8月27日

1/5

親亀の背中に小亀を載せて、、。

2/5

というわけで、PL−88F始動である。

’83年パイオニアリニアスケーティング型と
呼ばれる一連のフルオートプレーヤー
リリースした。

過去の日記において、度々登場している
PL−Xシリーズもその一員だが
PL−88Fは、その頂点に立つ物である。

以下は全くの余談なので読み飛ばして頂いて結構だが
’80年代初頭は、正にアナログプレーヤーの
終焉
に近づきつつある時期でもあり、
各社から最後の製品が発売されていた時期でもある。

この時発売されたアナログプレーヤーは
大まかに2種類に分ける事が出来る。

一つが最後の打ち上げ花火とでも言うべき
超弩級プレーヤー達

そしてもう一つが、CDプレーヤー登場を睨んだ、
あるいはその影響を受けた、マイコン制御による
多彩な機能を盛り込んだフルオートプレーヤー達だ。

PL−88Fは、当然後者の仲間に属する事になる。

3/5

さて、またそのフルオートプレーヤー達
よく眺めて見ると幾種類かのタイプに分かれる。

もちろん、ノーマルな形態のフルオートプレーヤーもあるのだが
それはこの際除外する。

一つはテクニクスのSL−10に始まった
ジャストLPジャケットサイズのプレーヤー達。

コンパクトと言う点でも画期的だったが
リニアトラッキングアーム搭載、
更にT4Pという新しいカートリッジの規格を
生み出したという点でも画期的であり、
他メーカーからも類似品が登場した。

そしてもう一つ、
テクニクス方式と違った形で個性を打ち出したのが
ソニー、そしてパイオニアという事になる。

リニアスケートという、プレーヤーのメカニズムが
本体からスライドして出て来る方式
自体は
ソニーが若干先行していた筈だ。

ただし、ソニーとパイオニアでは
やや考え方が異なっており、
ソニーはあくまでもプレーヤーの設置場所
システムの最上段との前提で製品を開発していた。
故に上面には大きな天窓が設けられている。

対して、パイオニアはプレーヤーを
最下段に置いても大丈夫なように、と設計した。

どちらが優れている、という事ではなく
メーカーそれぞれに主義主張があったという事だろう。

ただ、僕個人としてはプレーヤーの設置場所を
最上段から開放した
パイオニア方式に見るべきものを感じる。

その他にも、ソニーがリニアトラッキングアーム、
T4P規格カートリッジ採用なのに対して
パイオニアはスイングアーム方式でコンベンショナルなタイプの
カートリッジ採用という所も大きく異なる。

ただ、パイオニアの方はコンベンショナル、と言いながらも
針圧調整等不可能に近い作りなので
カートリッジ交換は実質的に不可能

融通が利くと言う点ではソニーの方だが
この種のプレーヤーを当時選ぶ人達が
積極的にカートリッジの差し換えを楽しんだかどうかと言うと
甚だ疑問ではある。

4/5

そろそろPL−88Fの詳しい説明に入りたいが
基本的な仕組みはPLーXシリーズと同一である。

つまり、ターンテーブルがせり出して来て、
そこにディスクを装着。
後はスイッチ一つでターンテーブルは演奏可能位置まで後退。
プレーヤー後端からスイングアームが文字通りスイングして来て
演奏に入る、と言う訳だ。

ただし、PL−Xシリーズはミニコンポの一員としての設計なので
サイズも320W×100H×195Dと正にミニサイズ。

LPジャケットよりも小さいのだから、これでどうやって
演奏するのかと思えば、何とディスクは完全には
引っ込まずに露出したまま稼動となる。

PL−88Fの方は420W×98H×335Dとフルサイズ
ディスクは演奏中完全に本体の中に呑み込まれて
演奏モードとなる。

どちらがマトモかと言われれば、当然PL−88Fの方だが、
ジャケットサイズより小さい筐体を、逆転の発想で実現した
という点ではPL−Xシリーズに軍配が挙がる
と思う。

5/5

とはいえ、音質的にどちらが有利かといえば
当然PL−88Fだ。

何よりPL−X17cm径のターンテーブルしか
持ち合わせていない。

PL−88Fはもちろん30cm径のターンテーブルだ。

駆動も、PL−Xベルトなのに対して
PL−88FはコアレスクオーツPLLサーボモーターの
ダイレクトドライブ。SHローター方式である。

アームは同等と見るが
カートリッジはPL−X7PC−31MC搭載で
PL−88FPC−41MC搭載とワンランクアップ。
後で詳しくお伝えしたいが
どうやら両者の音の違いの最大の要因は
このカートリッジの違いにあるようだ


筐体の強度については
PL−88F40kgまでの荷重に耐えられる事が
明記されている。
PL−Xに付いてはデーターを持ち合わせていないが
こちらも負けず劣らずがっしりしている。


8月29日

1/4

ところでこのPL−88Fを入手出来たのは
Koyamaさんのお陰である。
私が興味を持っているのを知って、
某オークションに出品されているのをお知らせ下さったのだ。

オークションは見てるだけ、を決め込んでいるよっしーだが、
この時ばかりは話しが別である。
力を込めて落札させて頂いた。

と言っても値段は大した事無い。
何故ならば一応ジャンクとなっていたからだ。

不具合は二つ。
@メカアッシーのローディングが遅い
これはドライブしているベルトの延びが原因だろうが、
パイオニアではパーツ欠品。
何か妥当なベルトと交換すれば良いのだが
作業工程が物凄いので、取り敢えず交換は見送り
いざとなれば、文字通り“手助け”をして上げれば大丈夫(?)。

