EMT927stと927Dst。 stの方が瀬川先生の物。Dstが山中先生の物だ。 面白いのはお二人とも927からのグレードアップ組であること。 瀬川先生なんか927stが絶版になってから 補修用パーツで組み上げて貰ったというから気合いが入っている。 僕はEMTなんて聴いたこと無いけど、 写真で見ただけで圧倒されてしまう。 LP盤がEP盤のように見えてしまうターンテーブルは直径44p。 後2pで戦艦大和の主砲と同じ径になってしまう?。
若き日の石田先生登場。 (いや、本当にお若い) “ごく当たり前のメーカーメイドプレーヤーを使用中。 何の不都合も感じたことはない”、が見出しの文章。 その通りで、この時先生が使われているのは ビクターTT−81を同CLP1キャビネットに納めた物。 このキャビネットも優れもので、ネジ4本でアームベースボード 脱着可能。 先生はEPA−100、WE−308SX、マイクロの505Sなどを 好んで使われていたご様子。 他にヤマハYP−D10も併用。これはGTシリーズの始祖となる プレーヤーだ。
「誰が使っても再現性がある」ことをある程度重視しなくてはならない、 と考えている”。 “特殊な物にはそれなりの良さがあるのは承知しているのだが、 私自身がマニアの域に立ち入り過ぎるのを警戒している とも言えるだろう”、という石田先生のスタンスには共感を覚える。 (覚えない人がいてもまったく構わない) 確かに超弩級、ハイエンドには凄い物があるのだろう。 だが、例えばKP−9010やGT−2000を 遥かに凌駕する性能の機器を手に入れようとしたら 一体いくら払えば良いのか?と考えると 考えること自体が嫌になってしまう。 (貧乏が憎い?。笑) また、個人として買えたとしても、それをメインに置いての 論評ばかりが展開されたら、一般ユーザーとは 著しく乖離してしまうだろう。 “趣味人”としてのスタンスにウエイトを置くのか? あるいは“仕事”としてのスタンスにウエイトを置くのかで この辺りは判断が異なってきて当たり前。 どれが正しいとか、そんな問題ではない。 ここでは石田先生は自分は後者の立場に身を置くと 仰っているわけだ。
以上、プレーヤー、特にアナログプレーヤーに 対するスタンスは各人各様。 それで良いのだ。全員で同じ方向を向いていたらキモチワルイ。 そんな中で、僕は長岡式を愛好している。 40過ぎた今になってもそうなのは、あるいは中学生の頃の刷り込み (長岡節に浸ったのが中学〜高校の頃だった) のせいかもしれない。 “ポイントを押さえて、あとはほどほどにしておきなさいよ”、という 長岡氏の声が聞こえてきそうだ。 繰り返しになるが人はそれぞれなので、 例えば鼻をかむのにもティッシュのブランドに拘り “やっぱりこれじゃないと鼻をかむ気になれない”という人もいるかもしれない。 逆に“俺は手鼻をかむから何にも要らない”、という人もいるだろう。 ノリとして、長岡先生は明らかに後者だろう。 いや、先生が手鼻をかんだかどうかは知らないが…。
厳選はするけれど分相応で現実的なパーツを組み込む。 合板は無塗装、仕上げ無し。木口もむき出し。 ダストカバー無し。インシュレーターも本体の下に挟み込むだけ。 やっぱりこれは“手鼻をかむ”世界かな?。 GDPも上がって、今ではそんな物を置いていると 変人扱いされかねないが、焼け跡に畑をつくって 逞しく生き延びてきた人達からすると、それでも“贅沢”だったに違いない。 長岡先生が最後まで使われたプレーヤーは ’87年9月号のステレオ誌で製作された物だが これも相変わらず上記のポリシーに貫かれていた。
2点だけアレンジさせて貰っている。 一つは合板の木口が剥き出しなのは嫌なので 側板を貼り付けていること。 そしてダストカバーは必須だと思っていること。
上の写真が木口の見える状態。 下の方がそれに側板を当て込め様としている図だ。 まあ、これくらいの仕上げはしても良いかな?、と思っている。
