それにしても、しがない中学生の目には 高城先生の装置も長岡先生の装置も 眩しくて仕方なかった。 高城先生はインタビューの中で言う。 「あのね、家に来る高校生が私の装置をうらやましがるんですよ。 そういう時私は言うんです。君、ボクの年までに あと何年あるの?。40年?、それだけあれば何でもできるよ、と。」 この時高城先生は64歳。 そう言われてもなぁ〜、、、とボクは心の中で呟いていた。
長岡先生のインタビュー。 凄い。このスピーカーは自分で設計して作ったんだ、 とそれだけで感動してしまった。 ラックにはいっぱい機器が並んでいて、 “ああ、いつかは俺もこんな風にいっぱい並べてやるぞ、、” とつまらない決心をしたものだ。 そして今、気が付くとよっしーのオーディオ装置の並び方は この頃の長岡先生のと案外似ている。 面白いものである。 スピーカーだけでなく、自作アナログプレーヤーにも 大いに惹かれた。 いつかは俺もモーター買って、アーム買って プレーヤー作るぞ〜って思っていた。 よっしーが真似をしてプレーヤーを作る事が出来たのは それから20年くらい後の事であった。
この雑誌に触れていると、それだけで一ヶ月くらい 冗談抜きに掛かってしまう。 おなじみフルテストは長岡先生が プリメインアンプ25機種をテストしている。 パイオニアSA−6600U(当時の298戦争の先駆け?)、 ビクターJA−S41(前後二電源方式の名器)、 同JA−S71(名器。一昨年よっしーは入手)、 トリオKA−9300(7300の発展版、左右独立二電源)、 マランツModel1250(シャンペンゴールド、左右シンメトリーの デザイン)など、あまりにも懐かしいアンプが並ぶ。 このフルテストは次の12号まで掛かる大がかりなものだった。 で、12号は今手元に無いが、11号と同時に9号を手に入れた。
所有していた。 (どうして処分しちゃったんだろう?) この号ではカートリッジフルテストが行われているが いやはや出てくるカートリッジが懐かしすぎる。 FRー101、VMS−20E、V−15TYPEV、 SL15Q、PLUS1(マイクロ)、205C/UH、JT−555、 FCE+(グラド)、AT−15Sa、Z−1E、DL−109D、 F−9L、666EX(コーラル)、STS355E、 MMC6000、ロンドンMKXEE、XYV4500Q、 F−8E、AT−14E、2000E/V(エンパイア)、 LM−20(マイクロ)、FE−1MKV、550M(オーレックス)、 ES−70EXTYPEU(エクセル)、M−117X、 X−1、681EEE(スタントン)、 1000/U(パイオニア)、QLM36MKU、 TSD−15、15B(ダイナベクター)、 205C/UL、XL−15、M−18X、PC−550E、 MT−202E(Lo−D)。 さて、正確に知っているカートリッジは 何本ありますか?。 (続く)
長岡先生のフルテストというのは 別冊fanの売り物の一つであったし、 後のオーディオクリニックと並ぶ 同誌の二枚看板の一つでもあった。 (クリニックは13号位からスタート) 読み手としては大変楽しませて頂いたが 今思えばこれをやるのは重労働だ。 この時のカートリッジフルテストは40機種をテスト と言うことで50日も掛かっている。 原稿料が幾らだったかしらないが 労力を考えたら赤字以外の何物でもない?。 この時は全てのカートリッジを12時間エージング。 もちろんエージング専用にオートプレーヤー SL−1300とJL−F55Rを使用。 更にシェルを統一ということでテクニカLT−13(初代)が 大活躍。 (メーカーがシェル指定してきた場合はそれを使用) “LT−13を使ったことについては、これが最高だからと いうのではなく、次の理由による。 市販シェルでは、ソニーSH−160、マイクロH−202、 ビクターの溶湯鍛造のシェル、LT−13などが使えると思う。 ソニーはわずかに甘いがクセが無くて良い。 ただ、高すぎる。 マイクロは質がよいが、ややレンジが狭くなり 甘くソフトになる。ビクターは高域が明るくなる。 