日経新聞に私の履歴書というコラムがある。 各界の著名人がその半生を振り返るという趣向なのだが これが面白くて毎回楽しみにしている。 少し前は水木しげる先生が書かれていた。 水木先生といえば「ゲゲゲの鬼太郎」だし妖怪の大家であるが 戦前戦中戦後を生き抜いたその人生は山あり谷あり。 フムフムと、毎回頷きながら拝読した。 手元にその最終回だけを残しておいた。
そうするとあまりにも量が多い。 例によって勝手に抜粋してしまう失礼をお許し頂こう。 最終回のサブタイトルは、「老境も楽しく」だった。 “エライ人の本を読むと、青春は黄金色で、老境に入ると灰色だとボヤク人が多い。 私は逆なのだ。頭の状態も肉体の方も少年のころに戻っていくみたいだ。 自分が妖怪に近づいてきた気もして、日々実に楽しい。” (中略) “10年ほど前に幸福観察学会を立ち上げた。会員は私一人である。 死ぬまでにはシアワセについて考察をまとめるつもりだが、 その条件はいくつか見つかった。 例えば「成功や栄誉や勝ち負けを目的にことを行ってはいけない」。 栄光など求めず、大好きなことに熱中すること自体が喜びであり 幸せなのだ。私の場合は絵であり漫画だった。 その行為は報われる方がいいに決まっているが、結果の善し悪しには運もつきまとう。 私は不遇な時代の方がむしろ幸福だった。 片腕をなくして嘆いたことは一度もない。 そんな暇はなかったのだ。 古今東西のあの世のことを調べて気づいたことがある。 地獄のイメージは豊穣(ほうじょう)で迫力に満ちているのに、 天国の方は単純で類型的だ。 美しい川が流れ、薄物をまとった美女がいて、おいしそうな食べ物があふれている。 環境の悪化に目をつぶれば、不況で暗い今の日本こそ天国である。 それなのに、成功だけを求め、勝ちにこだわり続けて、仕事でもそれ以外でも 好きなことに熱中する幸せをどこかに置き忘れてしまった人が多いのではないだろうか。 (中略) 心配の種が一つだけある。「水木さんのルール」が果たしてあの世で通用するのかどうか。 これだけは死んでみないとわからない。 ではまた、あの世で…。”
それでどうしたと言われるとどうもこうもない。 ただ、何となくだけれどアップしたかっただけ。(笑) 好きなことに熱中する喜び…。 うん…。
昨日の日記では、自分はいったい何を言いたかったのだろう?。 改めて考えみた。 う〜ん…、まあ何というか、間違っても勝ち組だとか 負け組だとかといった言葉に振り回されたらアカンということか。 しかし、それもまあ余計なお世話だろう。 ということでその話は終わり(笑) PENが本日発売されました。 特集は、「評論家5人が選ぶ、低価格で音がいいオーディオ」。
執筆陣はステサンからそのまま移行したような感じだけれど 写真を含めて“お洒落”な感じ。 僕もこんな感じでオーディオを納めたりセットしたりしてみたいものだ。 いつになるかはわからないけれど…。
突然ですが、Y31さん宅訪問。 …お前は最近単独行動が多すぎる。 水くさい、一声掛けろと言われそうだ。 一応言い訳をしておくと、実は半分以上仕事だったのである。 話せば長いことながら、Y31さん宅のレコード保管庫の補修工事を よっしーの関連会社がさせて頂いた。 色々あって約2ヶ月掛かり、この度やっと引き渡しになった。 営業担当として、工事完成確認でお邪魔した。
まずスピーカーだが、オンケンの3WAY。 これをドライブするアンプは金田式のDCアンプ。 もちろん自作である。 そして入り口はアナログプレーヤーでGT−2000+DL−103。 CDプレーヤーもやっと買ったが、ほとんど使われていない?。 徹底したアナログファンであり、自作派でもある。 電気的知識は豊富、というか実はプロなのである。 製作予定のアンプも測定器もゴロゴロ。 アナログプレーヤーも国産名器がたくさんあった。
まさにマニア垂涎の…、という状態で、総額では70万円に到達。 ノーマルのGT−2000とは明らかに一線を画している。 Y31ST1−GM1(砲金製ターンテーブルシート) Y31PB-1(ハードインシュレーター) Y31AB-1(アンカーブロック) Y31BA407-GTC(WE407アーム ベースアダプター) を装着。 これにV24Cさんの炭化珪素シェル(カートリッジは前述の通りDL−103) が加わると、凄みさえ感じてしまう。
もちろん悪くはないのだが、この段階でY31さんの先輩 (というか元の上司の方)が登場。 CR型のフォノイコライザーを持参された。 このフォノイコは、ラジオ技術の12月号にも紹介が予定されている物だ。 ご両名の間では回路のお話しなどなされていたが、 門外漢の私にはチンプンカンプン?。 つくづく電気音痴の自分が恨めしく思っている内に プリアンプ自体もY31さん自作の物に交換。 音はどんどん良くなっていくというか、結論からいうと C−280Vも、このラインナップの中では異物でしかなかった様子で 結局この後最後まで、上記フォノイコ→Y31さん自作金田式 バッテリーアンプ(プリとして使用)→同自作金田式パワーアンプ という流れで聞かせて頂いた。