ちなみにSAECのWE506/30みたいなセミロングアームは 僕が作るプレーヤーだと長すぎてお尻が飛び出してしまう。 飛び出さない様にキャビネットを作るとどうしても一回り 大きな物になってしまって気に入らない。 比較的コンパクトなプレーヤーケースでもロングアームが使えるのは 長岡式ならではのことで、ありがたいことだ。 難点はダストカバー内には納まらない事だが 格納可能位置までアームをスライドさせれば 一応の解決は見る。 それより、目下最大の問題はダストカバーをどうするかだ。 僕はプレーヤー稼働中もダストカバーが掛かっていないと 落ち着かないたちなので、これは是非付けたい。 (写真に写っている物はMU41が載っかっていた元のプレーヤー の物で載せてあるだけ) ところがありきたりのダストカバーでは WE506/30を使うときお尻がつっかえてしまう。 だから一部分をカットして、506/30を使う時も支障が無いように しなくてはならない。 言うのは簡単だが、やるとなると結構面倒。 これが最大の悩みだ。
これが良いかどうかわからない。 次はテクニカのインシュレーターを試してみる予定。
長岡先生もAA誌54号、最後のアナログ特集で実践されている。 同誌の発売は’89年なのでこれが本当に最後のADプレーヤー造りだったはず。 この時の素材はSP−25+WE−308N。 僕がSP−10Uのプレーヤーを作る段階でこの記事は見ていたので このアイディアを拝借した。 今回のMU−41のプレーヤーも同様で、外寸はSP−10Uを 使ったプレーヤーと同一に仕上げてある。 木口が見えないのでルックスの点では良いが、 全体の工作精度はちょっと高い物を要求される。 だれがやっても間違いがないのは 木口丸見えの元祖長岡流である事を付け加えておく。
日本の皆さん今日は。いかがお過ごしですか?。 僕は今ワイキキビーチでこれを書いてアップロードしています。 ハワイと日本の時差ってどれくらいでしたっけ?。
どこにも遠出はせずにGWを過ごしています。 いえいえ、4月の半ばにワンコが通院、入院をしてくれましてね すっかり財布が空になってしまいました。あはは。 ということで?、気分だけでも外国のお話し。 写真のレコードはTRENDというアメリカのマイナーレーベルの物。 TRENDと訊いてすぐピンと来るあなたはかなりの外盤フリーク。 ’70年代のアメリカでは一時ダイレクトディスクブームが起きて 一発屋的なマイナーレーベルが続出。 TRENDが一発屋だったかどうか知らないが マイナーであることは確か。
A級外盤フェチ。 長岡鉄男の「外盤A級セレクション@」のNo98に このTRENDの「ロバートコンティ/ソロギター TR-519」が収録されている。 AセレでTRNDが取り上げられているのはこの一枚だけなのだが かえって印象に残り、TRENDの名は僕の頭にもしっかり刻まれていたみたい。 例によって某店で安い中古レコード漁りをしていたとき ピッ!とこのレコードがアンテナに引っかかった。 買って帰って眺めてみると、何とNoはTR-518。 ロバートコンティの一枚前の物だったとは…。 驚きつつ針を降ろすと盤質は良好。 ただ、死蔵されていた物ではなくて、適度に聴かれていた形跡あり。 (中古ばっかり買っているから、この辺のカンだけは鋭くなる) 「Tenor Sax Jazz Impressions/TR-518」ということで登場するのは T.SaxとPianoとBassとDrum。 貧乏性でダイレクトディスクと見るとすぐに買うが、 別にダイレクト即ち優秀録音とは限らない。 限らなくて当たり前であろう。 録音の善し悪しはカッティングの方式だけで決まる訳ではないし レコード全体としての評価もそれだけで決められる筈がない。 以上を踏まえた上で、それでもこのレコードは良いレコードだと思う。 やたらバリバリどっかんと言うのとは訳が違うし サックスがとっても滑らかで美しい。
吹いていない時にサックス奏者の気配がスッと消えてしまうこと。 表現に困るが、本当に吹き終えたらどこか別の部屋に 消えてしまい、また出番が来ると音もなく戻ってくるかの如く 演奏が始まる?。 気のせいか?と思ったが、ここで想像を逞しくしてみると あるいはサックスが吹いていない間、エンジニアが サックスのトラックのフェーダーを絞っていたのではないか?。 そして又吹くとなるとフェーダーをサッと上げる、と…。 ダイレクトと言っても衝立を立てての録音だろうから 充分あり得る事だ。 とにかく色々な意味で興味深いレコードだ。 興味深いと言えばA面B面ともトラックの最後で 奏者の?語りが入る。 これも妙に生々しくて面白い。 さて、同封されていた紙によると、TRENDはこの時点で TR-513〜518と6枚のディスクを出していた。 その後TRの何番まで行ったのだろうか?。 今となっては調べようもないが…。
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