5月29日

ところでnxtスピーカー
泣き所の一つが低音不足

もちろん、ビックサイズの
nxtがあれば話しは別だろうが、
ウチのnxtは12×14cmだ。

ほとんどツイーターに近いスコーカ―?。

で、ちょっと遊びでサブウーファー
加えてみた

え?、そんな物持ってたのって?。

持ってないから裏技を使う。


どーしたのかと言うと、
ネッシーをサブウーファーとして
バイアンプで鳴らしたのであった。

もちろん、ただ鳴らしたのでは
お話しにならない。
デジタルパライコで不要な帯域はカットである。

かくして超高能率サブウーファー
一丁上がり。


音は?、というとなかなか笑える

視界には小さいnxtしか入らないのに、
ちゃ〜んと豊かな低音が感じられるのだから
それは妙な気分になる。

ただし、この時ネッシーは鳴っているかいないか
わからない位の設定。

そうでないとバランスが取れない


それにしても、改めてではあるが
共鳴管というのは
低音効率良く再生するには
最適な方法みたいだ。

foは管の長さで単純に決まるので
3メーターもあれば25Hzくらいまで楽に出て来る。

ちなみに、ボーズのキャノンも共鳴管使用の
サブウーファーである。

方式のいかんにかかわらず、
サブウーファー、あるいはス―パ―ウーファーの
最大の問題はハイカット

LCネットワーク、チャンネルディバイダー、
アコースティックローパスフィルター、
とあれこれあるが、
バイアンプ駆動、パライコでハイカット
と言うのはなかなか安直、かつ便利でよろしい。

今年の夏には、一つくらいサブウーファー
作ってみるか?。


デッカイnxt。
作ってみて欲しいです。

5月30日

それにしても、時間の経つのは早い。

長岡先生が亡くなられて1年が過ぎた

長岡鉄男が僕に残した一番大きなもの

それはネッシーでもなければ、スワンでもない。

HMA−9500でもなければ、MC−L1000でもない。

何か?。

それは、やはり、"物事の考え方”だろう。

"自分の頭で考えろ”、とあの人は教えてくれた。


「自分の頭で考えろ。」と言われれば、
僕も含めて、大抵の人は「考えている。」と応える。

しかし、考えているようで考えていないのが
人間というものではないか?。

考えていない人間と言うのは、
たやすく騙されるのである。

罠に引っ掛かると言い換えても良い。

罠とは何かと言えば、世の中が仕掛けた罠である。

罠に引っ掛かって、お金も時間も浪費する事になる。

罠も最上級の巧みさをもって仕掛けられると、
常識”の称号まで与えられるから始末に悪い。

それらから上手い事逃げるのは、
なかなか難しい事なのである。


長岡鉄男は、何とかそれらから
上手く逃げおおせた人間の一人なのだと僕は思っている。

だから、一個人としては
なかなかに大きい夢実現出来たのだ。

それも、そこそこ楽しく暮らしながらだ。

観音力」の中で、
安原顕さんが、こんな事を書いている。

"僕は長年編集者をしていたので、
数多くの筆者に出会ったが、
長岡さんのような表情の筆者には会ったことがない。

一言でいえば無欲の顔なのだ。

年齢を取ったからだろうとは
何もわかっていない人の言い分で、
そのことは政官財の爺らの顔を見れば一目瞭然ではないか。

卑しい欲と守銭により、もはや人間ではなく猿面
(いや、それでは猿に申し訳ない)、
少なくとも人の顔ではない

また本来ゼニカネとは無縁、高慢なお文学、
お芸術に勢出す連中、
はたまた学者らの顔もひどいものだ
強欲の固まりだからである。

ぼくは長岡さんの顔を見ていて、
この人はハッピーな人生を送ってきたんだなと思った

無欲といっても枯れたのではない。

心は少年であり続け、
野心、情熱、好奇心はますます旺盛とも言える。
ほんの少しでいいからぼく自身、
彼のような無欲な顔に近づきたいものだと思った。”

全く同感、と頷いてしまう。

ちなみに"無欲”の顔になれたのも、
資本主義の罠陥らなかったからだ。

長岡鉄男を神格化する気など毛頭ない

ただ、爺になるなら、あんな爺さん(失礼!)
なりたい
、と思う。

合掌、、、。



5月31日

謙一さんから、グレースのカートリッジ
F-5Dを拝借した。

これは何物?

