8月2日

お掃除。

たかがお掃除。されどお掃除。

長いこと古い物(オーディオ装置だけではない)とおつき合いをして
自分なりに覚えたのは、磨きすぎは好ましくないということ。
それとムキになって不要な分解まではしない方が安全だということ。

とことん磨く、と言うのは案外困難だし、却ってムラになったりして
上手くない。

塗装やレタリングを駄目にしてしまうこともある。
過去に失敗している)
パーツの抜き差しも慎重にしないと
経年変化でもろけている事も多い。

さりとて汚れたままも宜しくないので
適当に磨く。これが一番?。

ターンテーブルもピカピカになどと思わないこと。
ただし、ベルトが当たる辺りの固着した汚れなどは
キッチリ取り去る。


8月3日

綺麗になるのは良いが、ターンテーブルは回らなければ
意味がない


パイオニアにMU−41のベルト在庫を問い合わせてみると
あっさり“
あります”の回答。素晴らしい
あっという間に届く。

以前PL−X7のベルトの時もあっさり手に入っている。
パイオニアさんはこの辺りのパーツは豊富に持っている?。

それはさておきベルト装着。
これまた、あっという間に
ターンテーブルは回転を始めるのであった。

当たり前と言えば当たり前だが
感動する。

この辺りが
シンプルな機械の強さではないだろうか?。

ややっこしいことは何もない。ベルトさえ掛けて上げれば
何事も無かったかのようにクルクル回る。
素晴らしい事ではないか。

グレースのアームも然り。
本当に
単なる天秤である。
カートリッジを付ける。ウエイトを前に後に動かしてバランスを取る。
それでOK。長年のブランクなんか関係ない。

僕たちは色々な
正確さとか便利さとかと引き替えに
こうしたシンプルさを身の回りから追い出してしまい過ぎたのでは
ないだろうか?。

これらの機械は、きっと僕の死後も延々と使えるに違いない。
凄いなぁ〜、、。敬服してしまう。

さてと、そうなると早く音を聴きたくて仕方ない。

どうしようかな?と思ったがマンションから自宅に運ぶ事にした。
こうなったら本気で聴こう。

SP−10Uの自作プレーヤーをラックから引きずり降ろして、
MU−41のプレーヤーを設置。

必死になってセッティングして、いざ針を降ろすとが、、、。

出ない、、、

な、なんだぁ〜、、、?。(汗)

フォノイコ以下アンプ系は正常なのを確認。
カートリッジも異常なし

となると、やっぱりプレーヤーが怪しい訳だ。

何しろ眠っていた期間が長そうだから、と
シェルとの接点を再度磨く。

効果無し、、、。(汗)

次にアームケーブルとのコネクターを磨く。

効果無し、、、。(涙)

文章にするとこれだけだが、それなりに時間も注意力も必要な
作業だ。はっきり言って疲れる、、。

で、泣きそうな顔をして追求すると、、、。

なぁ〜んと、、アームケーブルの端。
RCAコネクター付近で両チャンネル共断線しているではないか。(!)

両方共切れるとは是如何に?。
まあよく見れば糸のようにか細いケーブル
無理な力で折り曲げればあっさり断線も起きようと言うものか?。

原因さえわかればこっちのもの。
アームケーブルなら何本かある、、、と思ったら、、、。

だからグレースのアームは雄雌反対なんだってば、、、。(滝汗)

こんな時の為に?RCAのジャックは買い置きがしてある。
(もちろん、最低価格の一個50円だか100円だかのヤツだ)

元のコネクターを切り落として
(余談だがグレースの名はここにしか記されていないので、
これが無くなると本当に身元不明のアームとなる!?)
苦手の半田付けをやる。

近視乱視で、おまけに最近老眼の気まであるので
大変辛いがそんな事は言っていられない。

途中で乱入してきたを叱りとばして(ゴメン)
必死の作業だ。

そして遂に音が出るようになった!。

それは良いが本家(僕にとっては、の話しです)グレースのアームは
セカンドアームの位置=奥側にあるため大変使いづらい

アームそのものに慣れていない事もあるが、この位置は
アームを調整するには実に不適当な位置だと思い知った。

そこでどうしたか?。

SOUNDのアームには退いて貰ってメインのアームの位置に
グレースのアームを
持ってくる。

なんでそんな事があっさり出来るのか?。

ふふふ。(笑)
実はこのプレーヤーを眺めていた時から
何となく気が付いていたのだが、余計な穴が実に多い。

結論から言うと、元はグレースのアームがメインアームの位置に
有った
のである。(穴が残っている!)