これはもう、お酒に例えると上善水の如し。 無色透明の爽やかさだ。 音の抜けがよい、…いや、音の通りが良いと言った方がよい。 針先からスピーカーユニットまで、音がどこかにまとわりつくと言う事が 全くないみたいだ。 余計な事はしないで、サッと音が出ては消えていく。 トレース困難な、いわゆるオーディオマニア必聴盤を掛けても 歪みのひの字も感じさせない。 限界ギリギリのアタックでも、いわゆる耳に突き刺さるような音には絶対にならない。 不思議だが本当だ。 濁るという事を全く知らないのではないだろうか、この装置は? と終始感心し続けてしまった。 本当にトランジェントの良い音というのは、こういうのを言うに違いない。 (続く)
この音の秘密はどこにあるのか?。 憶測で物を言うのは危険極まりないが、自作アンプが一役買っていると 想像したくもなる。 だからといって、ここで一概に自作アンプが市販品より優れていると 考えるのは論理の飛躍というもの。 そうは簡単にいかないのはご理解頂けよう。 ただいつも思うのは自分でアンプを組む場合は メーカーと違って、過剰な安全対策や使い勝手の心配は しなくて済むということ。 これはやはり大きなメリットだろう。 Y31さんのアンプについても詳しい事はわからないし 先輩が持参されたフォノイコの中身についても浅学の私にはわからない。 ただ、接点一つとっても要らない物は徹底的に排除されているのは 理解できる。 とってもシンプル。 無くて済む物は無くて良い。 この当たり前の理屈が、不特定多数の人が 様々な環境で使う事を前提に組み立てられる市販品では通らない。 そこに宮仕えのジレンマもあるだろうが仕方ない。 逆言えば自らリスクを背負える人だけが、とりわけ甘い果実を手にする事が出来る 事にもなるが、これは仕方のない事だ。
短絡的な事は考えてはいけない反面、 数が増えれば少ない時には考えなくても済む厄介な問題を 抱え込み勝ちなのも想像は出来る。 シンプルストレートな駆動系を採用出来る陰には やはり100dB強の高能率スピーカーの存在がある。 能率だけでスピーカーを語れないのはわかるが Y31さんの音を聴いて、久しぶりに超高能率スピーカーの 優位性を目の当たりにしてしまった気がする。 諸説色々あるが、やはりボディーは軽量な方が 走りは良さそうだ。 それが言い過ぎだというのなら、軽い方が エンジンにもブレーキにも負担が少なくて済むと言い換えても良い。
Y31さんのレコード保管庫の中には、稀少盤から 楽しいレコードまで、色々な物が揃っている。 今回はプレOFFであり、今後は月一回のペースで OFFが開催されるというから、ご希望の方は一度といわず 二度でも三度でもお邪魔されると良い。 この日は途中Koyamaさんも乱入。 …といっても奈良県の在住でいらっしゃるから当然電話でだが。(笑) “良いな〜良いな〜”、としきりに羨ましがられていたが そのバイタリティーは凄い。今にも新幹線に飛び乗りそうな勢いだった?。 そして、実はもう一人ご参加の方がいらした。 それは誰かというと、Y31さんのお母さんであった。 「いつ聴かせて貰えるかと思い続けて、やっと聴かせて貰える」、 とお喜びのご様子。 色々とお話しも伺ったが、お若い頃は (いや、現在でも年齢が信じられないくらいお元気で活発では あられるが)かなり進んだ方だったご様子。 コンサートに、オペラに、盛んに脚を運ばれていたらしい。 Y31さんにも、その影響が出たかしら?。 我々オーディオ愛好家も気が付けば相応の年齢になっている。 と言うことは、その親御さんも当然相応の年齢になっているわけだ。 ここで提案。 OFF会の会場にお年寄りが居たら積極的にOFFに巻き込むべし?。 人にもよるだろうが、喜んで貰える公算が大きい。 親不孝者のよっしーが、親孝行しましょう、などと提案出来るものではない。 だがしかし、実の親子だとしづらい親孝行も、妙なものだが 他人様の親孝行はしやすいものだ。 だから第三者こそ、その家の親御さんに良くしてみよう。 「こちらの息子さん、人望ありまっせ」、とか言えば 「へえ、そんなものなの?」、って見直して貰えるかもしれない。 せっかくみんな知り合ったのだから、大いにそのへんの交流もするとよい。 オーディオだけで帰るのはもったいないではないか。
最後にひとつ。 DL−103の実力にも感動してしまいました。 ひょっとすると陰の立て役者かもしれない?。
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