’58年に国産第一号のMM
テクニクスWM-28がモノーラルで登場。

翌年、これがステレオ化してSTM-58となるのだが、
グレースF-6Dというのがその頃のリストに載っているので、
F-5Dはグレースでも最初期の頃のMMではないかと想像する。

とにかく、ざっと40年くらい前の物である事は
間違い無さそう。

我々の先輩が、どのような音を聴いていたのか
確かめてみませんか?。」

謙一さんが水を向けて下さったので、
(素敵なお言葉だ)
恐れながら、お貸し出し頂く運びとなった。


手にとって、しげしげと眺める

「う〜ん。実にゴッツイ。」

何だかドイツの装甲車を彷彿させる。

今回はアイワ製の軽量シェルに装着されて
到着したが、
それでもずっしりと重い

それもその筈、自重11gである。

マジメに創り込んで行ったら
この重さになってしまった、という感じだ。

取り説のコピーを添付して頂いたのだが、
バランスしたコイルを4個使用
プッシュプルの構造になっています、と書かれてた。

「、、、。」

まあ、重くもなります。


理屈はさて置き、音出し

「おお、思ったよりも遥かに繊細
これはこれは、、、。」

と喜んだのもつかの間。

残念、音が歪む

あれれ?。

「何かヘマやったかなぁ〜?。」

蒼くなってチェックに入る。

ま、結論から言うと
針圧が軽すぎたのだ。

2〜5gとなっていたので、
2gで挑戦したのだが、
結局3gは掛けないとマズイみたい。

やり直し。

さて、その状態での音はと言えば、

これ以上何をお望みですか?。」

という感じの説得力のあるもの。

確かにあら捜しをすれば、
ハイエンドがどうとか、ローエンドがどうとか、
更には繊細さとか力感とか
色々と注文はつけられる。

しかし、朗々と奏でられる音楽には
そんな事を忘れさせる存在感がある。


単に、懐かしい音などと言って
済ませられるものでは無い。

セパレ―ションは素晴らしく良く、
定位は明確。

おまけにSN比は圧倒的に良く、
クリーンな音場再現に、一役買っている。

先輩方は想像以上に良い音を聴いていたんだ
と思う反面、

当時このカートリッジの性能をフルに発揮出来る装置が
どれだけ出回っていただろう?、と
ちょっと心配にもなった。

ま、これは余計なお世話だが、、、。


敢えて残念だった点を挙げるなら、
もう少し軽い針圧でトレースが出来れば
繊細さはもっと出せそうだ、という事。

(もちろん、軽針圧=繊細、などと言う事ではないですよ。)

実際2g強で使うと、
細かい所の描出力かなり改善される。

ただ、どうしてもその針圧では
ミストレースを起こしてしまうのだ。

しかし、これは無理な注文に近い。

指定針圧2〜5gと言う事は、
大体標準は3〜4gと考えるのが筋だろう。

それと、やはり経年変化が起きている可能性も
無いとは言い難い。

自分と同じ位の年数を生きて来たカートリッジに、
無理な注文を付ける僕が野暮なのだ。

何十年も前に、これだけのカートリッジを
作り出す事が出来るだけの技術があったと言う事実。

その事を、門外漢の僕ですら、
何だか誇りに思ってしまう。

いつの時代も、物作りに情熱を掛ける人達は存在してくれる。

貴重な経験の機会をお作り頂いた謙一さんに、
この場をお借りして御礼申し上げます



 



(↑取り説の原文のまま)

16×36×厚18mm。

グレース、と言うより
品川無線と言った方が
ぴったり来る?。

針先は
0,7milダイアモンド。

針先インピーダンス
4,7×10‐6cm/dyne。


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(6月4日 UP!)

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