LT−13も高域が明るくなるが、レンジが広く、 立ち上がりが良く、定位がしっかりして価格も安い。” と言うこと。 プレーヤーは自作でSP−12、ゴムシートがパイオニアの PL−1800のもの(つまりJP−501)。 アームはグレースのG−940を6,5sの鉛板に取り付けて使用。 キャビネットは15o厚合板6枚重ね。 裏板に鉛を貼って重量バランスを取り (*アームボードに鉛を使っているので 左側に重量付加しないとアンバランスになるからだと想像される) 全重量25s。 インシュレーターはビクターのHA−1を一組半(6個)使用。 フォノモーターはSP−10MKUもあるのだが、 スイッチ入れっぱなしでレコード着脱、手で止めたりという ラフな操作にはSP−12が最適だ。トルクもSP−10に次ぐ、 と言うことで当時はSP−12がリファレンスだった。 SP−10MKU(当時15万円)に行かないで SP−12(当時6万5千円)を使ってくれる所が 好きだった。 余談だがSP−12はSL−1200系のフォノモーター部の 単売商品みたいな物で、そのタフさを当時から買っていた事が うかがい知れて楽しい。 DJのお兄さん達にも、30年近く前に 既にそのタフさを見抜いていたおじがさん居た事を 是非知っておいて欲しい?。 尚、長岡先生の母屋時代は必ず隣に サブのプレーヤーが鎮座していたもので この時もビクターT−101+UA−7045、 CL−P1(純正キャビネット)を組み合わせた物が 併用されていた。 更に余談を続けると、その後サブ機には SP−10MKUが鎮座。 SP−10MKU+EPA−100、 SP−12+DV−505の様な組み合せの時期も あったと記憶している。 やがてSP−12は勇退してSP−10シリーズが リファレンスに収まった。
ここで懐かしいお話しから一転して 現世へとジャンプ?。 男の隠れ家再訪のお話し。
昨年11月に続いて二回目。 JBL4348もSDサウンドi−1もエージングが 更に進み絶好調の図なり。 Shuksさんのお部屋のご様子については ご自身のサイトで日々綴られているので そちらを楽しまれる方が得策。 しかし、いつもながら理想的な男の部屋。 ラピュタとかで取り上げるに値する。 子供に加えて最近では犬まで紛れ込む 「よっしーの部屋」とは大違いだ?。
今回の主役はこちらに見えるGT−2000X。 Y31ST−1GMやYPB−1で武装された上に 更にWE−407/23がゴンさん発案の方法にて 搭載されていて、正に万全の体勢。 WE−407/23をGT−2000に搭載する計画は NAS計画と呼ばれ、その詳細はShuksさんのサイトでも また、よっしーの日記でも既に報告されている。 いかに素晴らしい成果を上げたかはそちらを ご覧頂きたいが、今回更にGTオプションの覇者 Pippinさんのご協力により、これぞGTオプションアームの 王者の誉れの高い、同じSAECのWE−407GTとの 鳴らし比べという夢の饗宴が実現と相成った。
両者は勿論兄弟機ではあるが、 細部をよく観察すると、相応の相違が あることが 今回特に明かになった。 まずサイズだが、全長がオリジナルの407/23が 最大311oに対して407GTは最大349oと ストレッチされている。 これは言うまでもなく407GTがGTプレーヤー対応として セミロング化されているからに他ならない。 有効長は233o(407/23)に対して258o(407GT)、 オーバーハングも12o(407/23)から9o(407GT)と変わる。 シェルを含めた適合カートリッジ重量は33,5g(407/23)が 32g(407GT)となる。