2/4

それより問題は
Aターンテーブルが回る時に異音がする。
だ。

よく観察すると、ターンテーブルがターンテーブルを覆う
樹脂パーツと接触している。
これで音が出ているのである。

実はこの症状に付いてもKoyamaさんから事前に情報
頂いていた。

どうしてこのような事が起こってしまうのだろう?。

実はPL−88Fはアナログプレーヤーでありながら
筐体にはインシュレーターを持たない。
(PL−Xシリーズも、だが)

その代わりにターンテーブル及びアームが
一種のフローティングをされているのである。

そのフローティングの仕方が、これまたCDプレーヤーに
そっくり。

ゴム部品を介して、相手方(88Fの場合は前後に動くメカアッシー)
に装着されている。

このゴム部品が経年変化で潰れて来ると
ターンテーブルが傾いで来てしまうのである。
(アームも同じボードに取りつけられているので
共に傾いてくる事になる)

ターンテーブルとターンテーブルを覆う樹脂カバーのクリアランス
余り無い。
なのでたちどころに接触が始まってしまうという訳。

3/4

以上のような情報を事前に頂いていたので
早速プレーヤーを裏返して(実際には横倒し)てみた。

そして、ゴムパーツを外してみると
(3点の内2点しか外せなかったが)
なるほど劣化はしている。

だがしかし、どうも犯人はゴムパーツでは無い様子?

これは困ったとよくよく観察し直すと
何と3点の内一箇所のネジがねじ込まれ過ぎたのだろう、
雌ネジを切ってある相手方(樹脂製だ)
破損
してしまっている。

これを正式にリペアーするのは大変だぞ、と一瞬青くなったが
結果的にはネジの締め込み加減を調整する事で
事なきを得た。(ホッ、、、)

調整後はターンテーブルの擦れる音はしていない。

一応“ほぼ正常な状態に戻せたと思う。

4/4

ここでやっと音出し

「、、、。」

予想はしていたが、やはりPL−X7とは次元の違う音が聴ける。

いや、これはもう精緻の極み。
そら恐ろしくなるくらいシャープなのだが
それでいて嫌味がまるで無い。

実に軽快で、且つ歪感ゼロ

かと言って無機質とかそんな事は無くて、
音楽が活き活きと鳴り響く。

PL−X7も、突き抜ける感じにおいて
どこか相通じるところがあるのだが、
あれはどちらかというと乾いた夏の風
ちょっと砂埃が乗ったような、
ややザラついた感触。
(そこが魅力かもしれないが)

88F秋晴れの世界。
サラっとしていて、しかも乾燥し過ぎていない。
クールだけど、ピチピチと水の跳ねる感触も表現出来る

まだ完璧に聴きこむ事は出来ていないが
これまでの感じでは特にポピュラー系のレコードに合う
こういうプレーヤーは今まで拙宅には無かったので
貴重な1台となりそうだ。

難を言えばやや腰高というか重心が
高めになったような鳴り方をする傾向があるのだが
逆に言うと低音過多のような録音のLPを上手に聴かせてくれるわけで
この点でもポップス系を掛けるには好都合なのかもしれない。

もう一つ付け加えるとボーカルがとても綺麗。

予想を上回る好成績で大喜びのよっしー。
是非常駐させたいが、問題は置き場所か?。

既にラックの中はいっぱいなのでありました。(汗)

PL−88Fのお話しはまだまだ続きます。


8月31日

1/2

さて、PL−88Fには多彩なオートプレイ機能
盛り込まれている。

まず通常の?フルオートプレイ。
これにはリピート再生(全曲をひたすら繰り返し再生する)や
スキップ操作(今聴いている曲を飛ばして次曲へ行く)も
含まれている。

そしてインデックス再生
これは各トラックの頭を約10秒づつ再生して行くというもの。

更にプログラム再生というのがあり、
これは各トラックを希望する順番の通り演奏する機能。

一応全て試してみたが、それなりに面白い

まるでCDプレーヤーみたい、、、、
と言いたいが、やっぱり動作はCDプレーヤーよりも
遥かに“優美”。

いや、はっきり言ってもどかしささえ感じるくらいスローモーである。(笑)

何しろ普通にレコードを掛けるだけでも
セットから最初の音が出るまで優に20秒くらい掛かる。
SCD−1の祖先様かと言いたくなる?。

しかし、不思議と腹は立たない。

何故だろう?。これがデジタル機器だとイライラすると思うのだが
アナログプレーヤーだと思うと許せてしまうから勝手なものだ。

2/2

プログラム再生などは面白いと言えば面白いが
一度やったらそれで充分という気になってしまう。

願わくば一部CDプレーヤーに搭載されている、
シャッフルという機能があったら尚一層面白かったかも?。
あれがあると、聴きなれたディスクが新鮮に聴けたりするから。

何より一番必要を感じるのがリモコン

ここまでやったらリモコンが必要ではないか、
などと勝手な事を思うが、時代が違うのである。
そんな物付けたら、価格も1万円のアップでは
済まなかっただろう。

と、好き勝手を書いたが、悪口ではない。

それどころか、日を追うごとにいとおしく感じてしまう
プレーヤーだ。


日記の続きはこちらです。

一つ前の日記に戻る。

日記のMENUへ。

表紙へ。