.5トンに合わせて1平方メートルあたり
3トン以下に軽量化して設計しなおした。
なんのことはない、’76年型の設計に戻ったのだ。
これも一種の予知能力だろうか?


さあ、基礎の面積は200平方メートルくらいとし、
その上に総二階建坪200平方メートルの鉄筋コンクリートの
建物を載せる。

(実際の方舟は五角形で大雑把にいうと
9,6bの長辺×2と6,6bの短辺×2+扇の金具部分に相当する
箇所の短辺3bの5辺で成立。
天井高は一階が3.7b、二階が2.4b)

次に壁の厚さだが、第4図を参照されたい。
といっても見づらいだろうから雰囲気だけ、と思ってください。

要するに厚さ20p一重の壁にするつもりだと書かれている。

10p二重の方が遮音性能は優れるが
室内から見た場合10p厚の壁にしか過ぎないから
鳴きが心配、というかボンついてリスニングルームには
向かない
とおっしゃる。

二重にするなら20p厚の壁二枚+10pの空気層で
計50p厚にしなくては、ということだ。

これも実際の方舟ではどうだったかというと
一階のリスニングルーム部分に関しては
12p厚の重量コンクリート+空気層+
10p厚ALC
となっている。

これはコンクリートの一重壁というのが居住性その他の部分で
やはり問題を持っているためそうなったと解釈されたい。

(やっぱり終わりません。続く。笑)

7月23日

次に内装のお話し。
これについては、“内装は一発では決まるはずがないので
自由に動かせるようにコンクリート打ちっ放しにしておく”
と書かれている。

実際の方舟もその通りの仕上がりになっているわけで
このあたり初志貫徹ということになる。

しかし、これは非常に重要なポイントである。

夢のVAルーム方舟も建築費は案外掛かっていないと
僕は想像している。

それはなぜかというと、やはり内装に凝っていないからだ。

これに付いては氏も方舟建築直前の別冊FMfanで
再度書かれているが、建物というのは内装でお金が
掛かる部分が大きいのだ。

もちろん、もっと掛かる物に水回り(キッチン、お風呂等)があるが
方舟にはミニキッチンがあるだけであとはトイレだけ。
つまり、やっぱりお金が出ていかない仕様となっている。

そんなことはVAに特化した建物だから出来ること
と言ってしまえばそれまでだが
一般の住宅を造るにしてもこの考え方は参考になる。

極端な話、しっかりした基礎と大きな箱だけ作って
もらえれば、後は住みながら自分でこつこつ設備や
内装を作っていくというのは不可能ではない。

当然コストは抑えられる。仕上がりがイマイチでも
自宅なら問題はない。
しかも後からの変更も容易。

もしも、よっしーが家を建てたなら〜♪”
…そんな建て方をするに違いない。

もっとも何だかんだ言いながら皆さんリッチみたいで
そんな考え方をする人は皆無に等しく
お金で解決する道を選んでいらっしゃるみたいだが…。(汗)


いささか話が脱線した。

次に広さ等だが、メインのリスニングルームは
6×7bくらい。
天井高は高いところで3,5b、低いところで2,5b
傾斜をつけるとされている。

実際の方舟では天井はフラットであったが
天井高については3,5b以上が確保されていたのだから
理想は守られたというべきか。

これも余談だが天井が高い部屋というのは音が良い
これはオーディオマニアがどうこうという以前に
一般の方々でもわかるくらいの違いがある。
不思議なものであるが、この現実に気がついたとき
よっしーは地下にリスニングルームを作るという構想を
取り敢えず破棄してしまった。
地下室で天井を4b弱確保しようとすると
一体何b掘ることになるのか?。
ちょっとためらってしまう。



更に12畳と6畳のサブのリスニングルームも計画されている。
これは実際の方舟では採用されなかったアイディアだ。

二階も広さについては一階と同じだけあった。
雑誌の企画によっては広い空間を6〜8畳に見立てるような
使い方をされていたこともあったが
本当の6畳とは意味が違うのは言うまでもない。

