さて、ここでまりおさんから 同時にお借りした ヤマハのフォノイコライザー HA−2、HA−3が登場する。 シェルの中にサテライトアンプを組みこんで MCカートリッジとヘッドアンプを 最短距離で結び、 微少レベル信号のケーブルによるロスをおさえ、 MCカートリッジの持ち味を充分に活かそうという 発想で作られたヤマハの野心作だ。
と言う事でP−309のTAPE端子に接続。 他はA−10Type3 → LS5/9と続く いわゆるロジャース側のシステムだ。 HA-2、3共にサテライトアンプを組み込んだ 専用シェルを使うのが大前提。 今回は、まりおさんのご厚意で デンオンのDL-301を装着した物まで ご用意して頂いてしまった。 HA-2、3と言う事で プレーヤーもヤマハをチョイス。 GT-2000を使う。 さて、そろりそろりと針を落とす、、。 う〜ん、これも良い音だ。 P-309のフォノにダイレクトに繋いだ時の音との対比で、 (カートリッジは異なるので一概に言えないかもしれないが) 活発さが増す。 それまでは、どちらかと言うと 力はあるけどそれを前面には出さない、 おっとりとした好青年タイプと言った音がしていたのだが、 ここで、よし!とばかり腕まくりをした感じ。 一歩下がって見守っていたエースが、 前に出て来てくれたみたいだ。 力が増す。 と、同時に繊細さも増す。
HA-3のアウトを 直接A-10Type3のMAIN INに導いてみる。 これでどうだ?。 「、、、。」 うん、力強さはこれが一番と言う感じ。 バスドラのキックに合わせて、 拙宅の軟弱な床が振動しているのが 足越しに伝わって来る。 万万歳?。 ただし、問題が一つ。 それ相応にボリュームを上げていないと 楽しめる音がしない。 楽しめる所まで上げていると、 瞬間は良いけど長時間の鑑賞は難しいような気がする。 こう言った事は、やはりP-309を介していた時には 無かった。 何でもダイレクトが良いとは限らない事を 痛感した。
HA-3はボリュームを内蔵しており、 メインアンプ直結も出来る構成となっている。 なので、今度はVARIABLE OUT を使い A-10Type3のMAIN IN に繋ぐ。 こうするとA-10Type3のメイン部のボリュームは 全開としておく事が出来る。 音量調整は、HA-3の方で出来るからだ。 これで音はどう変わるか?。 「、、、。」 確かに音は変わる。 (ただし微妙な変化だ) 面白いもので、 P-309を通した時と HA-3のFIXD OUTからA-10Type3の MAIN IN に直結した時の音の ちょうど中間くらいの音の出方になる。 音量を絞った際に音が痩せる感じは HA-3のFIXD OUTからA-10Type3の MAIN INに繋いだ時ほどは無いのだが、 その分ちょっと鮮度は落ちる気がする。 で、あれば、個人的にはP-309を通すか いっその事A-10Type3のMAIN直結の二者択一にしたくなる。 変な例えだが リスニング時間が短くて その間はボリュームも上げて精一杯の刺激を受けたいと言う事であれば A-10Type3のMAIN直結が良く、 逆にある程度の時間を音楽鑑賞に割くことが出来るし、 小音量から大音量まで、その時の気分と状況で チョイスしたいと考えるなら P-309を介在させた方がベターだと感じた。 とにかく、P-309というプリは 車に例えたらハイトルク型で ちょっとアクセルを踏んだ段階から モリモリとパワーが出て来て これっぽっちも音が痩せるなどと言う事の無いアンプみたいだ。 切り換え試聴というのは 良くも悪くも利き酒みたいな所があって、 前の印象が消えない内に 心を鬼にして繋ぎ換えをやらなければいけないような所がある。 ところがP-309を通して音を聴いていると、 気が付くと何曲か聴き続けてしまっている事が多かった。 ボリュームを絞って良し、上げて良し、で 特に専用の防音室など持ち合わせない 我々一般リスナーにとっては、 著しく実用性の高いアンプだと思う。 オンキョーは、あるいはユーザーの実情を 大変よく理解していたのではないだろうか?。 (今頃言ってくれても遅いって?)