その後、元のオーナーはメインの座にSOUNDのアームを据えて
グレースを奥座敷に押し込んだ?のである。

こんな事を見抜くヤツの所にこのプレーヤーが嫁ぐとは
お釈迦様でも気が付くまい?。


8月4日

ところで、このMU41というターンテーブル、
すなわちPL−41シリーズのターンテーブル
横浜工学のOEMであった。

横浜工学と言えば、あの幻のカートリッジ
(と、一部の人だけが思っている?)コンダクトポイントファイブ
YC−05Eを生み出したメーカーである。

そうなるとカートリッジはコンダクトを使ってみるのが筋だろう。
記念すべきシェイクダウンはコンダクトで行った。

ただ、どうも上手く鳴らない。
思わず顔が曇るが、使いこなしの問題だろう。
全てが初顔合わせでは仕方ない。

そこで早々にZYXに交代した次第。
ちなみにZYXにはSAECのシェルが付いている。

横浜工学に居たTさんはSAECを興したとも言われている。
つまりこれらも繋がっているのだ。

その内にだが、MU−41+SAECのアーム
(WE−308Nのデビューも近い?)+YC−05Eで
鳴らしてみたいと思う。

理屈は良い。音はどうだ

馬鹿みたいだけど大変宜しい。

ZYXという現代のカートリッジを使っている事も
効いているとは思うが、逆に言えばZYXの性能を引き出しているとも言える。
これは立派ではないだろうか。

特に繊細さ、可憐さ、儚さと言った要素では
何の文句もないくらいだ。大変スムーズな音とも言える。

ただ、やはり少し食い足り無さも感じる。
何というか、どこかしら“淡い”感じがつきまとう。

そう言った色調は色調で良い訳だが、
“こんなものではありません。”という声がどこからか聞こえてきそうだ。

そりゃそうだ。いきなり満点が出てしまったら面白くも何ともない。

要チェックポイントは幾つかある。

一つはグレースのアームの使いこなしと状態。

このアームの片側に伸びる物はアームの左右のバランスを取る物だと思うし
そこに刻まれた1から3迄の数字は恐らく針圧に対応させておくべき物だとは思う。

しかし、このL字型のパイプ自体をどれくらい突き出させておくものなのか
が良くわからない?。

そして、僕としては初体験だが、なんとなくアームにガタらしきものを
感じる。

サポート付近のネジを締めるのは簡単だが、
この辺りの調整は本来シロウトが手を出すべき所ではない

いかが致そうか?。

と、その前に気にしたいのがこのゴムシート

この時代はこの形式が全盛だったのだろうが、
レコードとシートはいわば線接触をしてるわけで
これで良いのかと言うと甚だ疑問である。

これは是非JP−501あたりを(パイオニア繋がりだし)
載せてみたいと思うのだが、あいにくターンテーブルは段差があるタイプなのである。

そうなるとJP−501のセンターを切り抜かないと使えない。
今となってはJP−501(同701)も大切な物だろうから
あんまりそんな事はしたくない。

あれこれ考えたが、取り敢えずどこからか
せめてレコードとの接触を線ではなくて面でしてくれる
シートを手に入れて来て切り抜くか何かするしかないだろう。

そしてもう一つ。
やっぱり箱形キャビネットも気に掛かる。

デザインなどは悪くは無いのだが、
音質的にはどうなのだろう?。

こ、これはもしかすると久しぶりにプレーヤー
キャビネット製作?。

21世紀になってもそんな事をしようとしている。

しかもベルトドライブだ、、、。


8月5日

再び三度、何回目だかわからなくなったが
プレーヤーをバラしてみる。

何故かと言うとオーバーハングが確保出来ないから。

何でオーバーハングが確保出来ないかはわかっていた。

前オーナーはG−540をメインアームの位置から
サブアームの位置に移した時に、ターンテーブルユニット全体を
最初にあった位置から1pくらい前進させている。

(そうしないとG−540を設置するスペースが奥側に出来ない)