なぜに狭いサブのリスニングルームが予定されていたのか?。
恐らくは一般リスナーとの隔絶を気遣ってのことだろう。

実際に、方舟の稼働が始まっても暫くの間は
母屋のリスニングルームも併用されていた。
ピュアオーディオのテストはそちらで、という形だった。

まあ、数年で母屋のリスニングルームはお払い箱となったが
無理もあるまい。部屋の広さによる違いは
次元の違いとなって現れる。



壁については乱反射を狙ってジグザグ構造が考えられていた。

このジグザグの壁に細かく棚を切って
各社のコンポーネントを配備出来るようにと考えられていた。



↑がそのイメージ図だが、これはメーカーを喜ばせるねらいが
あってのこと。
評論家のリスニングルームに自社製品が置いてあって
それが写真になり掲載されるというのは
メーカーにとっては大きな意味がある。

現実のリスニングルームではままならなかったことを
実現しようという意気込みが感じられる。

実際の方舟には数多くのコレクション?が置かれていた。
ただ、このようなジグザグ壁は採用されていなかった。
必要が無くなっていた(時代が変わって趣味のオーディオは衰退していた)
からだろうか。

それにしても、収納付きの壁をジグザグに立てて乱反射効果
狙うというアイディアは好きだ。

イラストみたいな物は一般家庭には不要だし
スペース的にも無理があるが、CD等のソフトのラックなら
作ってはジグザグに置いていくことも不可能ではない。

見習いたいアイディアではある。



さあ、後は応接間倉庫、そして工作場について言及されているだけだ。

現実の方舟では、それらは細かく仕切られることはなかったが
何しろ広いので不自由はされなかった様子。

工作にも便利だったと思われる。
もっとも事前に板カットなどして工作に及んでいたからで
一からその場でやるとなったらたまったものではないだろう。


後ちょっとかな?。最終章はこの後。
しばしお待ちを。


7月24日

最後は
庭の話になっている。
“庭には
充分に木を植えたい。それもなるべく常緑樹にしたい。
木の葉の遮音効果を期待するからである。

また、木そのものも利用したいので、ランバーコアに使えるような
固い木も植えよう。
常緑で固い木として、樫の木なんかもってこいだろう。
小鳥のついばむのに適した実のなる木も植えたい。”

と書かれているが、これはほぼ実現したようだ。
「スーパーAV」にも“
高くて安い木で早く雑木林を作りたい”
と書かれているし、その後オーディオアクセサリー誌などでも
この話題は取り上げられていた。

ところで木というのは遮音効果があるのだろうか?。
一本二本ではどうかわからないが、
雑木林の様になっていれば、なるほど
ある程度期待出来る。

余談だけど僕は
昔週刊FMに長岡氏が書かれていたコラムを
拝読して、(中学生の頃?)
苔には吸音効果が期待出来ると
読んでベランダにうっすら生えた苔を両親が掃除する事を
拒んだ記憶がある。(爆)
今考えると、あの程度ではなんの効果も無かっただろう。
ただ
滑りやすくて洗濯物を干す母が危険な目に遭っただけ?。
(母よ、すまん)


“後は小屋を作って羊を飼うと吸音材として優秀な
天然ウールがとれるが、これは公害につながりそうだから難しい”
と書いているが、それこそ実現困難だ。




以上馬鹿らしいといえば馬鹿らしいが
人間いつまでも無邪気な夢を持って居られるくらいでないと
アカンと僕は思う。

長岡先生の夢も方舟で終わっていたわけではなく
“夢はこれで終わったわけではない。その先に無限の展開がある。
第1は1000平方メートル(300坪)の土地と大型のスタジオだ。
第2は1ヘクタール(3000坪)の土地と自然林だ。
土地を一周する人口の川を作り、モーターを作って水流を作り
滝を作る。
敷地内は雑木林として、リストヘビとウサギとトカゲと
モモンガーとイタチとタヌキとニワトリとカメとカニを放し飼いにする。
更にその上の夢もあるのだが、100年掛かりそうなので
遠慮する”
とは「スーパーAV」に書かれている言葉。
これつまり“長岡ランド”の構想なのだ。


よっしーも夢を持っている。
その一つにどこか無人島を手に入れて
いつでもみんなに遊びに来てもらえるようにすること。
(一応会員制)

江戸川乱歩さんの小説にそんなノリの物があったし
それを下敷きにしたものを手塚先生もアトムの中で書いていた。

まあ、やっぱり夢は持ち続けることに意味がある

で、出来たとしたらその島の名前は?
よっしーアイランド”?(爆)

あかん、任天堂さんが先に使っている。

てなわけで、この辺でいい加減にします。
ちゃんちゃん!


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