さて、今度はHA-2を拝聴。 そして、無謀にもHA-3との違いが わかるかどうか?挑戦してみる事にした。 ここでシステム交代。 ネッシー側のシステムの再登場。 的をHAシリーズに絞りたいので プリは久し振りにPRA-2000登場。 要するにいつもの状態に戻したわけだ。 取り敢えず耳馴らしにPRA−2000を 組み込んだ音を聴く。 と、、。 あれれ?。 何だか随分素っ気無い音に聞こえる?。 僕って普段こーゆー音聴いてたんだ〜。(笑) ま、ニュートラルと言えばニュートラル。 レンジも広く感じるし、音の抜け方、 切れ味はさすが。 ただ、反面こってりとか、まったりと言った 表現は弱い、 と言うかする気が無いみたい。 力もあるけど、 トルクフルと言うよりも 高回転高出力型みたいなところが有る。 この辺りは、プリそれぞれで違うみたいで、 本当に面白いと言えば面白い。
TAPE1と2に、 HA-2と3、それぞれを繋ぐ。 プレーヤーはGT-2000をそのまま使用。 まずはHA-2から拝聴。 「、、、。」 しばらくそのまま時間が過ぎてしまう。 「?」 ハタと気が付くと、何曲か聴いてしまっていた。 その間、違和感まるで無し?。 何故かしらん?、と考えて理由がわかった。 つまり、PRA-2000のフォノ(MCだとPHONO3端子)で 普段聴いている音と、実にそっくりなのである。 それ故、何と言うか、スラスラ聴けてしまったのだ。 PRA-2000の支配力が、思いの他大きいのか?、 さてはよっしーの耳が鈍いのか?。 (ま、後者の可能性は多分にあるが、、。) これにはちょっと驚いた。
言いようが無い。 敢えて違いを探れば、 HA-2を介した音のほうが 重低音域の伸びが良い。 より屈託無く出て来るように感じる。 さて、ここで冷静に考えてみると やはりHAシリーズの、 サテライトアンプをカートリッジの直近に置くと言う方式は 相当な優位性を持つような気がして来た。 例えば、HAシリーズの専用シェルと言うのは お世辞にも高級と言う作りではない。 長岡氏などは、 「長岡鉄男の日本オーディオ史 2」で HA-3を取り上げているが(P32) そこには “ヘッドシェルにサテライトアンプを組み込み 本体イコライザーアンプとつなぐ構想はよかったが シェルが悪かった。” と書かれている。 その先入観があったせいでもないだろうが、 僕もやはり専用シェルを今回実際に見た時に、 「なぜこれだけの力作イコライザーアンプに、 もう少し力を入れたシェルを付けなかったのか?。」 と首を傾げたものだった。 そこには同時に、 「ヤマハなら当然出来ただろうに。」 という思いもあった。 しかし実際音を聴いてみると、 どうもそのシェルのマイナス面は 僕にはそんなに感じられないのだ?。 (自分の耳を疑わないわけでは決して無いが、、、。) 今回の体験からの想像だが、 カートリッジの信号を、直ぐにアンプにバトンタッチしてしまう方法を取ると、 想像以上に、シェルやアーム、そして配線の影響を 受けにくくなるのかもしれない。 そもそも、HAシリーズの発想と言うのは そう言うところ(余計な物の影響の除去) から来ているのだから、当然と言えば当然かもしれないのだが、、。。 もしかすると、安っぽい(失礼)シェルを付属にしたのは、 “この方式を使う限り、そんな物の影響は 極少なんだよ。だから何でも良いのさ。” と言う設計者の意気込みなのでは?、 と言う想像すら出来るのだ。
独自性のある方法でアプローチしたものだ、と 感心したくなる。 ただし、ではこの方式が アナログ再生において、 ベストなのかと言うと疑問も残る。 例えば、カートリッジを脱着する(もちろんシェルごと)には その都度HAの電源を落とさないといけない。 プロテクションは万全だから良いのだが 馴れないと、ちょっと恐さが残る。 それに、シェル→アームのコネクター部などの接触不良にも 敏感らしい。 使いこなせれば良い音が聴けるのだから 我慢しなさいと言われればそれまでだが、 やはり、通常とは異なる部分の問題が クローズアップされるのも事実なのだ。 ところで、ここでHA-3登場。 HA-2との違いは出るか?。 「、、、。」 う〜ん、音は全くと言って良いくらい 同一の傾向に有る。 つまり、PRA-2000のMC入力の音に 酷似している。(と感じる) HA-2との対比では、前述の超低音の出方で 2の方が3より、ほんの少し有利なように聞こえる。 そして、3の方が、これもごく僅かになのだが、 エッジが立ったように聞こえる。 あるいは3のハイエンドに、ややキャラクターが 有るのかもしれない。 そんなわけで、2の方が、ナチュラル気味に聞こえるが、 DL-301との相性と言う問題も残るので どちらが本当なのかは断言しかねる。 はっきり言えるのは どちらを求めても、ガッカリするような事は無い と言う事だろう。