既にWE−407/23が搭載されているので その状態でいくつかLPを掛けていただく。 何を聴かせて頂いても破綻が無く 緻密で雄大な音がするのには驚く。 尚、カートリッジはPhaseTechのP−1プロトタイプ。 シェルは当然ULS-3X。 何かソフトを持ってきてね、と言われていた よっしーは、敢えてクラッシック系など Sukusさん宅には無さそうな物を持ち込んだ。 もちろん意地悪をしたのではなくて、 JAZZのソフトならShuksさん宅には一杯あるから 持っていっても意味がないと思ったからだ。 予想通り、いや、それ以上にそれらのソフトも 時に溌剌と、時に厳粛に鳴る。 お見事としか言いようが無い。 ひとしきりオーディオ談義などもした上で、 いよいよ407GTとの兄弟対決?Timeとなる。 合議の末407対決の比較用ソフトは「come away with me」 ノラジョーンズ他数枚に絞る事に決定。 Pippinさんの手によって、今度は407GTが 厳かに搭載される。
さすがに収まりは素晴らしい。 一同涎が流れるに任せる?。 このタイミングで、WE−407/23NASの仕掛け人 ゴンさんも駆け付けてくれた。 正に世紀の一瞬という感じで針が降ろされる。 「、、、。」 皆真剣に耳をそばだてるが、 やがて、誰からともなく「違いますねー」の 呟きが発せられる。 よっしー個人としては同じ407同志なので そんなには違わないのでは無いかと想像していた。 だが、しかし音の傾向は結構違う。 全員の感想がピタッと一致したので間違い無いだろう。 WE−407/23の音は非常に緻密でタイト。 車で言うとロータスヨーロッパかスーパー7かという感じ。 (あ、どっちも運転したこと無かった!汗) あるいはレーシングカートと言うべきか。 ハンドリングの素晴らしさは別格。 飛行機に例えるならなら、アクロバット飛行も自由自在の 戦闘機の如く。 一方407GTはもう少しゆとりが感じられる。 スポーツカーだけどレーシングカー的ではなくて ラグジュアリーな香りがするグランツーリスモ。 零戦に対してボーイング727 (勿論、操縦した事は無い。再び、汗) シャープだけど、鳴りが一回り大きくて エネルギーバランスもピラミッド、いやあるいは 富士山型?。 この感じはどこかで、、、と思ったら 自宅にあるWE−506/30がこんな感じだった事に 気が付く。
公平な目で見て、WE−407/23とWE−407GTは どちらも優れたアームであることは間違い無し。 それよりもこの日強く思ったのは いわゆるピックアップというのは、シェル、 カートリッジ、アームの三位一体で考えなければならない という、至極当然の事。 誰あろうよっしー自身がアームフェチなので アームアームと煩い?が、音を考えると それぞれを単体で見ても意味はあまり無い。 アームあってのカートリッジ、カートリッジあってのアーム。 シェルに付いても、同じ事が言える。 ある程度のレベルの物同士であれば、 最後の決め手はソフトやリスナーの好みまで ひっくるめた組み合わせの妙かもしれない。 407/23でより良く活きるカートリッジ。 407GTでより良く活きるカートリッジ。 それぞれある筈な気がする。 この日は最後に無理を言って ShuksさんにL0.4を聴かせて頂いたよっしーだったが、 これが又良い感じだった。 (今は絶対に買えないから聴かなかった事にしておこう)
SAECがヤマハのオーダーを受けて作ったと言う だけのものはあって、純正オプション並の仕上がり。 横出しのアームケーブルがとどめを刺す。 (同じ芸当はDV−505で無いと出来ない) その一方で407/23NASにはアームベース下に 挟むスぺーサーで音をチューニング出来るという 旨味があるから堪らない。 この日も幾つかのバリエーションをご披露頂いたが こうまで音が変わるかと驚かされた。 アームベース。これも又音に対して 大きな影響を与える訳だが、それに付いては 又別の機会に勉強させて頂けたらと思います。 Shuksさんにはこの後もブリロンという小粋な スピーカーを聴かせて頂いたり、 (これが又サイズが信じられない音がします) 限りある時間を目一杯使ってのご対応を頂いてしまいました。 この場をお借りして御礼申し上げます。 次はPippinさん宅、あるいはゴンさん宅を襲撃させて 頂ければと思います。 いつもながら、楽しい一時でした。 皆さんありがとうございました。
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