そして、それに合わせてSOUNDのアームを設置したわけだ。

それは良いが、G−540だけを最初の設置位置に戻して
MU−41を動かさないと片手落ちになる。

故に大々的に分解してMU−41をずらす

しかし、見れば見るほど前のオーナーの苦労が見え隠れして
興味深い。

ターンテーブルユニットの抜き穴が奇妙な形になっているのも
位置をずらす時に苦労したからだ。

そしてあちこちに貼り付けられた鉄板

決して綺麗ではないが、“なんとか良くしたい”、という思い
伝わってくる。

惜しむらくは鉄板がアーム(二本とも)ベースの位置は避けてしまっている事。
これは加工が困難だったからに違いないが、一番肝心なところを
外してしまっているのは何とも残念。

そしてターンテーブルユニットのシンプルな造り。
大きいモーターにコンデンサーらしき物がちょっとだけある。
センタースピンドルも、とてもガッシリした感じだ。

さて、位置補正も終わり一段落。

こうなると抜き穴が一部見えてしまうが仕方ない。

キャビネット全体の中でのターンテーブルユニットと
アームの位置関係は大変好ましいものになる。

やはりアームは一本の方が僕は好きみたいだ。

これで音の方も激変となれば目出度しなのだが、
そうは問屋が卸さない。

音自体の傾向は相変わらず
こういう音なのかもしれないが、納得はいかない。

やはりキャビネットを作り直すか、、、。
いわゆる長岡式にして、アームはボードごと交換容易な形にする。

そーすれば各種アームが使えるので、この音の傾向が
果たしてターンテーブルによるものなのか、アームに由来するものなのか
一聴瞭然となるだろう。

しかし、やるのか?。そんなこと、、。

21世紀になってもアナログプレーヤーを自作している?。

草場の陰で泣いている母の姿が目に浮かぶ、、。

(その前にシートを何とかしたいけど、、。)


8月6日

長岡式プレーヤー長岡式プレーヤーと囀っているヤツがここに一人いるが、
そもそも長岡式プレーヤーとはどんな物なのか?。

まあ、別にフォノモーターがあってアームがあって
キャビネットがある。ごくフツーのプレーヤーと言えばプレーヤーだ。

最大の特徴はそのキャビネットにある。
積層合板と俗に言われるのがそれだ。

要は厚い板を必要最小眼くり抜いてフォノモーターや
トーンアームを載せると言うことになる。

キャビネットのデッドスペースは最小限にとどめる。
重量を稼げるのももちろんだが、キャビネット内部の
不要な共振を防ぐ
事が出来るという優れもの。

いや、別にそんなもん偉くも何ともないと言われるかもしれないが
氏がこの方式を考案されたのは’69年か’70年頃で
(ステレオサウンド18号、’71年春号で発表)
当時は箱形のキャビネットやまな板型のキャビネットが全盛であった。

後にメーカーもこの方式を採用し始める。
’72年ビクターJL−B77はブナ合板積層くり抜き型キャビネット
で話題をさらい、その後この形がキャビネットのスタンダードとなるのだが、
長岡式はそれに先立つ事2〜3年だった事がわかる。

そして、その積層合板キャビネットに更に一工夫が盛り込まれたのが
’73年のスイングジャーナル増刊モダンジャズ読本だ。

合板積み重ね方式はこれ以前より採用されているわけだが、
この時初めて一番上の板の右端を切り落とし、
そこにアームを取り付けた鉛板を載せるというアイディアがお披露目となった。

何しろこの方式だとアームは鉛板ごと持ち上げて取り替えれば良いので
(アームボードをいちいちネジ止めなどしなくても、鉛板だけで
相当な重量があるので動いたりはしない)交換は実に容易

更に一種のスライドベースなのでオーバーハングの調整も
ワンタッチ
で可能。(!)

これを優れものと言わずして何を優れものと言うのか??。

同じ物をメーカーが作ったら、商品性には問題が出てきてしまうだろうから
まず採用はされない。
ハンドメイドで自家用だから通用する。
実に素晴らしいではないか。

*ちなみに上の例ではモーターが
MU−61
41の後継機種である。


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