さて、しかし今日現在の所では 所により音が歪むような現象も出ている。 この原因はなんなのか?。 もちろん、使いこなしの問題ではあろうが、 一体どうしたら解決出来るのか?。 まりおさん、HGさん、ごめんなさい。 今しばらくお試しを続けさせて下さい。
7月8日 さてさて、’70s〜’80sな日々も いよいよ最終コーナーに差し掛かった。 (だいたいお前は試聴に時間が掛かり過ぎなんだっちゅーの!) 心残りがいくつか有ったので、 それをお試しさせていただく。 まずはLE-109のMM入力。 前回はPhono1のMCダイレクト入力のみ、 それもプリは7070を使わせて頂いていた。 PRA-2000が久し振りに登板している事もあり、 せっかくだからと繋いでみた。 カートリッジは最近好調の(?)V-15Type3。 そして、もう一本、久し振りにコンダクトのYC-05E。
黙って拝聴、、。 う〜ん、これまた常用のPRA-2000の Phono1(もちろんMM入力)と そんなに際立った違いは感じない。 個人的にはPRA-2000と言うのは 自分の主張を前面に出すタイプではないと思って来たのだが、 やはり相応に支配力は有るのかもしれないと 思い始める、、。 ここで2000のフォノの音も聴く。 そして再び109経由にして、、。 なるほど、一つ感じるのは LE-109経由の方が、音の実在感が、強いと言う事。 プレゼンスの違いとでも言うのだろうか?。 音が“そこに有る。”という印象が残る。 妙な言い回しだが、音がすっくと立っている。 対して、PRA-2000のフォノに直結の場合の美点は とにかくカートリッジ毎の音の違いがはっきり出るところか?。 それを良しとするかどうかは個々人の考え方だが、 とにかく拡大顕微鏡的なところがあるので 色々な機材を繋いで、その音色の違いを楽しむには 好適なプリなのではないだろうか。 念の為だが、前述の試聴は 比較試聴と捉えるのなら、公平さを欠いたものである事を お断りしておく。 何故なら、PRA-2000のフォノはプリに内蔵。 それに比べて、LE-109は少なくとも1箇所接点が多い。 完全公平なフォノ比較試聴とするのなら、 PRA-2000の方もTAPE OUT也から 出力を引っ張り出して LE共々、別のプリ、あるいはボリュームを介して パワーアンプに繋ぐべきであろう。 今回は、そこまでは突っ込めなかった。
強く感じるのはそのコストパフォーマンスの高さだ。 比較して物事を語るのなら 価格に付いて触れるのも避けては通れないと思う。 例えばPRA-2000は発売当時20万円だ。 今回お借りしたフォノイコライザー達が 市場に登場した頃には 後継の2000Zも登場して、 改良と同時に価格も25万円にアップしていた筈。 つまり、価格差は2〜4倍もあると言う事。 それだけの音の差が有るのか? というと甚だ疑問である。 と言うか、所によっては勝っている。 これはやはりフォノイコライザーが独立している事の 優位性の証しでもあろう。 既に、そこそこ優秀なフォノを内蔵したプリを持っている人が 更にこれらを入手して使ってみるのも きっと楽しい。 やはりフォノイコが独立していると 一味違うんだ、と唸らせてくれるに違いないからだ。 ところで、LEにしても、HAにしても、 これから同じ物を出すとしたら 一体幾らくらいになるのだろう?。 貨幣価値の変動があるから一概には言えないが 20万円は下るまい。 あの頃は、つくづく良い時代だったのですね〜、、。 続きはこちらです。 (7月10日 UP!)
一つ前の日記に戻る。 日記のMENUへ。 表紙へ。 掲示板へ。
|